憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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‥‥‥期末結果も出され、ようやく終業式も終え、冬期休暇にディーたちは入った。

 故郷のヌルングルス村に帰郷し、久しぶりに会う母と妹ではあったが‥‥‥


「あらあら、本当に変わったわねぇ。染めているとかじゃないのよね?」
「母さん、流石に瞳までは染められないんだけど」
「そういうものかしら?でも、これはこれで綺麗ねぇ」

 家に着き、前回の帰郷から加わっていたアナスタシアたちの説明も終えたのは良いのだが、俺の変化については母さんは全く動じていない。

 髪や目の色が変わったとか、新しい召喚獣が増えたとか先に手紙で連絡しておいたのは良いのだが‥‥‥こうもあっけないほど普通に受け入れられているのは良いのだろうか?

「懐かしいわねぇ。お父さんの方も、若い頃はあなたのように色変えたほうがかっこいいかもと言って、一度目を失明しかけたことがあったのよ。でも、なんとかなったのも良い思い出なのよねぇ」

 父さん、若いころに何してんの?

「お兄ちゃんの色変わりは、思うことはないよ!お兄ちゃんはお兄ちゃんで、そのままなんだもの。でも‥‥‥」

 母さんの受け入れやすさは良いとして、妹のセラも容姿に関しては良いらしい。

 だがしかし、アナスタシアたちの方へ顔を向けた。

「‥‥‥やっぱり手紙でも知ったけれど‥‥‥お兄ちゃん、また美人さんを増やしたよね?」
「‥‥‥」
「しかも、片方が今の季節でテンション上がって、もう片方は一見鎧で重装備だけど、脱いだら凄そうな人だよね?」

‥‥‥何も言えない。というか、セラの観察眼がすごい怖い。

 手紙で種族と名前ぐらいしか教えなかったのに、ほぼ当たっているんだけど。


「まぁ、別に良いかな。お兄ちゃんがお兄ちゃんらしくあったのは分かるし、なんか逆に安心したかも」
「そうか?」
「うん!姿が変わっても、お兄ちゃんの中身がそのままなのはわかったよ!!あ、でもまた女の子を増やしそうなのが大心配かな…‥?」
「んー、ご主人様にこれ以上増える可能性は‥‥‥無きにしも非ずデス」
「想像しやすいですわよね」
「増えそうなのは、別に良いのでござるが、なんでこうも集まるのでござろうなぁ」

 妹の言葉に、ノインたちがうんうんと頷き合う。

 何だろう、理解されつつ、その理解された内容に関しての心配をされてちょっと居所が無いというか、何も言えなくなってしまうというか…‥‥どうしたものか。


 とにもかくにも、まずはアナスタシアたちが増えた分の部屋の改造をノインにしてもらいつつ、ちょうど夕食時だったので母さんの御手製の料理を食べさせてもらう。

 ああ、こうやって実家でゆっくりするのもいいよなぁ…‥‥ここ最近、本当に色々とあり過ぎたし、この冬期休暇は心を落ち着かせよう‥‥‥


「‥‥‥ねぇ、お兄ちゃんがすごい遠い目をしていたりするんだけど、どれだけ色々あったの?」
「それはもう、色々とデス。ご主人様には面倒事巻き込まれ体質でもあるのかと疑いたくなるほどデス」
「疑うって話ではないような気がするがのぅ…‥‥そう言う星の下に生まれたとかでもおかしくないのじゃ」

‥‥‥なお、お風呂に交代で入ったが、鎧の下を確かめるとか言ってレイアと共にセラが入浴し、初召喚後の風呂場後の全員のように、同じ顔になったのは言うまでもない。

「‥‥‥‥お兄ちゃん、巨乳の趣味でもあるの?」
「なんでそんな答えにくい質問をするんだよ‥‥‥‥」













―――月明かりが差し込み、さらわらと流れる川には夜行性の動物たちが集まってくる。

 狙いは上ってくる魚たちであり、本格的な雪の到来前に栄養を蓄えるためである。


 だが、そんな狩りが行われている中で…‥‥ふと、上流から流れてくるとある気配に、一匹の獣が気が付くと、他の獣たちもその気配に気が付く。

 それは、先に流れてきた水から漂う臭いからで、続けて月明かりによってその姿が露わになる。


 何者なのか、その獣たちにはわからないだろう。

 何故ならば、その者はそもそもこの地域には存在せずに、はるか遠方の海で生息している者だからだ。

 海ではない淡水で生きているのは、その生物がモンスターであるせいなのか…‥‥それとも、大出血を起こしつつも生き延びている生命力の高さゆえなのか。


【グォォォォ!!】
【ゴゲェェェ!!】

 弱っていそうだし、自分達の養分にできると考えた獣たちがそれぞれ咆哮をあげて襲い掛かるが…‥その獣たちの野生の勘は、他に比べて鈍かったらしい。


 鋭い爪や牙で切り裂き、噛み砕き、貫こうとしたその瞬間…‥‥


ドガァァッツ!!
【【グゲェェェ!?】】

 薙ぎ払われたその衝撃に、とびかかった獣たちはふっ飛ばされ、地面を転がっていく。

 野生の勘が強かった者たちは素早くその場から逃げ出しており、彼らを助ける者たちはいない。

ズズ‥‥ズズッズ‥

 手負いではあるが、動けないわけではない。

 体を引きずるようにして動かしつつ、陸地へ這いあがり、ふっ飛ばした獣たちの側へ向かう。

 そして、その獣たちが気が付いたときには…‥‥その者は、既に大きく口を開けていた。



【グゴォォォォ!?】
【ゴゲェ”ェ”ェ”!?】

 恐怖による断末魔が響き渡るも、助ける者たちはいない。

 相手の力量を見誤り、どちらにせよいつかは捕食されていたであろう獣たちは喰われていく。


‥‥‥そして骨すらも残さずに捕食されてしまうのであった。
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