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166 油断する時もあるのだが
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「あ~…‥‥もしかして、こういう時が一番楽なんだろうか…‥‥」
ふぅっと息を吐きつつ、俺はゆっくりと肩まで湯に浸かり、その温かさを堪能する。
買い物も終え、皆が楽しみまくったのは良いが、やはり楽しむという事は体力を使う事でもあり、それなりに疲れたのだ。
なので、寮の風呂にゆっくりと浸かっているのだが‥‥‥お風呂は良い文明というか、体を癒すのに非常に良いだろう。
なお、女湯の方にもノインたちが現在入浴中だが、男湯との間の仕切りには防音材がみっちり詰まっているらしく、入浴音が聞こえない。
それはそれで良いのだが‥‥‥彼女達が入浴しているタイミングで、男子生徒の数が増えるのもどうなのだろうか?
覗きをしようと目論む者たちが出るが、一人、また一人と撃墜され、赤い花が咲き乱れていく。
「出来れば、お湯の中に入れないでほしいなぁ‥‥‥」
「了解デス」
「お?」
っと、防音されているはずなのに、はっきりとノインの声が聞こえたかと思いきや‥‥‥
「「「「ぎゃぴてぇい!?」」」」
「…‥電撃か。しかも調整して、こちらには害のない奴か」
湯船にゆっくり浸かっている俺には感電しないようにされつつ、プスプスと黒焦げになる男子たちを見て、俺は今された攻撃手段を推測する。あ、軽く横に吹っ飛んだのもいるけど、あれはどうやったんだろうか?衝撃波貫通とか?
なんというか、毎回懲りない人もいるというかなんというか…‥‥この刺激を待っているタンクマン学科所属の奴らはともかく、何処かで諦めがつきそうなものなのに諦めないとは根性あるとは思う。
その根性を別のところに活かせばいいような気がしなくもないが、どうでもいいか。
‥‥‥ノインたちの裸を他の人達に見られるのは、ちょっと嫌な気がしなくもないけどな。見たことってあまりないけど‥‥‥あ、いや、なんかあったような…‥‥
とにもかくにも、撃墜されていくやつらを見つつ、湯船にゆったりと俺は浸かる。
寮のお風呂とは言え、ノインが学園長に許可をもらって、改修を時間がある時に施しているらしく、入るごとに質が上がっているようだ。木製に変えて木の香りを楽しめるようにしているとか、打たせ湯ができていたりとか、薬湯が増設されているとか、ちょっと豪華なような気がする。
ついでに覗き魔撃退トラップの性能も向上しているようだが、お風呂の癒し効果も高まっているといえるだろう。
‥‥‥まぁ、女湯の方では、聞いた話だとリザが液体を酒に変える体質を我慢していたり、アナスタシアが溶けて広がっていたりするらしいが‥‥‥うん、まぁ、そっちはそっちでどうにかしてほしい所である。
それでもなお、皆がお風呂に入るのはその癒し効果が非常に高いゆえだろう。
考えてみると召喚獣たちの共通意識に、お風呂は良いものだというモノがあるな…‥‥あれ?もしかして風呂って、種族を越えた調停の場になるのか?すごいな、風呂。
そんな事を思いつつも、そうこうしているうちに体も温まり、これ以上浸かればのぼせる頃合い。
「‥‥‥そろそろ上がるか」
その辺に転がっている男子たちを気にせずに湯船から上がり、脱衣所で衣服を着ようと思って、湯船との境にある扉へ手を掛けようとした…‥‥その時であった。
パカッ!!
「ん?」
なにやら軽快な音がしたというか、足元の感覚が無くなった気がする。
ほんのわずかな間だが、さっと下を見れば、そこが見えないほど暗いというか‥‥‥ええ…‥
「って落とし穴あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
完全に油断していたというか、何この仕掛けぇ!?
風呂場なのに突然断崖絶壁に落とされたというか、絶望の淵に文字通り落下したよ!?
慌てて手足で何とか留まろうとするも、ぬるっと壁が滑り、全然止められる気がしない。
「えっとえっっとええと、あ、ホバーブーツ!!」
こういう時こそ、ノイン御手製の装備があるじゃないかと落下中に素早く思い出し、手首を見て‥‥‥風呂場ゆえに、装備入りの腕時計を外していたことに、俺は気が付いた。
「やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
風呂場だから完全に油断していたよ!!
ドバッシャァァァァン!!
「ぐぼっぶげごばぁ!?」
そうこうしているうちに何か液状のものに叩きつけられ、俺の意識が沈み、液体の流れによって体が流され始めるのであった…‥‥ああ、なんかすごい急流な気がするけど、手足が動かな‥‥‥‥
「‥‥‥ん‥‥んぅ?」
次に目を覚ましてみれば、そこは知らない天井があった。
むき出しになった岩盤とかがあると思いきや、あちこちにパイプだとか何かのメーターたとか、様々な物が入り組んでおり、天井から光っているキノコがぶら下がり、照明代わりになっている。
まだ頭が少しぼうっとするけれども、何があったのかすぐに思い出す。
そうだ、俺はあの落とし穴に落ちて、底の方で流され…‥‥何かがあって、ここに入るのだろう。
ふと、妙な感覚を覚えて見れば、全裸だったはずの体には何やら趣味でもないというか、肌が見えないほどぎっちぎちに鎖が巻き付けてあり、手足が全然動かせない。
そもそも俺、召喚士だけど力がすごいあるとかでもないのだが‥‥‥何だ、この厳重な鎖の封印的なものは。
「んぐぅ‥‥‥」
ついでに口の方も何やら口枷というべきか、無理やり細長い棒を咥え瀬させられているような状態で固定されており、言葉も発することができない。
(‥‥‥召喚、できないな)
省略した召喚文も言えないし、この状況ではノインたちの召喚もできない。
まさに手も足も出ない状態というべきか…‥‥それでいて眼だけは自由にされているのもなんか気になる処ではある。
不安が押し寄せてくるが、ここで不安に潰されて恐怖で動いてはいけないだろう。
何かとパニックになるのも不味そうだし、彼女達との騒動でこういう状況に対して冷静に対処はできている。
‥‥‥うん、むしろ冷静に対処できるほど場数を踏んでいると思うと、なんかむなしいというか悲しい気にもなるが。色々あり過ぎたからな。
(とにもかくにも、どうしたものか)
周囲を見渡すと、何かの一室のようだし、窓もないが扉ならある。
とはいえ、手足が全然使えず、召喚もできないこの状況では大人しくしているほかなく、しばらく待っていると‥‥‥
ガチャリ
「‥‥‥ほぅ、既に起きているようダニィ」
「‥‥」
扉が開き、誰かが入って来た。
だがしかし、その姿を見て、口を封じられているけれども俺は何も言えなかった。
というのも、その見た目が‥‥‥
「おおぅ、我が身体を見て驚いた表情とは、組織の者ではなく見慣れた者でもないから見られるのは良いものダニィ!!」
‥‥‥何やらこちらの驚愕した反応が嬉しかったのか、ぶるぶると体を震わせる相手。
だが、その姿は人ではなく‥‥‥何と言うか、巨大なダニであった。
うん、その姿ならなんか謎の口癖がそれで合っていると思えてしまう。
というか、巨大なダニが人の姿を話すってどうなんだろうか。
「おおぅ、疑問に思っているようだけど、この天才的なミーは元々人間だったから普通に人の言葉を話せているのダニィ!」
(!?)
「心を読んだとかではなく、普通に顔に出ているよダニィ」
マジか。
いや、そこではなく、元々人間だったからという発言で、嫌な予感が出てきた。
なんというか、つい最近も元人間な話しを聞いたというべきか、襲われたというべきか…‥‥
「ああ、その顔は多分、色々と該当するものを思いついているようダニィ!なら、その中の一つが多分合っていると思うから、ここで言わせてもらうダニィ!!ようこそ、フェイスマスクの強制怪物開発部第12研究所へダニィ!!ミーはその開発部主任のダニエリーゼなのだダニィ!」
(やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁ!!)
元人という時点で色々と予想がついていたが、顔に言葉でも出ているのかという位読まれた上に、予想の一つを思いっきり的中させられた。
‥‥‥人を怪物に変えることができる組織、仮面の組織フェイスマスク。
ここはその組織の有する研究所の一つだったようだ。というか、12って多いというか…‥ん、あれ?でも仮面の組織なのに、何で仮面を付けないのだろうか?
「ああ、仮面の組織なのに仮面をつけていないって顔しているダニィ?無理無理、この顔で仮面付けたところで、見た目も変わらないし認識阻害も異形すぎる体には効かないようで、全然意味が無いから外しているのダニィ」
見た目が巨大なダニだからな…‥‥というか、こうも読まれると俺の表情ってどんだけ分かりやすいのかという疑問もあるのだが…‥‥今度、鏡を見て直せる気概があった直しておかないと、諜報とかで不味そうである…‥‥
ふぅっと息を吐きつつ、俺はゆっくりと肩まで湯に浸かり、その温かさを堪能する。
買い物も終え、皆が楽しみまくったのは良いが、やはり楽しむという事は体力を使う事でもあり、それなりに疲れたのだ。
なので、寮の風呂にゆっくりと浸かっているのだが‥‥‥お風呂は良い文明というか、体を癒すのに非常に良いだろう。
なお、女湯の方にもノインたちが現在入浴中だが、男湯との間の仕切りには防音材がみっちり詰まっているらしく、入浴音が聞こえない。
それはそれで良いのだが‥‥‥彼女達が入浴しているタイミングで、男子生徒の数が増えるのもどうなのだろうか?
覗きをしようと目論む者たちが出るが、一人、また一人と撃墜され、赤い花が咲き乱れていく。
「出来れば、お湯の中に入れないでほしいなぁ‥‥‥」
「了解デス」
「お?」
っと、防音されているはずなのに、はっきりとノインの声が聞こえたかと思いきや‥‥‥
「「「「ぎゃぴてぇい!?」」」」
「…‥電撃か。しかも調整して、こちらには害のない奴か」
湯船にゆっくり浸かっている俺には感電しないようにされつつ、プスプスと黒焦げになる男子たちを見て、俺は今された攻撃手段を推測する。あ、軽く横に吹っ飛んだのもいるけど、あれはどうやったんだろうか?衝撃波貫通とか?
なんというか、毎回懲りない人もいるというかなんというか…‥‥この刺激を待っているタンクマン学科所属の奴らはともかく、何処かで諦めがつきそうなものなのに諦めないとは根性あるとは思う。
その根性を別のところに活かせばいいような気がしなくもないが、どうでもいいか。
‥‥‥ノインたちの裸を他の人達に見られるのは、ちょっと嫌な気がしなくもないけどな。見たことってあまりないけど‥‥‥あ、いや、なんかあったような…‥‥
とにもかくにも、撃墜されていくやつらを見つつ、湯船にゆったりと俺は浸かる。
寮のお風呂とは言え、ノインが学園長に許可をもらって、改修を時間がある時に施しているらしく、入るごとに質が上がっているようだ。木製に変えて木の香りを楽しめるようにしているとか、打たせ湯ができていたりとか、薬湯が増設されているとか、ちょっと豪華なような気がする。
ついでに覗き魔撃退トラップの性能も向上しているようだが、お風呂の癒し効果も高まっているといえるだろう。
‥‥‥まぁ、女湯の方では、聞いた話だとリザが液体を酒に変える体質を我慢していたり、アナスタシアが溶けて広がっていたりするらしいが‥‥‥うん、まぁ、そっちはそっちでどうにかしてほしい所である。
それでもなお、皆がお風呂に入るのはその癒し効果が非常に高いゆえだろう。
考えてみると召喚獣たちの共通意識に、お風呂は良いものだというモノがあるな…‥‥あれ?もしかして風呂って、種族を越えた調停の場になるのか?すごいな、風呂。
そんな事を思いつつも、そうこうしているうちに体も温まり、これ以上浸かればのぼせる頃合い。
「‥‥‥そろそろ上がるか」
その辺に転がっている男子たちを気にせずに湯船から上がり、脱衣所で衣服を着ようと思って、湯船との境にある扉へ手を掛けようとした…‥‥その時であった。
パカッ!!
「ん?」
なにやら軽快な音がしたというか、足元の感覚が無くなった気がする。
ほんのわずかな間だが、さっと下を見れば、そこが見えないほど暗いというか‥‥‥ええ…‥
「って落とし穴あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
完全に油断していたというか、何この仕掛けぇ!?
風呂場なのに突然断崖絶壁に落とされたというか、絶望の淵に文字通り落下したよ!?
慌てて手足で何とか留まろうとするも、ぬるっと壁が滑り、全然止められる気がしない。
「えっとえっっとええと、あ、ホバーブーツ!!」
こういう時こそ、ノイン御手製の装備があるじゃないかと落下中に素早く思い出し、手首を見て‥‥‥風呂場ゆえに、装備入りの腕時計を外していたことに、俺は気が付いた。
「やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
風呂場だから完全に油断していたよ!!
ドバッシャァァァァン!!
「ぐぼっぶげごばぁ!?」
そうこうしているうちに何か液状のものに叩きつけられ、俺の意識が沈み、液体の流れによって体が流され始めるのであった…‥‥ああ、なんかすごい急流な気がするけど、手足が動かな‥‥‥‥
「‥‥‥ん‥‥んぅ?」
次に目を覚ましてみれば、そこは知らない天井があった。
むき出しになった岩盤とかがあると思いきや、あちこちにパイプだとか何かのメーターたとか、様々な物が入り組んでおり、天井から光っているキノコがぶら下がり、照明代わりになっている。
まだ頭が少しぼうっとするけれども、何があったのかすぐに思い出す。
そうだ、俺はあの落とし穴に落ちて、底の方で流され…‥‥何かがあって、ここに入るのだろう。
ふと、妙な感覚を覚えて見れば、全裸だったはずの体には何やら趣味でもないというか、肌が見えないほどぎっちぎちに鎖が巻き付けてあり、手足が全然動かせない。
そもそも俺、召喚士だけど力がすごいあるとかでもないのだが‥‥‥何だ、この厳重な鎖の封印的なものは。
「んぐぅ‥‥‥」
ついでに口の方も何やら口枷というべきか、無理やり細長い棒を咥え瀬させられているような状態で固定されており、言葉も発することができない。
(‥‥‥召喚、できないな)
省略した召喚文も言えないし、この状況ではノインたちの召喚もできない。
まさに手も足も出ない状態というべきか…‥‥それでいて眼だけは自由にされているのもなんか気になる処ではある。
不安が押し寄せてくるが、ここで不安に潰されて恐怖で動いてはいけないだろう。
何かとパニックになるのも不味そうだし、彼女達との騒動でこういう状況に対して冷静に対処はできている。
‥‥‥うん、むしろ冷静に対処できるほど場数を踏んでいると思うと、なんかむなしいというか悲しい気にもなるが。色々あり過ぎたからな。
(とにもかくにも、どうしたものか)
周囲を見渡すと、何かの一室のようだし、窓もないが扉ならある。
とはいえ、手足が全然使えず、召喚もできないこの状況では大人しくしているほかなく、しばらく待っていると‥‥‥
ガチャリ
「‥‥‥ほぅ、既に起きているようダニィ」
「‥‥」
扉が開き、誰かが入って来た。
だがしかし、その姿を見て、口を封じられているけれども俺は何も言えなかった。
というのも、その見た目が‥‥‥
「おおぅ、我が身体を見て驚いた表情とは、組織の者ではなく見慣れた者でもないから見られるのは良いものダニィ!!」
‥‥‥何やらこちらの驚愕した反応が嬉しかったのか、ぶるぶると体を震わせる相手。
だが、その姿は人ではなく‥‥‥何と言うか、巨大なダニであった。
うん、その姿ならなんか謎の口癖がそれで合っていると思えてしまう。
というか、巨大なダニが人の姿を話すってどうなんだろうか。
「おおぅ、疑問に思っているようだけど、この天才的なミーは元々人間だったから普通に人の言葉を話せているのダニィ!」
(!?)
「心を読んだとかではなく、普通に顔に出ているよダニィ」
マジか。
いや、そこではなく、元々人間だったからという発言で、嫌な予感が出てきた。
なんというか、つい最近も元人間な話しを聞いたというべきか、襲われたというべきか…‥‥
「ああ、その顔は多分、色々と該当するものを思いついているようダニィ!なら、その中の一つが多分合っていると思うから、ここで言わせてもらうダニィ!!ようこそ、フェイスマスクの強制怪物開発部第12研究所へダニィ!!ミーはその開発部主任のダニエリーゼなのだダニィ!」
(やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁ!!)
元人という時点で色々と予想がついていたが、顔に言葉でも出ているのかという位読まれた上に、予想の一つを思いっきり的中させられた。
‥‥‥人を怪物に変えることができる組織、仮面の組織フェイスマスク。
ここはその組織の有する研究所の一つだったようだ。というか、12って多いというか…‥ん、あれ?でも仮面の組織なのに、何で仮面を付けないのだろうか?
「ああ、仮面の組織なのに仮面をつけていないって顔しているダニィ?無理無理、この顔で仮面付けたところで、見た目も変わらないし認識阻害も異形すぎる体には効かないようで、全然意味が無いから外しているのダニィ」
見た目が巨大なダニだからな…‥‥というか、こうも読まれると俺の表情ってどんだけ分かりやすいのかという疑問もあるのだが…‥‥今度、鏡を見て直せる気概があった直しておかないと、諜報とかで不味そうである…‥‥
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