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152 燃えよ燃えよと思うもの

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…‥‥学園祭3日目。

 今夜の後夜祭で学園祭も終了し、しばらくは大きな行事がないはずである。

 だからこそ、この最終日に全力を出す者も多く、その分店の出し物も向上しやすく、何かを売っていれば在庫一掃セールなどをして、それら狙いでより人々は集まってくる。

 
 毎年違う学園祭を行っているらしいが、今年の場合はこの時点で問題もちらほら確認でき、来年に活かすための教訓も増えるだろう。

 なので、今は生徒として自身の学科の店に出たり、生徒会として見回りを行ったりして‥‥‥‥


「せやぁぁ!!そこだぁ!!」
「ぐっばぁぁぁあ!?」
「急降下落下&攫うでござるよ。例があるのに何でやらかすのでござろうか?」
「歌いながら連れ去られたぁぁぁ!!」
「面倒、冷凍保存、終わるまで」
「へふぁい!?」

「…‥‥何と言うか、どんどん例が挙げられていくのに、どうしてこうも問題を起こす輩が紛れ込むのだろうか」
「学ばない人って、案外多いようデス。っと、そこスリですネ」
「あぶわぁ!?ケツにナイフがぁぁぁぁ!!」


‥‥‥落ち着くことなく、犯罪者の検挙に俺たちは勤しんでいた。

 うん、皆目も良いし、犯罪なんぞ見逃すわけもない。さらっと酷い目に合う人が多いが、自業自得だと思ってほしい。

 空陸両方とも、俺たちはそろっているからなぁ…‥‥空から観察して発見できるし、色々動き回って確認もできる。水中とかはないが、一応ここ陸地だし、問題ない。

 既に色々と犯罪者が出ており、どれもこれも捕らえているのだが‥‥‥本当に学ばない人もいると思う。

「というか、初日に捕らえた人も混ざってないか?」
「罰金を衛兵に支払い、出てきた人のようでありんすが…‥‥再犯だときちんと処罰が重くなるでありんす」

 何度もこうやって繰り返していたり、どこの誰がやらかしたとみているとなんとなく人の顔を覚えていくのだが、何人かが前科を確認できる。

 懲りない人がいるってことだしなぁ‥‥‥この部分も改善すべきだろう。

 ああ、ゼネの幻術で恐怖祭りとか、ルビーに逆バンジー・バンジーとかそう言うので恐怖を心に刻み込んでもらって、しっかりと二度と犯罪を起こさないようにという提案もありか。いっその事、その幻術でゼネの妹からの逃亡劇当事者視点版…‥‥いや、あれは俺たちにとってもトラウマものだからやめておこう。

「それだと、何か違う扉が開く人も出そうなんじゃが」
「…‥‥それもそうか」

 タンクマン学科のようなドM集団の例もあるし、安易な処罰は意味をなさない。この世の中、何がきっかけで豹変するのかが良く分からない例なら結構ある。

 そう言えば、あの学科の出し物って…‥‥いや、やめておこう。たまたま見て、直ぐに生徒会通報・営業停止処分ものだったからな。あれは流石に改善最優先過ぎる。というか、やる前にチェックを徹底する体制も必要だよなアレ…‥‥うう、忘れたい。

「そう考えると、人って業が深いのだろうか…‥‥」
「グゲェ?」

 厳重な処罰でも精神的に来なければ意味がない時もあるし、やり過ぎればそれはそれで反論が出されるだろうし、結構難しいところ。

 まぁ、そう言う部分は生徒会で議題に挙げつつ丸投げにしつつ、あちこちを見回って衛兵に引き渡していくが、最終日だからこそか流石に重大な事件などは起きずに時間が過ぎていく。

 レイアも昨日召喚したばかりだが、もう皆になじんでいるようで、しっかりと共に動けているのは良いだろう。


「おー!!マイロード、20人目更新したぞー!!」
「更新するほどいるってのも問題だな」

 槍に引っ掛けられ、ブランブランと気絶しながら揺れる犯罪者。

 こちらは痴漢のようで、どさくさに紛れてやろうとしていたらしいが、逆にブスッと刺したらしい。

 何をどれでどこに、というところはツッコまないでおこう。まずは衛兵よりも保健室へ運んだ方が良いな。ところでレイア、その痴漢首しまって顔ヤヴァイのだが。


 とにもかくにも初日や二日目のようなドタバタも減り、もう間もなく学園祭の終わりを感じさせる。

 なにやら風呂場であって意気消沈していたらしいルナティアも復帰しており、弓兵学科で見事な的当てを披露していたなぁ…‥‥彼女は彼女で留学生として楽しんでいるのなら良いか。なんかレイアを見たらびくっと震えたけど、本当に何があった。

「とりあえず、もうそろそろ終了時間だし、気を抜きたいところだが…‥‥」

 経験上、まだ抜けないのは分かっている。

 ここでちょっとでも息抜きをすれば、いつの間にか何処かで何かが起きていたりするし、今回ばかりは最後まで気が抜けない。

 だからこそ、全員周囲の警戒をしっかりしているし、事前に防止するように動くのだ。

「ご主人様、後夜祭準備のために、そろそろ店の物を破壊する時刻デス」
「あ、それもあったか」

 後夜祭には、校庭に特設で作られた大きなキャンプファイヤーがあり、そこに店で使ったものを投入したりもする。

 一応、焼いたら不味い類などもしっかりと仕分けしつつ、片付けと最後の目玉としての両立を兼ねているらしいが…‥‥その破壊タイムは案外皆楽しみにしているのだ。

 時間を掛けて作ったものを、一気にバッキバキにするわけだからね。取っておくことも考えたが、それでも保管する場所の問題だとか、学園祭が毎年変更される都合とかを考えるとまとめて焼却処分が手っ取り早いのである。

 なお、焼いた後の灰も色々と再利用できるらしい。肥料とか、錬金術師学科での再合成材料とか、何かと無駄がない。



 とりあえず、周囲の警戒を残しつつ、俺たちは破壊活動へ向かう。

 こういう時ぐらいは、ぶっ壊すことを楽しんで、火に投下してその燃える様を見よう。

 この祭りの時に得られた思い出もしっかりと覚えつつ…‥‥

「…‥‥できれば、更新されたトラウマも燃やしたいのじゃがなぁ」
「それは分かるような気がする」

 ゼネのその一言で、俺たちはあの妹逃走劇を思い出し、全員同意して頷くのであった‥‥‥‥

「マイロード、皆も、何があったのだ?」
「ああ、レイアはあの後に召喚したからなぁ…‥‥知らないのも無理ないか」

 いやな記憶とかも、一緒に焼却処分したい。そう言えば、あの後王城でどうなったのか知らないし‥‥‥決まったであろう時期を考えて、王子たちにでも問い合わせようかな。
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