憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波

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129 やり過ぎないようにかつ加減しすぎないように

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「‥‥‥金属齧り被害かぁ。原因となるものって何があるのかな?」
「金属を狙って齧るような動植物、モンスターなどは一応あるようですガ…‥‥」

 放課後、生徒会室。

 最近ちょっとだけ、ノインが手を入れて改造したらしい、一見見た目の変わらない生徒会室の場にて、俺はグラディたちからその話を聞いていた。

「本来であれば、教師陣の方へ話を出して、大人の方で対応を‥‥とも考えていたのだが」
「いかんせん、やらかされた」
「どういうこと?」

…‥‥こういう被害状況であれば、流石に学園内の生徒たちだけで解決できると判断できず、教師陣営の方で解決のために動き出すのが普通である。

 そもそも、生徒会という組織自体がそこまで大規模に動くようなものでもないし、学園が対応しないと職務怠慢だとか、そういう問題になるのだ。

 なので、学園長の職業が狂戦士でも理性はあるし、きちんと教師陣の方へ話を流し、職務怠慢などにならないように、そちらはそちらで動いていたようなのだ。


 だがしかし、そうはいかない不測の事態が発生した。

「…‥‥こんなことを言うのもなんだけど、教師が2名ほど退職した」
「そんな話、聞いてないんだが…?」
「箝口令がしかれ、生徒たちの間に話題になっていない」
「こういう時に限って、何故か出るやらかしというか、偶然の産物というべきか‥‥‥」

 寿退社などで教師が学園を去ることはある。

 けれども、今回の退職はそれではなく、偶然見つけたとあることによって辞めさせることになったのだ。

「どうもねぇ、仮面の組織‥‥‥フェイスマスクの一員であったことが、分かってしまった」

 間が悪いというべきか、見つかってよかったのだけれどもタイミングが悪すぎたというべきか。

 どうもその教師2名は以前からその組織の一員で、いつの間にか学園に潜り込んでいた構成員だったらしい。

 しかも、学園の予算からわずかにとはいえ、ちょくちょく横流しをしていた形跡があったようで、もろにアウトだったようだ。

「金属齧りをする犯人は不明とは言え、そこから見つかったからな。金属の被害で調べている間に」
「職員室の教師たちの机がやられて、そこから露呈したんだよね」

 職員室の教師たちようの机は金属製であり、万が一にテスト期間中に生徒たちが盗もうとしても大丈夫なように、防犯をしっかりと整えていたらしい。

 だが、それが今回破られ、被害を調べる中でふとした拍子に書類が少々ちらばり、そこから見事に判明してしまったようなのだ。

「なので今、ちょっと教師の補充でごたごたして、手が付けにくく」
「ゆえにこっちで解決を目指したほうが早いことになった」
「‥‥‥うわぁ」

 何だろう、この聞いてしまった裏事情。

 箝口令が敷かれていたという事は、本来は聞いてはいけない類だったのだろうが、生徒会に所属しているからこそ得てしまった事情でもある。

「だから、生徒会の方で任せるしかないのか…‥‥いや、それでも手の空いている教員とかに応援を頼めばいいような」
「教員2名が出たからな、迂闊に教師を使えないというのもあるんだ」

 流石に組織の所属していない教員もいるだろうが、今回のうっかりで露見するまでは分からなかった問題。

 ゆえに、現在生徒たちには伝えられないながらも、密かに教師たちの調査が行われており、迂闊に教師たちに頼れない状態だとか。

「ああ、ついでに言うなら召喚士学科の担当教師は関係なかったよ。ディー君の召喚獣と教師の召喚獣の仲が悪かったから疑われはしたが、調べたら大丈夫だった。一度接触はあったようだけどね」
「それはそれで大丈夫なのか?」
「あの召喚獣、ヘルールだったかな?その鳥の召喚獣が見事に攻撃して、捕らえたから良かったよ」

…‥‥何気に活躍しているなぁ、あの召喚獣。ノインたちにやられることが多いとはいえ、それでも一応何度も相手にできるという事はそれなりに実力はあったのだろう。


 とにもかくにも、教師陣営が使えない今、生徒会の方でやるしかなさそうである。

「というか、召喚獣であるノインたちを除いて、きちんとした生徒会のメンバーを副生徒会長たち以外に見たことが無いような気がするんだけど」
「一応いるんだけどねぇ、都合が合わないことが多いんだよ」
「名だけは生徒会に所属して、厄介事から身を守るようにしているのもいるからな…‥‥まぁ、詳しいメンバー紹介はまた次の機会にしよう」

 金属備品齧られ事件に関して、生徒会の決定としては罠と見回りということが現状できるようであった。

「とはいえ、罠を回避、むしろ囮に使うなどの知能がある時点で、厄介極まりないけどね」
「となると、人海戦術を取った方が良いような‥‥‥いや、人が多すぎてもダメか」
「それだと気配があるだろうからな。いくら消しても、呼吸音などで気が付かれる可能性も否定できない」

 ううむ、結局いい打開策は無いようなものなんだよなぁ。

 そもそも、この生徒会長ゼノバース副生徒会長グラディの二人でも駄目だったらしいし、実力行使をしたくとも相手がどの様なものなのか分からないからこそどれだけの罠を仕掛けるべきなのか、その部分が分からない。

「‥‥‥あ、でもやろうと思えばできるか?」

 人海戦術というか、モンスター海戦術というべきか‥‥‥こういう時に、召喚獣を多く持っているメリットが活かせるかも。

「ノイン、あの3名の冬眠状態は?」
「カッチカチですが、解凍すればすぐ活動可能デス」
「それじゃ、解凍してすぐに全員集合。ちょっと思いついた策をやってみるぞ」
「了解デス」

 活かせそうなときは、全員フルに活かしたいからな。相手がどの様なものだろうとも、やってみる価値はあるだろう。

 後ついでに、何かと貯まっていそうならばここで発散してもらう方が良い。金属齧りの犯人が誰であろうとも、都合のいい発散相手である。うん、都合よかったなぁ、相手がどれだけ悲惨な目にあうのかは現時点で見当つかないけどな‥‥‥‥。
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