111 / 373
106 それは密かに積み重なって
しおりを挟む
―――――ざぁぁぁぁぁぁ‥‥‥
「‥‥‥うわぁ、すっごい土砂降りだな」
「おかげで、外に出にくいデス」
「根腐れの原因にもなりますので、植物にとって水は命ですが素直に喜べまセン」
夏季休暇も終わり、ある程度落ち着いてきた時期でありつつ、まだまだ残暑が残る今日この頃。
現在、外は豪雨に見舞われており、課外授業などが中止される事態が相次いでいた。
「召喚獣学科の教室も、今日は全部の召喚獣がいる光景が見られるな…‥‥」
召喚獣たちは基本的に、召喚士が座学の授業などの合間には、自分達で研鑽に励み、その中には校外へ出て鍛え上げ、模擬戦場などで他学科と交流したりする。
だがしかし、この豪雨のせいで校外に出ることは叶わず、全員が召喚士の元に集まっているのだ。
「まぁ、濡れても大丈夫な召喚獣なら喜んで出るんだろうけれどな」
「流石にこの豪雨の中を嬉々として出る奴はいないようじゃな」
豪雨ゆえに湿度も高く、どことなく空気がじっとりとしている。
あちこちで尻尾や羽で空気を動かして湿度を下げつつ空気の入れ替えをして新鮮な状態にしようと試みる召喚獣たちもいるぐらいである。
「わっちとしては、高温湿潤は中々過ごしやすい方でありんすが、気を抜くと酒まみれになるのがやばいでありんすな」
「酒?でも水源は‥‥‥あ」
「湿気が酒になってしまうのでありんすよね」
‥‥‥リザの言葉に気が付いたが、今の湿度は非常に高く、少し動けばじっとりと肌に纏わりつき、たっぷり水分を含んだ衣服になるだろう。
そのせいでどうも液体を酒等に変える力を持つ彼女にも影響が出てしまい、身に纏わりついた湿気によってできた水が、気を抜いたら酒となって蒸発してしまうようだ。
「ノイン、湿度を吸収する機能とかはないのか?」
「メイドの嗜みとして、乾燥機ぐらいならありますが‥‥‥あくまでも衣類など限定なので、難しいデス」
「わたくしの方も、根っこから試みましたが、ちょっと難しいですわねぇ」
湿気も大概な困りものである。
「そもそも衣服がじっとりするのも大変なんデス」
「谷間とか、蒸れますからね」
「うう、さらしが蒸れるのも困るござる」
「元々死体じゃから、腐敗しないかちょっとヒヤッとすることもあるのぅ」
「グゲグゲェ」
「拭いてもまたじとっとくるでありんす」
‥‥‥あと、見た目的な意味でも。
雨に濡れたわけではないのに、湿気が多すぎるがゆえに衣服がじめって肌に張り付くこの状況。
ちょっと直視しにくいってのも、困りものである‥‥‥‥
…‥‥放課後、本日は生徒会としての集まりで、生徒会室に俺たちは集合していた。
「うう、昨年はこんなことが無かったからなぁ‥‥‥紙がふやけて最悪だよ」
「例年にはない豪雨だからな」
生徒会長たちもこの湿気には辟易しているようで、困りものらしい。
生徒会としての必要書類などが湿気でじとっと水を含んでしまい、ふやけていたり、インクがにじんでいたりと最悪である。
「ここまで学園の豪雨の被害があるのか…‥‥」
「そもそも、例年のこの時期はそんなに降ることはなかったよ」
俺のつぶやきに対して、副生徒会長はそう答えた。
どうも今年の方が異常らしく、例年にはない異常気象のようだ。
「おかげで、各地の農作物の被害とかも考えると、結構国としても大変でね」
「下手すると、水害が発生するかもな」
「それはシャレにならないよな‥‥‥‥」
この国、凶作とかはあったりするけど、災害はそこまで多いわけでもないらしい。
なので、災害対策をしていたとしても、そこまで迅速に動けるかどうかが問題だったりするそうなのである。
「避難訓練とか、明日辺りに全校生徒でやった方が良いかもな」
「想定としては、水害の方が良いか…?」
「でも降っていたら、外に逃げにくいような」
何にしても、この豪雨はそう長くなかったとしても、一応避難訓練をしておいた方が良いのかもしれないという結論になった。
そのため、教師陣の方にも提案しつつ、避難訓練の計画を練ることになったのであった‥‥‥
「‥‥災害自体が無い方が良いんだけどな」
「いつ起こるのかは、予想付きにくいですが‥‥‥この豪雨ですと、可能性はありますネ」
「朝起きたら、水没していたりすることはないのでござろうか?」
「流石にそれは無いじゃろうな。地面が水を吸収するじゃろうし、何か施されでもせぬ限りそう簡単には起きぬじゃろう。まぁ、生前に油断してやらかされ、そのどさくさにまぎれて拭く名目で…‥‥ううっ」
「どんなトラウマだよそれ‥‥‥」
…‥‥ゼネがトラウマを思い出し、ディーが呆れてツッコミを入れていたその頃。
実はゼネの言葉にあった、何か施されることはされていた。
「凄まじい豪雨だが、これだけでどうにかなるものなのか?」
「ええ、間違いないでしょう。後はこの仕掛けを動かし、こちらのものを扱えば確実と思われます」
学園のある都市の周辺、とある貴族の別邸にて、その会話がなされている。
「まぁ、少々被害として覚悟して欲しいのは、この屋敷自体もダメになる可能性がありますが…‥」
「構わん。どうせ領民から搾り取れば済む話だし、将来的に失うかもしれぬ金を考えるならこの買い物と合わせても非常に安いはずだ」
「そういうもんでございましょうかねぇ?」
その屋敷の主の言葉に、首をかしげる者。
目立たないような衣服を身にまといつつ、半分怒りと笑いの仮面をつけた不気味な者はちょっと考えつつも、目の前の屋敷の主に対して興味もないので、気にしないことにした。
「ではでは、料金は受け取りましたが、一応注意事項を」
「というと?」
「こちらの作成ほやほや、試作品を兼ねて作られたものですが、水の中では確実に無敵を誇るでしょうが、そのせいで性格がより凶暴化し、制御を受け付けない可能性もあります。なので、万が一の時には離れた場所から、こちらのスイッチを押してください」
そう言って取り出したのは、シンプルに髑髏マークの赤いボタンが付いたスイッチ付きの箱である。
「これは自爆装置ですので、押した途端に半径500m以内を蒸発させる爆発を起こしますので、その効果範囲外でどうぞ」
「ふむ‥‥‥まぁ、押すことはないとは思うが、受け取っておこう」
「ええ、どうぞ。あ、これは一応付属品ですので、料金を取りません」
渡された箱を受け取りつつ、金を渡してその者を屋敷の主はさっさとその場から姿を消させる。
「なんというか、不気味なモノであったが…‥‥この豪雨と言い、それなりに信用はできそうだな」
つぶやきながらも、購入したその瓶の中身を見て、未だに不信感は抜けきっていない矛盾もある。
「今のうちに出して、水の中を泳がせれば、明日には‥‥‥か」
高い買い物ではあったが、邪魔者を排除できるのであれば問題あるまい。
自分の地位を脅かす者がいることが一番の問題であり、それを解決できるのであれば相手が誰であれ、いただくのも悪くはないだろう。
「ついでに王族とかもプチッとやれば、そのどさくさに紛れて政権を握れるか?」
悪だくみも考えつつ、今は余計な事よりも排除対象を排除するべきだと思い、動き出す。
‥‥‥そして数時間後、その選択が愚かな事であったことをその者は気が付いた。
だが、その時にはすでに遅く、それを制御するためのスイッチは実は偽物であり、自爆させることもできなかった。
断末魔を上げ、最後に見たのは、愚か者である自身の頭が離れた胴体ではあったが‥‥‥‥その厄災は、その場にとどまらないのであった‥‥‥‥
「‥‥‥うわぁ、すっごい土砂降りだな」
「おかげで、外に出にくいデス」
「根腐れの原因にもなりますので、植物にとって水は命ですが素直に喜べまセン」
夏季休暇も終わり、ある程度落ち着いてきた時期でありつつ、まだまだ残暑が残る今日この頃。
現在、外は豪雨に見舞われており、課外授業などが中止される事態が相次いでいた。
「召喚獣学科の教室も、今日は全部の召喚獣がいる光景が見られるな…‥‥」
召喚獣たちは基本的に、召喚士が座学の授業などの合間には、自分達で研鑽に励み、その中には校外へ出て鍛え上げ、模擬戦場などで他学科と交流したりする。
だがしかし、この豪雨のせいで校外に出ることは叶わず、全員が召喚士の元に集まっているのだ。
「まぁ、濡れても大丈夫な召喚獣なら喜んで出るんだろうけれどな」
「流石にこの豪雨の中を嬉々として出る奴はいないようじゃな」
豪雨ゆえに湿度も高く、どことなく空気がじっとりとしている。
あちこちで尻尾や羽で空気を動かして湿度を下げつつ空気の入れ替えをして新鮮な状態にしようと試みる召喚獣たちもいるぐらいである。
「わっちとしては、高温湿潤は中々過ごしやすい方でありんすが、気を抜くと酒まみれになるのがやばいでありんすな」
「酒?でも水源は‥‥‥あ」
「湿気が酒になってしまうのでありんすよね」
‥‥‥リザの言葉に気が付いたが、今の湿度は非常に高く、少し動けばじっとりと肌に纏わりつき、たっぷり水分を含んだ衣服になるだろう。
そのせいでどうも液体を酒等に変える力を持つ彼女にも影響が出てしまい、身に纏わりついた湿気によってできた水が、気を抜いたら酒となって蒸発してしまうようだ。
「ノイン、湿度を吸収する機能とかはないのか?」
「メイドの嗜みとして、乾燥機ぐらいならありますが‥‥‥あくまでも衣類など限定なので、難しいデス」
「わたくしの方も、根っこから試みましたが、ちょっと難しいですわねぇ」
湿気も大概な困りものである。
「そもそも衣服がじっとりするのも大変なんデス」
「谷間とか、蒸れますからね」
「うう、さらしが蒸れるのも困るござる」
「元々死体じゃから、腐敗しないかちょっとヒヤッとすることもあるのぅ」
「グゲグゲェ」
「拭いてもまたじとっとくるでありんす」
‥‥‥あと、見た目的な意味でも。
雨に濡れたわけではないのに、湿気が多すぎるがゆえに衣服がじめって肌に張り付くこの状況。
ちょっと直視しにくいってのも、困りものである‥‥‥‥
…‥‥放課後、本日は生徒会としての集まりで、生徒会室に俺たちは集合していた。
「うう、昨年はこんなことが無かったからなぁ‥‥‥紙がふやけて最悪だよ」
「例年にはない豪雨だからな」
生徒会長たちもこの湿気には辟易しているようで、困りものらしい。
生徒会としての必要書類などが湿気でじとっと水を含んでしまい、ふやけていたり、インクがにじんでいたりと最悪である。
「ここまで学園の豪雨の被害があるのか…‥‥」
「そもそも、例年のこの時期はそんなに降ることはなかったよ」
俺のつぶやきに対して、副生徒会長はそう答えた。
どうも今年の方が異常らしく、例年にはない異常気象のようだ。
「おかげで、各地の農作物の被害とかも考えると、結構国としても大変でね」
「下手すると、水害が発生するかもな」
「それはシャレにならないよな‥‥‥‥」
この国、凶作とかはあったりするけど、災害はそこまで多いわけでもないらしい。
なので、災害対策をしていたとしても、そこまで迅速に動けるかどうかが問題だったりするそうなのである。
「避難訓練とか、明日辺りに全校生徒でやった方が良いかもな」
「想定としては、水害の方が良いか…?」
「でも降っていたら、外に逃げにくいような」
何にしても、この豪雨はそう長くなかったとしても、一応避難訓練をしておいた方が良いのかもしれないという結論になった。
そのため、教師陣の方にも提案しつつ、避難訓練の計画を練ることになったのであった‥‥‥
「‥‥災害自体が無い方が良いんだけどな」
「いつ起こるのかは、予想付きにくいですが‥‥‥この豪雨ですと、可能性はありますネ」
「朝起きたら、水没していたりすることはないのでござろうか?」
「流石にそれは無いじゃろうな。地面が水を吸収するじゃろうし、何か施されでもせぬ限りそう簡単には起きぬじゃろう。まぁ、生前に油断してやらかされ、そのどさくさにまぎれて拭く名目で…‥‥ううっ」
「どんなトラウマだよそれ‥‥‥」
…‥‥ゼネがトラウマを思い出し、ディーが呆れてツッコミを入れていたその頃。
実はゼネの言葉にあった、何か施されることはされていた。
「凄まじい豪雨だが、これだけでどうにかなるものなのか?」
「ええ、間違いないでしょう。後はこの仕掛けを動かし、こちらのものを扱えば確実と思われます」
学園のある都市の周辺、とある貴族の別邸にて、その会話がなされている。
「まぁ、少々被害として覚悟して欲しいのは、この屋敷自体もダメになる可能性がありますが…‥」
「構わん。どうせ領民から搾り取れば済む話だし、将来的に失うかもしれぬ金を考えるならこの買い物と合わせても非常に安いはずだ」
「そういうもんでございましょうかねぇ?」
その屋敷の主の言葉に、首をかしげる者。
目立たないような衣服を身にまといつつ、半分怒りと笑いの仮面をつけた不気味な者はちょっと考えつつも、目の前の屋敷の主に対して興味もないので、気にしないことにした。
「ではでは、料金は受け取りましたが、一応注意事項を」
「というと?」
「こちらの作成ほやほや、試作品を兼ねて作られたものですが、水の中では確実に無敵を誇るでしょうが、そのせいで性格がより凶暴化し、制御を受け付けない可能性もあります。なので、万が一の時には離れた場所から、こちらのスイッチを押してください」
そう言って取り出したのは、シンプルに髑髏マークの赤いボタンが付いたスイッチ付きの箱である。
「これは自爆装置ですので、押した途端に半径500m以内を蒸発させる爆発を起こしますので、その効果範囲外でどうぞ」
「ふむ‥‥‥まぁ、押すことはないとは思うが、受け取っておこう」
「ええ、どうぞ。あ、これは一応付属品ですので、料金を取りません」
渡された箱を受け取りつつ、金を渡してその者を屋敷の主はさっさとその場から姿を消させる。
「なんというか、不気味なモノであったが…‥‥この豪雨と言い、それなりに信用はできそうだな」
つぶやきながらも、購入したその瓶の中身を見て、未だに不信感は抜けきっていない矛盾もある。
「今のうちに出して、水の中を泳がせれば、明日には‥‥‥か」
高い買い物ではあったが、邪魔者を排除できるのであれば問題あるまい。
自分の地位を脅かす者がいることが一番の問題であり、それを解決できるのであれば相手が誰であれ、いただくのも悪くはないだろう。
「ついでに王族とかもプチッとやれば、そのどさくさに紛れて政権を握れるか?」
悪だくみも考えつつ、今は余計な事よりも排除対象を排除するべきだと思い、動き出す。
‥‥‥そして数時間後、その選択が愚かな事であったことをその者は気が付いた。
だが、その時にはすでに遅く、それを制御するためのスイッチは実は偽物であり、自爆させることもできなかった。
断末魔を上げ、最後に見たのは、愚か者である自身の頭が離れた胴体ではあったが‥‥‥‥その厄災は、その場にとどまらないのであった‥‥‥‥
0
お気に入りに追加
733
あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】妃が毒を盛っている。
井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる