94 / 373
90 悩み事は押し付けても良いのか
しおりを挟む
‥‥‥ディーたちが村の方に戻って夏季休暇を満喫しようとしている丁度のその頃。
ヴィステルダム王国の王城内では、少々面倒ごとが起きていた。
「‥‥‥フルー森林国の政治を担う者たちが、やはりいたか」
「それぞれ状況を把握したようですが、それと同時に様々な問いかけがあるようです」
王城内、会議室ではその報告がなされ、その場に集めれた者たちは頭を悩ませる。
森林国での怪物騒動の際に、解放された人々がここに輸送され、現在森林国へ戻すためにも身元を調べ上げていたのだが、その最中にその報告が上がったのである。
フルー森林国は王国などとは政治形態がやや異なり、亜人種族が多くいるだけあって、それぞれの村や町の代表たちが集まって政治を行う議会制に似た形態を持っている。
その議会に所属している議員たちが今回の事件に関しての話し合いをしたいと持ち掛けてきたのだが…‥‥その内容が、頭を悩ませるものであった。
いわく、怪物騒動で助けられた件に関しては、感謝するのだが‥‥‥‥
「その、あの怪物たちを討伐した者や、あの大人数をこの国へ輸送した方法、その他諸々ツッコミどころが多すぎるという事で、詳しい情報の開示を求めているようですが…‥‥」
「まともに話せると思うか?」
「というか、ツッコミどころが多いって言われても、こっちでも困るようなことばかりなのだが」
その言葉に、場にいる者たちはうんうんと同意するようにうなずき合う。
正直にかつ要約してみると、王国の召喚士である学生を向かわせ、情報収集ついでに駆除、輸送をしたというだけになるが‥‥‥短い文に、情報が詰まり過ぎである。
駆除というが、あの怪物一体でもそれなりの強さもあっただろうし、輸送するにしても大勢をこうも一度にまとめてという方法はすぐに出せるものでもない。
そもそも学生を非常に危険極まりない場所へ向かわせたところに批判が来そうなものだし、その召喚獣たちがどの様な者であれ非常識すぎる者ともいえる。
そもそも、フルー森林国は目の保養国とも言われるほどだが、その召喚獣たちはその保養すら超えるだろうし、その名称が少し危いであろう。
というか、まずこの無茶苦茶な者たちが解決してくれたという話を、相手が信じてくれるのかが一番の疑問である。
「説明に関しては、本人がいないと無理そうだが‥‥‥」
「いたとしても、開示して良いものなのだろうか?」
この説明の難しさゆえに、さっさと帰ったのではなかろうかという疑いが強まった。
たった一人の召喚士と、その召喚獣たち。
まだ学生の身分でありながらも、多くの功績を上げており、国としては手元に置いておきたい。
むしろ、その能力が未だに未知の部分も多いので、下手にやらかされて国の危機を招かないようにしておきたいのである。
現在はゲイザーの件などの功績とは別に、この怪物騒動の情報収集及び終息への褒賞として、卒業後に国の特別諜報機関へ推薦しつつ内定させるつもりなのだが‥‥‥
「‥‥絶世の美女召喚獣。なおかつ戦闘能力も異常に高い」
「戦闘以外の面でも、植物の急成長に膨大な収容能力、正体不明であった悪夢に、ドラゴンのような力、謎のメイド…‥‥いや、改めていうと、最後の方が何だこれと言いたくはなる」
「その他諸々多大な功績を生み出しつつ、国の面子としてもしっかりと褒賞を上げなければいけないような相手でもある」
「王子・王女たちも継承権争に関して、彼の存在を重要視しているようだし…‥‥」
「‥‥‥そんな奴を、他国が放置するか?」
その言葉に、しんっと会議室が静まり返る。
今はまだ、この国への就職を元に、ココへ留めることができるだろう。
他国を見て回るとか、そういう希望があるそうなので、下手に束縛せずに、その希望に沿った形で国の側へ就かせのであれば容易い事である。
だがしかし、その就職などを餌にした場合であれば‥‥‥
「その者についてよく知られれば、可能性、生産性、その他諸々を考慮して、引き抜こうと画策してくる可能性があるな」
「帝国の方も皇女、いや、今は女帝か。そっちのほうも既に知っているだろうし、将来的に接触してきて引き込もうとする可能性もある」
「出来ればこの国に根差してほしいが‥‥‥‥厄介なことになったな」
色々と頭が痛いというか、怪物が暴れてくれた方がまだ討伐とかそういう単純な言葉で説明できたのに、この件だと説明が非常にし辛い。
国家機密の者が出向いてくれたという説明で納得してくれればいいが‥‥‥
「機密について、絶対調べ上げようとするだろうな‥‥‥」
「そもそも、考えて見れば、森林国の者とも行動していたよな?まずそこから情報が漏れる可能性が非常に大きいのだが…‥‥」
「「「「あ」」」」
‥‥‥何にしても、非常に頭を悩ませる問題に、彼らは唸りながら考えるしかないのであった。
そして数日後には、数名ほどが、ストレス耐性が他よりもちょっと低かったせいか、不毛部分がぽつんっと出来上がって悲鳴を上げたのであった。
「そう言えば、国王陛下はどこに行かれた?」
「言われてみると、最初から姿がなかったような…‥‥」
「「「「‥‥‥‥逃げやがった、あの国王陛下ぁぁぁぁぁあ!!」」」」
また、会議内容の頭の痛さゆえに、逃走していた国王が正妃たちに捕らえられ、ちょっとお見せできない惨事が起きたというのも、また別のお話。
ヴィステルダム王国の王城内では、少々面倒ごとが起きていた。
「‥‥‥フルー森林国の政治を担う者たちが、やはりいたか」
「それぞれ状況を把握したようですが、それと同時に様々な問いかけがあるようです」
王城内、会議室ではその報告がなされ、その場に集めれた者たちは頭を悩ませる。
森林国での怪物騒動の際に、解放された人々がここに輸送され、現在森林国へ戻すためにも身元を調べ上げていたのだが、その最中にその報告が上がったのである。
フルー森林国は王国などとは政治形態がやや異なり、亜人種族が多くいるだけあって、それぞれの村や町の代表たちが集まって政治を行う議会制に似た形態を持っている。
その議会に所属している議員たちが今回の事件に関しての話し合いをしたいと持ち掛けてきたのだが…‥‥その内容が、頭を悩ませるものであった。
いわく、怪物騒動で助けられた件に関しては、感謝するのだが‥‥‥‥
「その、あの怪物たちを討伐した者や、あの大人数をこの国へ輸送した方法、その他諸々ツッコミどころが多すぎるという事で、詳しい情報の開示を求めているようですが…‥‥」
「まともに話せると思うか?」
「というか、ツッコミどころが多いって言われても、こっちでも困るようなことばかりなのだが」
その言葉に、場にいる者たちはうんうんと同意するようにうなずき合う。
正直にかつ要約してみると、王国の召喚士である学生を向かわせ、情報収集ついでに駆除、輸送をしたというだけになるが‥‥‥短い文に、情報が詰まり過ぎである。
駆除というが、あの怪物一体でもそれなりの強さもあっただろうし、輸送するにしても大勢をこうも一度にまとめてという方法はすぐに出せるものでもない。
そもそも学生を非常に危険極まりない場所へ向かわせたところに批判が来そうなものだし、その召喚獣たちがどの様な者であれ非常識すぎる者ともいえる。
そもそも、フルー森林国は目の保養国とも言われるほどだが、その召喚獣たちはその保養すら超えるだろうし、その名称が少し危いであろう。
というか、まずこの無茶苦茶な者たちが解決してくれたという話を、相手が信じてくれるのかが一番の疑問である。
「説明に関しては、本人がいないと無理そうだが‥‥‥」
「いたとしても、開示して良いものなのだろうか?」
この説明の難しさゆえに、さっさと帰ったのではなかろうかという疑いが強まった。
たった一人の召喚士と、その召喚獣たち。
まだ学生の身分でありながらも、多くの功績を上げており、国としては手元に置いておきたい。
むしろ、その能力が未だに未知の部分も多いので、下手にやらかされて国の危機を招かないようにしておきたいのである。
現在はゲイザーの件などの功績とは別に、この怪物騒動の情報収集及び終息への褒賞として、卒業後に国の特別諜報機関へ推薦しつつ内定させるつもりなのだが‥‥‥
「‥‥絶世の美女召喚獣。なおかつ戦闘能力も異常に高い」
「戦闘以外の面でも、植物の急成長に膨大な収容能力、正体不明であった悪夢に、ドラゴンのような力、謎のメイド…‥‥いや、改めていうと、最後の方が何だこれと言いたくはなる」
「その他諸々多大な功績を生み出しつつ、国の面子としてもしっかりと褒賞を上げなければいけないような相手でもある」
「王子・王女たちも継承権争に関して、彼の存在を重要視しているようだし…‥‥」
「‥‥‥そんな奴を、他国が放置するか?」
その言葉に、しんっと会議室が静まり返る。
今はまだ、この国への就職を元に、ココへ留めることができるだろう。
他国を見て回るとか、そういう希望があるそうなので、下手に束縛せずに、その希望に沿った形で国の側へ就かせのであれば容易い事である。
だがしかし、その就職などを餌にした場合であれば‥‥‥
「その者についてよく知られれば、可能性、生産性、その他諸々を考慮して、引き抜こうと画策してくる可能性があるな」
「帝国の方も皇女、いや、今は女帝か。そっちのほうも既に知っているだろうし、将来的に接触してきて引き込もうとする可能性もある」
「出来ればこの国に根差してほしいが‥‥‥‥厄介なことになったな」
色々と頭が痛いというか、怪物が暴れてくれた方がまだ討伐とかそういう単純な言葉で説明できたのに、この件だと説明が非常にし辛い。
国家機密の者が出向いてくれたという説明で納得してくれればいいが‥‥‥
「機密について、絶対調べ上げようとするだろうな‥‥‥」
「そもそも、考えて見れば、森林国の者とも行動していたよな?まずそこから情報が漏れる可能性が非常に大きいのだが…‥‥」
「「「「あ」」」」
‥‥‥何にしても、非常に頭を悩ませる問題に、彼らは唸りながら考えるしかないのであった。
そして数日後には、数名ほどが、ストレス耐性が他よりもちょっと低かったせいか、不毛部分がぽつんっと出来上がって悲鳴を上げたのであった。
「そう言えば、国王陛下はどこに行かれた?」
「言われてみると、最初から姿がなかったような…‥‥」
「「「「‥‥‥‥逃げやがった、あの国王陛下ぁぁぁぁぁあ!!」」」」
また、会議内容の頭の痛さゆえに、逃走していた国王が正妃たちに捕らえられ、ちょっとお見せできない惨事が起きたというのも、また別のお話。
0
お気に入りに追加
733
あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】妃が毒を盛っている。
井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる