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54 燃え尽きた人たちは風に吹かれていくようだ

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‥‥‥中間テストから数日後、無事に結果発表がなされた。

 個人ごとに手渡されつつ、寮の掲示板にて、総合・各学科ごとの点数が貼りだされる形式であり、自分がどのあたりの順位におり、学びがどれだけできているのか、良い指標となる。

 点数が低い生徒に対しての嫌な発言を行う者たちがいるが、高い点数を取っていようがその時点で人格的な点が差し引かれ、卒業時にはひどくなったりもするらしい。

 それはともかくとして、ディーも自分の点数を見に来たのだが‥‥‥



「‥‥‥まぁ、流石に点数トップとかは無理だったか」

 いくらノインたちに勉強を見てもらっていても、結局は俺自身の実力次第。

 点数自体は上位陣に食い込むことはできたが、それでもちょっとまだ伸ばせたかなという思いもある。

「ですが、こちらの各学科ごとのものではトップに入ってマス」


 っと、学科ごとの方を見て、ノインが指さした方向を見れば、そこに確かに俺の名前がトップに挙がっていた。

 自分自身というよりも、彼女達の力があってこそのものなので、これはこれで複雑だが‥‥‥ふと、気が付くとその横に、召喚獣ランキングもあった。

「召喚獣の、それぞれの部分でのランキングですわね」
「健康状態、最高化力などの物のようでござるな」

 点数は100点満点とされており、色々な基準を設けて数値化したようである。

 効果範囲、実際の戦闘時の有用性、応用の幅…‥‥絶対に数値化するのに苦労したであろうことがうかがえた。

「儂のもあるのじゃが‥‥‥なんか例外にされておるのじゃが」
「いや、死の魔法は流石にアウトだろ」

 ゼネのアレは流石に数値にはし辛いよな…‥‥教師たち、点数を付けようとして頑張ったかもしれないけど、無理だったのだろう。

 気が付けば、壁の方に教師陣がいるけど、皆真っ白に燃え尽きているしね。あ、風に吹かれて崩れ去ったな。

「わたくしは、植物の召喚獣の中で、艶状態などトップですわね」
「拙者の場合は、単純瞬間火力(物理部門)でトップでござる」

 カトレアとルビーの方は、まだわかりやすいからいいか。

「私の場合は、持続的なほうでトップですネ」
 
 ノインもしっかりとランキング入りしており、ちょっとだけ口元が笑っていた。

「しかし、スリーサイズとかは流石に載せられなかったようデス」
「それはそれで問題ありそうだからな…‥‥」



‥‥‥ノインが気が付いた、その身体の部分についてのランキングが載せられていない事実。

 流石に寮で男女ともに見るために、その部分は配慮されて貼りだされていないだけである。

 だがしかし、希望であれば女子限定で拝見することができていた。

 その事は伏せられていたが、気になっていた女性陣が希望し、見せてもらって‥‥‥後日、ダイエットなどに励むようになる女性たちの姿が多くなったというのは、また別のお話。










「‥‥‥むぅ、学年が違うとはいえ、直してみると兄上とはまた同じだったのか」
「ふむ、今回も引き分けか‥‥‥」

 ディーたちがランキングの部分で話題に盛り上がっている一方で、生徒会の生徒会長・副生徒会長を兼ねている王子たちもまた、その結果を見ており、互に残念に思っていた。

 こういうテストの点数を競い合うのも王位継承権争いに影響するので、できるだけ良い点数を取れるように努力したのだが‥‥‥学年の違いによる学習量の違いも踏まえて、互に同じ立場であった計算を行うと、同じ点数だったのである。

 しかも、学年のトップである。

「兄上が卒業した後も受けるが、その前にできるだけ点数を比較できればいいんだけどねぇ。このまま同率というのもどうなんだろうか」
「簡単な比較しやすい状態にする手法はあるぞ」
「というと?」
「お前が何もしなければいい。勉強さえしなければ、自然と点数が下がり、お前と差ができるではないか」
「あははは、その手もあったね。でもそれだったら兄上の方も手を抜いて出来るよね?」

 冗談を言い合いつつも、笑っていない目で笑いあう王子たち。

 周囲の生徒たちはこの微妙な争いに慣れつつも、どことなく不穏に感じる空気ゆえに、少しその場から離れて見守る。

「あ、ディー君の方は…‥‥僕らがいるせいでトップとはいかずとも、それでも結構いい点数がとれているなぁ。やっぱり、彼女達の支援でも受けていたのかな?」
「座学面は実力だが、学科面の方は召喚獣のものが大きいからな。それも踏まえて、かなり良い点数なのは良いのだが…‥内容の報告を聞く限り、放置できないというのが現状だな」

 争いを一旦やめ、話を切り替える第1王子ゼノバース第2王子グラディ

 彼らの関心は各々の争いから、ディーに関する話題へと切り替わる。

「死の魔法を扱うナイトメア・ワイトを所持している時点で、色々とやばい事を自覚していないのかな?そのほかの召喚獣たちの火力とか見ても、どう考えても軍を相手取れるしね」
「結果に関しては、あくまでも学園内に留めているが‥‥‥軍部に知られたら、絶対に面倒な事にはなり得そうだ」

 王子という立場であり、どちらが王となるのかはまだ分からないとはいえ、互に国を想う気持ちぐらいはある。

 強大な力というのは魅力にあふれているのだが、その反面扱いに難しく、リスクが大きい事もしっかり分かっているのだ。

 だからこそ、王子という立場を利用してディーを取り入れようと画策しつつも、彼らに特に手を出すことはせずに、その力をどの程度なのか測りつつ、他国へうっかりわたる事もないように気を使っていたりもするのだ。

 それに、扱いを間違えればそれこそとんでもない爆弾のような物にもなり、下手すればそれを利用した戦乱を起こそうと考える馬鹿が出る事も十分理解しているのである。

「唯一の救いは、今の軍はそこまで考えるのはいない事か」
「戦争も先日の帝国との緊迫があったが、アレは収まったからな‥‥‥」

 平和が十分だというのは誰もが理解しているらしく、そこまで過激すぎるのもまだいない。

 けれども、それはあくまでも「まだ」であり、将来的にどうなるのかは分からない。

 何にしても、今はただ、彼らを自身の方へ取り込みたいと思いつつも、静観の立場にしておくのであった‥‥‥

「ところで、この教師たちから得た結果について、第3王子第1王女が見たらどう思うかな?他国から一時的に戻って来るまでそろそろだし、目につくはずだよね」
「どちらも放置はできないとは思うだろうが‥‥‥大丈夫だとは思いたい。そもそも、このディーの召喚獣は美女が多いが、少々物足りないのもいるとはいえ、何とは言わないがそれなりにあるだろう?あの愚弟、根は悪くないがない方が良い派だったはずだ」
「‥‥‥あー、でもそれはそれで問題起きていたことも有ったっけ。というか兄上大きい方が好みだっけ?」
「…‥‥」
「いやまぁ、それは気にしない方面後で絶対に聞く方面として、一応いいところがあるけど、アレはアレでなぁ。もしディー君が弟のその目に合うような奴を召喚したらそれはそれでひと悶着起きそうだけどね」
「流石に無いとは言い切れないな。妹の方は‥‥‥こちらはこちらで、何か慰めるものを買った方が良いか」
「弟のそれに会いつつも、自分でかなり気にしていたからねぇ‥‥‥兄という立場上、どうにかしてあげたいけどね‥‥‥」

‥‥‥時期的に、一時的とはいえ他国から戻ってくる彼らの弟、妹である王子と王女。

 帰郷した際に、ディーたちをみてどのよう反応をするのか考えつつも、帰郷祝いでも用意しようかと彼らは考え始めるのであった…‥‥






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