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50 学生の身ゆえに、忘れないようにしないといけない事もある
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「『中間テスト開催のお知らせ』‥‥‥か」
「座学なども含め、色々とあるようですネ」
召喚士となり、学業に慣れてきた頃合い。
各学科でのダンジョンを利用した実践などもあり、生徒たちは全員、寮にある掲示板にでかでかと貼りだされたこのお知らせを前にして戦々恐々としていた。
‥‥‥授業中に出される、小テスト程度であれば問題は無い。
どれもこれも簡単な部類であり、あっさりと合格できるのだから。
たまに授業の中で、教師たちが褒美として、一回だけテスト免除されるのもあり、それらを利用できるようにすれば悩むようなことはない。
だがしかし、この中間テストとやらはそれらとは異なる。
適正学園の学生として行うべきテストであり、大きな夏季休暇と呼ばれるものの前後にそれぞれ備えられており、それまでに習ったことに対して全てを出されるものなのだ。
「ふむ、このようなものがあるのでござるか‥‥‥座学の面では、主殿は大丈夫でござるか?」
「大丈夫と言えば大丈夫かな。予習復習は欠かさないようにはしているけれども‥‥‥」
ルビーの疑問に対して、俺はそう答える。
普通の座学系統であれば、まずそこは真面目にさえしていれば問題は無いだろう。
真面目に受けずに、遊び惚けていた奴ほどかなり痛い目を見るようだが‥‥‥それは自業自得としか言いようがない。
けれども、その中間テストの中で一つ大きな問題が…‥‥
「学科ごとに、異なるテストもあるようじゃな。騎士学科は本職王城勤めの騎士隊長殿とやらの模擬戦、魔法使いなども同じ、武闘家学科は他国の同じ学科生たちと集まっての武闘大会、タンクマンたちは耐久大会というのもので…‥‥」
「マスターの所属する召喚士学科ですと‥‥‥テストとしか書いてなくて、詳細がないですわね」
内容を読み上げつつ、そうつぶやくゼネとカトレア。
…‥‥各学科ごとに、異なるテスト内容。
その中でも、ディーの場合は召喚士学科なので、その学科内容のテストを行うのだが‥‥‥その内容は、今一つつかめない。
というのも、召喚士という職業そのものでのあやふやさの点というべきか、各自の召喚獣たちが全て同じという訳ではなく、個性が出るからだ。
点数をつけたくとも、その基準が今一つとして分かりにくいことが多いがゆえに、テスト自体にも色々と影響が出てしまい、毎回異なったものになるようである。
「調べてみますと、一昨年では召喚獣対戦、去年は一発芸どころか長期芸披露などがあるようデス」
「どれもこれも、召喚獣との絆を確かめる物があるようだけど‥‥‥」
それはあくまでも、一体ぐらいしか召喚獣を持っていない人たちが受けているもの。
契約などによって増やせることも有るのだが、普通は一体ぐらいしかいないのである。
しかし、今年の場合は俺の方も召喚獣の数が多いのだが‥‥‥ダンジョンが授業に組み込まれたことにより、その多様性も増加した。
ダンジョン内で契約を得て、第2の召喚獣をなんとか得ることが出来た人が続出したのだ。
スケルトンウォーリア、フィッシュマン、ソーサラーゴブリン、ボンバーヘッド…‥‥その他諸々、まともというべき類のばかりである。
「数が増えた分、選考基準なども変わるだろうし…‥‥どうなるんだろうか?」
「それは私でも予測しづらいですネ」
ノインも想像できないようで、対策の立てようがない。
できれば何かわかればその対策をして、きちんと高評価、高得点を得たいのだけれども…‥‥面倒なものになりそうな気がしなくもない。
何にしても、今は座学の方へ、まずは勉強したほうが良さそうである。
「あれ?そう言えばバルンの姿が無いような」
「あの人、武闘家デス」
「ああ、武闘大会の方に出向くから、鍛えておくとか言っていたっけな‥‥‥」
生徒会とかも、ちょっと機能し無さそうな予感。
副生徒会長にして第2王子のラディは騎士学科で、こっちの王城勤めの騎士との対戦だろうし、生徒会長にして第1王子のゼノバースはバルンと同じ。
その他の生徒会役員とかは‥‥‥そう言えば見たことがない。というか、ほぼいないのではなかろうか。
「ま、今は気にせずに勉強したほうがいいか。‥‥‥それにしても、他学科のテスト内容とか色々あるなぁ‥‥‥」
「職業遊び人であれば、カジノでの退学を賭けた賭け事、医師学科であれば、治療行為の実践などもあるようデス」
「なんか学科の一部だけ、シャレにならないようなものがあるような気がしますわね」
「多種多様でござるからなぁ‥‥‥テストになるのかと、言いたくなるような物もあるようでござる」
「教師陣も、生徒の多種多様な職業に、苦労しておるようじゃな‥‥」
‥‥‥ディーたちが、迫りくるテストへ向けて、どうにか対策がとれないかと画策している丁度その頃。
学園の職員室では、教師たちがテストに対して頭を抱えていた。
「ううっ、今年もこの時期が来たか…‥‥」
「生徒たちにとっても地獄だが、問題を作るこちらにとっても地獄だ」
「何しろ、色々と変えようがあったり、職業を活かした転換とかもある分がなぁ‥‥‥」
生徒であれば、テストに対して悩むことが多いだろう。
そして当然というように、そのテストを作る立場である教師たちも、悩むことが多いのである。
「うう‥‥‥な、内容が難しい‥‥‥」
「しかも、召喚士学科は今年大変でしょう?ほら、担当教員が血反吐を吐いて倒れてますな」
「医師学科の誰かを呼べぇぇぇ!!」
‥‥‥まず、テストが無事に開催できるかどうか、それが教員たちにとっての悩みの種であった。
「座学なども含め、色々とあるようですネ」
召喚士となり、学業に慣れてきた頃合い。
各学科でのダンジョンを利用した実践などもあり、生徒たちは全員、寮にある掲示板にでかでかと貼りだされたこのお知らせを前にして戦々恐々としていた。
‥‥‥授業中に出される、小テスト程度であれば問題は無い。
どれもこれも簡単な部類であり、あっさりと合格できるのだから。
たまに授業の中で、教師たちが褒美として、一回だけテスト免除されるのもあり、それらを利用できるようにすれば悩むようなことはない。
だがしかし、この中間テストとやらはそれらとは異なる。
適正学園の学生として行うべきテストであり、大きな夏季休暇と呼ばれるものの前後にそれぞれ備えられており、それまでに習ったことに対して全てを出されるものなのだ。
「ふむ、このようなものがあるのでござるか‥‥‥座学の面では、主殿は大丈夫でござるか?」
「大丈夫と言えば大丈夫かな。予習復習は欠かさないようにはしているけれども‥‥‥」
ルビーの疑問に対して、俺はそう答える。
普通の座学系統であれば、まずそこは真面目にさえしていれば問題は無いだろう。
真面目に受けずに、遊び惚けていた奴ほどかなり痛い目を見るようだが‥‥‥それは自業自得としか言いようがない。
けれども、その中間テストの中で一つ大きな問題が…‥‥
「学科ごとに、異なるテストもあるようじゃな。騎士学科は本職王城勤めの騎士隊長殿とやらの模擬戦、魔法使いなども同じ、武闘家学科は他国の同じ学科生たちと集まっての武闘大会、タンクマンたちは耐久大会というのもので…‥‥」
「マスターの所属する召喚士学科ですと‥‥‥テストとしか書いてなくて、詳細がないですわね」
内容を読み上げつつ、そうつぶやくゼネとカトレア。
…‥‥各学科ごとに、異なるテスト内容。
その中でも、ディーの場合は召喚士学科なので、その学科内容のテストを行うのだが‥‥‥その内容は、今一つつかめない。
というのも、召喚士という職業そのものでのあやふやさの点というべきか、各自の召喚獣たちが全て同じという訳ではなく、個性が出るからだ。
点数をつけたくとも、その基準が今一つとして分かりにくいことが多いがゆえに、テスト自体にも色々と影響が出てしまい、毎回異なったものになるようである。
「調べてみますと、一昨年では召喚獣対戦、去年は一発芸どころか長期芸披露などがあるようデス」
「どれもこれも、召喚獣との絆を確かめる物があるようだけど‥‥‥」
それはあくまでも、一体ぐらいしか召喚獣を持っていない人たちが受けているもの。
契約などによって増やせることも有るのだが、普通は一体ぐらいしかいないのである。
しかし、今年の場合は俺の方も召喚獣の数が多いのだが‥‥‥ダンジョンが授業に組み込まれたことにより、その多様性も増加した。
ダンジョン内で契約を得て、第2の召喚獣をなんとか得ることが出来た人が続出したのだ。
スケルトンウォーリア、フィッシュマン、ソーサラーゴブリン、ボンバーヘッド…‥‥その他諸々、まともというべき類のばかりである。
「数が増えた分、選考基準なども変わるだろうし…‥‥どうなるんだろうか?」
「それは私でも予測しづらいですネ」
ノインも想像できないようで、対策の立てようがない。
できれば何かわかればその対策をして、きちんと高評価、高得点を得たいのだけれども…‥‥面倒なものになりそうな気がしなくもない。
何にしても、今は座学の方へ、まずは勉強したほうが良さそうである。
「あれ?そう言えばバルンの姿が無いような」
「あの人、武闘家デス」
「ああ、武闘大会の方に出向くから、鍛えておくとか言っていたっけな‥‥‥」
生徒会とかも、ちょっと機能し無さそうな予感。
副生徒会長にして第2王子のラディは騎士学科で、こっちの王城勤めの騎士との対戦だろうし、生徒会長にして第1王子のゼノバースはバルンと同じ。
その他の生徒会役員とかは‥‥‥そう言えば見たことがない。というか、ほぼいないのではなかろうか。
「ま、今は気にせずに勉強したほうがいいか。‥‥‥それにしても、他学科のテスト内容とか色々あるなぁ‥‥‥」
「職業遊び人であれば、カジノでの退学を賭けた賭け事、医師学科であれば、治療行為の実践などもあるようデス」
「なんか学科の一部だけ、シャレにならないようなものがあるような気がしますわね」
「多種多様でござるからなぁ‥‥‥テストになるのかと、言いたくなるような物もあるようでござる」
「教師陣も、生徒の多種多様な職業に、苦労しておるようじゃな‥‥」
‥‥‥ディーたちが、迫りくるテストへ向けて、どうにか対策がとれないかと画策している丁度その頃。
学園の職員室では、教師たちがテストに対して頭を抱えていた。
「ううっ、今年もこの時期が来たか…‥‥」
「生徒たちにとっても地獄だが、問題を作るこちらにとっても地獄だ」
「何しろ、色々と変えようがあったり、職業を活かした転換とかもある分がなぁ‥‥‥」
生徒であれば、テストに対して悩むことが多いだろう。
そして当然というように、そのテストを作る立場である教師たちも、悩むことが多いのである。
「うう‥‥‥な、内容が難しい‥‥‥」
「しかも、召喚士学科は今年大変でしょう?ほら、担当教員が血反吐を吐いて倒れてますな」
「医師学科の誰かを呼べぇぇぇ!!」
‥‥‥まず、テストが無事に開催できるかどうか、それが教員たちにとっての悩みの種であった。
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