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43 一度は訪れるべき場所らしい
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…‥‥学園のある首都郊外、その付近にある森。
以前、ワイバーンの群れがいたことで、安全の確保がしっかりできるまで誰も来なかった森だが、今その場所には、それなりの人数が集まっていた。
「ダンジョン調査班、整列!!」
「「「はい!!」」」
教師の掛け声にあわせ、整列する生徒たち。
本日、この森に出来てしまったダンジョン調査のために、各学科からそれなりの精鋭が集められていた。
森には不釣り合いでありつつ、明かに目立ってそびえたつ大きな岩山。
その側面部には大きな穴が開いており、中へと招くような階段が設置されていた。
「‥‥‥生徒会のメンバーとして、呼ばれたのは良いけど‥‥‥意外に人が多いなぁ」
「まぁ、各学科でバランスよく配分を考えると、それなりに集まりますネ」
ゾロッと集まる人々を見て俺がそうつぶやくと、ノインも同意する可能様に頷きながら答えた。
できればもうちょっとダンジョン内の情報が公開され、授業の時に入る程度にしたかったが‥‥‥生憎、俺は生徒会所属であり、ゆえに調査に加わらなければいけないらしい。
まぁ、今回はものすごく深いところまで潜り込むのではなく、浅い階層‥‥‥おおよそのダンジョンの構造の把握や、出現モンスターや罠の傾向を調べるだけなので、危険な場所まで行くことは無いだろう。
「あぁ、でも君たちの場合既にメンバーのバランスが良いからね。今回はタンクマンたちの最前線のすぐ後ろの方で、速攻で戦闘に出られるようにしてもらうことになっているよ」
「…‥‥か弱い召喚獣たちなので、できれば最後尾の安全確保にしたいんですが」
「無理だね」
騎士学科でもあるため、騎士らしい装備をして寄ってきたグラディに問いかけたが、あっさり一蹴された。
「そもそも、そいつらのどこがか弱いのか分からないのだが‥‥‥」
「‥まぁ、俺自身ちょっと違和感はあったが」
「なんか失礼な事言ってまセン?」
「マスターの言葉ならともかく、その他の人に言われるのは心外ですわね」
「ああ、拙者たちはか弱いのでござるよ‥‥‥」
(((‥‥‥絶対「か弱い」ってつかないな)))
‥‥‥悪友でもありつつ、意外にも今回の調査に武闘家学科で共になったバルンの言葉に対して答えると、彼女達はそう口にした。
けれども俺たちは、今更すぎるようなことに気が付き、心の中で同じことを考えてしまうのであった。
ところでルビー、お前の場合、その場のノリで言ってない?しおらしく言っているけど、その手に持った武器が圧倒的にそのか弱さを消しているからね?廃棄予定の極太ハンマー…‥‥うん、無理だ。なぜ俺はこのようなごまかしが通じると思ってしまったのだろうか‥‥‥‥
とにもかくにも、今回のダンジョン調査は単純な調査で済む。
最前線を盾役であるタンクマン学科の生徒たちで固めつつ、側面部もある程度の人数を配置し、万が一の防壁としても役立ってもらう。
その次の部分に騎士学科や武闘家学科などの近距離タイプの職業でもある人たちを並べ、最後に遠距離から応戦できるように魔法使い学科などの人達で固めておく。
守りを固め、手堅く攻められるように配列が決められ、ダンジョンへ入る準備が進んでいく。
俺たちはできればその奥の方で遠距離からとしたかったのだが‥‥‥先日の一戦のせいで、十分戦闘で来てしまうという認識ができてしまい、結果としてタンクマンたちの次の部分に配属されたのだ。
「個人的には、色々とある学科ですが‥‥‥まぁ、気にしないでおきましょウ」
「そうした方が良いか」
‥‥‥以前、ノインとごたごたを起こしたからね。あちらはあちらで、謝りつつ既に終わった話だけど、数名ほどが何やら期待の目とかで彼女たちを見ているような気がする。
ドMに磨きがかかったか、もしくは別方面での責めを期待されたのか‥‥‥距離を取っておくのに越したことは無いか。うん、いざとなったら荷電粒子砲とやらも使用許可しよう。
そうこうしているうちに準備が終わり、ダンジョンへ入り込む時間となった。
事前の外部からの様子見では、このダンジョンは洞穴のようになりつつ、階段で下層へ進むタイプの、オーソドックスなモノらしい。
灯りなどは光る植物などが天井から生えており、真っ暗闇という事もない。
しかも、ダンジョンというのは不思議なことに、内部の広さがどう見ても外のサイズとは遭わない場所のようで、中に入って見れば、物凄く広い空間になっていた。
「なんか、ノインの作る部屋みたいだな‥‥‥」
「ああ、言われてみれば既視感ありますわね」
「なんというか、似ているでござるな‥‥‥」
「当り前デス。データにある方法は、どうもダンジョンの構造の一部を利用したものになってますからネ。空間拡張手段の参考としては、これほど都合のいいのは中々ありまセン」
「へぇ、そうなんだ‥‥‥んん?」
なんか今、あの寮室の魔改造の要因を、垣間見たような気がするんだけど。
さらっとこぼれたその話しに驚愕しつつも、ダンジョン内へ入り込むと、どうやら先頭のほうで早速戦闘が始まったようだ。
「『ゴブリンソルジャー』に『シールドアント』…‥‥まぁ、最初の階層だけに、妥当な処か?」
―――――――――――――――――
『ゴブリンソルジャー』
ゴブリンと呼ばれるモンスターの進化した一例であり、その辺の木の枝などを加工し、武器として扱う。
強さもそこそこあるが、集団で攻められるよ滅茶苦茶弱くなる。
『シールドアント』
頭の部分が垂直方向に薄く、平べったく変形した盾の頭を持つアリのモンスター。とは言え、胴体部分は貧弱なままであり、真正面からではなく真横から攻められてしまうと速攻でやられてしまう。
―――――――――――――――――
どちらもモンスター・パレードの時に見かけたものではない。
まぁ、アレはダンジョンが原因で発生もするが、出てくるモンスターはそれ以外の事が多いらしいので、むしろ今見ているやつらがこのダンジョンで出る類なのだろう。
見掛け倒しの弱い奴らが、この浅い階層には多いのかな…‥?
「タンクマンたちの防御だけで十分でしたネ」
「なんかもう、前衛だけで楽できているな」
「「「「足りん!!足りん!!足りん!!」」」」
流石ドMの集団とでも言うべきか、タンクマンたちが積極的に攻撃を受けていくが、弱いものばかりで不満そうである。
ダンジョンを楽に進めるに越したことはないとは思うが…‥‥そんなにハードなものがお好みであれば、もっと深い階層に単独へ向かう事をお勧めしたい。
「しかし、あっさりしているというか、想像以上に楽だ」
「んー、地面の養分もいま一つですし、放出したばかりで貯まっていないようですわね」
「味気なさすぎるのも考え物でござるなぁ」
ほぼ進撃のタンクマンたちで十分成り立ってしまうこの状況。
その後衛に控える俺達や他の学科の生徒たちも、このあまりのつまらなさに気が抜けている。
油断したら不味いとは思うが、油断するほどでもないな。
「レーダ感知‥‥‥今一つの者しかないですネ」
ピコピコと、レーダーとやらになっているらしい頭のアホ毛を動かし、ノインがそうつぶやくし、そこまで気を張らなくてもいいのだろう。
「なんか、拍子抜けするな」
‥‥‥そうつぶやいた次の瞬間、ソレが起きてしまった。
あまりにあっさり進むので、俺たちは油断していた。
ダンジョンには、何もモンスターだけしか出ないわけでもない。
ズボッ
「‥‥‥え?」
‥‥‥そう、ダンジョンには、トラップもある。
しかも、急に発生するタイプもあるようで…‥‥見事にそれに、俺は嵌ってしまった。
一瞬、何が起きたのかを理解する前に、視界が変わる。
いや、違う、側面部の方に地面が見え…‥‥
「って、落とし穴ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ご主人様!?」
「マスター!?」
「主殿!?」
予兆も何もなく、急に発生した罠に、彼女達も油断していたようでそう叫ぶ声が聞こえる。
だがしかし、瞬時にどうすることもできず、落とし穴の蓋もすぐに閉じてしまったようで、そのまま俺はダンジョンの奥深くへと一直線に落下してしまうのであった‥‥‥‥
以前、ワイバーンの群れがいたことで、安全の確保がしっかりできるまで誰も来なかった森だが、今その場所には、それなりの人数が集まっていた。
「ダンジョン調査班、整列!!」
「「「はい!!」」」
教師の掛け声にあわせ、整列する生徒たち。
本日、この森に出来てしまったダンジョン調査のために、各学科からそれなりの精鋭が集められていた。
森には不釣り合いでありつつ、明かに目立ってそびえたつ大きな岩山。
その側面部には大きな穴が開いており、中へと招くような階段が設置されていた。
「‥‥‥生徒会のメンバーとして、呼ばれたのは良いけど‥‥‥意外に人が多いなぁ」
「まぁ、各学科でバランスよく配分を考えると、それなりに集まりますネ」
ゾロッと集まる人々を見て俺がそうつぶやくと、ノインも同意する可能様に頷きながら答えた。
できればもうちょっとダンジョン内の情報が公開され、授業の時に入る程度にしたかったが‥‥‥生憎、俺は生徒会所属であり、ゆえに調査に加わらなければいけないらしい。
まぁ、今回はものすごく深いところまで潜り込むのではなく、浅い階層‥‥‥おおよそのダンジョンの構造の把握や、出現モンスターや罠の傾向を調べるだけなので、危険な場所まで行くことは無いだろう。
「あぁ、でも君たちの場合既にメンバーのバランスが良いからね。今回はタンクマンたちの最前線のすぐ後ろの方で、速攻で戦闘に出られるようにしてもらうことになっているよ」
「…‥‥か弱い召喚獣たちなので、できれば最後尾の安全確保にしたいんですが」
「無理だね」
騎士学科でもあるため、騎士らしい装備をして寄ってきたグラディに問いかけたが、あっさり一蹴された。
「そもそも、そいつらのどこがか弱いのか分からないのだが‥‥‥」
「‥まぁ、俺自身ちょっと違和感はあったが」
「なんか失礼な事言ってまセン?」
「マスターの言葉ならともかく、その他の人に言われるのは心外ですわね」
「ああ、拙者たちはか弱いのでござるよ‥‥‥」
(((‥‥‥絶対「か弱い」ってつかないな)))
‥‥‥悪友でもありつつ、意外にも今回の調査に武闘家学科で共になったバルンの言葉に対して答えると、彼女達はそう口にした。
けれども俺たちは、今更すぎるようなことに気が付き、心の中で同じことを考えてしまうのであった。
ところでルビー、お前の場合、その場のノリで言ってない?しおらしく言っているけど、その手に持った武器が圧倒的にそのか弱さを消しているからね?廃棄予定の極太ハンマー…‥‥うん、無理だ。なぜ俺はこのようなごまかしが通じると思ってしまったのだろうか‥‥‥‥
とにもかくにも、今回のダンジョン調査は単純な調査で済む。
最前線を盾役であるタンクマン学科の生徒たちで固めつつ、側面部もある程度の人数を配置し、万が一の防壁としても役立ってもらう。
その次の部分に騎士学科や武闘家学科などの近距離タイプの職業でもある人たちを並べ、最後に遠距離から応戦できるように魔法使い学科などの人達で固めておく。
守りを固め、手堅く攻められるように配列が決められ、ダンジョンへ入る準備が進んでいく。
俺たちはできればその奥の方で遠距離からとしたかったのだが‥‥‥先日の一戦のせいで、十分戦闘で来てしまうという認識ができてしまい、結果としてタンクマンたちの次の部分に配属されたのだ。
「個人的には、色々とある学科ですが‥‥‥まぁ、気にしないでおきましょウ」
「そうした方が良いか」
‥‥‥以前、ノインとごたごたを起こしたからね。あちらはあちらで、謝りつつ既に終わった話だけど、数名ほどが何やら期待の目とかで彼女たちを見ているような気がする。
ドMに磨きがかかったか、もしくは別方面での責めを期待されたのか‥‥‥距離を取っておくのに越したことは無いか。うん、いざとなったら荷電粒子砲とやらも使用許可しよう。
そうこうしているうちに準備が終わり、ダンジョンへ入り込む時間となった。
事前の外部からの様子見では、このダンジョンは洞穴のようになりつつ、階段で下層へ進むタイプの、オーソドックスなモノらしい。
灯りなどは光る植物などが天井から生えており、真っ暗闇という事もない。
しかも、ダンジョンというのは不思議なことに、内部の広さがどう見ても外のサイズとは遭わない場所のようで、中に入って見れば、物凄く広い空間になっていた。
「なんか、ノインの作る部屋みたいだな‥‥‥」
「ああ、言われてみれば既視感ありますわね」
「なんというか、似ているでござるな‥‥‥」
「当り前デス。データにある方法は、どうもダンジョンの構造の一部を利用したものになってますからネ。空間拡張手段の参考としては、これほど都合のいいのは中々ありまセン」
「へぇ、そうなんだ‥‥‥んん?」
なんか今、あの寮室の魔改造の要因を、垣間見たような気がするんだけど。
さらっとこぼれたその話しに驚愕しつつも、ダンジョン内へ入り込むと、どうやら先頭のほうで早速戦闘が始まったようだ。
「『ゴブリンソルジャー』に『シールドアント』…‥‥まぁ、最初の階層だけに、妥当な処か?」
―――――――――――――――――
『ゴブリンソルジャー』
ゴブリンと呼ばれるモンスターの進化した一例であり、その辺の木の枝などを加工し、武器として扱う。
強さもそこそこあるが、集団で攻められるよ滅茶苦茶弱くなる。
『シールドアント』
頭の部分が垂直方向に薄く、平べったく変形した盾の頭を持つアリのモンスター。とは言え、胴体部分は貧弱なままであり、真正面からではなく真横から攻められてしまうと速攻でやられてしまう。
―――――――――――――――――
どちらもモンスター・パレードの時に見かけたものではない。
まぁ、アレはダンジョンが原因で発生もするが、出てくるモンスターはそれ以外の事が多いらしいので、むしろ今見ているやつらがこのダンジョンで出る類なのだろう。
見掛け倒しの弱い奴らが、この浅い階層には多いのかな…‥?
「タンクマンたちの防御だけで十分でしたネ」
「なんかもう、前衛だけで楽できているな」
「「「「足りん!!足りん!!足りん!!」」」」
流石ドMの集団とでも言うべきか、タンクマンたちが積極的に攻撃を受けていくが、弱いものばかりで不満そうである。
ダンジョンを楽に進めるに越したことはないとは思うが…‥‥そんなにハードなものがお好みであれば、もっと深い階層に単独へ向かう事をお勧めしたい。
「しかし、あっさりしているというか、想像以上に楽だ」
「んー、地面の養分もいま一つですし、放出したばかりで貯まっていないようですわね」
「味気なさすぎるのも考え物でござるなぁ」
ほぼ進撃のタンクマンたちで十分成り立ってしまうこの状況。
その後衛に控える俺達や他の学科の生徒たちも、このあまりのつまらなさに気が抜けている。
油断したら不味いとは思うが、油断するほどでもないな。
「レーダ感知‥‥‥今一つの者しかないですネ」
ピコピコと、レーダーとやらになっているらしい頭のアホ毛を動かし、ノインがそうつぶやくし、そこまで気を張らなくてもいいのだろう。
「なんか、拍子抜けするな」
‥‥‥そうつぶやいた次の瞬間、ソレが起きてしまった。
あまりにあっさり進むので、俺たちは油断していた。
ダンジョンには、何もモンスターだけしか出ないわけでもない。
ズボッ
「‥‥‥え?」
‥‥‥そう、ダンジョンには、トラップもある。
しかも、急に発生するタイプもあるようで…‥‥見事にそれに、俺は嵌ってしまった。
一瞬、何が起きたのかを理解する前に、視界が変わる。
いや、違う、側面部の方に地面が見え…‥‥
「って、落とし穴ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ご主人様!?」
「マスター!?」
「主殿!?」
予兆も何もなく、急に発生した罠に、彼女達も油断していたようでそう叫ぶ声が聞こえる。
だがしかし、瞬時にどうすることもできず、落とし穴の蓋もすぐに閉じてしまったようで、そのまま俺はダンジョンの奥深くへと一直線に落下してしまうのであった‥‥‥‥
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