絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-148 モフを求めるものは数多く

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「…テスト結果…良かったぁ…良い点数だった」
【クラス内で上位10位以内にとは…やりましたね、ジャック】

…テストが行われてから数日後、ようやく出た結果発表。

 復習していたことである程度の予想はできていたとはいえ、こうして実際に目のあたりにすると嬉しさがあるだろう。


「よっしゃぁぁぁぁあ!!前より上がったぁぁぁ!!」
「きぇぇぇぇぇい!!お前とまた同点だとぉぉ!!」
「うーん、惜しむらくはもうちょっと上を目指せれば…まぁ、この次に活かさないとね」
「よしよし、このまま少しづつ上がれば内申点も…」

 実力主義的な部分があるエルメリア帝国の学園では上位に食い込んだ者たちの名前が張り出されたりするのだが、それを見て生徒たちの反応は様々な物である。

 各々がそれを見て奮起したり、次回に向けての目標を立てたりと、やる気は満ち溢れているだろう。


【ふむ、主殿が良い点を取ると誇らしく思うな】
【ふふふ、我が君頑張っていたから良かったんだぜ】

 ジャックの喜びにハクロ達もつられて喜び、皆にこにこと笑う。

 ここで慢心する気もなく、油断したら堕ちるのは世の理だが…こういういいことがあった時は、少しばかりご褒美とか息抜きとかもやると良いだろう。

「テストで張り詰めた空気も抜けて、入れ替えるにはちょうどいいかもなぁ…今度の休みに、ちょっとばかりお出かけしようかな」
【お出かけですか…皆でピクニックとかも良いですね】
「ああ、それが良いかも」

 エルメリア帝国の帝都内で遊ぶのも良いが、たまには帝都の中だけではなく周辺も見て楽しむのも新鮮な感覚を得るのも悪くはない。

 なので、ここは皆で少しばかり、帝都周辺を軽く回ってピクニックをしゃれ込もうということになった。


【でも、良い場所はあるのなの?】
【それが、探せば結構あるようだぜ】

 帝国で注目を浴びるのは、やはりその中心の帝都。
 しかし、その街並みの中だけではなく、周辺にも色々とあるようで…そのうえ都合よく、この時期にはあるものが見ることができる場所があるらしい。


【ギルドのほうで、連絡があったヨ。帝都近くの湖で今、『ワタモコドリ』の大群がそろそろやってくるようでス】
「ワタモコドリ?」

―――
『ワタモコドリ』
その名の通り、ふわふわの綿で全身が包まれているような姿をした鳥のモンスターの一種。
とはいえ一目で鳥と分からず、発見された当初は巨大な毛玉の群れとしか認識されなかった。
雨が降ってきたことで、鳥らしい肉付きにまでしぼんだので分かったことだが…風に乗って飛ぶ様は自由気ままでのんびりとした雰囲気を実感させる。
―――

【ついでに言えば、モンスターの中では友好的と言うか、人懐っこい類だな。毛並みを整えられるの隙でありつつ、そのモフモフを堪能するために毎年ブラシをもって待機する人たちもいるって話もあるようだぜ】
【ああ、かつて聖女様がいた時代もそのようなものが出たことがあったな。アレは確か人であろうとなかろうとも魅了する不思議な力もあったようだが…あの聖女様も、あれを抱えて眠るのが好きだったな。その隙をついて、リアが逃亡を図ろうとしたら、問答無用で聖女様が指揮した群れに押しつぶされていたが…あれは天国か、それとも熱くて地獄だったか…定かではないな】

『ーーーアレのせいで、毛玉にトラウマ持ったぞ』』


 どこかの悪魔のつぶやきが風に乗って聞こえてきたような気がしなくもないが、そのような素敵なことがあるとはちょうどいい。

 モフモフは癒される方法としては上位に入るし、それを目指すのが良い。

「良し、今度の休日に皆で、そのモフモフを堪能しに行こう―!」
【【【さんせーい!!】】】

 全員の意見が一致し、ピクニックついでにモフモフを堪能することが決定する。

 できればそのような素晴らしい出来事が、多くあるなと良いなと思いつつ、休日を楽しみに待つのであった…


【ちなみにですが、マスター。モフモフの人気が凄まじく、場所によっては競争地にもなっているようですヨ】
「え、本当に?」

 前世で言うところの、花見の場所取りみたいになっているのだろうか?

【夜間組、全力待機組、早朝全速力ダッシュ組、一週間以上前から待機組…等、これもある意味名物になっているようですネ】
「モフモフに色々とかけすぎている人がいるのかぁ…」

…癒しもまた、求め過ぎれば人を狂わせるのだろうか…
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