絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
157 / 178
少し広がっていく関係性

log-142 うまい話には裏があったらしい

しおりを挟む
―――エルメリア帝国の学園に設けられている図書室。

 学業に対して生徒たちがありとあらゆる情報を得られるように、様々な蔵書が収められており、知りたいことがあればすぐに調べて対応することができるのは魅力的だろう。

 また、場所によっては内容に専念するために固執が設けられていたり、書籍の貸し出しなども行われているが…人によっては集まって勉強会を開く場所としても利用されている。


 そう、それが例えとしても…



【ーーーと言うわけで、この公式が利用できることが分かります。応用ではp12のものも併用して行いますが、やる際には時間の計算式の一部で違う点があるため間違いを瞬時に確認する方法としては…】
「すいません、それだとp24のこれも使えそうなのですが」
【それがひっかけになっていまして、確かに似てますが必要な中身が足りなくて…】

【なのなの、この薬草はこちらの古い書籍と最新のものを比較すると効果が異なっているから、注意が必要なの。人間が調べて分かる内容で、今のもので覚えても良いけど、本当のものだと…】
「ほうほう、そのあたりの薬草の知識は、のちほど発表しないのでしょうか?」
【すでにやっているのなの。とはいえ、地方によって異なるものもあるためそのあたりの対応に関しては‥‥】

【魔法を扱う時は、ゆっくりと魔力を感知しながらやったほうが良いぜ。屋内だからこそ、派手なものは駄目だが…】
「うわぁぁ!!うっかりファイヤボールが本にあたるぅううう!!って、あれ?」
【ああ、問題ないぜ。ある程度の者なら、瞬時に相殺させられるしな】




「…おかしいな、皆で確かに勉強会をしようと思って誘ったけど…」
「まさか、全員受けに来るとは思わなかったですわね」

 放課後の、皆で集まっての勉強会。
 これはこれで一種の青春の一ページになりそうではあったが、ミラージュだけを誘ったはずなのに、やっていると他の生徒たちも次から次へと訪れて…ちょっとした塾の光景みたいな状態になっていた。


「まぁ、あっちグラビティ王国の学園でも、臨時教師みたいな感じで教鞭を振るうこともあったから慣れているけど、それでも良く来るなぁ」


 モンスターに教えてもらうということ自体が珍しくもあるだろうが、それでも人が多い。
 それだけこの学園内で勉学に飢えている人がいると考えれば、良いことなのかもしれない。

「わかりやすい、わかりやすいぞ、ここはこれでいいのか!!」
「人じゃない観点からの教えと言うのは、新鮮だなぁ」
「はぁはぁ、教師の格好をした彼女たちが美しい…インスピレーションがぁ…」
「可愛い美しい格好いい、三拍子がそろった教師陣は強いな」

「勉学以外の目的の人も混ざっているような」
「聞かないほうが良いですわよ。アレはアレで真面目に受けているようですもの」

…情操教育と言うべきか、生徒たちの性癖に関して一部ねじ曲がったものを植え付けつつあるような気がしなくもないが、彼ら自身の選択ならば、自己責任と言う形にしてもらいたい。

 ひとまずは、この勉強会はある意味成功しているので問題は無いと思いたいのであった…



【あの、マスター。先ほど教師陣営から連絡がありましタ】
「え、何か問題が?」
【『生徒たちだけとはもったいない。我々も美女…もといモンスターからの学びと言う滅多にないであろう機会を体感したいので、教師陣の知識をはぐくむための勉強会を求む』とのことでス】

 おい、教師陣。欲望が駄々洩れになってないだろうか。

しおりを挟む
感想 386

あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

そんなの知らない。自分で考えれば?

ファンタジー
逆ハーレムエンドの先は? ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?

BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。 婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。 この場所で貴方達の味方はいるのかしら? 【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成

処理中です...