絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-141 途切れぬ思いはどこへ行く

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…カトレアの新たな進化目標が決定し、一旦の納得は得た。

 とりあえずこれで、問題は一つ解決したとして…別のことにも取り組まなければいけない。

「それが、テストか…いや、帝国のほうのテスト範囲が結構広いな」
「学生としては当然のものですわよ」

 エルメリア帝国の学園内で行われるテストの範囲は、グラビティ王国の学園での範囲に比べてかなり広い。

 実力が求められるからこそ、日々の積み重ねがかなり影響するらしく、一夜漬けでは対応できないような応用系の問題も多いなど、どれだけ真面目にやっていたのかそこで出てくるだろう。


 もちろん、ミラージュもジャックも真面目に受けているので、対応できないことはないとは思うがそれでもしっかりと対応できるようにしておきたい。

「というか、ミラージュの場合はどうやって勉強しているの?僕の場合は、ハクロ達にも協力してもらってやっていたりするけれども…」
「皇族は家庭教師がいますけれども、自主的に学びなおしてもいますわ。公式がわかっているならまずは基礎、続けて応用力を鍛えつつ…まぁ、独学なことが多いですわね」

 皇女だからこそではなく、皇族…上に立つものだからこそ、学びをしっかりしておきたい。
 それゆえに、勉学は欠かさないようだ。

「と言うか、協力をしてもらうとか言ってましたけれども、ハクロさんたちのほうはわかりますの?」
【数学とかなら分かりますよ。計算式とかは楽ですね】
【ミーは薬草学とかなら万全なの!】
【オレは!…なんだろうな?んー、体育とか魔法とか、そっち方面ならいいぜ!】
【我は剣術や歴史の方だな。…生前の記憶で失われたものも多いが、過去に何があったかと言う部分は分かるものもあるだろう。一部、ちょっと間違って伝わっているものもあったりするが…気にする必要もあるまい】
【あたしはほぼ全部ですネ。教科書をバクッと食べれば、その知識は入ってきますシ…】

「…振れ幅が大きいですわね」
「まぁ、そもそも彼女たちがテストを受けるわけじゃないので、得意不得意がはっきりしているだけな気もするけれどね」

 受けるのは学生側であり、従魔としての彼女たちがテストを受ける必要はない。
 それでも、それぞれの持つ技能は得意分野では凄まじいものもあり、だからこそ分野に沿って教わったほうが分かりやすかったりするのだ。

「そうだ、せっかくだしミラージュも一緒に勉強してみる?」
「んー、そうですわね、お言葉に甘えてわたくしも一緒に学んだほうが良そうですものね。ああ、でもこの人数だと寮室だと狭いから…後で、図書室のほうで学びましょうか」

 学園内の図書室は学びの場所としても利用されており、テストの時期が近くなると学習用に教材が集中的にそろえられたエリアなども作られるらしい。

 なので、そこで勉強をしたほうがより効率的に学ぶことが出来て、良い点数を取れるようだ。

「目指せ全教科満点…は難しくとも、ちょうどいいぐらいには取りたいな」
「難しいですわよ、全教科満点は。たしか、このエルメリア帝国の学園のテストで成し遂げたのは…片手で数えるほどしかいなかったですわね」
「意外にいる…方なのかな?」
「ちなみにそのうちの一人は、わたくしの姉である第1皇女ですわね。今は他国に留学して、いないですけれども、学園に記録がありますわ」

 そういう人物程、案外近くにいるようである。
 まぁ、留学しているのならば物理的には相当離れているが…そんなこともできる人がいるとは、これはこれで驚きだろう。


「凄いね…ミラージュのお姉さん」
「ええ、…ちょっとまぁ…その、マチョポッポ好きをこじらせてしまった人でしたけれども、それを除けば自慢の姉ですわ」
「その言いよどみから、何かやらかしたように聞こえるんだけど…」
「…深くは聞かないほうが良いですわ。ある意味アレは、皇族の闇…だと思いますわね」


 何かこう、気になる情報もあったが聞き流しても良さそうである。
 とにもかくにも、今日は放課後にテストに備えた勉強会を行えそうであった…



「本当にそれさえなければ、帝国の皇位継承権争いでも独走できましたけれども辞退されて、継承権自体は失われていないですけれども、非常時に備えて残されている程度ですわ」
「本当に、何をしたのお姉さん…」
【天才と馬鹿は紙一重と言いますけれども、その類ですかね…?】

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