絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-129 避難は先にしっかりと

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 呼び出されたときに仕掛けられていた色欲とかなり相性が良かったのか、力自体は相当あるようだが、そこにさらに地脈の力を得て、より一層手が付けられないような代物になっているようだ。

【---それでもまだ、ましな方でしょうか】
「城をこんな状態にして…皇帝やその他皇族は大丈夫なのだろうか?」

 都市が揺れ動き、盛大にあちこちが魅了に当てられた建物や壁が蠢き、兵士たちが人々の避難やその他の対応に追われる中、ジャックたちは悪魔が現れた城へ向かっていた。


「―――支配と色欲の悪魔、ゼルモンドラか。ファイがぷちっと小さな自分を送ってきて、少しだけ出てきた名前から大体どのようなものなのか推測できるけど…支配と色欲って相性が良かったのかな」
【おそらくは、それもあるが…地脈を抑えたのも大きいと思うぜ。非常に強力な魅了が漂っているようだ】

 城へ向かう中、最初に到達したのはファイ。
 スライムである彼女は従魔たちの中でそこそこの速さだが、どうやらギルドの残業を行っていたようで、位置的に素早く駆け付けやすかった模様。

 そのついでに情報をすぐにジャックたちへ渡せるように、少しだけ分裂してそのかけら越しに情報を伝えてくれているようだ。

 ただし、分裂したと言っても実際に彼女が増殖したというよりかは残像や幻に近いもののようで、情報を伝えるとすぐに消えてしまうらしい。


ゴゴゴゴゴゴゴ!!

「っと、壁が動くか…先を行くのを防ぐようにしているようだし、かなり思うがままに都市そのものを動かせるのか」

 地脈とかいう大地からのエネルギーを好きなようにできるらしく、その力を使って無理やり都市そのものに魅了を施しているようで、あちこちが蠢いている。

 人にかけていないのは、この恐怖に怯えまどう人々の様子を楽しむ気でもあるのだろうか。


【あとは単純に、私たちを警戒しているのもありそうですね。的確に、進路を防ぎ戦われないようにしているようです】
【魅了防止策はたっぷりと皆にいきわたっているけど、それでも限度があるから早めにつきたいのになの!!】

 都市の厳重な壁は本来、敵から守るために作られたもの。

 そして今、それはある意味正しいような使い方で、間違った主が利用しているようだ。

 王国の壁と比較して、中に鉄板やらその他仕掛けも施されているらしく、簡単に突破はできないが…今は緊急事態。



【なので、強引に突破させてもらうなの!!確かにまともにやれば突破しづらいけれどもなの!!】
【超無理やりな手段でぶちかます!!ルトライト、電撃を!!】
【おうよ、ルミ姐さん!!轟け雷鳴、集え轟雷、『エンチャントボルト』!!】

 ルミの大剣にルトライトが魔法をかけ、ばちばちと強烈な電撃を纏う。

【氷炎も追加、あまり好まない大雑把すぎる剣技だがこれで叩き切る!!】

 大きく跳躍し、そのまま放電と炎を纏った斬撃が放たれる。

ダァァァァアンン!!

「うわっ、あの分厚かった壁が一撃で真っ二つに…!!」
【やりますね、二人とも。カトレア、私たちも】
【わかっているのなの!!糸と蔓の螺旋を描くなの!!】


ズドォォォォン!!

ルミとルトライトの二人に対抗してか、カトレアとハクロが蔓と糸をすさまじい勢いで絡め合いながら壁に当てると、ドリルのように削り取り、大穴を開けてしまった。

【良し!!うまく行きました!!】
【どれほど壁が目の前にそびえたとうとも、無駄だぜ!!】

「…いや本当に、後が怖いけど今は緊急事態だし、全部悪魔のせいにして強行突破で進もう!!」

 色々と突っ込みたくもなるが、今は非常事態。
 全力で請求先は騒動を引き起こした悪魔宛てに頼むと、全員そう思いながら突き進むのであった…
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