絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
136 / 178
少し広がっていく関係性

log-126 何も対象は生モノに限ったわけではなく

しおりを挟む
…学園内の生徒行方不明事件。

 その詳細の一部に関しては、色々不味いということで箝口令が敷かれ、しばらくの間この帝都は厳戒態勢になるらしい。

 まぁ、人の口が閉じたとしても、なんとなく起きた出来事の厄介さは察する者も多いようで、従いつつも周囲に警戒する人々が多くなっているだろう。



「何しろ、悪魔が…それも色欲関係だと魅了とかヤバいのを使ってくそうなのは分かるけど、それって対策の立てようがあるのかな…?」
【んー、魅了自体は実はそれなりに対策はできるんですけれどね】
【ただ、その扱い方によっては、人を利用する方法よりも凶悪なものになる可能性を秘めているようだ】

 学園内のあちこちで、生徒たちがこの空気の中で同じように警戒する中、ジャックの側でハクロとルトがそう口にする。

「凶悪なもの?」
【過去の事例の中には、王子や王女、その他高位の貴族を狙って使用する事件も起きたが、何も魅了は人をたぶらかすだけのものではない。誘惑し、ほぼ術者の意のままに操れるその性質を突き詰めたもののほうが厄介なんだ】


 かくかくしかじかと話を聞けば、魅了に関しての事件は過去にも色々と例が存在し、人を対象にしたものであればその事件の数だけ積み重なった経験で防ぐ手段は開発されている。

 それゆえに、人を相手にして施す魅了自体はそこまで脅威でもないらしいが…

【問題は、人以外のものにも…動植物や、モンスターにも使えるって話もあるんですよね】

 魅了は何も、人に扱うだけではない。

 極端な話だが、強力な物であれば川の水を魅了してせき止め、空気を魅了して熱波のごとく熱く変じさせ、荒ぶる獣を魅了すれば都合の良い手駒として働き…いや、最後のはある意味、人相手に使うものとそこまで差は無いだろう。


 だが、要は魅了によって相手を都合の良いように利用できるのが問題であり、それが悪魔が使うものならばどれほどのやばい効果があるのかも想像したくはない。




 それゆえに、悪魔の思考は読めないが周囲への魅了に警戒しなければいけない。

「そう考えると、さっさとどこかへ行ってほしいなぁ…」

 魅了に対しての警戒を行わされる…これは中々精神的にきついような気がするのであった…


「でも実際、どういう対策があるの?」
【一番早いのは、愛する人がいることですよ。魅了にかからないほど、強い愛を持っていればへっちゃららしいです】
【あとは普通に気合も有効らしいな。昔、聖女様に魅了をかけようとした輩がいたが、ふんすと力んだだけで弾き飛ばし、拳に魅了させ…いや、体術に魅了させたか】

 なぜ今言い直したの、ルト。しかも何かこう、濁したような…本当にその聖女は聖女で何なのか、悪魔以上にヤバい存在ではなかろうか…
しおりを挟む
感想 386

あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

そんなの知らない。自分で考えれば?

ファンタジー
逆ハーレムエンドの先は? ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?

BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。 婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。 この場所で貴方達の味方はいるのかしら? 【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成

処理中です...