絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-126 何も対象は生モノに限ったわけではなく

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…学園内の生徒行方不明事件。

 その詳細の一部に関しては、色々不味いということで箝口令が敷かれ、しばらくの間この帝都は厳戒態勢になるらしい。

 まぁ、人の口が閉じたとしても、なんとなく起きた出来事の厄介さは察する者も多いようで、従いつつも周囲に警戒する人々が多くなっているだろう。



「何しろ、悪魔が…それも色欲関係だと魅了とかヤバいのを使ってくそうなのは分かるけど、それって対策の立てようがあるのかな…?」
【んー、魅了自体は実はそれなりに対策はできるんですけれどね】
【ただ、その扱い方によっては、人を利用する方法よりも凶悪なものになる可能性を秘めているようだ】

 学園内のあちこちで、生徒たちがこの空気の中で同じように警戒する中、ジャックの側でハクロとルトがそう口にする。

「凶悪なもの?」
【過去の事例の中には、王子や王女、その他高位の貴族を狙って使用する事件も起きたが、何も魅了は人をたぶらかすだけのものではない。誘惑し、ほぼ術者の意のままに操れるその性質を突き詰めたもののほうが厄介なんだ】


 かくかくしかじかと話を聞けば、魅了に関しての事件は過去にも色々と例が存在し、人を対象にしたものであればその事件の数だけ積み重なった経験で防ぐ手段は開発されている。

 それゆえに、人を相手にして施す魅了自体はそこまで脅威でもないらしいが…

【問題は、人以外のものにも…動植物や、モンスターにも使えるって話もあるんですよね】

 魅了は何も、人に扱うだけではない。

 極端な話だが、強力な物であれば川の水を魅了してせき止め、空気を魅了して熱波のごとく熱く変じさせ、荒ぶる獣を魅了すれば都合の良い手駒として働き…いや、最後のはある意味、人相手に使うものとそこまで差は無いだろう。


 だが、要は魅了によって相手を都合の良いように利用できるのが問題であり、それが悪魔が使うものならばどれほどのやばい効果があるのかも想像したくはない。




 それゆえに、悪魔の思考は読めないが周囲への魅了に警戒しなければいけない。

「そう考えると、さっさとどこかへ行ってほしいなぁ…」

 魅了に対しての警戒を行わされる…これは中々精神的にきついような気がするのであった…


「でも実際、どういう対策があるの?」
【一番早いのは、愛する人がいることですよ。魅了にかからないほど、強い愛を持っていればへっちゃららしいです】
【あとは普通に気合も有効らしいな。昔、聖女様に魅了をかけようとした輩がいたが、ふんすと力んだだけで弾き飛ばし、拳に魅了させ…いや、体術に魅了させたか】

 なぜ今言い直したの、ルト。しかも何かこう、濁したような…本当にその聖女は聖女で何なのか、悪魔以上にヤバい存在ではなかろうか…
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