絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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少し広がっていく関係性

log-121 腐らせるもの

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―――時間が経過すれば、人は慣れてくるもの。

 それは何も、プラスの側面だけではなく、マイナスの側面も映し出すことがある。



 いくら自己研鑽に励む生徒が多いエルメリア帝国の学園とはいえ、全てが一枚岩ではない。
 中には完全についていくことができず、堕ちていく者たちもいるもの。


 それでもなお、学園側は可能な限り見放さず、再起の可能性を模索しての支援を与えたりすることもあるのだが…そういった手も振り払い、自ら誤った道を選択する者たちも存在しているのだ。


 そう、だからこそ、その慣れの中には誤った道に入ってしまった者たちもまた含まれているもので…








「…しばらく見ていたが、あの化け物共はどれほどやばいのか、よく理解したな」
「ああ、生徒だけではなく教員まで…あの剣技の鬼教官や魔武の鬼畜教師等々…あの力は確かに驚異的だが、それと同時にその利用価値も示していたな」


 学園内の中で、各生徒たちはクラス分けがされているのだが、その中でも堕ち切った者たちが入っているクラス…の中に作られた秘密の部屋にて、そこに集った生徒たちは話していた。

 その内容は、先日留学生として来た者たちの中でとある少年…その者がもつ従魔たちに関してである。


「モンスターの姿も有しているとはいえ、中々の美女ぞろいなのは言うまでもなく、なおかつその実力も恥じぬものを持っているか…上のやつらは畏怖を抱いているようだが、それだけではなにも出来ねぇだろうよ」
「ああ、その通りだ。あの力こそ、我々が得るべきものだ」
「あの力を使えば、それこそ国を興すことも可能であり…いや、この国を乗っ取ることも可能か」

 力に目を付ける部分だけで言えば、まだこの学園で鍛えられただけの目利きはあるだろう。

 だがしかし、その力を取り扱えるかと言えばそうでもないのに…腐り堕ちてしまった頭では、ろくに考えることもできないのだろうか。



「…あの力を我が物と言うか、あの従魔たちを全て手に入れれば、世界の覇者にだってなれるだろうよ」
「だが、その前に問題がある。そもそも、あれを従えるにはどうすればいいか、と言うことだ」
「普通に無理やり力づくで…は無理か。そこは流石に馬鹿でもわかるな」

 手にしたい、強大な力。
 けれども、容易くはいかない…そこまで考える程度ならば、まだできているらしい。

 だが、ほんの少しでもそれに手が届くようなきっかけがあれば、動くことがあるだろう。



 

『…そう、そので良いだろう』



「ん?今、誰か何か言わなかったか?」
「いや、何も。気のせいじゃないか?」

 その場にいないはずの、何者かの声を偶然拾い上げるものがいた。
 もしも、真剣に考えることができたのであれば、今の状況が不味いことを悟れたはず。

 しかし、それが出来なかったのであれば…彼らの進む先は、決まったような物であった…


「しかし、強さ云々を抜きにしても、本当にモンスターとはいえ見た目が麗しい美女を従えている時点でむかつくよな…」
「見えないところで、ボコろうか?」
「難しいな。常にだれかと共にいて、一人になる機会が見えねぇ」

「なら、風呂場ではどうだ?流石に男子風呂にやつらが来ることは…」
「馬鹿野郎!!折角の美女の入浴を覗ける機会を失ってまで、野郎を見る気か!!」
「まず、毎度失敗しているがな…ああ、でも仕掛けられている罠の攻め具合とかは良いなぁ…」
「お前、大丈夫か?いや、マジで…」

…別の道を歩みそうなものがいるが、それは個人の自由ではある。
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