上 下
117 / 141
面倒事の拭い去りは拒絶したくとも

log-109 鬼神の怒り

しおりを挟む
【ウガッ!!ウガガガガーーーー!!】
「ちょっと、どこへ行くの!!」
【何か不味い気配がするから、貴女は安全な場所へおいていきたいのですが!!】
【ウガァァ!!】
【というか、早いでス!!あたしたちの速度よりも、相当!!】

…王都の外で何かがぶつかり合うような轟音が鳴り響き、人々は避難をしていた。

 そんな中で、ジャックはオーガの娘と共に先に避難していたのだが…何かに感づいたのか、猛ダッシュでその場から外へ向けて駆け抜けていってしまったのだ。

 あわててハクロに乗せてもらい、追いかけているのだが…思った以上に足が速く、中々追いつけない。

【ウガァァ!!】
【っ…この感じ、凄い怒ってます!!『カタキ、キタ、ブットバス!!』と!!】
「この様子を見るだけでもわかるけど、それでも無茶なことになっていると思うよ!!」

 怪我もだいぶ癒えており、普段の生活に支障はない様子は見ている。
 しかしながら、その内なるダメージ自体は再生していても完全ではなく、未だに喉も角も治りきっていないのに、何かに挑みに行くのは無謀としか言いようがないだろう。


【仕方がありません、ここはいったんあたしのスライムボディで取り込んで、止めまス!!ちょっと力を溜めて…】

 ぐぐぐっと駆け抜けながらも身体を曲げて置き去りにして引っ張るような形になるファイ。


【急加速!!『スラ・ストラーーーー』】
【ウガゥッツ!!】
【あ、ちょ、そんな急な進路変更だと…】
バッチィイイイイイイイイイン!!
【ピキィイイイイイッツ!?】

「ああ、ファイがスライムっぽい悲鳴で壁に激突した!?」
【スライムですけど、スライムっぽくない人がスライムっぽい悲鳴を!!】

 何か危ない技名な気がしたが、当たる前にガクンッと急な進路変更をして回避されたせいで、勢いそのままに壁に激突して爆散してしまった。

 一応、戻れるようだがかなり広範囲に張り付いてしまったようで、すぐに追いかけるのは不可能そうだ。

「というか今更だけどカトレアは!!」
【途中でダウンしてましたよ。私たちの中じゃ、一番動きが遅いですからね…】

 仕方が無いのでハクロと二人で追いかけるが、この様子だとそのまま王都の外へ出るのは明白。
 
 聞いた情報だと先にルミが出ているようで、迎え撃つようなことをしていたらしいが…この様子だと、彼女単体でも不味い状態になっているかもしれない。

「仕方がない、このまま出よう!!もしかしたら途中で止まるかもしれないし、そうなったらあの子を拘束して!!危ないから僕はそのまま、引きずってでも避難所へ連れて行くから!!」
【わかりました!!】

 だだだだっと勢いよく駆け抜けるオーガの少女に中々追いつけないが、この様子は相当必死になっていることがうかがえるだろう。

 ならば生半可な方法で引き止められないだろうし、行かせるだけ行かせて、隙を伺うしかない。

 問題は、どう考えても大問題しか起きていないっぽい場所へ向かっていることだが…危なくなったら全力で逃げたほうが良いだろう。

 とにもかくにも、被害に遭う前に確保を試みるようにして、必死になって追いかけるのであった…








【かひゅっ‥‥ぜぇ…ぜぇ…皆、ミーより早いの…なの】
【ああ、ようやく追いついてきましたか、カトレア。すみませんが…剥がすの、手伝ってくださイ】
【何をどうして、そんな叩きつけた果汁状態になるのなの?】

しおりを挟む
感想 308

あなたにおすすめの小説

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

破滅を逃れようとした、悪役令嬢のお話

志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥その恋愛ゲームは、一見するとただの乙女ゲームの一つだろう。 けれども、何故かどの選択肢を選んだとしても、確実に悪役令嬢が破滅する。 そんなものに、何故かわたくしは転生してしまい‥‥‥いえ、絶望するのは早いでしょう。 そう、頑張れば多分、どうにかできますもの!! これは、とある悪役令嬢に転生してしまった少女の話である‥‥‥‥ ――――――― (なお、この小説自体は作者の作品「帰らずの森のある騒動記」中の「とある悪魔の記録Ver.2その1~6」を大幅に簡略したうえで、この悪役令嬢視点でお送りしています。細かい流れなどを見たいのであれば、どちらもどうぞ)

白露の蜘蛛はあなたを愛しましょう ~転生者以上にチート過ぎませんか~ (仮)

志位斗 茂家波
ファンタジー
転生者というのは、チートを持っているのがお決まりのようなもの 少年ルドはそんな転生者の一人だったが、そんなものは持っていなかったが、それでも平穏に暮らせる今世を楽しんでいた。 しかしある日、とんでもなくチートな魔獣が押しかけてきて…!! これは、チートを持たないのにチートを持つものに振り回される喜劇の物語である… ――― 小説家になろう様でも連載しております。 誤字脱字報告、その他意見などありましたら是非コメントをどうぞ。

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

先にわかっているからこそ、用意だけならできたとある婚約破棄騒動

志位斗 茂家波
ファンタジー
調査して準備ができれば、怖くはない。 むしろ、当事者なのに第3者視点でいることができるほどの余裕が持てるのである。 よくある婚約破棄とは言え、のんびり対応できるのだ!! ‥‥‥たまに書きたくなる婚約破棄騒動。 ゲスト、テンプレ入り混じりつつ、お楽しみください。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...