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移り変わる季節と、変わる環境
log-083 ドレスコードはそれぞれで
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―――先日の竜種騒動にて活躍した、冒険者向けの祝賀会。
復興もあちこちで進み、余裕ができたからこそようやく行われることが決まり、その場では各自活躍に応じた褒章も渡されることもあって、あちこちで参加を決めた人たちが動いていた。
ジャックたちも例外ではないうえに、元凶に関しての功績もあるためにそれ相応のモノが用意されているとも聞く。
「ついでにしっかりとした宴の場だからこそ、ドレスコードにも対応しないといけないけど…こういう時に、ハクロがいてくれてよかったよ。事前にある程度、試しの着用ができるからなぁ」
【ふふふ、ジャック用のスーツはしっかり試着用でも手を抜いていないですけれどね。私の糸だけではなく、ファイのスライムコーティングにカトレアの着色用黒色花、ルミの氷炎を利用した縮伸細工などを存分に織り込んでますので、非常時の防護服としても優秀な性能になっていますよ】
「宴の場で、そんな非常時起きるかなぁ…?」
流石にそんなことはないとは思うが、彼女が仕込んでおきたいのであれば好きにさせればいいだろう。
普通に購入売れば、こういう礼服一式はそこそこお値段が張るものだが、必要ないのは助かるのは良いか…あー、でも以前、どこかのお嬢様からもらった帝国系列の店に使えるカードもあるけど…そこまで利用することも無いか。
「あとは、普通にハクロが自分で色々と用意できるから、似合うドレスを作れるって言うのが一番利点かな…」
見た目は人に近い部分がある彼女たちとは言え、その身体的構造は人とは異なる部位も多い。
そのため、普通ならば特注で注文しかなり時間のかかる衣服の容易ではあるのだが、ハクロの手によって短時間で作成できるのも良いだろう。
【とはいえ、我はこういうドレスは落ち着かないな…鎧をきて警護に回っていたほうが気が楽だ】
【駄目なの、会場はしっかり武器は預けるようにというマナーがあるのなの】
【でも、そもそもあたしたちの場合、武器を没収されても…意味は無いのデハ?】
ルミの言葉にカトレアが答えつつ、ファイがふと気が付いたことも述べる。
めでたい宴の場だからこそ、危険が無いように武器も預けなければいけない制限もあるようだが、彼女たちの場合武器を取り上げられてもさほど意味をなさないのだ。
と言うか、武器を奪われて問題あるのはルミぐらいか…いや、彼女でもその凍る炎とか騎士としての剣術だけではなく体術等も習得しているらしいので、そこまででもないか。
そう考えると、武器が無い場所での非常事態にも、かなり強いというべきだろうか…そんな場所に連れて行っていいのかというツッコミもありそうだが、彼女たちの自制心等を信じるしかないか。
「でもよっぽどのことが無い限り、そんな祝いの場で変なことも起きないかも。褒章が渡される場でもあるとはいえ、貴族ってこういうのに出席することはそこまでないらしいし」
平民が多く集まる場所だからこそ、そこに貴族がわざわざ足を運ぶのかと言えば、そうではないだろう。
竜種騒動で多少の興味を持ってくる人も良そうだが、物凄く大きな宴でもなく、平凡なそこそこぐらいのものが予定されているだけなので、そんなに偉い人が来るような場所でもあるまい。
そもそもの話、そんな場所に馬鹿なことを持ち込むような輩がいるのか…竜種騒動を対応した冒険者たち、一応全員実力者ぞろいでもあるため、やらかす人が出るのかが疑問である。
【よっぽどの大馬鹿者ならば、ありえなくもない話だがな。…昔の、生前の失われた記憶でも…ちょっと思い出すことがあってな。そういう場所で、やらかすやつはごくまれに生じたよ】
「100%安全ってわけではないんだね」
【そのたびに、聖女様がバックドロップで馬鹿者を粛正…いや、なんだこの記憶。バックドロップではなく、こう、ジャンプして叩きつけていたような…】
「…え?それ聖女様の話?どこかの格闘家の話じゃないよね?」
デュラハンになる前の、ルミの生前のちょっと思い出した記憶らしいが、それは果たして聖女なのだろうか。
聖女ではなく凄女とかそういう間違いではないだろうか…記憶違いで他の護衛がやっていたことだと思いたい。
とにもかくにも、宴の日は明後日にまで迫り、ドレスコードはもちろんのこと、マナー等も確認していく。
そのあたりは教師に聞いたり、図書室でマナー本を借りて読んだりと、恥をかかないように勉強もしておくのだ。
「でもまぁ、まだ幼い子供だからそこまで気にしなくていいか…」
目立つとしたら、大人側だろうし、気を張り詰めすぎるのも良くはない。
単純に、宴を楽しむ場として捉えたほうが気が楽だろうと思うのであった…
【ふふふふ、それにしても全員分のドレスコードに合わせた衣装、最後まで手を抜けないですよ。実際に着用した感覚や容姿からも、修正を繰り返して…次はこれにして…】
「ハクロ、凄い燃えているね…彼女も出る場なのに、やる気がみなぎっているよ」
【なのっ、服飾関係のやれる幅が広がったことで、心に火が付いているみたいなの】
…ハクロ糸100%時代と比較して、今は多種多様な素材なども手に入れやすいため、職人心的なものが燃え上がっているようであった。
着用後に没にした衣服、これはこれで価値はありそうだけどなぁ…皆の身体に合わせた構造になった特殊分は人に着こなせるかはわからないけど…
復興もあちこちで進み、余裕ができたからこそようやく行われることが決まり、その場では各自活躍に応じた褒章も渡されることもあって、あちこちで参加を決めた人たちが動いていた。
ジャックたちも例外ではないうえに、元凶に関しての功績もあるためにそれ相応のモノが用意されているとも聞く。
「ついでにしっかりとした宴の場だからこそ、ドレスコードにも対応しないといけないけど…こういう時に、ハクロがいてくれてよかったよ。事前にある程度、試しの着用ができるからなぁ」
【ふふふ、ジャック用のスーツはしっかり試着用でも手を抜いていないですけれどね。私の糸だけではなく、ファイのスライムコーティングにカトレアの着色用黒色花、ルミの氷炎を利用した縮伸細工などを存分に織り込んでますので、非常時の防護服としても優秀な性能になっていますよ】
「宴の場で、そんな非常時起きるかなぁ…?」
流石にそんなことはないとは思うが、彼女が仕込んでおきたいのであれば好きにさせればいいだろう。
普通に購入売れば、こういう礼服一式はそこそこお値段が張るものだが、必要ないのは助かるのは良いか…あー、でも以前、どこかのお嬢様からもらった帝国系列の店に使えるカードもあるけど…そこまで利用することも無いか。
「あとは、普通にハクロが自分で色々と用意できるから、似合うドレスを作れるって言うのが一番利点かな…」
見た目は人に近い部分がある彼女たちとは言え、その身体的構造は人とは異なる部位も多い。
そのため、普通ならば特注で注文しかなり時間のかかる衣服の容易ではあるのだが、ハクロの手によって短時間で作成できるのも良いだろう。
【とはいえ、我はこういうドレスは落ち着かないな…鎧をきて警護に回っていたほうが気が楽だ】
【駄目なの、会場はしっかり武器は預けるようにというマナーがあるのなの】
【でも、そもそもあたしたちの場合、武器を没収されても…意味は無いのデハ?】
ルミの言葉にカトレアが答えつつ、ファイがふと気が付いたことも述べる。
めでたい宴の場だからこそ、危険が無いように武器も預けなければいけない制限もあるようだが、彼女たちの場合武器を取り上げられてもさほど意味をなさないのだ。
と言うか、武器を奪われて問題あるのはルミぐらいか…いや、彼女でもその凍る炎とか騎士としての剣術だけではなく体術等も習得しているらしいので、そこまででもないか。
そう考えると、武器が無い場所での非常事態にも、かなり強いというべきだろうか…そんな場所に連れて行っていいのかというツッコミもありそうだが、彼女たちの自制心等を信じるしかないか。
「でもよっぽどのことが無い限り、そんな祝いの場で変なことも起きないかも。褒章が渡される場でもあるとはいえ、貴族ってこういうのに出席することはそこまでないらしいし」
平民が多く集まる場所だからこそ、そこに貴族がわざわざ足を運ぶのかと言えば、そうではないだろう。
竜種騒動で多少の興味を持ってくる人も良そうだが、物凄く大きな宴でもなく、平凡なそこそこぐらいのものが予定されているだけなので、そんなに偉い人が来るような場所でもあるまい。
そもそもの話、そんな場所に馬鹿なことを持ち込むような輩がいるのか…竜種騒動を対応した冒険者たち、一応全員実力者ぞろいでもあるため、やらかす人が出るのかが疑問である。
【よっぽどの大馬鹿者ならば、ありえなくもない話だがな。…昔の、生前の失われた記憶でも…ちょっと思い出すことがあってな。そういう場所で、やらかすやつはごくまれに生じたよ】
「100%安全ってわけではないんだね」
【そのたびに、聖女様がバックドロップで馬鹿者を粛正…いや、なんだこの記憶。バックドロップではなく、こう、ジャンプして叩きつけていたような…】
「…え?それ聖女様の話?どこかの格闘家の話じゃないよね?」
デュラハンになる前の、ルミの生前のちょっと思い出した記憶らしいが、それは果たして聖女なのだろうか。
聖女ではなく凄女とかそういう間違いではないだろうか…記憶違いで他の護衛がやっていたことだと思いたい。
とにもかくにも、宴の日は明後日にまで迫り、ドレスコードはもちろんのこと、マナー等も確認していく。
そのあたりは教師に聞いたり、図書室でマナー本を借りて読んだりと、恥をかかないように勉強もしておくのだ。
「でもまぁ、まだ幼い子供だからそこまで気にしなくていいか…」
目立つとしたら、大人側だろうし、気を張り詰めすぎるのも良くはない。
単純に、宴を楽しむ場として捉えたほうが気が楽だろうと思うのであった…
【ふふふふ、それにしても全員分のドレスコードに合わせた衣装、最後まで手を抜けないですよ。実際に着用した感覚や容姿からも、修正を繰り返して…次はこれにして…】
「ハクロ、凄い燃えているね…彼女も出る場なのに、やる気がみなぎっているよ」
【なのっ、服飾関係のやれる幅が広がったことで、心に火が付いているみたいなの】
…ハクロ糸100%時代と比較して、今は多種多様な素材なども手に入れやすいため、職人心的なものが燃え上がっているようであった。
着用後に没にした衣服、これはこれで価値はありそうだけどなぁ…皆の身体に合わせた構造になった特殊分は人に着こなせるかはわからないけど…
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