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移り変わる季節と、変わる環境
log-073 ゆったりのったり帰還へ向けて
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…竜種騒動の尾ひれも引いたが、それでも今の身は学生。
それゆえに、ずっと居続けることもなく…まだまだ学ぶことがあるからこそ、ジャックたちは王都への帰路についていた。
【グマッツグマッツグマッツ】
「ガンゴードさんの馬車に乗っての帰路だけど、ゆったりしているのが良いねぇ」
【マチョポッポ便も早かったですが、こういうのが移動の醍醐味と言って良いですよねぇ】
ガタゴトと揺れて乗っているのは、ガンゴードさんのタゴサックによる馬車。
騒動のせいで王都を出る時のモノには乗れなかったが、帰路の今は無事に乗車することができた。
「それにしても、そちらのハクロの嬢ちゃんや木の娘…ああ、カトレアの嬢ちゃんだったか。そっちは前にも乗せているから分かるが、まさかデュラハンまで乗るとは驚きだ。一体、王都のほうで何を学べばこんなことになるんだい?」
「いや、そう言われても学んでくるものなの?」
【我は自ら向かっていた形だからな。主殿が学ばずとも、来ていただろう】
以前に乗っていた時は、ハクロと途中でカトレアが乗っていたが、ルミはいなかった。
なのでここで初対面となるが、驚かれはしたものの直ぐに受け入れられた模様。
「当たり前だ。乗客を乗せる仕事柄、変わった相手が色々と乗ってくることもあるものよ。だが、いちいち客の素性を聞いて驚く意味もない。乗っている以上、お客はお客として扱うのみ。ただし、きちんとしたお客様に限ってであり、物凄くどうしようもないほどのマナー違反客はブラックリスト入りさせて乗せないがな!!」
【具体的には、どのような人がブラックリストに載ったのでしょうか?】
「汚物をまき散らしたり、あるいは物凄く騒がしすぎたり…商売をしている以上、お客はお客として見るが、とんでもなく大迷惑な人の場合はお汚厄さまとしてしか扱えないな」
当て字としては酷いが、そういう考えが間違っているわけでもない。
どこの世界にも、そういう類がいるのは嘆かわしいことだろう。
【…そもそも、馬車を引いている熊がいる時点でやらかそうと考える人が出るのが不思議なの】
「言われてみれば、確かに」
「甘いな、うちのタゴサックは確かにある程度の抑止力になるが、恐ろしいほど酔ったりして判断が付いていない奴などがやらかしたりして万全ではないのだ」
抑止力があったとしても、それを理解していない人もいるもの。
そういうのは、こちらの理解の及ばない理解をしていることがあり、だからこそやらかすこともあるのだろう。
そう考えると、こういう馬車業界も中々の苦労が垣間見えるのであった…
「しかし、この人数が増えると…お前さんもいっそ、何か牽引が可能なモンスターでも雇って、馬車業界に殴り込みにくる選択肢もあるかもしれんぞ?モンスターとはいえ、お嬢さんがたの見た目は悪くはないし、馬車ガイドとしてどこかの観光収入を上げている領地の専属御者として名をあげるという将来もよさそうだな」
「あー…いや、それはそれでどうなんだろうか」
…今求めるのであれば、悪魔対策も兼ねたいけど…馬車の道もかぁ。
悪くはないけど、別の将来も欲しいからなぁ…悩みぬいて、まじめに考えないとねぇ…
それゆえに、ずっと居続けることもなく…まだまだ学ぶことがあるからこそ、ジャックたちは王都への帰路についていた。
【グマッツグマッツグマッツ】
「ガンゴードさんの馬車に乗っての帰路だけど、ゆったりしているのが良いねぇ」
【マチョポッポ便も早かったですが、こういうのが移動の醍醐味と言って良いですよねぇ】
ガタゴトと揺れて乗っているのは、ガンゴードさんのタゴサックによる馬車。
騒動のせいで王都を出る時のモノには乗れなかったが、帰路の今は無事に乗車することができた。
「それにしても、そちらのハクロの嬢ちゃんや木の娘…ああ、カトレアの嬢ちゃんだったか。そっちは前にも乗せているから分かるが、まさかデュラハンまで乗るとは驚きだ。一体、王都のほうで何を学べばこんなことになるんだい?」
「いや、そう言われても学んでくるものなの?」
【我は自ら向かっていた形だからな。主殿が学ばずとも、来ていただろう】
以前に乗っていた時は、ハクロと途中でカトレアが乗っていたが、ルミはいなかった。
なのでここで初対面となるが、驚かれはしたものの直ぐに受け入れられた模様。
「当たり前だ。乗客を乗せる仕事柄、変わった相手が色々と乗ってくることもあるものよ。だが、いちいち客の素性を聞いて驚く意味もない。乗っている以上、お客はお客として扱うのみ。ただし、きちんとしたお客様に限ってであり、物凄くどうしようもないほどのマナー違反客はブラックリスト入りさせて乗せないがな!!」
【具体的には、どのような人がブラックリストに載ったのでしょうか?】
「汚物をまき散らしたり、あるいは物凄く騒がしすぎたり…商売をしている以上、お客はお客として見るが、とんでもなく大迷惑な人の場合はお汚厄さまとしてしか扱えないな」
当て字としては酷いが、そういう考えが間違っているわけでもない。
どこの世界にも、そういう類がいるのは嘆かわしいことだろう。
【…そもそも、馬車を引いている熊がいる時点でやらかそうと考える人が出るのが不思議なの】
「言われてみれば、確かに」
「甘いな、うちのタゴサックは確かにある程度の抑止力になるが、恐ろしいほど酔ったりして判断が付いていない奴などがやらかしたりして万全ではないのだ」
抑止力があったとしても、それを理解していない人もいるもの。
そういうのは、こちらの理解の及ばない理解をしていることがあり、だからこそやらかすこともあるのだろう。
そう考えると、こういう馬車業界も中々の苦労が垣間見えるのであった…
「しかし、この人数が増えると…お前さんもいっそ、何か牽引が可能なモンスターでも雇って、馬車業界に殴り込みにくる選択肢もあるかもしれんぞ?モンスターとはいえ、お嬢さんがたの見た目は悪くはないし、馬車ガイドとしてどこかの観光収入を上げている領地の専属御者として名をあげるという将来もよさそうだな」
「あー…いや、それはそれでどうなんだろうか」
…今求めるのであれば、悪魔対策も兼ねたいけど…馬車の道もかぁ。
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