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移り変わる季節と、変わる環境
log-068 ゲラゲラトワラウモノ
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【ウボガァァーーーー…】
ザンッヅっと大きな切断音が聞こえた後、パラサイトドラゴンの咆哮が途絶える。
異形の怪物と化していた巨大な竜種は今、その首を切断され、命の灯を失ったのだ。
頭を切り飛ばせば、流石に終わったようで、力なくその巨体が落下して…
「って、そのサイズの落下はやばいやつだー!!」
「全員、急いでにげろぉぉ!!」
巨大な肉塊が落ちてくるというのは、それだけでも脅威になりうるもの。
あちこちにワイバーンの死骸も落ちている中に、やってくるヤバイモノ。
ドスウウウウウウウウウウウン!!
豪快な音を立て、大地を揺らし、その巨体は豪勢な土煙を上げて落下したのであった。
【ふぅ…流石に、疲れましたよ。ジャック、癒してぇ~】
【ひゅぅ、何度も何度も大木を生やしたから、大地の養分空っぽでお腹すいたのなの】
【我も、ちょっと寒い…あの世の炎を長時間纏い過ぎて、芯が冷えた】
かなりの激戦だったからこそ、相当体力を消費したようで、それぞれ疲弊の声を漏らすハクロ達。
ジャックにくっついたり、懐に持っていたらしいお菓子を食べたり、焚火をつけて暖をとったりと、ゆったりと身を休める。
その間にも、ダンデームさん含む輝きのラッパの面々は、戦闘では助けになり切れなかった分だと言って、この場でモンスターたちの解体を行い始めた。
さっさとしておかないと、アンデッドになるリスクもあるというのも理由だが…
「むぅ、やはりか」
「どうしたんですか、ダンデームさん」
「ああ、これを見てほしい。ワイバーンや、このドラゴンの魔石だと思われるものなのだが…」
そう言いながら出してきたのは、モンスターの体内にあるという魔石。
しかし、それは授業で習ったものなどと異なる見た目をしていた。
――ドクン、ドクン…ドクン…
「…魔石?え、なんかこう、宝石のような物のはずなのに、何この脈打つ不気味な心臓と言うか、内臓のような物は」
「これが、どうやらこいつらの魔石だ。…前にも、我々はこのようなものを見たことがあるが…」
そこにあったのは、宝石のような見た目ではなく、不気味に脈を打つ奇妙な色合いをした臓腑のような物。
明かに異常なものにしか見えないが、これが魔石だという。
【うわぁ…気持ち悪いですね。これ、確かあのゴブリンのものも似たようなのがあったような…】
「そうだ、ハクロさん。貴女が前に色々とやってくれた件で出てきたものだが…こいつが出てきたとなると、今回の竜種の件は相当厄介だというのを示すんだ」
「というと?」
「おそらくは…何者かの手が絡んだ、人為的な物だということだ」
『ブラボー、ブラボー!!すぐにその回答を導き出すとは、わかっているねぇ、やっているねぇ!』
「「「!?」」」
【何奴!!】
【何者ですか!!】
【なのなのっつ!!】
ダンデームさんの言葉に対して、誰かが褒めるような声を上げた。
突然のことに驚愕する中、ハクロ達が直ぐに僕らの前に立ち、臨戦態勢をとる。
先ほどまでのドラゴンとの戦闘で疲弊していたはずだが…その纏う雰囲気は、明らかに最大の警戒を示している。
『おやおや、怖いねぇ、そこまで警戒しなくともいいじゃないか、お嬢さんがた。別に取って食いやしませんよぉ』
どこかで聞いたことのあるような声の感じをしながら、その声の主は木の陰から現れた。
それは、白衣を身に纏い、ぐるぐる眼鏡をかけた、いかにも典型的な研究者と言うような人の姿。
しかし、その頭にはヤギのような大きな角を生やしており、口元は大きく裂けたような感じで、にやにやと笑っていた。
「あれは…」
『どうも、初めまして皆さま方、我が名は知識と強欲の■■■…っと、すみませんねぇ、真名は人には理解できないものでしたねぇ。改めて、このガワでの名前として「ゲラト」と名乗りましょう、高位の連中共と異なって、だいぶ使い古している汚い身のままですが、そこはご愛嬌として受け取ってくだせぇ。こう見えても、研究者として日夜努力をする珍しい悪魔ですからねぇ』
「悪魔っ…!!」
悪魔、それは以前にもジャックたちは遭遇したことがあった。
あの時、ボボン村で遭遇した悪魔は、ほぼヤギのような頭をした異形の怪物だったはず。
しかし、目の前の悪魔は色々突き破っている部分があるとはいえ、隠すことさえできれば人としてもギリギリ見えるようなものになっている。
それに、前の悪魔はカタコトに近いような言葉ではあったが、この悪魔は人間にほぼ近いような言語を使っている。
伝わってくる言葉は、人とは違う感覚のもので来るが…内容ははっきりと聞き取れるだろう。
『いやはや、流石我が実験体を倒したお方たち、こうやって近くで見ると美しく、強く…それでいて、非常に興味がそそられるものですなぁ』
「実験体…まさか、あのドラゴンは!!」
『おお、察しが良いようで。ええ、あれを作り上げたのは、隠すまでもなくこのゲラトでございます。作るのに相当苦労しましたが、中々良い成果の出せなかった失敗作と言っても差し支えないものでして、見苦しいものをお見せし申し訳ございませんでしたなぁ』
ゲラトと名乗る悪魔は、あのドラゴンを作ったことを暴露した。
人為的な可能性が出てきた中で、人どころか悪魔がこの騒動に関与していたのだ。
【あのドラゴンの、そこからさらに出てきたワイバーンで、どれだけの被害を被ったと思っているんですか!!村人が無事だったとはいえ、ナモアリ村を焼き尽くした元凶が!!】
【なのなの、初めて見たけど、ミーの記憶に似たようなの見たことあるのなの!!絶対にいてはいけない存在だと、何かが言うのなの!!】
【我は…ああ、かつて悪魔の手によって滅びたとされる国のものらしいが…実際に目の前にすると、記憶にはないが、強い嫌悪感を覚えるな…主殿、奴の切断の許可を】
『お嬢さんたち、中々気が強いようで、おっそろしぃですねぇ』
ハクロ、カトレア、ルミ、彼女たちの威圧にひるむようなそぶりを見せるゲラト。
しかし、その表情には余裕があるようだ。
「悪魔が関与していたとなれば、相当ヤバいようだが…ここで捨ててはおけないな」
「結構強いらしいが、こちらにはハクロさんたちもいることだし、万が一の戦闘もこなせるぞ」
輝きのラッパの面々も、悪魔の存在に驚愕しつつも、恐れる気は無い。
『へぇへぇ、皆様方ヤバそうですが…ええ、それでもいいですねぇ、その怒りの感情、恐れを抱かずに剥ける敵意、あいつだったら…あー、いや、うん。アレはまぁ例外過ぎて悪魔側でもドン引きするやつでしたねぇ、あのものでれば…ああ、すたこらさっさのたこすぽやんと逃げますねぇ。その逃亡したい心は、今ひしひしと理解させられますねぇ』
口ぶりから察するに、どうやら悪魔は一人ではないらしい。
この場にはいないようだが、他に暗躍している輩がいるのかもしれない。
『というわけで、賢いゲラトは、逃亡を図らせてもらいやしょう。今回は顔合わせ、実験体を倒して見せたあなた方に興味を惹かれ、ちょっと触れる程度で…』
シュルルルル!!ギュウウウウウ!!
『おぅ!?』
【逃がすと、思いますか?】
くるっと踵を返して逃げようとしたところを、ハクロが糸を使って縛り上げた。
音もたてず、僕らが動くよりも早く手を使ったようだ。
『へぇへぇへぇ、やばいですねぇ、不味いですねぇ、強そうですねぇ。この蜘蛛のお嬢さん、他の面子の中でも特に格が…おやぁ?その魂の輝き…信じられないですなあ、これで、相当格を落としていると?ふざけるなぁ、と言いたくなるものですねぇ』
【ん?何の話?】
『自覚が無いと来た。いやはや、これまた興味惹かれ、今にもこの者たちを全て実験体の材料や母体として利用したいですが、本気で命の危機を感じさせらますので、そろそろお暇させていただきやしょう。お嬢さん、縛ったのは良いですが、糸を握っているのは失敗でしたなぁ』
【っ!?】
『手を放したところで、遅い!!仕込みは十分、魔界からの轟雷はここに!!皆さま、機会があれば、今度は実験台になってもらいましょう!!』
ドォォォォォオーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
【ぎぃっ!?】
「「「「うわっつ!?」」」」
『それでは、さらばでぇぇぇす!!』
突然、悪魔の上に巨大な雷が落ち、その光が周囲一帯を一気に照らした。
ふざけた声が響き渡りつつも、どこか遠くへ行ってしまった。
【ーーーっ、シビ、シビレ…ふ、不覚です…けほっ】
「大丈夫、ハクロ!?」
轟雷の光が収まり、すぐにジャックはハクロに駆け寄った。
【大丈夫、です。ちょっと今、痺れて動きが…】
ぷすぷすと煙を上げており、少し焦がされたらしい。
それでも少々麻痺した以外には大したことはないようだ。
しかし、肝心のゲラトと名乗る悪魔は糸からすでに脱出し、姿を消していた。
【ぐう、我も失敗した…合わせて大氷炎斬で首を跳ね飛ばしながら氷漬けにすべきだった…!!】
【ミーも加勢しておきたかったけど…やられたの。こっそり、寄生植物投げてたけど、枯らされたのなの。あの悪魔、身体に毒を持っていたようなの】
ハクロ達でも捕えきれず、逃げてしまった悪魔、ゲラト。
この竜種騒動は、生み出していたドラゴン…実験体とやらを絶命させたことで終わりを迎えそうではあったが、新たな厄介事が生み出されたようなのであった…
「…そういえば、あの悪魔が気になることを言っていたけど、格を落としているって何?」
【んー…まったく、心当たりが無いですね。雷を落としてくるような相手には、格よりも鉄槌を落としたくなりましたが…私の糸で作る巨大な副腕に、ルミを括り付ければ文字通りの…】
【さらっと何をやらかそうとしているのだ】
【そうなの、鉄腕よりもボボンの実をたっぷりと付けて、爆発で後押ししたほうがより強いのなの】
…爆発での後押しか…杭があればパイルバンカー?
ザンッヅっと大きな切断音が聞こえた後、パラサイトドラゴンの咆哮が途絶える。
異形の怪物と化していた巨大な竜種は今、その首を切断され、命の灯を失ったのだ。
頭を切り飛ばせば、流石に終わったようで、力なくその巨体が落下して…
「って、そのサイズの落下はやばいやつだー!!」
「全員、急いでにげろぉぉ!!」
巨大な肉塊が落ちてくるというのは、それだけでも脅威になりうるもの。
あちこちにワイバーンの死骸も落ちている中に、やってくるヤバイモノ。
ドスウウウウウウウウウウウン!!
豪快な音を立て、大地を揺らし、その巨体は豪勢な土煙を上げて落下したのであった。
【ふぅ…流石に、疲れましたよ。ジャック、癒してぇ~】
【ひゅぅ、何度も何度も大木を生やしたから、大地の養分空っぽでお腹すいたのなの】
【我も、ちょっと寒い…あの世の炎を長時間纏い過ぎて、芯が冷えた】
かなりの激戦だったからこそ、相当体力を消費したようで、それぞれ疲弊の声を漏らすハクロ達。
ジャックにくっついたり、懐に持っていたらしいお菓子を食べたり、焚火をつけて暖をとったりと、ゆったりと身を休める。
その間にも、ダンデームさん含む輝きのラッパの面々は、戦闘では助けになり切れなかった分だと言って、この場でモンスターたちの解体を行い始めた。
さっさとしておかないと、アンデッドになるリスクもあるというのも理由だが…
「むぅ、やはりか」
「どうしたんですか、ダンデームさん」
「ああ、これを見てほしい。ワイバーンや、このドラゴンの魔石だと思われるものなのだが…」
そう言いながら出してきたのは、モンスターの体内にあるという魔石。
しかし、それは授業で習ったものなどと異なる見た目をしていた。
――ドクン、ドクン…ドクン…
「…魔石?え、なんかこう、宝石のような物のはずなのに、何この脈打つ不気味な心臓と言うか、内臓のような物は」
「これが、どうやらこいつらの魔石だ。…前にも、我々はこのようなものを見たことがあるが…」
そこにあったのは、宝石のような見た目ではなく、不気味に脈を打つ奇妙な色合いをした臓腑のような物。
明かに異常なものにしか見えないが、これが魔石だという。
【うわぁ…気持ち悪いですね。これ、確かあのゴブリンのものも似たようなのがあったような…】
「そうだ、ハクロさん。貴女が前に色々とやってくれた件で出てきたものだが…こいつが出てきたとなると、今回の竜種の件は相当厄介だというのを示すんだ」
「というと?」
「おそらくは…何者かの手が絡んだ、人為的な物だということだ」
『ブラボー、ブラボー!!すぐにその回答を導き出すとは、わかっているねぇ、やっているねぇ!』
「「「!?」」」
【何奴!!】
【何者ですか!!】
【なのなのっつ!!】
ダンデームさんの言葉に対して、誰かが褒めるような声を上げた。
突然のことに驚愕する中、ハクロ達が直ぐに僕らの前に立ち、臨戦態勢をとる。
先ほどまでのドラゴンとの戦闘で疲弊していたはずだが…その纏う雰囲気は、明らかに最大の警戒を示している。
『おやおや、怖いねぇ、そこまで警戒しなくともいいじゃないか、お嬢さんがた。別に取って食いやしませんよぉ』
どこかで聞いたことのあるような声の感じをしながら、その声の主は木の陰から現れた。
それは、白衣を身に纏い、ぐるぐる眼鏡をかけた、いかにも典型的な研究者と言うような人の姿。
しかし、その頭にはヤギのような大きな角を生やしており、口元は大きく裂けたような感じで、にやにやと笑っていた。
「あれは…」
『どうも、初めまして皆さま方、我が名は知識と強欲の■■■…っと、すみませんねぇ、真名は人には理解できないものでしたねぇ。改めて、このガワでの名前として「ゲラト」と名乗りましょう、高位の連中共と異なって、だいぶ使い古している汚い身のままですが、そこはご愛嬌として受け取ってくだせぇ。こう見えても、研究者として日夜努力をする珍しい悪魔ですからねぇ』
「悪魔っ…!!」
悪魔、それは以前にもジャックたちは遭遇したことがあった。
あの時、ボボン村で遭遇した悪魔は、ほぼヤギのような頭をした異形の怪物だったはず。
しかし、目の前の悪魔は色々突き破っている部分があるとはいえ、隠すことさえできれば人としてもギリギリ見えるようなものになっている。
それに、前の悪魔はカタコトに近いような言葉ではあったが、この悪魔は人間にほぼ近いような言語を使っている。
伝わってくる言葉は、人とは違う感覚のもので来るが…内容ははっきりと聞き取れるだろう。
『いやはや、流石我が実験体を倒したお方たち、こうやって近くで見ると美しく、強く…それでいて、非常に興味がそそられるものですなぁ』
「実験体…まさか、あのドラゴンは!!」
『おお、察しが良いようで。ええ、あれを作り上げたのは、隠すまでもなくこのゲラトでございます。作るのに相当苦労しましたが、中々良い成果の出せなかった失敗作と言っても差し支えないものでして、見苦しいものをお見せし申し訳ございませんでしたなぁ』
ゲラトと名乗る悪魔は、あのドラゴンを作ったことを暴露した。
人為的な可能性が出てきた中で、人どころか悪魔がこの騒動に関与していたのだ。
【あのドラゴンの、そこからさらに出てきたワイバーンで、どれだけの被害を被ったと思っているんですか!!村人が無事だったとはいえ、ナモアリ村を焼き尽くした元凶が!!】
【なのなの、初めて見たけど、ミーの記憶に似たようなの見たことあるのなの!!絶対にいてはいけない存在だと、何かが言うのなの!!】
【我は…ああ、かつて悪魔の手によって滅びたとされる国のものらしいが…実際に目の前にすると、記憶にはないが、強い嫌悪感を覚えるな…主殿、奴の切断の許可を】
『お嬢さんたち、中々気が強いようで、おっそろしぃですねぇ』
ハクロ、カトレア、ルミ、彼女たちの威圧にひるむようなそぶりを見せるゲラト。
しかし、その表情には余裕があるようだ。
「悪魔が関与していたとなれば、相当ヤバいようだが…ここで捨ててはおけないな」
「結構強いらしいが、こちらにはハクロさんたちもいることだし、万が一の戦闘もこなせるぞ」
輝きのラッパの面々も、悪魔の存在に驚愕しつつも、恐れる気は無い。
『へぇへぇ、皆様方ヤバそうですが…ええ、それでもいいですねぇ、その怒りの感情、恐れを抱かずに剥ける敵意、あいつだったら…あー、いや、うん。アレはまぁ例外過ぎて悪魔側でもドン引きするやつでしたねぇ、あのものでれば…ああ、すたこらさっさのたこすぽやんと逃げますねぇ。その逃亡したい心は、今ひしひしと理解させられますねぇ』
口ぶりから察するに、どうやら悪魔は一人ではないらしい。
この場にはいないようだが、他に暗躍している輩がいるのかもしれない。
『というわけで、賢いゲラトは、逃亡を図らせてもらいやしょう。今回は顔合わせ、実験体を倒して見せたあなた方に興味を惹かれ、ちょっと触れる程度で…』
シュルルルル!!ギュウウウウウ!!
『おぅ!?』
【逃がすと、思いますか?】
くるっと踵を返して逃げようとしたところを、ハクロが糸を使って縛り上げた。
音もたてず、僕らが動くよりも早く手を使ったようだ。
『へぇへぇへぇ、やばいですねぇ、不味いですねぇ、強そうですねぇ。この蜘蛛のお嬢さん、他の面子の中でも特に格が…おやぁ?その魂の輝き…信じられないですなあ、これで、相当格を落としていると?ふざけるなぁ、と言いたくなるものですねぇ』
【ん?何の話?】
『自覚が無いと来た。いやはや、これまた興味惹かれ、今にもこの者たちを全て実験体の材料や母体として利用したいですが、本気で命の危機を感じさせらますので、そろそろお暇させていただきやしょう。お嬢さん、縛ったのは良いですが、糸を握っているのは失敗でしたなぁ』
【っ!?】
『手を放したところで、遅い!!仕込みは十分、魔界からの轟雷はここに!!皆さま、機会があれば、今度は実験台になってもらいましょう!!』
ドォォォォォオーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
【ぎぃっ!?】
「「「「うわっつ!?」」」」
『それでは、さらばでぇぇぇす!!』
突然、悪魔の上に巨大な雷が落ち、その光が周囲一帯を一気に照らした。
ふざけた声が響き渡りつつも、どこか遠くへ行ってしまった。
【ーーーっ、シビ、シビレ…ふ、不覚です…けほっ】
「大丈夫、ハクロ!?」
轟雷の光が収まり、すぐにジャックはハクロに駆け寄った。
【大丈夫、です。ちょっと今、痺れて動きが…】
ぷすぷすと煙を上げており、少し焦がされたらしい。
それでも少々麻痺した以外には大したことはないようだ。
しかし、肝心のゲラトと名乗る悪魔は糸からすでに脱出し、姿を消していた。
【ぐう、我も失敗した…合わせて大氷炎斬で首を跳ね飛ばしながら氷漬けにすべきだった…!!】
【ミーも加勢しておきたかったけど…やられたの。こっそり、寄生植物投げてたけど、枯らされたのなの。あの悪魔、身体に毒を持っていたようなの】
ハクロ達でも捕えきれず、逃げてしまった悪魔、ゲラト。
この竜種騒動は、生み出していたドラゴン…実験体とやらを絶命させたことで終わりを迎えそうではあったが、新たな厄介事が生み出されたようなのであった…
「…そういえば、あの悪魔が気になることを言っていたけど、格を落としているって何?」
【んー…まったく、心当たりが無いですね。雷を落としてくるような相手には、格よりも鉄槌を落としたくなりましたが…私の糸で作る巨大な副腕に、ルミを括り付ければ文字通りの…】
【さらっと何をやらかそうとしているのだ】
【そうなの、鉄腕よりもボボンの実をたっぷりと付けて、爆発で後押ししたほうがより強いのなの】
…爆発での後押しか…杭があればパイルバンカー?
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