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移り変わる季節と、変わる環境
log-067 素晴らしい発見
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…実験体、G-05は失敗に終わった。
何故それが言えるのか。
単純に、討伐されたからだ。
別の者が行い、観察を放棄していた実験だったからこそ、そのままにしておけば知らない間に良い感じに成長しているかもしれないと思っていたが…残念ながら、どこかでやられたらしい。
群れを形成し、大きく育ってくれればよかったが…とてつもない脅威になる前に討伐されてしまった。
まぁ、それは関係ない話だ。弱いモンスターを改造しようとも、元が悪ければ意味が無い。
やるのであれば盛大に、とんでもない大物を利用すればいい。
そう考え、自分は自分の実験として進めるために、あちこち探し求め…ようやく手に入れることができた、竜種の中のとんでもない大物、レッドドラゴン。
実験に使用するためにあれこれと無茶をしたとはいえ、ようやくどうにか似たようなフレイムワイバーンを産みだせる肉壺に魔改造できたというのに…それでも、愚物しか生まれていなかった。
元が強かろうとも、質が悪ければ意味が無いのだろうか。
そう考えつつ、他に改良点を見つけられないかと観察を続ける中…まさかの、出会いがあった。
「---まさか、あれだけのものがそろっているなんて」
目の前で起きているのは、現実だろうか?
魔改造を施しまくり、脳内で支配を行っている寄生体が旨く動かせないことを抜きにしたとしても、相手は腐っても竜種。
絶大な強さを誇るはずであり、その周囲には本来よりもだいぶ弱体化しているとはいえ、それでも数の暴力があるはずのフレイムワイバーンたち。
そんなものを相手にして、戦えている彼女たちは一体何なのか。
「アラクネ、デュラハン、アルラウネと言ったところか…しかし、通常種とはどれもこれも格が違う。あの強さは厄災種の一歩手前…いや、あのアラクネはそこか」
大木で貫き、炎に包まれているのに氷となって砕けちり、巨大な糸の拳で叩き潰され、引きちぎられていく。
その光景をしっかりと観察しながら、その強さがどういうものか確認し、少しづつ彼女たちに関しての情報を集めるのだ。
【ウボガァァァア!!】
「…アレはもう、駄目だな。多くのワイバーンを産みだしたことで、作り上げるだけの血肉が再生しきれずに、既に失われた上に、あのダメージでは、そう長くは持たないだろう」
周囲にいたワイバーンたちは既に全滅し、残されたのはフレイムドラゴン…いや、彼女たちが仮称したらしい名前としてパラサイトドラゴンとなっているモンスターに目を向けるが、その命はもう持たないことを理解する。
せっかく色々と苦労して作り上げていたとはいえ、期待通りの成果は出なかった。
まだまだ改良すべき点が多いだろうし、ここで消し飛んでも問題は無い。
「違うな、成果は出なかったか…その代わりに、より良いものを得たか」
限界を迎え、自己崩壊もしつつあるドラゴンの肉体から目を変え、彼女たちに目を付ける。
あれほどの逸材、早々出会えるものではない。
それなのに、あれだけのものが集っているとは、一体どういうことか。
「すぐにでも実験材料にしたい…しかし、それは厳しいか」
馬鹿でも見ればわかるだろう。下手に手を出せば、確実には破滅へ向かうことを。
美しき女神たちのようでいて、その裏は地獄へ引きずり込む死神のような物。
ああ、悪魔が死神に対してそれを言って良いだろうか。
目的は違えども、似たようなことができるのに。
相手が厄災種やその一つ手前の者たちであることは、十分理解できる。
たった今、目の前でドラゴンの首が刎ねられ、終わりを迎えさせたのだから。
それでも、もう少し情報が欲しくもなる。
見ているだけでは足りない、語り掛けたい、知りたい、実験したい…様々な欲望がこうも湧き出てくるのは、このガワの本性なのか、それとも密かに抱いていた自分自身のものなのか。
それはもはや、どうでもいいこと。
今はたとえどのような印象を抱かれようとも…知ることが、優先である。
そう考えながら、すぐに近づき…相手を、ゆっくりと探る方へ‥
何故それが言えるのか。
単純に、討伐されたからだ。
別の者が行い、観察を放棄していた実験だったからこそ、そのままにしておけば知らない間に良い感じに成長しているかもしれないと思っていたが…残念ながら、どこかでやられたらしい。
群れを形成し、大きく育ってくれればよかったが…とてつもない脅威になる前に討伐されてしまった。
まぁ、それは関係ない話だ。弱いモンスターを改造しようとも、元が悪ければ意味が無い。
やるのであれば盛大に、とんでもない大物を利用すればいい。
そう考え、自分は自分の実験として進めるために、あちこち探し求め…ようやく手に入れることができた、竜種の中のとんでもない大物、レッドドラゴン。
実験に使用するためにあれこれと無茶をしたとはいえ、ようやくどうにか似たようなフレイムワイバーンを産みだせる肉壺に魔改造できたというのに…それでも、愚物しか生まれていなかった。
元が強かろうとも、質が悪ければ意味が無いのだろうか。
そう考えつつ、他に改良点を見つけられないかと観察を続ける中…まさかの、出会いがあった。
「---まさか、あれだけのものがそろっているなんて」
目の前で起きているのは、現実だろうか?
魔改造を施しまくり、脳内で支配を行っている寄生体が旨く動かせないことを抜きにしたとしても、相手は腐っても竜種。
絶大な強さを誇るはずであり、その周囲には本来よりもだいぶ弱体化しているとはいえ、それでも数の暴力があるはずのフレイムワイバーンたち。
そんなものを相手にして、戦えている彼女たちは一体何なのか。
「アラクネ、デュラハン、アルラウネと言ったところか…しかし、通常種とはどれもこれも格が違う。あの強さは厄災種の一歩手前…いや、あのアラクネはそこか」
大木で貫き、炎に包まれているのに氷となって砕けちり、巨大な糸の拳で叩き潰され、引きちぎられていく。
その光景をしっかりと観察しながら、その強さがどういうものか確認し、少しづつ彼女たちに関しての情報を集めるのだ。
【ウボガァァァア!!】
「…アレはもう、駄目だな。多くのワイバーンを産みだしたことで、作り上げるだけの血肉が再生しきれずに、既に失われた上に、あのダメージでは、そう長くは持たないだろう」
周囲にいたワイバーンたちは既に全滅し、残されたのはフレイムドラゴン…いや、彼女たちが仮称したらしい名前としてパラサイトドラゴンとなっているモンスターに目を向けるが、その命はもう持たないことを理解する。
せっかく色々と苦労して作り上げていたとはいえ、期待通りの成果は出なかった。
まだまだ改良すべき点が多いだろうし、ここで消し飛んでも問題は無い。
「違うな、成果は出なかったか…その代わりに、より良いものを得たか」
限界を迎え、自己崩壊もしつつあるドラゴンの肉体から目を変え、彼女たちに目を付ける。
あれほどの逸材、早々出会えるものではない。
それなのに、あれだけのものが集っているとは、一体どういうことか。
「すぐにでも実験材料にしたい…しかし、それは厳しいか」
馬鹿でも見ればわかるだろう。下手に手を出せば、確実には破滅へ向かうことを。
美しき女神たちのようでいて、その裏は地獄へ引きずり込む死神のような物。
ああ、悪魔が死神に対してそれを言って良いだろうか。
目的は違えども、似たようなことができるのに。
相手が厄災種やその一つ手前の者たちであることは、十分理解できる。
たった今、目の前でドラゴンの首が刎ねられ、終わりを迎えさせたのだから。
それでも、もう少し情報が欲しくもなる。
見ているだけでは足りない、語り掛けたい、知りたい、実験したい…様々な欲望がこうも湧き出てくるのは、このガワの本性なのか、それとも密かに抱いていた自分自身のものなのか。
それはもはや、どうでもいいこと。
今はたとえどのような印象を抱かれようとも…知ることが、優先である。
そう考えながら、すぐに近づき…相手を、ゆっくりと探る方へ‥
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