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移り変わる季節と、変わる環境
log-060 マッハで飛ぶぞ、はとぽっぽ
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【グルボッーーーーーーーッボゥ!!】
雄たけびを上げ、風を切り裂き、その鳴き声すらも彼方に置き去りする勢いで、大空を舞う巨大なハトの群れ。
いや、ただのハトではなく…GMマチョポッポと呼ばれる特別なマチョポッポの一族であり、その速度はとてつもなく早く、目的地へ向けて迷いなく突き進む。
「…絶対にヤバいGに晒されるかもと思ったけど、不思議と無いよね?」
【元々、大型馬車の積み荷を確実に届けるために訓練されており、特殊な魔法を使って搭乗しているものには負荷がかからないようにしているらしいですよ】
モフモフな巨大なその背中に乗りつつ、ジャックたちは話し合う。
カルク領に現れた、竜種の一種、フレイムワイバーンの群れ。
一つの村だけを襲撃しているのではなく、それなりの広範囲に渡って襲っているらしく、ギルドに収集された冒険者たちはそれぞれの場所へ割り振られて向かっていた。
ジャックたちはカルク領内のナモアリ村の出身ということも考慮され、村へ向けてのマチョポッポに搭乗するように割り振られたが…
「それにしても、再び出会うとは…不思議なものですね、ハクロさん」
【輝きのラッパの人たちも、集まっていたんですね…】
マチョポッポの背中には、大人数が乗れるようであり、ジャックたちだけではなく冒険者パーティ…『輝きのラッパ』と言う方たちが搭乗していた。
ジャックとしては初対面だが、ハクロのほうは何かのきっかけで彼らと話したことがあるらしい。
意外なつながりに驚かされつつも、そのリーダーであるダンデームさんと村に着くまでの間に打ち合わせを行っておく。
「一応、ギルドの依頼としてメインは調査…ワイバーンの群れの情報のほうが優先。その次に、生き残っている人たちがいれば避難へ切り替えることだ」
「直接戦闘は避けたほうが良いってことですね」
「ああ、フレイムワイバーンは竜種の中でも比較的強さはそこまででもないらしいが、まともに戦えば被害が大きくなるのは間違いない。何しろ、相手は大空から襲い掛かってくるからな…」
戦闘も考えていたが、優先は情報と人命。
そちらの方を確実に逃さないようにするのが良いのだろう。
「それにしても、ハクロさん以外にも他の面々も…中々の強者ぞろいだな」
「デュラハン…噂だと、最近王城に出入りして騎士たちを指導しているとか」
「あっちの木の椅子の子も、美味しい果実売りだけど色々と植物を操れるとかの話も…」
輝きのラッパの面々がこっそり話しているが、カトレアやルミもそれなりの噂になっているらしい。
そのため、戦闘力だけで見れば十分だと思われるが、それでも相手は竜種…そのうえ、空も飛ぶ相手であり、対空戦闘能力が低い面々のため、戦いも可能なら避けたほうが良いのかもしれない。
「というか、ハクロ達の対空攻撃手段ってあるっけ。少し頭が冷えて冷静になってきたから今更だけど…」
【んー、あるといえばありますが…飛ぶ相手に関しては、私たちも苦手ですね】
【木の根の届く高さにも限界があるのなの。可能なら、地面に叩き落としてほしいのなの】
【命を奪う霧を空に発生させられるが、羽ばたきで霧散されそうなのが厄介だな…死の宣告は…いや、竜種相手には試したことが無いから、効かない可能性も考慮しておくべきか】
さらっとやばい手段が出てきたのは置いておくとして、まともに正面から戦うのは避けるべきなのだろう。
各々の射程圏内に引きずり込めればいいのだが、それが旨く行けば苦労はしない。
【マチョッボッボボォオオオオウ!!】
「っと、そろそろ到着の合図だ。乗っている間は何も感じずに済むようになっているが、着陸時には消え失せ、衝撃が来るぞ!!」
「全員、衝撃に備えろ!!」
【ジャック、私に掴まってください!】
「わかった!」
【マチョォォォォォ!!グルボッボォォォウ!!】
急停止がかかり、先ほどまで風すらも感じさせなかったものが急に襲い掛かってくる。
身構えつつ、どうにか着陸し、地面を少々えぐりながらも無事に到着したのであった…
「…それにしても、噂に聞いていたとはいえ、あの子が彼女の番の少年か…気のせいか、確実に苦労人になるように思えてしまう」
「ダンデーム、それはたぶん、気のせいじゃない」
「「ゴブリンの時に理解した、彼女のことで十分想像できる」」
…そういわれていることは、知らないのであった。
雄たけびを上げ、風を切り裂き、その鳴き声すらも彼方に置き去りする勢いで、大空を舞う巨大なハトの群れ。
いや、ただのハトではなく…GMマチョポッポと呼ばれる特別なマチョポッポの一族であり、その速度はとてつもなく早く、目的地へ向けて迷いなく突き進む。
「…絶対にヤバいGに晒されるかもと思ったけど、不思議と無いよね?」
【元々、大型馬車の積み荷を確実に届けるために訓練されており、特殊な魔法を使って搭乗しているものには負荷がかからないようにしているらしいですよ】
モフモフな巨大なその背中に乗りつつ、ジャックたちは話し合う。
カルク領に現れた、竜種の一種、フレイムワイバーンの群れ。
一つの村だけを襲撃しているのではなく、それなりの広範囲に渡って襲っているらしく、ギルドに収集された冒険者たちはそれぞれの場所へ割り振られて向かっていた。
ジャックたちはカルク領内のナモアリ村の出身ということも考慮され、村へ向けてのマチョポッポに搭乗するように割り振られたが…
「それにしても、再び出会うとは…不思議なものですね、ハクロさん」
【輝きのラッパの人たちも、集まっていたんですね…】
マチョポッポの背中には、大人数が乗れるようであり、ジャックたちだけではなく冒険者パーティ…『輝きのラッパ』と言う方たちが搭乗していた。
ジャックとしては初対面だが、ハクロのほうは何かのきっかけで彼らと話したことがあるらしい。
意外なつながりに驚かされつつも、そのリーダーであるダンデームさんと村に着くまでの間に打ち合わせを行っておく。
「一応、ギルドの依頼としてメインは調査…ワイバーンの群れの情報のほうが優先。その次に、生き残っている人たちがいれば避難へ切り替えることだ」
「直接戦闘は避けたほうが良いってことですね」
「ああ、フレイムワイバーンは竜種の中でも比較的強さはそこまででもないらしいが、まともに戦えば被害が大きくなるのは間違いない。何しろ、相手は大空から襲い掛かってくるからな…」
戦闘も考えていたが、優先は情報と人命。
そちらの方を確実に逃さないようにするのが良いのだろう。
「それにしても、ハクロさん以外にも他の面々も…中々の強者ぞろいだな」
「デュラハン…噂だと、最近王城に出入りして騎士たちを指導しているとか」
「あっちの木の椅子の子も、美味しい果実売りだけど色々と植物を操れるとかの話も…」
輝きのラッパの面々がこっそり話しているが、カトレアやルミもそれなりの噂になっているらしい。
そのため、戦闘力だけで見れば十分だと思われるが、それでも相手は竜種…そのうえ、空も飛ぶ相手であり、対空戦闘能力が低い面々のため、戦いも可能なら避けたほうが良いのかもしれない。
「というか、ハクロ達の対空攻撃手段ってあるっけ。少し頭が冷えて冷静になってきたから今更だけど…」
【んー、あるといえばありますが…飛ぶ相手に関しては、私たちも苦手ですね】
【木の根の届く高さにも限界があるのなの。可能なら、地面に叩き落としてほしいのなの】
【命を奪う霧を空に発生させられるが、羽ばたきで霧散されそうなのが厄介だな…死の宣告は…いや、竜種相手には試したことが無いから、効かない可能性も考慮しておくべきか】
さらっとやばい手段が出てきたのは置いておくとして、まともに正面から戦うのは避けるべきなのだろう。
各々の射程圏内に引きずり込めればいいのだが、それが旨く行けば苦労はしない。
【マチョッボッボボォオオオオウ!!】
「っと、そろそろ到着の合図だ。乗っている間は何も感じずに済むようになっているが、着陸時には消え失せ、衝撃が来るぞ!!」
「全員、衝撃に備えろ!!」
【ジャック、私に掴まってください!】
「わかった!」
【マチョォォォォォ!!グルボッボォォォウ!!】
急停止がかかり、先ほどまで風すらも感じさせなかったものが急に襲い掛かってくる。
身構えつつ、どうにか着陸し、地面を少々えぐりながらも無事に到着したのであった…
「…それにしても、噂に聞いていたとはいえ、あの子が彼女の番の少年か…気のせいか、確実に苦労人になるように思えてしまう」
「ダンデーム、それはたぶん、気のせいじゃない」
「「ゴブリンの時に理解した、彼女のことで十分想像できる」」
…そういわれていることは、知らないのであった。
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