絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
61 / 178
移り変わる季節と、変わる環境

log-057 交じり合うは日差しの中で

しおりを挟む
…グラビティ王国の学園に来て、そこそこの月日が経過し、季節が移り替わろうとしていた。

 前世の世界の季節と似たような感覚で、そろそろ夏のような熱くなる季節。
 この時期になってくると、後1~2週間ほどで夏季休暇が出てくるらしく、その期間は一か月ほどで、その間に故郷へ一時帰郷するものや、バイトに励んで稼ぎまくるものなど、色々といるらしい。


「でも、その時期がずれるのはなんでだろうか」
【モンスターの遭遇情報や、野盗や盗賊の活動範囲、その他馬車の都合等で変化するらしいですね】
【全部一律でないのなの】
【まぁ、それでも事前に予定が出るのは良いことだ】

 ずぞぞぞっと、本日の学食のメニューで、この季節では大人気の冷やしうどんを食べつつ、ジャックたちは集まってそう話す。

 なお、この冷やしうどんを冷やすものにはルミの凍り付く炎が使用されており、かなりキンキンに冷えている様子。
 この季節だからこそ冷たいモノの需要は高く、ギルドでの買取価格も倍以上になっているらしい。

【それで、主殿はどうする気なのだ?夏季休暇の休みには何かするのか?】
「うーん、他の生徒の例にもれず、一時帰郷を考えているけど…カトレアやルミは、初めてのナモアリ村に訪れることになるよね」
【そういえば、そうなのなの】
【この中だと、ハクロはナモアリ村での滞在はあるよな?】
【当たり前ですよ。私のほうが、一緒に過ごしていた時期が長いですからね】

 故郷へ向けての手紙も一応書いており、彼女たちに関する話も伝えてある。
 だから、故郷へ戻ったとしてもそこまで驚かれることはない…はずである。多分。

「ハクロの家も、今の状態が気になるしね。ずっと放置して大丈夫なの?」
【大丈夫ですよ。私の作った家は、そう簡単に壊れないですし、燃えさえしなければ特に問題は無いはずです】

 思うところはあるが、一時帰郷も悪くはないだろう。
 しばらく学園で過ごしていることだし、久々に両親の顔を見たくなってくるものだ。

「それじゃ、これで決まりかな。皆、夏季休暇中はナモアリ村へ、一時帰郷しよう」
【【【了解!!】】】

 全員の了承も得て、夏季休暇の時期は帰郷を決めるのであった…



【ああ、でもその前にちょっとやっておいていいか、主殿】
「何を?」
【王都にいない間に、我が炎の需要が高まって在庫不足になるのは困るだろうし…少し多めに、出しておきたいと思ってな】
【そういえば、私の糸も出したほうが良いですね。ブランドが出ているようなのですが、結構人気で忙しい悲鳴が聞こえるようなので…】
【ミーも、木の実出しておくのなの!!…日持ちが悪いものは売れないけど、良いものは売れるのなの!!】

…何気に人々の生活に関わってきたなぁ、彼女たち。
 まぁ、それだけ需要があるのだろうから別に良いけど…
しおりを挟む
感想 386

あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

そんなの知らない。自分で考えれば?

ファンタジー
逆ハーレムエンドの先は? ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?

BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。 婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。 この場所で貴方達の味方はいるのかしら? 【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成

処理中です...