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訪れる学園生活
log-040 マッドな思いとまともな思いの両立は難しく
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ハクロとカトレアに協力してもらうことで、発動できる魔法。
しかし、過去の事例によれば従魔とのつながりを利用した魔法の発動と言うのは実験されることがあれども成功したためしはない
それゆえに、今回のこのケースはどういったことが原因になっているのか、その可能性の幅は他者にも広げられるかなどの可能性を秘めており、その謎に対してメスを入れることが決まった。
だが、そう簡単に口外しては困るようなもの。
単純に魔法が杖無しで使えるというのは別に良いのだが、その利用方法に関しては良い方向だけではなく、悪い方向に企む人も当然出てきてしまう恐れがある。
場合によっては、そういった道具を持たないように見せかけて、物凄く小型なモンスターを従魔にして魔法をいきなり解き放して、周囲を破壊しつくすような事件を起こす人が出る可能性もあるだろう。
だからこそ、本当にどういう理屈で出来ているのか、その正しい仕組みを解明することによって、未然に防ぐための手段も探りたいということで、本日は休日返上で検証のための実験が行われることになった。
「まぁ、検証に関しては…より高度な専門家も呼びたかったのだけれども…技術の秘匿性を考えると、物凄く嫌すぎるけれども、物凄くできれば自主退場してほしかったけれども…馬鹿と天才の紙一重の様な人しか呼べなかったわね。技術が技術だけに、秘匿性も必要なのもあるけれども…良いかしら、あなたたち。これから来る人が、どれほどのスカポンタンだとしても、うっかり何かしでかすようなことは無いように、お願いするわね」
実験に同席するのは、魔法の授業担当のクジャーラ先生。
この従魔との魔法の行動を見ていた人でもあり、どれほどのものなのかその可能性…いや、危険性も秘めたものだと理解し、忠告してくれた人である。
そんな人とどうやらもう一人、これから来るらしく…大まかな分析は、その人が対応するようだ。
【というか、スカポンタンって…一体、どういう人が来るのでしょうか?】
「見れば早いけれども、見せないほうが良いとも言う…それなのに、信頼はできるという様々な矛盾を抱え込みまくったパンドラボックスの様な人よ」
ハクロの問いかけに対して、そう答えるクジャーラ先生。
パンドラボックス…いわゆる宝箱に擬態して人を喰らうとされるモンスターミミックの上位種に当たるものらしく、パンドラボックスのふたを開けた者には絶望と希望を9:1の割合で与えるというもの、
そんなものに例えられる時点で、相当ヤバい人しか想像できないだろう。
【ん?】
【ミ?】
「どうしたの、二人とも?」
【んー、何か今、いたような気がしたのなの】
【いえ、気のせいではなく…ここです!!】
ぐわしっ
「あだだだだだだっ!?あたまがあたまがあたまがにぎりつぶされるぅううう!!」
「…え?」
何もない場所をハクロがつかむと、悲鳴が上がった。
ぎりりりぃっと音を立てながら、うっすらと人型が浮かび上がり始める。
「ギブギブギギブ!!」
浮かび上がってきたのは、何やら厚着をしている長身の人物。
長い金髪の髪をゆらし、ギブアップ宣言をしている耳の尖った人…人?
「ああ、やっぱりサプライズも兼ねて、隠れてねっとりと観察しようとしていたのね、シルフィさん。ハクロちゃん、手を…もうちょっとだけ、強くしてあげて。多分、そうでもしないと反省しないから」
「いや、そこは手を放してあげてね、とかじゃないんですか!?」
「そうよ、そうでもしないとこの人多分、やらかすことが増えるからね…ああ、紹介するわね。彼女がその件のスカポンタン星人…もとい、エルフと呼ばれる亜人種族の一人で、モンスターの研究者でもあるシルフィさんよ。油断したら、やらかすから気を抜かないようにしてね」
クジャーラ先生によって紹介されたのが、この人…謎の不審者改め、シルフィという名の人。
何やらエルフとか気になる言葉が聞こえたが、そんなことよりこの状態はどうすれば良いのか。
「えっと、ハクロ、とりあえずその人放してあげて…って、どうしたの、その顔」
そういえばやけに珍しく、結構攻撃的な状態でつかんだままだなと思ってみたら、何やらハクロは険しい表情をしていた。
【んー、何故でしょうか。無性に物凄く、イライラするような香りがして…】
【分かるなの。どうしてか、かなりムカッとするような感覚がするのなの】
「おお!!流石、モンスターのお二人さん!!よくわかるね!!そう、実は我が身はちょっと過去のやらかしで特殊な呪いを受けていて、家からも勘当される原因となったこれを察するとは!!」
ギリリリリリ…
「そんなことはさておき、そろそろ頭がトメイトゥの実みたいにはじけそうだから、解放してくれぇぇぇ!!」
ハクロ達の反応に何やら期待したものがあったようだが、それと同時に痛いものももらっているシルフィさん。
どうしてハクロ達がやけにいらだったような状態になるのかはさておき…ひとまず、どうにかなだめて手を放してもらうのであった…
「本当に人の頭を爆散させられるところだったよ…ふふ、いつ以来かなぁ、このスリルは。痛みはきつかったとはいえ、人の手に近い構造だからか、ハーピーのかぎづめやグリフォンのマジ噛み、デュラハンのクロスチョップに人面魚のおうふくひれびんたとはまた違った味わいだったよ…」
「…ガチで痛がっていそうだったのに、まだ余裕がありそう」
「そういう人なのよ、この人。黙っていれば美人なのに、中身がウルトラ特級呪物とまで言われているような残念な人で…」
…世の中って、広いなぁ。
しかし、過去の事例によれば従魔とのつながりを利用した魔法の発動と言うのは実験されることがあれども成功したためしはない
それゆえに、今回のこのケースはどういったことが原因になっているのか、その可能性の幅は他者にも広げられるかなどの可能性を秘めており、その謎に対してメスを入れることが決まった。
だが、そう簡単に口外しては困るようなもの。
単純に魔法が杖無しで使えるというのは別に良いのだが、その利用方法に関しては良い方向だけではなく、悪い方向に企む人も当然出てきてしまう恐れがある。
場合によっては、そういった道具を持たないように見せかけて、物凄く小型なモンスターを従魔にして魔法をいきなり解き放して、周囲を破壊しつくすような事件を起こす人が出る可能性もあるだろう。
だからこそ、本当にどういう理屈で出来ているのか、その正しい仕組みを解明することによって、未然に防ぐための手段も探りたいということで、本日は休日返上で検証のための実験が行われることになった。
「まぁ、検証に関しては…より高度な専門家も呼びたかったのだけれども…技術の秘匿性を考えると、物凄く嫌すぎるけれども、物凄くできれば自主退場してほしかったけれども…馬鹿と天才の紙一重の様な人しか呼べなかったわね。技術が技術だけに、秘匿性も必要なのもあるけれども…良いかしら、あなたたち。これから来る人が、どれほどのスカポンタンだとしても、うっかり何かしでかすようなことは無いように、お願いするわね」
実験に同席するのは、魔法の授業担当のクジャーラ先生。
この従魔との魔法の行動を見ていた人でもあり、どれほどのものなのかその可能性…いや、危険性も秘めたものだと理解し、忠告してくれた人である。
そんな人とどうやらもう一人、これから来るらしく…大まかな分析は、その人が対応するようだ。
【というか、スカポンタンって…一体、どういう人が来るのでしょうか?】
「見れば早いけれども、見せないほうが良いとも言う…それなのに、信頼はできるという様々な矛盾を抱え込みまくったパンドラボックスの様な人よ」
ハクロの問いかけに対して、そう答えるクジャーラ先生。
パンドラボックス…いわゆる宝箱に擬態して人を喰らうとされるモンスターミミックの上位種に当たるものらしく、パンドラボックスのふたを開けた者には絶望と希望を9:1の割合で与えるというもの、
そんなものに例えられる時点で、相当ヤバい人しか想像できないだろう。
【ん?】
【ミ?】
「どうしたの、二人とも?」
【んー、何か今、いたような気がしたのなの】
【いえ、気のせいではなく…ここです!!】
ぐわしっ
「あだだだだだだっ!?あたまがあたまがあたまがにぎりつぶされるぅううう!!」
「…え?」
何もない場所をハクロがつかむと、悲鳴が上がった。
ぎりりりぃっと音を立てながら、うっすらと人型が浮かび上がり始める。
「ギブギブギギブ!!」
浮かび上がってきたのは、何やら厚着をしている長身の人物。
長い金髪の髪をゆらし、ギブアップ宣言をしている耳の尖った人…人?
「ああ、やっぱりサプライズも兼ねて、隠れてねっとりと観察しようとしていたのね、シルフィさん。ハクロちゃん、手を…もうちょっとだけ、強くしてあげて。多分、そうでもしないと反省しないから」
「いや、そこは手を放してあげてね、とかじゃないんですか!?」
「そうよ、そうでもしないとこの人多分、やらかすことが増えるからね…ああ、紹介するわね。彼女がその件のスカポンタン星人…もとい、エルフと呼ばれる亜人種族の一人で、モンスターの研究者でもあるシルフィさんよ。油断したら、やらかすから気を抜かないようにしてね」
クジャーラ先生によって紹介されたのが、この人…謎の不審者改め、シルフィという名の人。
何やらエルフとか気になる言葉が聞こえたが、そんなことよりこの状態はどうすれば良いのか。
「えっと、ハクロ、とりあえずその人放してあげて…って、どうしたの、その顔」
そういえばやけに珍しく、結構攻撃的な状態でつかんだままだなと思ってみたら、何やらハクロは険しい表情をしていた。
【んー、何故でしょうか。無性に物凄く、イライラするような香りがして…】
【分かるなの。どうしてか、かなりムカッとするような感覚がするのなの】
「おお!!流石、モンスターのお二人さん!!よくわかるね!!そう、実は我が身はちょっと過去のやらかしで特殊な呪いを受けていて、家からも勘当される原因となったこれを察するとは!!」
ギリリリリリ…
「そんなことはさておき、そろそろ頭がトメイトゥの実みたいにはじけそうだから、解放してくれぇぇぇ!!」
ハクロ達の反応に何やら期待したものがあったようだが、それと同時に痛いものももらっているシルフィさん。
どうしてハクロ達がやけにいらだったような状態になるのかはさておき…ひとまず、どうにかなだめて手を放してもらうのであった…
「本当に人の頭を爆散させられるところだったよ…ふふ、いつ以来かなぁ、このスリルは。痛みはきつかったとはいえ、人の手に近い構造だからか、ハーピーのかぎづめやグリフォンのマジ噛み、デュラハンのクロスチョップに人面魚のおうふくひれびんたとはまた違った味わいだったよ…」
「…ガチで痛がっていそうだったのに、まだ余裕がありそう」
「そういう人なのよ、この人。黙っていれば美人なのに、中身がウルトラ特級呪物とまで言われているような残念な人で…」
…世の中って、広いなぁ。
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