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訪れる学園生活
log-39 魔法の可能性と扉
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…ハクロ達の協力を得ることで、魔法を扱うことができた。
しかし、想定していたものとは違った効果を発揮しており、これがどうしてなのか調べる必要があるだろう。
【んー…でも、私たちが魔法を使った感覚は無いですね。どちらかと言えば…】
【ジャックの力がこう、流れて出た感じかも】
魔法を扱う際に彼女たちは意識しておらず、ただ魔法が成功すればいいかもと軽く思っていたらしい。
彼女たちの体内の魔石が媒体となって魔法が発動したのだろうが…そこに、意識は影響されていたのだろうか?
「ちょっと試してみる?今度は、ハクロ達は何か違う魔法を思い浮かべて、僕は同じ魔法をやるイメージで実験してみようか」
【そうですね、室内でも安全なもので…私は、風の魔法でそよ風を吹かせるイメージをしてみます】
【ミーは…光る玉を思い浮かべるなの】
「それじゃ、もう一度…っと」
ぽんっ
同じ要領でかつ、先ほどと違う条件で魔法を発動させてみたところ、結果は変わらず水球が3つ浮かんでいた。
どうやら発動のメインとなるのはジャック自身の意思のようで、ハクロ達のイメージには左右されないのだろうか。
何回か繰り返して実験してみたところ、原因はジャック自身にあるようだ。
確かに、ハクロ達の魔石を媒体にすれば、魔法を扱えることは扱える。
しかし、魔法を使う本人の出力に左右されるようで、数が増えるだけで、出る魔法の力は一人の時とそう大差はないようである。
イメージとしては、バケツから水をコップで運ぶ様子だろうか。
バケツの中にある水を、コップで外に出すのが、魔法を行使している状態。
ハクロ達の力を借りているときは、そのコップの数が増えただけであり、一度に出せる量はコップのサイズが変わらないため、そこまで大したものではない。
でも、数が多くなったのであれば消費量も同じぐらい増えるのではと思うが、その分の魔力自体はどうもハクロ達から出されているようであり…結果として出力自体は大差ないけれども、数だけを増やせるような状態になっているのかもしれない。
「もっと派手な魔法も使ってみたいけど…こういうのは才能や相性に左右されるのか…はたまたは、単純い使い始めたばかりだからうまく出せないだけか…」
【両方のような気もしますけれどね】
【練習すれば、もしかするともっとやれるのかもなの!】
まだまだ慣れない魔法の行使だからこそ、一度に出せる量がかなり微妙な物。
だけど、もしかすると努力すれば、量を増やすことができるかもしれない。
そう考えると、結構面白いものを見つけた気分になった。
そう思い、翌日の授業にて、再び魔法の授業があったのでクジャーラ先生に相談してみたのだが…
「…え、うそ。こんな例、知らないわよ」
「【【え?】】」
…どうやら、これはこれで何やらとんでもないことをしでかしてしまったらしい。
「従魔契約を行っている人の中で、魔法を扱える人はいることはいる。杖があれば、才能や相性次第で、使えるからね。でも、自身の従魔の魔石を、そのままの状態で行使して、魔法の数を増やすなんて芸当は…無いのよ」
「えっと、本当ですか?多少は、同じような発想に至って、試す人はいると思うのですけれども」
「そういう実験は、昔行われたことがあったという話はある。杖が破壊されたりとかして使用不可能になった時に、従魔の魔石を使えばその代わりになるのではないかという発想で。…でも、実験の結果、どうしても杖ではなく生きたままだからか、魔法は使えなかった…と、言う話しかないのよね」
先生曰く、このぐらいの発想ならばやる人はいた。
しかし、どれもこれも失敗しかなく、結果として実ることはなかった。
そう、今までは。
「…これは、綿密な調査が必要になりそうね。ただ、あまりにも特殊な事例だし…うーん、ハクロちゃんたちは中々珍しいモンスターだからというのもありそうで…余計にやっかいなことになりそうなのが何とも…」
ぶつぶつとつぶやきつつ、悩むクジャーラ先生。
ひとまずは、より専門的な人たちでないと分析が難しいということで、いったんこの話は置いておくことになった。
「でも、こういうのになると…絶対にあの人も出てきそうなのが、面倒なのよねぇ」
「あの人?」
「こっちじゃなくて、貴族用の学園にいる人で、モンスター専門家の資格を有する学者の……まぁ、会ってみればわかると思うわ」
言いよどんだ気がするが、何かろくでもない人なのだろうか?
少しだけ得られた情報では、根は悪くはない人らしいが…いわゆるトラブルメーカーというか、それを軽く凌駕するような人でもあるようだ。
そんな人、いて良いのだろうか。
そう思ったが、悲しいことに実力などは本当に凄腕な人物らしく、外に放逐すればたちどころにさらなる厄災を招きかねないらしく、目につく範囲でどうにか留める必要がある人でもあるようだ。
「滅茶苦茶不安にしか思えないのですが…」
「ええ、その認識で良いのよ。警戒は絶対に、緩めないようにするのが一番だわ」
【それ、ジャックに近づけて良い人ですか…?】
【なの…絶対に、やばい人にしか思えないなの】
「まだいいわ。相手が人間なら。でも、その人の本性が発揮されるのはモンスターの方だから…警戒するなら、あなた達の方かもね」
魔法が使えてこれから練習すればより楽しくなりそうだったはずだが、どうやらその前に面倒事が全力疾走で殴りかかってきたようであった…
しかし、想定していたものとは違った効果を発揮しており、これがどうしてなのか調べる必要があるだろう。
【んー…でも、私たちが魔法を使った感覚は無いですね。どちらかと言えば…】
【ジャックの力がこう、流れて出た感じかも】
魔法を扱う際に彼女たちは意識しておらず、ただ魔法が成功すればいいかもと軽く思っていたらしい。
彼女たちの体内の魔石が媒体となって魔法が発動したのだろうが…そこに、意識は影響されていたのだろうか?
「ちょっと試してみる?今度は、ハクロ達は何か違う魔法を思い浮かべて、僕は同じ魔法をやるイメージで実験してみようか」
【そうですね、室内でも安全なもので…私は、風の魔法でそよ風を吹かせるイメージをしてみます】
【ミーは…光る玉を思い浮かべるなの】
「それじゃ、もう一度…っと」
ぽんっ
同じ要領でかつ、先ほどと違う条件で魔法を発動させてみたところ、結果は変わらず水球が3つ浮かんでいた。
どうやら発動のメインとなるのはジャック自身の意思のようで、ハクロ達のイメージには左右されないのだろうか。
何回か繰り返して実験してみたところ、原因はジャック自身にあるようだ。
確かに、ハクロ達の魔石を媒体にすれば、魔法を扱えることは扱える。
しかし、魔法を使う本人の出力に左右されるようで、数が増えるだけで、出る魔法の力は一人の時とそう大差はないようである。
イメージとしては、バケツから水をコップで運ぶ様子だろうか。
バケツの中にある水を、コップで外に出すのが、魔法を行使している状態。
ハクロ達の力を借りているときは、そのコップの数が増えただけであり、一度に出せる量はコップのサイズが変わらないため、そこまで大したものではない。
でも、数が多くなったのであれば消費量も同じぐらい増えるのではと思うが、その分の魔力自体はどうもハクロ達から出されているようであり…結果として出力自体は大差ないけれども、数だけを増やせるような状態になっているのかもしれない。
「もっと派手な魔法も使ってみたいけど…こういうのは才能や相性に左右されるのか…はたまたは、単純い使い始めたばかりだからうまく出せないだけか…」
【両方のような気もしますけれどね】
【練習すれば、もしかするともっとやれるのかもなの!】
まだまだ慣れない魔法の行使だからこそ、一度に出せる量がかなり微妙な物。
だけど、もしかすると努力すれば、量を増やすことができるかもしれない。
そう考えると、結構面白いものを見つけた気分になった。
そう思い、翌日の授業にて、再び魔法の授業があったのでクジャーラ先生に相談してみたのだが…
「…え、うそ。こんな例、知らないわよ」
「【【え?】】」
…どうやら、これはこれで何やらとんでもないことをしでかしてしまったらしい。
「従魔契約を行っている人の中で、魔法を扱える人はいることはいる。杖があれば、才能や相性次第で、使えるからね。でも、自身の従魔の魔石を、そのままの状態で行使して、魔法の数を増やすなんて芸当は…無いのよ」
「えっと、本当ですか?多少は、同じような発想に至って、試す人はいると思うのですけれども」
「そういう実験は、昔行われたことがあったという話はある。杖が破壊されたりとかして使用不可能になった時に、従魔の魔石を使えばその代わりになるのではないかという発想で。…でも、実験の結果、どうしても杖ではなく生きたままだからか、魔法は使えなかった…と、言う話しかないのよね」
先生曰く、このぐらいの発想ならばやる人はいた。
しかし、どれもこれも失敗しかなく、結果として実ることはなかった。
そう、今までは。
「…これは、綿密な調査が必要になりそうね。ただ、あまりにも特殊な事例だし…うーん、ハクロちゃんたちは中々珍しいモンスターだからというのもありそうで…余計にやっかいなことになりそうなのが何とも…」
ぶつぶつとつぶやきつつ、悩むクジャーラ先生。
ひとまずは、より専門的な人たちでないと分析が難しいということで、いったんこの話は置いておくことになった。
「でも、こういうのになると…絶対にあの人も出てきそうなのが、面倒なのよねぇ」
「あの人?」
「こっちじゃなくて、貴族用の学園にいる人で、モンスター専門家の資格を有する学者の……まぁ、会ってみればわかると思うわ」
言いよどんだ気がするが、何かろくでもない人なのだろうか?
少しだけ得られた情報では、根は悪くはない人らしいが…いわゆるトラブルメーカーというか、それを軽く凌駕するような人でもあるようだ。
そんな人、いて良いのだろうか。
そう思ったが、悲しいことに実力などは本当に凄腕な人物らしく、外に放逐すればたちどころにさらなる厄災を招きかねないらしく、目につく範囲でどうにか留める必要がある人でもあるようだ。
「滅茶苦茶不安にしか思えないのですが…」
「ええ、その認識で良いのよ。警戒は絶対に、緩めないようにするのが一番だわ」
【それ、ジャックに近づけて良い人ですか…?】
【なの…絶対に、やばい人にしか思えないなの】
「まだいいわ。相手が人間なら。でも、その人の本性が発揮されるのはモンスターの方だから…警戒するなら、あなた達の方かもね」
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