30 / 178
王都への道のり
log-028 ようやく到着した王都ですが
しおりを挟む
「おーい、坊主たち、そろそろつくぞー」
「ようやくか、結構長かったような気がするなぁ」
【実際、道中濃い部分多かったですからね】
【ミー、記憶でちょっとわかるけど、わからないなの】
馬車の外でタゴサックを動かしつつ、王都が近づいてきたことを知らせてくれるガンゴードさん。
短いようで長く感じた、村から王都までの旅路も今、ようやく終わりを迎えそうである。
いやまぁ、長く感じた原因とすればボボン村の悪魔騒動だったり、トレントの実だったはずがアルラウネのカトレアが誕生するなど様々なことがあったせいなのもあるだろう。
しかしながら、そんなドタバタ道中劇場もこのグラビティ王国の王都まで来てしまえばようやく幕を下ろせる。
あとは普通に、中に入って学園へ向かうだけで良かったが…終盤だからこそ、気を抜いてはいけないのだろう。
「ん?」
「どうしたの、ガンゴードさん」
「いや、何やら東口のほうが騒がしいようでな…何かあったのか?」
王都は周辺のモンスターの襲撃に備えて大きな壁が建設されており、出入り口は東西南北に分かれている。
それぞれの入り口は用途ごとに振り分けられており、馬車は大きめの東口から手続きをしてはいるらしいのだが…どうも、その入り口付近で何か騒ぎが起きているようだ。
ずらっと列が並んでおり、その後方なので見えないのだが、少しばかり騒がしい。
【んー、確かに言い争いの声が聞こえますね】
流石にまだ王都内での人の反応が未知数のため、幌馬車内に全員いる状態だが、ハクロは聞こえているらしい。
【ミーも聞こえるけど、何?】
【ふむ、内容は…どこかの商会?とかいうのが、争っているようです】
「商会?」
「こういう出入り口での争いごとは渋滞の原因になるから禁じられているはずだが…嬢ちゃん、どこのやつか分かるか?距離があって人間だと確認するのが厳しいぞ」
【えっと…エチゴン商会って言ってますね。商品の検閲で、何かひっかかったようです】
「エチゴン商会…あー、あれか、大問題のやつか」
ガンゴードさん曰く、どうやら問題児と言って良いような、最近できたばかりの商会らしい。
商品を提供する早さは中々のものだが、品質や数に問題があるなど、商売としては不味い信用性が悪いらしく、出来上がって早々に大問題で潰れるのではないかと言われている商会のようだ。
「いや、そんなことを言わなくても、商売の世界は信用第一そうだから、それが無い時点でダメなのでは…」
「そのはずなんだが、バックに何か貴族が付いているらしくてな。ギリギリの瀬戸際を渡っているが、かろうじて持ちこたえているようだ」
「そんなもの好きな貴族、いるのかなぁ…」
「いるのだから仕方が無い。この国の貴族の大部分は素晴らしい方も多いが、それでもどうしようもないものもいるからな…過去には、世界一の素晴らしい料理を食べたいと言って、超高級食材を全国から取り寄せ、調理した結果…世界一不味い料理を生み出してしまい、有名になったやつもいると聞くからな」
思っていたこととは逆だが、その貴族はそれはそれで有名になって、食糧事情の改善に貢献するようになったから良い方ではあるらしい。
そんなことはともかく、全てが清廉潔白ではすまず、多少の汚濁が…その部分でもこびりついた汚れのように中々取れないような輩は存在しており、それに支援を受けているのではないかと言われているのが、エチゴン商会だとか。
ボォォォォン!!
「何だ!?」
「何か爆発したんだけど!?」
説明を受けていると、何やら急に争いの現場から爆発が生じた。
「うぉぉぉい!!やべぇぞ!!ボムバードが逃げ出したぁぁ!!」
「奴らに触れるなぁ!!!触るだけで、爆発するぞぉ!!」
「なんて迷惑なやつが、解き放たれているんだよ!!」
―――
『ボムバード』
見た目は鶏に近いが、爆発怪鳥とも呼ばれる危険な鳥のモンスター。
慎重に調理すれば、舌の上ではじけるような美味しさをもつ食材の類でもあるが、扱い方を間違えればその場で爆発し、散ってしまう性質を持つ。
何故触れるだけで爆発するのかと言えば、それが彼らにとって最良の逃亡手段であり、身ではなく羽が爆発するようになっており、敵が爆発でひるんだすきに逃げようとする習性がある。
魔石が砕ければ爆発しないので、輸送するときはしっかりと息の根を止めさせる必要があるが…
―――
【なるほど…どうやら食材として、生きた状態のボムバードを輸送していて、それがとがめられたようですね】
「ああ、それは確かにいけねぇことだな。やつらは食材扱いだが、生きたままでの輸送は禁止されているんだ。新鮮さを保つためにギリギリまで生かし続けるというのもあるが…それをしていなかったんだろうな」
大体の内容を聞きだせたが、要はエチゴン商会のずさんな手続きがやらかしを招いてしまったということである。
そして、ボムバードたちはいきおいよく駆け抜け始めるのであった…
「ようやくか、結構長かったような気がするなぁ」
【実際、道中濃い部分多かったですからね】
【ミー、記憶でちょっとわかるけど、わからないなの】
馬車の外でタゴサックを動かしつつ、王都が近づいてきたことを知らせてくれるガンゴードさん。
短いようで長く感じた、村から王都までの旅路も今、ようやく終わりを迎えそうである。
いやまぁ、長く感じた原因とすればボボン村の悪魔騒動だったり、トレントの実だったはずがアルラウネのカトレアが誕生するなど様々なことがあったせいなのもあるだろう。
しかしながら、そんなドタバタ道中劇場もこのグラビティ王国の王都まで来てしまえばようやく幕を下ろせる。
あとは普通に、中に入って学園へ向かうだけで良かったが…終盤だからこそ、気を抜いてはいけないのだろう。
「ん?」
「どうしたの、ガンゴードさん」
「いや、何やら東口のほうが騒がしいようでな…何かあったのか?」
王都は周辺のモンスターの襲撃に備えて大きな壁が建設されており、出入り口は東西南北に分かれている。
それぞれの入り口は用途ごとに振り分けられており、馬車は大きめの東口から手続きをしてはいるらしいのだが…どうも、その入り口付近で何か騒ぎが起きているようだ。
ずらっと列が並んでおり、その後方なので見えないのだが、少しばかり騒がしい。
【んー、確かに言い争いの声が聞こえますね】
流石にまだ王都内での人の反応が未知数のため、幌馬車内に全員いる状態だが、ハクロは聞こえているらしい。
【ミーも聞こえるけど、何?】
【ふむ、内容は…どこかの商会?とかいうのが、争っているようです】
「商会?」
「こういう出入り口での争いごとは渋滞の原因になるから禁じられているはずだが…嬢ちゃん、どこのやつか分かるか?距離があって人間だと確認するのが厳しいぞ」
【えっと…エチゴン商会って言ってますね。商品の検閲で、何かひっかかったようです】
「エチゴン商会…あー、あれか、大問題のやつか」
ガンゴードさん曰く、どうやら問題児と言って良いような、最近できたばかりの商会らしい。
商品を提供する早さは中々のものだが、品質や数に問題があるなど、商売としては不味い信用性が悪いらしく、出来上がって早々に大問題で潰れるのではないかと言われている商会のようだ。
「いや、そんなことを言わなくても、商売の世界は信用第一そうだから、それが無い時点でダメなのでは…」
「そのはずなんだが、バックに何か貴族が付いているらしくてな。ギリギリの瀬戸際を渡っているが、かろうじて持ちこたえているようだ」
「そんなもの好きな貴族、いるのかなぁ…」
「いるのだから仕方が無い。この国の貴族の大部分は素晴らしい方も多いが、それでもどうしようもないものもいるからな…過去には、世界一の素晴らしい料理を食べたいと言って、超高級食材を全国から取り寄せ、調理した結果…世界一不味い料理を生み出してしまい、有名になったやつもいると聞くからな」
思っていたこととは逆だが、その貴族はそれはそれで有名になって、食糧事情の改善に貢献するようになったから良い方ではあるらしい。
そんなことはともかく、全てが清廉潔白ではすまず、多少の汚濁が…その部分でもこびりついた汚れのように中々取れないような輩は存在しており、それに支援を受けているのではないかと言われているのが、エチゴン商会だとか。
ボォォォォン!!
「何だ!?」
「何か爆発したんだけど!?」
説明を受けていると、何やら急に争いの現場から爆発が生じた。
「うぉぉぉい!!やべぇぞ!!ボムバードが逃げ出したぁぁ!!」
「奴らに触れるなぁ!!!触るだけで、爆発するぞぉ!!」
「なんて迷惑なやつが、解き放たれているんだよ!!」
―――
『ボムバード』
見た目は鶏に近いが、爆発怪鳥とも呼ばれる危険な鳥のモンスター。
慎重に調理すれば、舌の上ではじけるような美味しさをもつ食材の類でもあるが、扱い方を間違えればその場で爆発し、散ってしまう性質を持つ。
何故触れるだけで爆発するのかと言えば、それが彼らにとって最良の逃亡手段であり、身ではなく羽が爆発するようになっており、敵が爆発でひるんだすきに逃げようとする習性がある。
魔石が砕ければ爆発しないので、輸送するときはしっかりと息の根を止めさせる必要があるが…
―――
【なるほど…どうやら食材として、生きた状態のボムバードを輸送していて、それがとがめられたようですね】
「ああ、それは確かにいけねぇことだな。やつらは食材扱いだが、生きたままでの輸送は禁止されているんだ。新鮮さを保つためにギリギリまで生かし続けるというのもあるが…それをしていなかったんだろうな」
大体の内容を聞きだせたが、要はエチゴン商会のずさんな手続きがやらかしを招いてしまったということである。
そして、ボムバードたちはいきおいよく駆け抜け始めるのであった…
41
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。


てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。


【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?
BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。
婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし
こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。
この場所で貴方達の味方はいるのかしら?
【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる