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王都への道のり
log-028 ようやく到着した王都ですが
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「おーい、坊主たち、そろそろつくぞー」
「ようやくか、結構長かったような気がするなぁ」
【実際、道中濃い部分多かったですからね】
【ミー、記憶でちょっとわかるけど、わからないなの】
馬車の外でタゴサックを動かしつつ、王都が近づいてきたことを知らせてくれるガンゴードさん。
短いようで長く感じた、村から王都までの旅路も今、ようやく終わりを迎えそうである。
いやまぁ、長く感じた原因とすればボボン村の悪魔騒動だったり、トレントの実だったはずがアルラウネのカトレアが誕生するなど様々なことがあったせいなのもあるだろう。
しかしながら、そんなドタバタ道中劇場もこのグラビティ王国の王都まで来てしまえばようやく幕を下ろせる。
あとは普通に、中に入って学園へ向かうだけで良かったが…終盤だからこそ、気を抜いてはいけないのだろう。
「ん?」
「どうしたの、ガンゴードさん」
「いや、何やら東口のほうが騒がしいようでな…何かあったのか?」
王都は周辺のモンスターの襲撃に備えて大きな壁が建設されており、出入り口は東西南北に分かれている。
それぞれの入り口は用途ごとに振り分けられており、馬車は大きめの東口から手続きをしてはいるらしいのだが…どうも、その入り口付近で何か騒ぎが起きているようだ。
ずらっと列が並んでおり、その後方なので見えないのだが、少しばかり騒がしい。
【んー、確かに言い争いの声が聞こえますね】
流石にまだ王都内での人の反応が未知数のため、幌馬車内に全員いる状態だが、ハクロは聞こえているらしい。
【ミーも聞こえるけど、何?】
【ふむ、内容は…どこかの商会?とかいうのが、争っているようです】
「商会?」
「こういう出入り口での争いごとは渋滞の原因になるから禁じられているはずだが…嬢ちゃん、どこのやつか分かるか?距離があって人間だと確認するのが厳しいぞ」
【えっと…エチゴン商会って言ってますね。商品の検閲で、何かひっかかったようです】
「エチゴン商会…あー、あれか、大問題のやつか」
ガンゴードさん曰く、どうやら問題児と言って良いような、最近できたばかりの商会らしい。
商品を提供する早さは中々のものだが、品質や数に問題があるなど、商売としては不味い信用性が悪いらしく、出来上がって早々に大問題で潰れるのではないかと言われている商会のようだ。
「いや、そんなことを言わなくても、商売の世界は信用第一そうだから、それが無い時点でダメなのでは…」
「そのはずなんだが、バックに何か貴族が付いているらしくてな。ギリギリの瀬戸際を渡っているが、かろうじて持ちこたえているようだ」
「そんなもの好きな貴族、いるのかなぁ…」
「いるのだから仕方が無い。この国の貴族の大部分は素晴らしい方も多いが、それでもどうしようもないものもいるからな…過去には、世界一の素晴らしい料理を食べたいと言って、超高級食材を全国から取り寄せ、調理した結果…世界一不味い料理を生み出してしまい、有名になったやつもいると聞くからな」
思っていたこととは逆だが、その貴族はそれはそれで有名になって、食糧事情の改善に貢献するようになったから良い方ではあるらしい。
そんなことはともかく、全てが清廉潔白ではすまず、多少の汚濁が…その部分でもこびりついた汚れのように中々取れないような輩は存在しており、それに支援を受けているのではないかと言われているのが、エチゴン商会だとか。
ボォォォォン!!
「何だ!?」
「何か爆発したんだけど!?」
説明を受けていると、何やら急に争いの現場から爆発が生じた。
「うぉぉぉい!!やべぇぞ!!ボムバードが逃げ出したぁぁ!!」
「奴らに触れるなぁ!!!触るだけで、爆発するぞぉ!!」
「なんて迷惑なやつが、解き放たれているんだよ!!」
―――
『ボムバード』
見た目は鶏に近いが、爆発怪鳥とも呼ばれる危険な鳥のモンスター。
慎重に調理すれば、舌の上ではじけるような美味しさをもつ食材の類でもあるが、扱い方を間違えればその場で爆発し、散ってしまう性質を持つ。
何故触れるだけで爆発するのかと言えば、それが彼らにとって最良の逃亡手段であり、身ではなく羽が爆発するようになっており、敵が爆発でひるんだすきに逃げようとする習性がある。
魔石が砕ければ爆発しないので、輸送するときはしっかりと息の根を止めさせる必要があるが…
―――
【なるほど…どうやら食材として、生きた状態のボムバードを輸送していて、それがとがめられたようですね】
「ああ、それは確かにいけねぇことだな。やつらは食材扱いだが、生きたままでの輸送は禁止されているんだ。新鮮さを保つためにギリギリまで生かし続けるというのもあるが…それをしていなかったんだろうな」
大体の内容を聞きだせたが、要はエチゴン商会のずさんな手続きがやらかしを招いてしまったということである。
そして、ボムバードたちはいきおいよく駆け抜け始めるのであった…
「ようやくか、結構長かったような気がするなぁ」
【実際、道中濃い部分多かったですからね】
【ミー、記憶でちょっとわかるけど、わからないなの】
馬車の外でタゴサックを動かしつつ、王都が近づいてきたことを知らせてくれるガンゴードさん。
短いようで長く感じた、村から王都までの旅路も今、ようやく終わりを迎えそうである。
いやまぁ、長く感じた原因とすればボボン村の悪魔騒動だったり、トレントの実だったはずがアルラウネのカトレアが誕生するなど様々なことがあったせいなのもあるだろう。
しかしながら、そんなドタバタ道中劇場もこのグラビティ王国の王都まで来てしまえばようやく幕を下ろせる。
あとは普通に、中に入って学園へ向かうだけで良かったが…終盤だからこそ、気を抜いてはいけないのだろう。
「ん?」
「どうしたの、ガンゴードさん」
「いや、何やら東口のほうが騒がしいようでな…何かあったのか?」
王都は周辺のモンスターの襲撃に備えて大きな壁が建設されており、出入り口は東西南北に分かれている。
それぞれの入り口は用途ごとに振り分けられており、馬車は大きめの東口から手続きをしてはいるらしいのだが…どうも、その入り口付近で何か騒ぎが起きているようだ。
ずらっと列が並んでおり、その後方なので見えないのだが、少しばかり騒がしい。
【んー、確かに言い争いの声が聞こえますね】
流石にまだ王都内での人の反応が未知数のため、幌馬車内に全員いる状態だが、ハクロは聞こえているらしい。
【ミーも聞こえるけど、何?】
【ふむ、内容は…どこかの商会?とかいうのが、争っているようです】
「商会?」
「こういう出入り口での争いごとは渋滞の原因になるから禁じられているはずだが…嬢ちゃん、どこのやつか分かるか?距離があって人間だと確認するのが厳しいぞ」
【えっと…エチゴン商会って言ってますね。商品の検閲で、何かひっかかったようです】
「エチゴン商会…あー、あれか、大問題のやつか」
ガンゴードさん曰く、どうやら問題児と言って良いような、最近できたばかりの商会らしい。
商品を提供する早さは中々のものだが、品質や数に問題があるなど、商売としては不味い信用性が悪いらしく、出来上がって早々に大問題で潰れるのではないかと言われている商会のようだ。
「いや、そんなことを言わなくても、商売の世界は信用第一そうだから、それが無い時点でダメなのでは…」
「そのはずなんだが、バックに何か貴族が付いているらしくてな。ギリギリの瀬戸際を渡っているが、かろうじて持ちこたえているようだ」
「そんなもの好きな貴族、いるのかなぁ…」
「いるのだから仕方が無い。この国の貴族の大部分は素晴らしい方も多いが、それでもどうしようもないものもいるからな…過去には、世界一の素晴らしい料理を食べたいと言って、超高級食材を全国から取り寄せ、調理した結果…世界一不味い料理を生み出してしまい、有名になったやつもいると聞くからな」
思っていたこととは逆だが、その貴族はそれはそれで有名になって、食糧事情の改善に貢献するようになったから良い方ではあるらしい。
そんなことはともかく、全てが清廉潔白ではすまず、多少の汚濁が…その部分でもこびりついた汚れのように中々取れないような輩は存在しており、それに支援を受けているのではないかと言われているのが、エチゴン商会だとか。
ボォォォォン!!
「何だ!?」
「何か爆発したんだけど!?」
説明を受けていると、何やら急に争いの現場から爆発が生じた。
「うぉぉぉい!!やべぇぞ!!ボムバードが逃げ出したぁぁ!!」
「奴らに触れるなぁ!!!触るだけで、爆発するぞぉ!!」
「なんて迷惑なやつが、解き放たれているんだよ!!」
―――
『ボムバード』
見た目は鶏に近いが、爆発怪鳥とも呼ばれる危険な鳥のモンスター。
慎重に調理すれば、舌の上ではじけるような美味しさをもつ食材の類でもあるが、扱い方を間違えればその場で爆発し、散ってしまう性質を持つ。
何故触れるだけで爆発するのかと言えば、それが彼らにとって最良の逃亡手段であり、身ではなく羽が爆発するようになっており、敵が爆発でひるんだすきに逃げようとする習性がある。
魔石が砕ければ爆発しないので、輸送するときはしっかりと息の根を止めさせる必要があるが…
―――
【なるほど…どうやら食材として、生きた状態のボムバードを輸送していて、それがとがめられたようですね】
「ああ、それは確かにいけねぇことだな。やつらは食材扱いだが、生きたままでの輸送は禁止されているんだ。新鮮さを保つためにギリギリまで生かし続けるというのもあるが…それをしていなかったんだろうな」
大体の内容を聞きだせたが、要はエチゴン商会のずさんな手続きがやらかしを招いてしまったということである。
そして、ボムバードたちはいきおいよく駆け抜け始めるのであった…
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