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王都への道のり
log-026 月光の花と混乱の朝
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…王都まで、あと少し。
明日の昼半ばには到着するようで、今晩はここで野宿となる。
周囲にはしっかりとハクロが罠を張っているが、もう間もなく王都が近いこともあってか、襲撃者もそんなに出ることはない様子。
そのためか今晩は珍しく彼女も寝ることにして…馬車の中で、寝息を立てつつ、しっかりジャックを抱きしめて眠っていた。
【すぅ…むにゅ…ジャック、ふふふ…】
「んー…うにゅ…」
がっしり抱き枕にして眠っているが、これでも周囲への警戒はまだ行っている方。
賊の情報などが少ないとはいえ、完全に安心とは言えず、だからこそ悪意や敵意があればすぐさま飛び起きて動けるようにしているのである。
だがしかし、それはあくまでもこの場所に敵意などが向けられた場合であり…それ以外に関しては、少しばかり鈍くなるのが欠点である。
そう、例えばこの馬車の中で、それ以外のものがあったら、どうなのか。
―――月の明かりが少しばかり、馬車の隙間から中に入り、照らしこむ。
中にいた者たちを目覚めさせるには弱かったが、それでも…鉢に植えられていた種を目覚めさせるには十分だったようだ。
ぴよこん
鉢から目が出て、月明かりに誘われるように伸び、成長していく。
日光よりも弱いが、それでも月の明かりは何かを感じさせるのか、わからない。
ただ一つ言えるのは、次第に大きくなり、蕾を付け、膨らませ…成長しているという事実のみである…
…明け方ごろ、月の代わりに太陽が上がってきて、日の光が少しづつ照らしていく。
「…ん、ふわぁ…何か、寝返りしにくいなと思ったら…ハクロか」
少しばかり日光が差し込み、起床したジャック。
自身の体が動きにくいなと思っていたが、みればがっしりとハクロに捕らわれた状態になっていた。
【んにゅぅ…ふふふ…】
「…ぐっすり寝ているなぁ」
普段眠る必要が無い彼女だが、出来る時はとことん爆睡する気なのだろうか。
寝る前に、悪意などがあれば即座に飛び起きて、相手を瞬時にサイコロにするとか言っていたが、この寝顔からは想像できないだろう。
というか、ちょっと話してほしい。
がっつり抱きしめられているせいで、彼女の豊かな部分の感触が、触れている個所からわかってしまう。
なんとなく気恥ずかしく、どこかに目を向けて考えをそらそうとしていた時…彼は見つけた。
「…あれ?」
目線の先にあったのは、一つの鉢。
それは種を植えたばかりのもので、時間が立てば学園の庭にでも植え替える必要があるかなと思っていたものだったが…今、明らかに鉢が限界を超える状態になっていたのだ。
みっちみちというか、ぎっちぎちというか…鉢のサイズをはるかに超えるサイズの大きな蕾を膨らませていたのだから。
「…やっぱ、モンスターのほうだったのか」
トレントの種は、普通の植物か同じようなモンスターか、半々ぐらいだとは聞いていたが、種の元となった実をくれたあれは、明らかに通常の者とは違うもの。
それゆえに、モンスターになる可能性のほうが高いかと内心思っていたが…どうやらその感覚は当たっていたらしい。
そもそも、一夜にしてここまでの急激な成長をする植物な時点で、考えずとも察せそうだ。
いや、一部例外もありそうだが…とにもかくにも、どうやら開花寸前のようである。
みちちち…ぱちん
何かが破裂したかのような音がしたかと思えば、次の瞬間には花が開いた。
どうじにぶわっと甘い香りが漂いつつ…その中身と目が合った。
薄いピンク色の美しい花の中からはえているような、少女の体。薄い花びらのような装飾を身に纏いつつ、透けて見える褐色の肌色。
銀髪…いや、ほのかに淡いピンク色で、目の色は淡い緑だ。
【…ふわぁ…どうしました、ジャック。何か今、変な動き…ふぇ?】
しばし思考が追い付かない中、ハクロが目を覚まし、同様のものを見て変な声を上げて固まる。
そろってジャックたちは、混乱の海に叩き落とされたようであった…
「いや、本当に何、これ。トレント?でもあの大木とは違い過ぎるというか、何をどうして…変な肥料でも混ぜたっけ?」
【いえ、そんなもの入れてないですよ。えっと、種を植えて水をかけたぐらいで…】
明日の昼半ばには到着するようで、今晩はここで野宿となる。
周囲にはしっかりとハクロが罠を張っているが、もう間もなく王都が近いこともあってか、襲撃者もそんなに出ることはない様子。
そのためか今晩は珍しく彼女も寝ることにして…馬車の中で、寝息を立てつつ、しっかりジャックを抱きしめて眠っていた。
【すぅ…むにゅ…ジャック、ふふふ…】
「んー…うにゅ…」
がっしり抱き枕にして眠っているが、これでも周囲への警戒はまだ行っている方。
賊の情報などが少ないとはいえ、完全に安心とは言えず、だからこそ悪意や敵意があればすぐさま飛び起きて動けるようにしているのである。
だがしかし、それはあくまでもこの場所に敵意などが向けられた場合であり…それ以外に関しては、少しばかり鈍くなるのが欠点である。
そう、例えばこの馬車の中で、それ以外のものがあったら、どうなのか。
―――月の明かりが少しばかり、馬車の隙間から中に入り、照らしこむ。
中にいた者たちを目覚めさせるには弱かったが、それでも…鉢に植えられていた種を目覚めさせるには十分だったようだ。
ぴよこん
鉢から目が出て、月明かりに誘われるように伸び、成長していく。
日光よりも弱いが、それでも月の明かりは何かを感じさせるのか、わからない。
ただ一つ言えるのは、次第に大きくなり、蕾を付け、膨らませ…成長しているという事実のみである…
…明け方ごろ、月の代わりに太陽が上がってきて、日の光が少しづつ照らしていく。
「…ん、ふわぁ…何か、寝返りしにくいなと思ったら…ハクロか」
少しばかり日光が差し込み、起床したジャック。
自身の体が動きにくいなと思っていたが、みればがっしりとハクロに捕らわれた状態になっていた。
【んにゅぅ…ふふふ…】
「…ぐっすり寝ているなぁ」
普段眠る必要が無い彼女だが、出来る時はとことん爆睡する気なのだろうか。
寝る前に、悪意などがあれば即座に飛び起きて、相手を瞬時にサイコロにするとか言っていたが、この寝顔からは想像できないだろう。
というか、ちょっと話してほしい。
がっつり抱きしめられているせいで、彼女の豊かな部分の感触が、触れている個所からわかってしまう。
なんとなく気恥ずかしく、どこかに目を向けて考えをそらそうとしていた時…彼は見つけた。
「…あれ?」
目線の先にあったのは、一つの鉢。
それは種を植えたばかりのもので、時間が立てば学園の庭にでも植え替える必要があるかなと思っていたものだったが…今、明らかに鉢が限界を超える状態になっていたのだ。
みっちみちというか、ぎっちぎちというか…鉢のサイズをはるかに超えるサイズの大きな蕾を膨らませていたのだから。
「…やっぱ、モンスターのほうだったのか」
トレントの種は、普通の植物か同じようなモンスターか、半々ぐらいだとは聞いていたが、種の元となった実をくれたあれは、明らかに通常の者とは違うもの。
それゆえに、モンスターになる可能性のほうが高いかと内心思っていたが…どうやらその感覚は当たっていたらしい。
そもそも、一夜にしてここまでの急激な成長をする植物な時点で、考えずとも察せそうだ。
いや、一部例外もありそうだが…とにもかくにも、どうやら開花寸前のようである。
みちちち…ぱちん
何かが破裂したかのような音がしたかと思えば、次の瞬間には花が開いた。
どうじにぶわっと甘い香りが漂いつつ…その中身と目が合った。
薄いピンク色の美しい花の中からはえているような、少女の体。薄い花びらのような装飾を身に纏いつつ、透けて見える褐色の肌色。
銀髪…いや、ほのかに淡いピンク色で、目の色は淡い緑だ。
【…ふわぁ…どうしました、ジャック。何か今、変な動き…ふぇ?】
しばし思考が追い付かない中、ハクロが目を覚まし、同様のものを見て変な声を上げて固まる。
そろってジャックたちは、混乱の海に叩き落とされたようであった…
「いや、本当に何、これ。トレント?でもあの大木とは違い過ぎるというか、何をどうして…変な肥料でも混ぜたっけ?」
【いえ、そんなもの入れてないですよ。えっと、種を植えて水をかけたぐらいで…】
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