絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波

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王都への道のり

log-018 準備はしっかり、量はあっさり

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…王都の学園への推薦。
 それはつまり、この村から数年間は離れることになるのだが、両親に話したところ、こちらもあっさりと許諾を得た。
 
 こういう制度はかなり前からあり、実例が多いからこそ信頼もあるのだろう。

 ついでに言えば、もう一つ…

「ハクロちゃん、あっちでこの子をお願いね」
【任せてください、お義母様!!ジャックの身は、私が守りますからね】

 ぐっと母の手を握り、そう答えるハクロ。
 彼女の方の信頼もあるがゆえに、送り出しやすいのだろう。

「でも、うっかり襲っちゃ駄目よ?まだ幼いこの子にやらかしたら…どうなるかしたね」
【…ダイジョウブデスヨ】

 目を思いっきりそらしたけど、本当に大丈夫?



 とにもかくにも、王都の学園にある寮へ入寮し、生活することになる。
 それなりの準備をしなければいけないとは思ったが…思いのほか、荷物は少なさそうだ。

「というか、王都までの旅費は国が出すのか…村に来る馬車に乗っていく形だね」

 国に役に立つ若者になってもらうためなのか、保証はしっかりされている模様。
 三日後にやってくるという、推薦者用の馬車に搭乗し、王都へ向かうことになるようだ。

【でも、普通の馬車に私、乗れますでしょうか?うーん、場合によっては並走する必要がありそうです】
「一応、ハクロを連れていくことは連絡済みで、対応できるタイプの馬車がやってくるらしいよ。大型の幌馬車で、その中に入って移動する形だって」

 そのあたりもしっかり考えられているようで、用意は既に行われている様子。
 ただ、何となく手回しが早いような…気にするようなことでもないか。移動に不便でなければ、それはそれで良い。

「あとは、王都の学園で直接提出の必要がある関係書類の記入っと…ああ、制服は現地で採寸して作られるのか。数日間は出来上がるまでの数日間は私服になるから、替えの服を用意する必要もあると」
【私も作ろうと思えば作れますが…残念、モンスター用の制服は無いようですね。その代り、従魔契約の証があっても、より見やすいように、従魔用の装飾品が用意されるようです】

 契約の証が見えていても、よりはっきりと周知してもらうために必要な代物らしい。
 首輪、腕輪、鼻輪、ピアス、指輪、…様々なタイプが取り揃えられているようで、こちらも現地で確認し、選択してつけるようである。
 綺麗な宝石のようだが、魔道具の一種であり、いざという時の居場所探知にも使われるようだ。

【個人的には、指輪を希望したいですが…他も捨てがたいですね。首輪もありでしょうか?】
「いや、それは絵面的に何か駄目な気がする」

 その選択を行わないように、しっかり見る必要があるか。

 入念に準備を進め、王都へ向かう日が迫ってくるのであった…

【それにしても、王都ではお小遣い稼ぎのバイトもありですか…ふむ、私も、色々とやりたいですし、やるのもありですね】
「ハクロのバイトねぇ…あれ、モンスターのバイトってあるのかな…」

…気になってバイトに関しての冊子ももらっていたので確認したら、いくつか存在はしていた。
 従魔契約を結ぶ生徒は少ないようだが、それでも連れてきて、その生活費の足しにするためにやる前例がいくつもあったからこそ、用意されているらしい。
 猫カフェ的なものとか…それはそれて行ってみたいな。
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