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運命の結びつき
log-013 かくしてこれはこれで出会いもあり
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―――冒険者パーティ『輝きのラッパ』のリーダー、ダンデーム。
ゴブリンたちの手による最後を覚悟していたが…命は救われた。
突如として現れた、美しき蜘蛛の姫。
そう言い表せるような者が姿を見せ、あっという間にゴブリンたちを撃退する。
しかしながら、それでもこのゴブリンたちによる危機は去ったわけではなく…
【…つまり、皆さんはあのゴブリンロードたちの群れを調査していたと】
「そのとおりだ。ある程度把握してからのほうが、どのぐらいの危険度があるのか、どういう戦法が可能かなど、作戦を立てやすいが…こうやって実際に目の当たりにしてみれば、事態は我々の想定以上のものになっていると見て良いだろう」
…ゴブリンたちの次の攻撃は、あの糸の壁とやらが壊れた時に来るだろう。
ある程度の時間稼ぎにはなるようで、今のうちにと思い、情報を伝え合う。
【なるほど…嫌な感じがすると思ったら、群れ自体が何者かの支配下に置かれている可能性もある…統率の取れた相手は厄介ですからね】
情報を聞き、考え込むようなそぶりを見せるのは、この一団を救ってくれたモンスター…ハクロと名乗る蜘蛛のモンスターだ。
救ってくれたようだが…どうやら、彼女の目的はこの群れに関しての情報のようだった。
「ダンデーム、良いのか、この情報を話して?」
「問題ないだろう。彼女は情報を欲し、我々は救いによる対価として支払っているだけだ。それに…得られた情報をこのまま持ち帰ったとしても、状況が悪いのには変わりはない」
部外者に今回の目的を話していいのかとメンバーが問いかけるが、ここで無事に帰還できたとしても、続けてゴブリンの群れへの攻撃をしなければいけないのは変わらない。
得られた情報だけでも戦力差は見えており…ならば、情報を提供することによって、彼女の力を少しでも借りられないかと思ったのだ。
「…ナモアリ村に現れたという、蜘蛛の美女。その噂は耳にしたこともあったからな」
冒険者という職業柄、日々の情報収集は必要なもの。
その中で、眉唾物かもしれないような噂話を聞いたとしても、何かの役に立つかもしれないと思って頭の片隅にしまったりしていたが、今、引っ張り出す時が来たらしい。
ここからそれなりに離れているはずの、カルク領内に存在する村の一つ、ナモアリ村。
そこには最近、奇妙なモンスターが住み着いたという話は聞いていた。
蜘蛛の体を持ちつつ、美しい女性の容姿を持っており、村の用心棒のように働いたり、子供たちの教師になったりと、行う事柄は様々なもの。
友好的なモンスターの中には、人の生活に溶け込む者もいると聞くが、それでも本当なのかと疑いたくなるものもある。
それが今、こうやって噂の本人が目の前に現れれば信じざるを得ないし…何よりも、あの危機的な状況をひっくり返せるだけの戦闘力も、この状況では逃したくはない。
【んー、そう考えると、あのゴブリンたちの元凶というべきなのがここの者だとすると…放置はできないですね。またいつ、ジャックが襲われたらと思うと、早めの殲滅が望ましいのでしょうか】
「そうだろう。ナモアリ村までは距離があるはずだが、それでも移動できない位置ではない。奴らは今、ここでの動きをまだ見せていないが、その時が来ればすぐに動き…周辺の村々に被害を与える可能性がある」
話して整理したところで、どうにか協力は得られそうだ。
彼女曰く、大事な人が村にいるようで、襲われたくは無いのでここですべて滅ぼしたほうがいいと考えているようだ。
ダンデームたちにとっても、早期殲滅が望ましいので、意見としては一致しただろう。
「だがしかし、それにはまだ足りないかもしれない。ゴブリンロードたちを操るようなものの姿はまだ見えず、もしかすると我々にばれないようにどこかに潜み、動いているのかもしれない。全員で殲滅に動いたとしても、生き延びて再びやらかされる可能性は十分にある」
「発見できさえすれば、そこへ戦力を集中させ、頭を叩き潰せる。そうすれば、他のやつらは一匹一匹の自我というか自分本位な性質が強いはずだから、今はまだ支配下でおとなしくしていても、解ければ仲間内をして勝手に全滅してくれる可能性もあるだろう」
この群れを手中に収めている相手さえどうにか見つけて、集中攻撃を仕掛ければ、解決はより早まるだろう。
しかしながら、調査を進めても現時点では発見に至らない。
実は容姿が変わっていなくて紛れ込んでいるだけとか、別の場所にいたりするなど、様々な可能性があり…情報の収集に限界がある。
【要は、数が多すぎてわかりにくいってことですよね?】
「ん?ああ、そうだが奴らの戦力としてはこの情報だけでもそれなりに大きな価値が…」
【だったら、今のうちに大半、潰せば解決ですね。紛れているのなら、まとめて一掃できれば楽ですよ】
「い、いやいや、流石にこの戦力差でそう簡単にはいかないのだが」
ぽんっと手を打ち、名案と言うように彼女が告げるが、そんなことが出来たらどれほど苦労しないだろうか。
可能であれば、この群れを率いている相手の情報も確実に持って帰りたいが、どうしようもできない数の暴力という理不尽も存在している。
…しかしながら、理不尽なものに対しては、より大きな理不尽なものが踏みつぶすことを、知る羽目になる。
【【【【ゴゴゴブァァァ!!】】】】
「しまった、壁が壊せないなら乗り越えての発想か、やつらが攻めてきたぞ!!」
「壊そうとする音が聞こえなくなったと思ったら、壊せないなら乗り越えろってか!!」
いつの間にか迫ってきていたゴブリンたち。
壁があったはずだが、壊すのを先に諦めてよじ登るという強硬手段を取ったらしく、無理やり来たようだ。
この状況、すぐに戦闘をしつつも逃げる隙を伺おうとした…その時だった。
【ーーーなら、私がやれば解決ですね】
「「「「え?」」」」
ぽつりとつぶやいた言葉に、何を、と問いかけようとした。
しかしその前に、ハクロの姿は残像を残すようにして消えており、次の瞬間にはここへ迫ってきていたゴブリンたちのすぐ前に立ち、手を素早く動かしたかと思えば、ゴブリンたちが瞬時に細切れにされた。
素早く糸で切り裂かれたのだろうか。いや、それでも早すぎる。
この場にいる冒険者たち、今回は情報収集目的のために集った面子も多いとはいえ、それなりに実力を持った者たちもいる。
しかしながら、そのような者たちの目をもってしても、すぐには理解できない。
【どなたが、このようなことを用意したのかはわからないですけれども…将来的に、いえ、割とすぐにでも脅威になるのが目に見えています。私の愛する彼へ、その魔の手が及ぶようなものであるならば…】
先ほどまでは、彼女はどこか穏やかで緩やかな雰囲気を持っていた。
けれども、今は確実に違う。
その空気は切り替わり、彼女の言葉からは暖かさが消え、絶対零度よりも凍えるような寒気すらも感じさせる雰囲気を纏う。
【…ええ、そうしましょう。それが一番早いのです。ここで冒険者の方々に討伐してもらうために彼らの頭をあぶりだすのもありですが…】
糸を出し、束ね、固めて大きな武器を作り出し、彼女は手に取った。
既に人に対しての仮面をしまい、ここからはモンスターとしての仮面を取り出すようだ。
【---愛する彼のためにも、ここはひと肌脱ぎましょう。この場にいる、全ての敵は…駆除で良いですね】
名案を実行しようと、やる気に満ちた顔と言えばいいだろうか。
それとも既に相手を生き物として見ずに、より凶悪な汚物として冷徹に見る目になっているといえばいいだろうか。
何にしても、この場に集う冒険者たちは今、彼女の様子を見て思った。
((((…あ、これ、やつら終わったわ))))
敵にしては、絶対にいけない圧倒的強者を目の当たりにして、一同の心が今、一つになる。
そんな思いを知ることもなくハクロは動き出し、一方的過ぎる蹂躙劇がここに、幕を開けてしまったのであった…
「…なぁ、誰か止めなくていいのか、アレ。相手が未知数な以上、彼女一人では危ないような」
「でも、止められるか?俺たちでは確実にかなわないというか、理不尽に理不尽を上乗せしたような存在感を放っていたぞ」
「そういわれると止めようがないというか…何だろう、今、初めてゴブリン共へ同情した気がする」
「愛する人のためにと言っていたけど、愛だけで決意してやり遂げる気なのか…」
「「「「彼女に愛されている人よ、この場にいないから聞こえていないだろうが…絶対に、怒らせるような真似をしないでくれよ…」」」」
この場にはいない、噂話で聞いた彼女に愛されているという少年。
その少年が将来的にやらかさないかと、そちらの方の不安も出てきたのであった…
ゴブリンたちの手による最後を覚悟していたが…命は救われた。
突如として現れた、美しき蜘蛛の姫。
そう言い表せるような者が姿を見せ、あっという間にゴブリンたちを撃退する。
しかしながら、それでもこのゴブリンたちによる危機は去ったわけではなく…
【…つまり、皆さんはあのゴブリンロードたちの群れを調査していたと】
「そのとおりだ。ある程度把握してからのほうが、どのぐらいの危険度があるのか、どういう戦法が可能かなど、作戦を立てやすいが…こうやって実際に目の当たりにしてみれば、事態は我々の想定以上のものになっていると見て良いだろう」
…ゴブリンたちの次の攻撃は、あの糸の壁とやらが壊れた時に来るだろう。
ある程度の時間稼ぎにはなるようで、今のうちにと思い、情報を伝え合う。
【なるほど…嫌な感じがすると思ったら、群れ自体が何者かの支配下に置かれている可能性もある…統率の取れた相手は厄介ですからね】
情報を聞き、考え込むようなそぶりを見せるのは、この一団を救ってくれたモンスター…ハクロと名乗る蜘蛛のモンスターだ。
救ってくれたようだが…どうやら、彼女の目的はこの群れに関しての情報のようだった。
「ダンデーム、良いのか、この情報を話して?」
「問題ないだろう。彼女は情報を欲し、我々は救いによる対価として支払っているだけだ。それに…得られた情報をこのまま持ち帰ったとしても、状況が悪いのには変わりはない」
部外者に今回の目的を話していいのかとメンバーが問いかけるが、ここで無事に帰還できたとしても、続けてゴブリンの群れへの攻撃をしなければいけないのは変わらない。
得られた情報だけでも戦力差は見えており…ならば、情報を提供することによって、彼女の力を少しでも借りられないかと思ったのだ。
「…ナモアリ村に現れたという、蜘蛛の美女。その噂は耳にしたこともあったからな」
冒険者という職業柄、日々の情報収集は必要なもの。
その中で、眉唾物かもしれないような噂話を聞いたとしても、何かの役に立つかもしれないと思って頭の片隅にしまったりしていたが、今、引っ張り出す時が来たらしい。
ここからそれなりに離れているはずの、カルク領内に存在する村の一つ、ナモアリ村。
そこには最近、奇妙なモンスターが住み着いたという話は聞いていた。
蜘蛛の体を持ちつつ、美しい女性の容姿を持っており、村の用心棒のように働いたり、子供たちの教師になったりと、行う事柄は様々なもの。
友好的なモンスターの中には、人の生活に溶け込む者もいると聞くが、それでも本当なのかと疑いたくなるものもある。
それが今、こうやって噂の本人が目の前に現れれば信じざるを得ないし…何よりも、あの危機的な状況をひっくり返せるだけの戦闘力も、この状況では逃したくはない。
【んー、そう考えると、あのゴブリンたちの元凶というべきなのがここの者だとすると…放置はできないですね。またいつ、ジャックが襲われたらと思うと、早めの殲滅が望ましいのでしょうか】
「そうだろう。ナモアリ村までは距離があるはずだが、それでも移動できない位置ではない。奴らは今、ここでの動きをまだ見せていないが、その時が来ればすぐに動き…周辺の村々に被害を与える可能性がある」
話して整理したところで、どうにか協力は得られそうだ。
彼女曰く、大事な人が村にいるようで、襲われたくは無いのでここですべて滅ぼしたほうがいいと考えているようだ。
ダンデームたちにとっても、早期殲滅が望ましいので、意見としては一致しただろう。
「だがしかし、それにはまだ足りないかもしれない。ゴブリンロードたちを操るようなものの姿はまだ見えず、もしかすると我々にばれないようにどこかに潜み、動いているのかもしれない。全員で殲滅に動いたとしても、生き延びて再びやらかされる可能性は十分にある」
「発見できさえすれば、そこへ戦力を集中させ、頭を叩き潰せる。そうすれば、他のやつらは一匹一匹の自我というか自分本位な性質が強いはずだから、今はまだ支配下でおとなしくしていても、解ければ仲間内をして勝手に全滅してくれる可能性もあるだろう」
この群れを手中に収めている相手さえどうにか見つけて、集中攻撃を仕掛ければ、解決はより早まるだろう。
しかしながら、調査を進めても現時点では発見に至らない。
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【要は、数が多すぎてわかりにくいってことですよね?】
「ん?ああ、そうだが奴らの戦力としてはこの情報だけでもそれなりに大きな価値が…」
【だったら、今のうちに大半、潰せば解決ですね。紛れているのなら、まとめて一掃できれば楽ですよ】
「い、いやいや、流石にこの戦力差でそう簡単にはいかないのだが」
ぽんっと手を打ち、名案と言うように彼女が告げるが、そんなことが出来たらどれほど苦労しないだろうか。
可能であれば、この群れを率いている相手の情報も確実に持って帰りたいが、どうしようもできない数の暴力という理不尽も存在している。
…しかしながら、理不尽なものに対しては、より大きな理不尽なものが踏みつぶすことを、知る羽目になる。
【【【【ゴゴゴブァァァ!!】】】】
「しまった、壁が壊せないなら乗り越えての発想か、やつらが攻めてきたぞ!!」
「壊そうとする音が聞こえなくなったと思ったら、壊せないなら乗り越えろってか!!」
いつの間にか迫ってきていたゴブリンたち。
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この状況、すぐに戦闘をしつつも逃げる隙を伺おうとした…その時だった。
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「「「「え?」」」」
ぽつりとつぶやいた言葉に、何を、と問いかけようとした。
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この場にいる冒険者たち、今回は情報収集目的のために集った面子も多いとはいえ、それなりに実力を持った者たちもいる。
しかしながら、そのような者たちの目をもってしても、すぐには理解できない。
【どなたが、このようなことを用意したのかはわからないですけれども…将来的に、いえ、割とすぐにでも脅威になるのが目に見えています。私の愛する彼へ、その魔の手が及ぶようなものであるならば…】
先ほどまでは、彼女はどこか穏やかで緩やかな雰囲気を持っていた。
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糸を出し、束ね、固めて大きな武器を作り出し、彼女は手に取った。
既に人に対しての仮面をしまい、ここからはモンスターとしての仮面を取り出すようだ。
【---愛する彼のためにも、ここはひと肌脱ぎましょう。この場にいる、全ての敵は…駆除で良いですね】
名案を実行しようと、やる気に満ちた顔と言えばいいだろうか。
それとも既に相手を生き物として見ずに、より凶悪な汚物として冷徹に見る目になっているといえばいいだろうか。
何にしても、この場に集う冒険者たちは今、彼女の様子を見て思った。
((((…あ、これ、やつら終わったわ))))
敵にしては、絶対にいけない圧倒的強者を目の当たりにして、一同の心が今、一つになる。
そんな思いを知ることもなくハクロは動き出し、一方的過ぎる蹂躙劇がここに、幕を開けてしまったのであった…
「…なぁ、誰か止めなくていいのか、アレ。相手が未知数な以上、彼女一人では危ないような」
「でも、止められるか?俺たちでは確実にかなわないというか、理不尽に理不尽を上乗せしたような存在感を放っていたぞ」
「そういわれると止めようがないというか…何だろう、今、初めてゴブリン共へ同情した気がする」
「愛する人のためにと言っていたけど、愛だけで決意してやり遂げる気なのか…」
「「「「彼女に愛されている人よ、この場にいないから聞こえていないだろうが…絶対に、怒らせるような真似をしないでくれよ…」」」」
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