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プロローグ
log-000 それはほんのいたずらか、それとも狂う運命の始まりか
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―――私は、人という生き物には興味がなかった。
どうでもいい、ただそれだけの存在。
私を見て狩ろうとする輩もいたようだが、それらはすぐに亡き者になった。
私を見て利用しようとする輩もいたようだが、それらはすぐに愚かさで滅亡した。
私を見て畏れ崇めようとする輩もいたが、それらはすぐに爆散した。
弱い者のはずなのに、自身より弱者だと判断した相手に対しては強者になったつもりでいるし、愚かなはずなのに、愚者だと思い込む相手には賢者のふりをする。
何故そうするのか、どうしてそうしなければいけないのか。
その行動が理解できないし、理解しようと思わない。
知る必要もない、気にかける必要もない、思う必要もそもそもない…生きている、ということ以外は大した違いも見つけられないものたちだった。
それなのに、いるだけでも何度も何度もやらかしてくるのは、精神的に疲れるものだ。
永遠に離れようとして、命を手放したとしても、残念ながらそうはいかないようで、新たな生では結局出会う羽目になり、また同様の面倒事になる。
それが何度も何度も何度も繰り返され、人間どもが言う神とやらの嫌がらせの類ではないかと思うほどであった。
…けれどもある時、その認識に変化があった。
どういうことなのだろうか。これまでどうでも良かったはずなのに、なぜか興味を持つ。
何かが前と変わったのだろうか?理解ができない。
ああ、この秘密を探るためにはどこかへ向かえばいいのか。
この本能が、今まで意味を成しえていなかった何かが働きかけ、自然と体が動く。
その道中で、人間どもに絡まれそうになることもあったが…かまっている暇が無いので、さっさと吹っ飛ばして先へ向かう。
何がこうさせるのか、何が私を突き動かすのか、それが理解できたのは…もう、終わっていた時だった。
【…ア、アア、アァァァァァァァァァァァ!!】
言葉にならない、私の悲鳴。
何故ここまでの感情を出すことができるのか、これまでの私からは理解もできない。
目の前に広がっていた光景は…人が暮らすコミュニティの一つ、村という塊だった場所。
そこが、人同士の争いでもあったのか燃えているだけなのに、なぜこうも胸がざわつくのかが理解できないが…一つ言えることとすれば、その中にひときわ何か感じさせるものがあった。
どうしてか、私の体は心よりも先に本能に従って動き出す。
この村を襲ったであろう人たちを全て屠りつつ、まっすぐに先へ進み、ある一軒家へ進む。
その中に糸を伸ばして、たぐりよせて…得られたのは、ほんの小さな消えかけの命。
でも、間違いない。この子が、私の本能を動かしていたモノ。
既にその命はこの世界から失われつつあり、灯が静かに消えようとしているモノ。
何の変哲もない、人の子なのになぜこれほどまでに感情をざわつかせるのだろうか。
いなくなっても影響がないと思えるような人の子の一人にすぎないはずなのに、どうしてここまで胸が引き裂かれるような想いを抱かせるのか。
わからないわからないワカラニワカラナイワカラナイナイナイナイナイーーーー…
永遠に辿り着けそうにもない場所へ、意識が飛びそうになり、かろうじて踏みとどまる。
消えゆく目の前の子に対して、せめてものできることをしたほうがいい。
考えろ、何故長年無駄に私は過ごしてきたのか。
考えろ、数多の生の中でやれることが無かったのか。
考えろ、ここでダメならば、次はどうすれば…「次」…これだ!!
これは一つの賭けである。
本当にそううまくいくかはわからないが、私の中でやるしかないと叫ぶものがある。
可能性に対して望みを…違う、必ず成し遂げなければいけないものだ。
その消えゆく命の炎に、ここから失われそうなその魂に、私は私をつなぐ。
そしてここから消えると同時に、私はすぐに自身の命も絶つことを迷いもなく実行し、後を追った。
どうして、ここまで必死になれるのか、これまでの生では考えられなかったこと。
一時的にでも面倒事から離れる手段として使ったことはあるが、今回はその目的ではない。
次に、その生で得ることを目指すためだ。
うまいこと、めぐり合えるかどうかはわからないし、めぐり合えない可能性だってある。
けれども、その可能性を吹き飛ばし、確実に私はめぐり合わなければいけないのだと心の底から強く思う。
ああ、ここまでの感情を抱いたのは、初めてな気がする。
これまで繰り返されていた意味のないものは、この感情を何千倍にも感じ取れるようにするために、存在していたのではないかとさえ思えるだろう。
次第に私の意識も失われ、次へとつながっていく感覚がある。
この次の生はどうなるのかもわからないが、どうしてもあの魂のものとつながらなければいけないとだけ叫んでいるものがある。
何度繰り返しても、どれほどの時間をかけ世界を超えようとも、 手繰り寄せ、糸を何重にも絡みつかせるようにしなければいけない。
ほんの一瞬の出会い、これが繰り返した先でたとえ覚えられていなかったとしても、私は必ず…
心の底から強く願い、それはもしかすると、神と呼ばれる存在に対して届いたのかもしれない。
…次の、その生を感じ取ってすぐに、私は突き動かされるその時の私の気持ちのままに、従って動くのであった。
どうでもいい、ただそれだけの存在。
私を見て狩ろうとする輩もいたようだが、それらはすぐに亡き者になった。
私を見て利用しようとする輩もいたようだが、それらはすぐに愚かさで滅亡した。
私を見て畏れ崇めようとする輩もいたが、それらはすぐに爆散した。
弱い者のはずなのに、自身より弱者だと判断した相手に対しては強者になったつもりでいるし、愚かなはずなのに、愚者だと思い込む相手には賢者のふりをする。
何故そうするのか、どうしてそうしなければいけないのか。
その行動が理解できないし、理解しようと思わない。
知る必要もない、気にかける必要もない、思う必要もそもそもない…生きている、ということ以外は大した違いも見つけられないものたちだった。
それなのに、いるだけでも何度も何度もやらかしてくるのは、精神的に疲れるものだ。
永遠に離れようとして、命を手放したとしても、残念ながらそうはいかないようで、新たな生では結局出会う羽目になり、また同様の面倒事になる。
それが何度も何度も何度も繰り返され、人間どもが言う神とやらの嫌がらせの類ではないかと思うほどであった。
…けれどもある時、その認識に変化があった。
どういうことなのだろうか。これまでどうでも良かったはずなのに、なぜか興味を持つ。
何かが前と変わったのだろうか?理解ができない。
ああ、この秘密を探るためにはどこかへ向かえばいいのか。
この本能が、今まで意味を成しえていなかった何かが働きかけ、自然と体が動く。
その道中で、人間どもに絡まれそうになることもあったが…かまっている暇が無いので、さっさと吹っ飛ばして先へ向かう。
何がこうさせるのか、何が私を突き動かすのか、それが理解できたのは…もう、終わっていた時だった。
【…ア、アア、アァァァァァァァァァァァ!!】
言葉にならない、私の悲鳴。
何故ここまでの感情を出すことができるのか、これまでの私からは理解もできない。
目の前に広がっていた光景は…人が暮らすコミュニティの一つ、村という塊だった場所。
そこが、人同士の争いでもあったのか燃えているだけなのに、なぜこうも胸がざわつくのかが理解できないが…一つ言えることとすれば、その中にひときわ何か感じさせるものがあった。
どうしてか、私の体は心よりも先に本能に従って動き出す。
この村を襲ったであろう人たちを全て屠りつつ、まっすぐに先へ進み、ある一軒家へ進む。
その中に糸を伸ばして、たぐりよせて…得られたのは、ほんの小さな消えかけの命。
でも、間違いない。この子が、私の本能を動かしていたモノ。
既にその命はこの世界から失われつつあり、灯が静かに消えようとしているモノ。
何の変哲もない、人の子なのになぜこれほどまでに感情をざわつかせるのだろうか。
いなくなっても影響がないと思えるような人の子の一人にすぎないはずなのに、どうしてここまで胸が引き裂かれるような想いを抱かせるのか。
わからないわからないワカラニワカラナイワカラナイナイナイナイナイーーーー…
永遠に辿り着けそうにもない場所へ、意識が飛びそうになり、かろうじて踏みとどまる。
消えゆく目の前の子に対して、せめてものできることをしたほうがいい。
考えろ、何故長年無駄に私は過ごしてきたのか。
考えろ、数多の生の中でやれることが無かったのか。
考えろ、ここでダメならば、次はどうすれば…「次」…これだ!!
これは一つの賭けである。
本当にそううまくいくかはわからないが、私の中でやるしかないと叫ぶものがある。
可能性に対して望みを…違う、必ず成し遂げなければいけないものだ。
その消えゆく命の炎に、ここから失われそうなその魂に、私は私をつなぐ。
そしてここから消えると同時に、私はすぐに自身の命も絶つことを迷いもなく実行し、後を追った。
どうして、ここまで必死になれるのか、これまでの生では考えられなかったこと。
一時的にでも面倒事から離れる手段として使ったことはあるが、今回はその目的ではない。
次に、その生で得ることを目指すためだ。
うまいこと、めぐり合えるかどうかはわからないし、めぐり合えない可能性だってある。
けれども、その可能性を吹き飛ばし、確実に私はめぐり合わなければいけないのだと心の底から強く思う。
ああ、ここまでの感情を抱いたのは、初めてな気がする。
これまで繰り返されていた意味のないものは、この感情を何千倍にも感じ取れるようにするために、存在していたのではないかとさえ思えるだろう。
次第に私の意識も失われ、次へとつながっていく感覚がある。
この次の生はどうなるのかもわからないが、どうしてもあの魂のものとつながらなければいけないとだけ叫んでいるものがある。
何度繰り返しても、どれほどの時間をかけ世界を超えようとも、 手繰り寄せ、糸を何重にも絡みつかせるようにしなければいけない。
ほんの一瞬の出会い、これが繰り返した先でたとえ覚えられていなかったとしても、私は必ず…
心の底から強く願い、それはもしかすると、神と呼ばれる存在に対して届いたのかもしれない。
…次の、その生を感じ取ってすぐに、私は突き動かされるその時の私の気持ちのままに、従って動くのであった。
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