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第3章:青年期~いよいよここから始まる話
87話 怪しい街中はさておき
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SIDEエル
「ではこれより、スキップ申請の試験を始めます。受験者の準備はよろしいでしょうか?」
「問題無いでス」
…都市モストンの冒険者ギルド。
その横に併設された試験会場にて、試験官の言葉に対してルシアはそう返答をした。
ハクロ達のようなモンスターではなく、亜人のエルフの仲間ということで、彼女は冒険者登録が可能であり、ここで登録を行うことにした。
ただ、最初から低いランクから積み重ねるよりも、エルたちと同じところから始めたいという彼女の希望もあり、スキップ申請の制度を利用して同ランクになるように動くことにしたのである。
本当はもっと上のランクも可能らしいが、それをいうとエルたちも同じようなもの。
うかつにそこをついてしまえば、なんでお前たちも高ランクにしてないのと余計な面倒ごとになりかねない危険性が非常に高いので、そのあたりのやっかみや妬みなどを避けるためにということで、エルたちと同じランクになる試験を受講するのだ。
まぁ、元々冒険者としてのランクが高くなることを目的にしておらず、スローライフの地を求めての通行所代わりに利用している程度なので無理に高ランクにまでなりあがる必要はない。
地道に積み重ねてなっていく方が厄介事とかも呼び寄せにくいだろうし、彼女も高いランクを目指すわけでもなく同じ場所に居たいということなので、特に誰も反対することはなかった。
そのため今、スキップ申請の受講科目の一つ、実力確認のためにということでギルド横に設けられてた登録用の試験会場にて確認することになったが…
「…でもまさか、予定していたランクよりもう一つ上を受講させられるとは」
「仕方がないですよ。絡んできた人をぶっ飛ばしてしまったのですが、あれでDランクの冒険者だったようですから…」
「本当にそうなのかと疑いたくなったが…まぁ、やっちゃったものは仕方がないのぅ」
ここにきて絡んできた、頭の中身が大変残念そうな集団。
あまりもうざったく絡んできたことにジェリアがムカッと少し怒ってしまい、一部を再生不能なレベルに潰してしまったのである。
不意打ちに近いレベルの急所攻撃だったとはいえ、それでもそいつらは一応ギルド内ではDランクとして評価されており、実力だけはちょっとだけあった。
しかもそういう奴らがはびこっている現場に限って、この都市では実力者がどうも極端にいないらしく、ルシアの実力を測定する相手がいなかった。
そこでどうやって実力を測定するのかとギルドと話し合った結果…叩き潰した実力を見せてしまったジェリアが、ルシアの相手として出されてしまったのである。
良いのかな、仲間同士なのに試験やらせてしまって。
「正規の職員でもないし、ハーピーでもまた違う別種のようなものなんだけど、良いのだろうか」
「気にしないほうが、良いかも」
「実力を見るには、仲間同士の戦いもありかも~♪」
何にせよ、今ここにルシア対ジェリアの模擬戦が行われることになった。
身内同士なのにギルド側から人を出さないでやって良いのかと問いかけたかったが…どうもあの玉つぶしの事件のせいで、うかつにちょっかいをかけるのは不味いと恐怖の噂が瞬時に広まり、試験官が逃亡した事情もあるらしい。
いいのか、この都市モストンのギルド。治安の悪さもさながら、実力とか人とか明らかにアウトな気がするのだが。
もしかすると、数年以内につぶれたりして…いやまぁ、そんなこと気にしなくてもいいか。
とにもかくにも、決まってしまったものならば仕方がないということで、ここに二人の模擬戦を執り行うことになった。
審判をするのは流石にギルドからの人で、受付嬢もやっている人らしい。
ぼそりと「押し付けやがったギルドマスターのあれを、彼女たちがうっかり潰してくれないかな」と聞こえたような気がするのだが…え、ここ上の人もアレなの?
「それでは、ルール説明です。今回はあくまでもスキップ申請するに足りる実力があるかどうかの見極めですので、勝敗は関係ありません。そのため、万が一にも危険だと判断した場合、即刻試験を止めます。お二人とも、ご了承はよろしいでしょうか」
「了解でス」
「わかったのさ!」
「ああ、ついでにうっかり攻撃の余波で、ギルドマスターに直撃しても問題にはなりませんで、遠距離攻撃でやらかすならギルドマスターの部屋を狙ってください」
「りょ…ン?」
「それ、いいのさ?」
全然隠せていないな。何があったのか知らないが、どうもギルドマスター人望がなさそうだ。
狙ったら流石にうっかりでは済まないとは思うのだが…うん、ブラック労働でもしているかもしれないし、それはそれでうっぷん晴らしになるのならばと思うが、流石にそこまでやらかせる気はない。
「それでは、開始!」
気を取り直して、改めて合図をしたとたん…瞬時にジェリアとルシアの姿がぶれて、次の瞬間にぶつかり合った。
ズドォォォン!!
木槌と足がぶつかり合う…いや、そんなものではないというかのような音が出るのであった。
「ではこれより、スキップ申請の試験を始めます。受験者の準備はよろしいでしょうか?」
「問題無いでス」
…都市モストンの冒険者ギルド。
その横に併設された試験会場にて、試験官の言葉に対してルシアはそう返答をした。
ハクロ達のようなモンスターではなく、亜人のエルフの仲間ということで、彼女は冒険者登録が可能であり、ここで登録を行うことにした。
ただ、最初から低いランクから積み重ねるよりも、エルたちと同じところから始めたいという彼女の希望もあり、スキップ申請の制度を利用して同ランクになるように動くことにしたのである。
本当はもっと上のランクも可能らしいが、それをいうとエルたちも同じようなもの。
うかつにそこをついてしまえば、なんでお前たちも高ランクにしてないのと余計な面倒ごとになりかねない危険性が非常に高いので、そのあたりのやっかみや妬みなどを避けるためにということで、エルたちと同じランクになる試験を受講するのだ。
まぁ、元々冒険者としてのランクが高くなることを目的にしておらず、スローライフの地を求めての通行所代わりに利用している程度なので無理に高ランクにまでなりあがる必要はない。
地道に積み重ねてなっていく方が厄介事とかも呼び寄せにくいだろうし、彼女も高いランクを目指すわけでもなく同じ場所に居たいということなので、特に誰も反対することはなかった。
そのため今、スキップ申請の受講科目の一つ、実力確認のためにということでギルド横に設けられてた登録用の試験会場にて確認することになったが…
「…でもまさか、予定していたランクよりもう一つ上を受講させられるとは」
「仕方がないですよ。絡んできた人をぶっ飛ばしてしまったのですが、あれでDランクの冒険者だったようですから…」
「本当にそうなのかと疑いたくなったが…まぁ、やっちゃったものは仕方がないのぅ」
ここにきて絡んできた、頭の中身が大変残念そうな集団。
あまりもうざったく絡んできたことにジェリアがムカッと少し怒ってしまい、一部を再生不能なレベルに潰してしまったのである。
不意打ちに近いレベルの急所攻撃だったとはいえ、それでもそいつらは一応ギルド内ではDランクとして評価されており、実力だけはちょっとだけあった。
しかもそういう奴らがはびこっている現場に限って、この都市では実力者がどうも極端にいないらしく、ルシアの実力を測定する相手がいなかった。
そこでどうやって実力を測定するのかとギルドと話し合った結果…叩き潰した実力を見せてしまったジェリアが、ルシアの相手として出されてしまったのである。
良いのかな、仲間同士なのに試験やらせてしまって。
「正規の職員でもないし、ハーピーでもまた違う別種のようなものなんだけど、良いのだろうか」
「気にしないほうが、良いかも」
「実力を見るには、仲間同士の戦いもありかも~♪」
何にせよ、今ここにルシア対ジェリアの模擬戦が行われることになった。
身内同士なのにギルド側から人を出さないでやって良いのかと問いかけたかったが…どうもあの玉つぶしの事件のせいで、うかつにちょっかいをかけるのは不味いと恐怖の噂が瞬時に広まり、試験官が逃亡した事情もあるらしい。
いいのか、この都市モストンのギルド。治安の悪さもさながら、実力とか人とか明らかにアウトな気がするのだが。
もしかすると、数年以内につぶれたりして…いやまぁ、そんなこと気にしなくてもいいか。
とにもかくにも、決まってしまったものならば仕方がないということで、ここに二人の模擬戦を執り行うことになった。
審判をするのは流石にギルドからの人で、受付嬢もやっている人らしい。
ぼそりと「押し付けやがったギルドマスターのあれを、彼女たちがうっかり潰してくれないかな」と聞こえたような気がするのだが…え、ここ上の人もアレなの?
「それでは、ルール説明です。今回はあくまでもスキップ申請するに足りる実力があるかどうかの見極めですので、勝敗は関係ありません。そのため、万が一にも危険だと判断した場合、即刻試験を止めます。お二人とも、ご了承はよろしいでしょうか」
「了解でス」
「わかったのさ!」
「ああ、ついでにうっかり攻撃の余波で、ギルドマスターに直撃しても問題にはなりませんで、遠距離攻撃でやらかすならギルドマスターの部屋を狙ってください」
「りょ…ン?」
「それ、いいのさ?」
全然隠せていないな。何があったのか知らないが、どうもギルドマスター人望がなさそうだ。
狙ったら流石にうっかりでは済まないとは思うのだが…うん、ブラック労働でもしているかもしれないし、それはそれでうっぷん晴らしになるのならばと思うが、流石にそこまでやらかせる気はない。
「それでは、開始!」
気を取り直して、改めて合図をしたとたん…瞬時にジェリアとルシアの姿がぶれて、次の瞬間にぶつかり合った。
ズドォォォン!!
木槌と足がぶつかり合う…いや、そんなものではないというかのような音が出るのであった。
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