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第2章:少年期後編~青年期へ
67話 翼の少女と囚われしものたち
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SIDEエル
…森から戻り、ギルドの方に魔法で閉じ込めた盗賊たちの情報を流したところ、現場到着時の悪臭による悲惨な状況なども考慮して、清掃員も含めた捕縛用の者たちを派遣してもらえることになり、現物がいないけれども確保できる状態であればということで、いったんランクアップ試験の依頼としては達成間近の状態で保留となった。
すぐに出ないのは別にいだろう。急ぐことでもないし、気にするようなことでもない。
そんなことよりも今、エルたちの考えることとしては、盗賊たちが捕えていた翼の少女のほうに意識が向けられていた。
流石にまだ敵対しているかどうかわかっていないモンスターを都市内に入れるのは問題になりそうではあったが…ハクロやカトレア、ミモザなどのメンツがいるため、そこまで忌避されることはなかったが…門のほうの衛兵たちが、また何か増やしてきたなという目で見られたのは言い訳をさせてもらいたい。
確かに、見た目は少女なんだけど…
「…明らかに人間じゃないし、両腕が翼という事はモンスターの類だよな?」
「おそらくそうじゃろうな。空が飛べて人型に近いものは何かと限られるから、特定はしやすいじゃろう」
海に山に大地にと、あちこちにモンスターはいるだろう。
その中で翼を持つモンスターも数多く存在しているらしいが、見た目が少女のモンスターとなると結構限られてくる。
改めてその容姿を見て見れば、ショートヘアーに整えられた桃色の髪と同じ色の翼を両腕に持ち、腰のちょっと付け根部分のようなところから短めの尾羽が伸びていて、足が鳥と同じ…カラスと違ってインコとかのような足っぽい感じのものになっている。
「こういう時の鑑定魔法って便利だけど、どう出るのやら。とりあえず『鑑定』っと」
―――――
種族名:「ラヴハンター・ハーピー(変異種)」
名前:ジェリア
性別:メス
状態:「爆睡眠状態」
『ラヴハンター・ハーピー』
両腕が翼、身体が女性のモンスターのハーピーというモンスターから派生した亜種で、地と空の違いはあれどもラミアというモンスター同様に性欲が強いのが多く、アマゾネスのように機敏な動きをしてオスを仕留めまくって物理・性的に食らい尽くすとされているモンスターである。
別名「天空の愛の狩人」と呼ばれており、気に入ったオスを見かけ次第、急降下を行って捕縛し、巣へ持ち運んで嬉々として命を奪うほどまで搾り取りまくることからその名が付いた。
ただ、一生に一人という番を決めた場合はその番を徹底的に愛し抜き、大抵の場合攫われた者でもいつの間にか余生は短いけれどっもおしどり夫婦となっていることが多い。
ただ、そこまで積極的にオスを狩る理由としては種族そのものの繁殖力が低く、無精卵を産みがちだが、その卵は絶品ゆえに狙われやすく、逆に狩られてしまい、近年は減少傾向にある。
また、根本に鳥としての要素がでているせいかおいしい出汁が取れるので、中にはそのだし汁を使って商売を営む夫婦となる物が多く存在し、世の中の汁もの系料理の発展に密かに貢献したことでも知られている。
「爆睡眠状態」
強い眠り薬などによって強制的に眠らされた状態。ゆすっても叩いても起きず、効果が切れるまで寝続ける。
―――――――――
…ラヴハンターって…鑑定魔法で探ってみたけど、なんかコメントに困る結果が出てきたんだが。
呼び名にちょっとおかしなフリガナがあったような気がするのは気のせいだろうか。
「って、この状態異常は何かで眠らされたから付いたやつなのか。それに、名前があるってことは誰かが付けているのか?」
「ふむ、となればあの盗賊たちが睡眠薬でも使ったのかのぅ?名前に関しては、わからぬがな」
「私たちはエルに付けてもらいましたけど、それ以外で同じようなことをする方がいるのでしょうか?」
「案外、既に相手いるのかも。呼び名、ないと不便」
「その可能性もあるね~♪」
まぁ、ハーピーというモンスターの類とはいえ、見た目は綺麗な少女なのは変わりない。
モンスターの説明文を見ると明らかにやばいものがあるが、あの盗賊たちの会話から察するに中身を知っておらず、自分たちで楽しむつもりだったのかもしれないのだが…あれ?もしかして俺たち、哀れに散りそうだった盗賊たちの命をぎりぎりで救出してないかな?
とにもかくにも、このまま放置はできないので、目が覚めるまでエルたちは待つことにした。
「すやぁ…ピピピピ…すやぁ」
「物凄く気持ちよさそうに寝ているけど、これ本当に起きないのかな」
「そうじゃろうな。まぁ、放置すれば治るという見立てならば、そうしたほうがよかろう」
ものすごく強い睡眠薬のせいで、まったく状況が変わったことにも気が付いておらず、ゆっくりと寝ている様子だ。
起こすこともできなさそうなので、今のうちにここに至るまでの状況を整理して話し合うことにした。
「…そうですか、そのようなことがあったのですか」
「ああ、放っておけないからこの子は連れてきちゃったけれども…説明を見るとやばかったかなぁっと若干後悔しかけているんだけど、これでよかったのかな?」
「大丈夫。ハーピー、他のモンスターたちの一部と共生関係築きやすい。餌になる相手が哀れだけど、基本的に、フレンドリーなのが多いって聞いたことある」
「ミーも聞いたことがある~♪たま~に漁村の人、攫われていた~♪」
大丈夫なのか、その攫われた人。
そう思ったが、結構前の話なので、今更どうこうすることもできなさそうだ。
皆それぞれで思ったことを言いあっていると、ふとハーピーの少女が目を覚ました。
「ん…ピピッ!?ここどこなのさ!?」
パッと目が覚め、すぐさま状況を把握したのか、彼女は驚愕した表情で周囲を見渡し、エルたちに気が付いたが…
「…うん、お休みなのさ!」
そう言って、再び眠りについた。
「いやちょっと待て!?さっきまで爆睡していたのにまだ寝る気かよ!!」
「まぁ、今は無理に起こさなくてもいいような気もしますけどね」
速攻で眠りについたハーピーに対して、エルはツッコミを入れ、ハクロはそうつぶやくのであった。
このハーピー、緊張感がなさすぎる。そりゃ、盗賊たちにつかまるよな…
―――――――――――
SIDE囚われた屑もとい盗賊たち
エルたちがハーピーの少女のマイペースぶりに突っ込みを入れていたころ、明かりが全く差し込むことがない罪人用に作られた薄暗い牢の中、そこに押し込められた者たちがいた。
「くそう!なんでいつの間にか捕まっているんだ!!」
「しかも、こんなインキ臭い所なんてひどいでぶぅ!!」
文句を叫ぶのは、先ほど森の中に作られた小屋で気絶していたはずのクデーズやタブゥマン、その他の盗賊に成り下がった者たちである。
エルの報告によってギルドから清掃員や捕縛の人たちがすぐに動き出し、気絶している間にささっと手際よくここに放り込まれたのだ。
何事も早く仕事を済ませたいがゆえにさっさと片付けられたようだが、主な原因はその身から漂うひどい悪臭があるだろう。
もちろん、色々と酷い醜態をさらしまくっていて、何も着替えさせずに放り込んだので、牢の中は異臭まみれの地獄と化していた。
本来であれば看守もつくはずだが…流石にこの悪臭地獄ではまともに動きずらく、牢屋へ向かう途中の場所で待機していた。
「せっかく売れそうな、いや、楽しませてくれそうなやつを捕らえ、楽しんだ後に身を切りさいて魔石を取りに来たと言うのに……なぜこうなるんだ!!」
「知らないでぶぅよ!」
言い争いながらうっぷんをぶつけ合うクデーズたち。
もうすでに王籍を廃され、しかも罪を重ねた彼らがこのままいけば、どう考えても明るくない未来どころか、その未来すら見えなくなりそうなのは、流石に馬鹿でもわかってしまう。
だが、どうにもできない現状にいら立ちつつ、一刻一刻と処分の時が下されるのを待つだけであった。
「ええい!!こんな牢屋の格子なんぞぶっ壊してやらぁぁあ!!」
叫びつつ、思い切って格子に殴りかかったクデーズであったが、盗賊家業をしていたとはいえ、まともに鍛えているわけでもない。
そんな愚者の拳に、牢が負けるわけがない。
ガィンッボギッ!!
「ぎえぇぇぇぇぇぇ!!」
なんというか、馬鹿まっしぐらであったせいかまともに手の骨を自ら砕くだけであった。
「痛い痛い痛い痛い!!」
「何しているんでぶぅか…」
流石にその阿保みたいなことに、屑なタブゥマンも呆れてそうつぶやく。馬鹿でもまだ、どうにかできそうな類だったらしい。
「はぁ、これでは出られ…ぶぅ?」
溜息を吐きつつ、もはやあきらめようかと思っていたタブゥマンは、うなだれて足元を見ていると、ふとあるひらめきを得た。
「…ここって感触からして、床は石ではなく土でぶぅね。たぶん、我々の扱いがかなり底辺になっているがゆえに、低級な牢なのでぶぅが…」
「ああ!?それがどうしたかぁ!!」
「相手も油断しているでぶぅ。我々がそうたやすく出られないと舐められまくっているようでぶぅが、うまい具合の隙になっているでぶぅ。床が土なら掘ればいいのではないでぶぅか?硬いけれども、この程度なら皆で力を合わせれば…」
「なるほど、脱獄できるか」
「掘る道具はないが…いや、この四肢がある」
「ぐっ…代案もないなら、そうしてみるか」
その案に対して全員が賛同し、一致団結して作業に移りだす。
愚か者たちとは言え、まとまればそれ相応に力を出し、さらに自分の命がかかっているかもしれないと考えればさらに死ぬ気で掘りまくって、普段以上の馬鹿力が出た。
それから数時間後、ようやく処分する方法を決めた者たちが牢屋に入った時には、いくつもはがれて血にまみれた爪が床に散乱したじょうたいで床に大穴があき、彼らの姿はどこにもないのであった‥‥‥‥
…森から戻り、ギルドの方に魔法で閉じ込めた盗賊たちの情報を流したところ、現場到着時の悪臭による悲惨な状況なども考慮して、清掃員も含めた捕縛用の者たちを派遣してもらえることになり、現物がいないけれども確保できる状態であればということで、いったんランクアップ試験の依頼としては達成間近の状態で保留となった。
すぐに出ないのは別にいだろう。急ぐことでもないし、気にするようなことでもない。
そんなことよりも今、エルたちの考えることとしては、盗賊たちが捕えていた翼の少女のほうに意識が向けられていた。
流石にまだ敵対しているかどうかわかっていないモンスターを都市内に入れるのは問題になりそうではあったが…ハクロやカトレア、ミモザなどのメンツがいるため、そこまで忌避されることはなかったが…門のほうの衛兵たちが、また何か増やしてきたなという目で見られたのは言い訳をさせてもらいたい。
確かに、見た目は少女なんだけど…
「…明らかに人間じゃないし、両腕が翼という事はモンスターの類だよな?」
「おそらくそうじゃろうな。空が飛べて人型に近いものは何かと限られるから、特定はしやすいじゃろう」
海に山に大地にと、あちこちにモンスターはいるだろう。
その中で翼を持つモンスターも数多く存在しているらしいが、見た目が少女のモンスターとなると結構限られてくる。
改めてその容姿を見て見れば、ショートヘアーに整えられた桃色の髪と同じ色の翼を両腕に持ち、腰のちょっと付け根部分のようなところから短めの尾羽が伸びていて、足が鳥と同じ…カラスと違ってインコとかのような足っぽい感じのものになっている。
「こういう時の鑑定魔法って便利だけど、どう出るのやら。とりあえず『鑑定』っと」
―――――
種族名:「ラヴハンター・ハーピー(変異種)」
名前:ジェリア
性別:メス
状態:「爆睡眠状態」
『ラヴハンター・ハーピー』
両腕が翼、身体が女性のモンスターのハーピーというモンスターから派生した亜種で、地と空の違いはあれどもラミアというモンスター同様に性欲が強いのが多く、アマゾネスのように機敏な動きをしてオスを仕留めまくって物理・性的に食らい尽くすとされているモンスターである。
別名「天空の愛の狩人」と呼ばれており、気に入ったオスを見かけ次第、急降下を行って捕縛し、巣へ持ち運んで嬉々として命を奪うほどまで搾り取りまくることからその名が付いた。
ただ、一生に一人という番を決めた場合はその番を徹底的に愛し抜き、大抵の場合攫われた者でもいつの間にか余生は短いけれどっもおしどり夫婦となっていることが多い。
ただ、そこまで積極的にオスを狩る理由としては種族そのものの繁殖力が低く、無精卵を産みがちだが、その卵は絶品ゆえに狙われやすく、逆に狩られてしまい、近年は減少傾向にある。
また、根本に鳥としての要素がでているせいかおいしい出汁が取れるので、中にはそのだし汁を使って商売を営む夫婦となる物が多く存在し、世の中の汁もの系料理の発展に密かに貢献したことでも知られている。
「爆睡眠状態」
強い眠り薬などによって強制的に眠らされた状態。ゆすっても叩いても起きず、効果が切れるまで寝続ける。
―――――――――
…ラヴハンターって…鑑定魔法で探ってみたけど、なんかコメントに困る結果が出てきたんだが。
呼び名にちょっとおかしなフリガナがあったような気がするのは気のせいだろうか。
「って、この状態異常は何かで眠らされたから付いたやつなのか。それに、名前があるってことは誰かが付けているのか?」
「ふむ、となればあの盗賊たちが睡眠薬でも使ったのかのぅ?名前に関しては、わからぬがな」
「私たちはエルに付けてもらいましたけど、それ以外で同じようなことをする方がいるのでしょうか?」
「案外、既に相手いるのかも。呼び名、ないと不便」
「その可能性もあるね~♪」
まぁ、ハーピーというモンスターの類とはいえ、見た目は綺麗な少女なのは変わりない。
モンスターの説明文を見ると明らかにやばいものがあるが、あの盗賊たちの会話から察するに中身を知っておらず、自分たちで楽しむつもりだったのかもしれないのだが…あれ?もしかして俺たち、哀れに散りそうだった盗賊たちの命をぎりぎりで救出してないかな?
とにもかくにも、このまま放置はできないので、目が覚めるまでエルたちは待つことにした。
「すやぁ…ピピピピ…すやぁ」
「物凄く気持ちよさそうに寝ているけど、これ本当に起きないのかな」
「そうじゃろうな。まぁ、放置すれば治るという見立てならば、そうしたほうがよかろう」
ものすごく強い睡眠薬のせいで、まったく状況が変わったことにも気が付いておらず、ゆっくりと寝ている様子だ。
起こすこともできなさそうなので、今のうちにここに至るまでの状況を整理して話し合うことにした。
「…そうですか、そのようなことがあったのですか」
「ああ、放っておけないからこの子は連れてきちゃったけれども…説明を見るとやばかったかなぁっと若干後悔しかけているんだけど、これでよかったのかな?」
「大丈夫。ハーピー、他のモンスターたちの一部と共生関係築きやすい。餌になる相手が哀れだけど、基本的に、フレンドリーなのが多いって聞いたことある」
「ミーも聞いたことがある~♪たま~に漁村の人、攫われていた~♪」
大丈夫なのか、その攫われた人。
そう思ったが、結構前の話なので、今更どうこうすることもできなさそうだ。
皆それぞれで思ったことを言いあっていると、ふとハーピーの少女が目を覚ました。
「ん…ピピッ!?ここどこなのさ!?」
パッと目が覚め、すぐさま状況を把握したのか、彼女は驚愕した表情で周囲を見渡し、エルたちに気が付いたが…
「…うん、お休みなのさ!」
そう言って、再び眠りについた。
「いやちょっと待て!?さっきまで爆睡していたのにまだ寝る気かよ!!」
「まぁ、今は無理に起こさなくてもいいような気もしますけどね」
速攻で眠りについたハーピーに対して、エルはツッコミを入れ、ハクロはそうつぶやくのであった。
このハーピー、緊張感がなさすぎる。そりゃ、盗賊たちにつかまるよな…
―――――――――――
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エルたちがハーピーの少女のマイペースぶりに突っ込みを入れていたころ、明かりが全く差し込むことがない罪人用に作られた薄暗い牢の中、そこに押し込められた者たちがいた。
「くそう!なんでいつの間にか捕まっているんだ!!」
「しかも、こんなインキ臭い所なんてひどいでぶぅ!!」
文句を叫ぶのは、先ほど森の中に作られた小屋で気絶していたはずのクデーズやタブゥマン、その他の盗賊に成り下がった者たちである。
エルの報告によってギルドから清掃員や捕縛の人たちがすぐに動き出し、気絶している間にささっと手際よくここに放り込まれたのだ。
何事も早く仕事を済ませたいがゆえにさっさと片付けられたようだが、主な原因はその身から漂うひどい悪臭があるだろう。
もちろん、色々と酷い醜態をさらしまくっていて、何も着替えさせずに放り込んだので、牢の中は異臭まみれの地獄と化していた。
本来であれば看守もつくはずだが…流石にこの悪臭地獄ではまともに動きずらく、牢屋へ向かう途中の場所で待機していた。
「せっかく売れそうな、いや、楽しませてくれそうなやつを捕らえ、楽しんだ後に身を切りさいて魔石を取りに来たと言うのに……なぜこうなるんだ!!」
「知らないでぶぅよ!」
言い争いながらうっぷんをぶつけ合うクデーズたち。
もうすでに王籍を廃され、しかも罪を重ねた彼らがこのままいけば、どう考えても明るくない未来どころか、その未来すら見えなくなりそうなのは、流石に馬鹿でもわかってしまう。
だが、どうにもできない現状にいら立ちつつ、一刻一刻と処分の時が下されるのを待つだけであった。
「ええい!!こんな牢屋の格子なんぞぶっ壊してやらぁぁあ!!」
叫びつつ、思い切って格子に殴りかかったクデーズであったが、盗賊家業をしていたとはいえ、まともに鍛えているわけでもない。
そんな愚者の拳に、牢が負けるわけがない。
ガィンッボギッ!!
「ぎえぇぇぇぇぇぇ!!」
なんというか、馬鹿まっしぐらであったせいかまともに手の骨を自ら砕くだけであった。
「痛い痛い痛い痛い!!」
「何しているんでぶぅか…」
流石にその阿保みたいなことに、屑なタブゥマンも呆れてそうつぶやく。馬鹿でもまだ、どうにかできそうな類だったらしい。
「はぁ、これでは出られ…ぶぅ?」
溜息を吐きつつ、もはやあきらめようかと思っていたタブゥマンは、うなだれて足元を見ていると、ふとあるひらめきを得た。
「…ここって感触からして、床は石ではなく土でぶぅね。たぶん、我々の扱いがかなり底辺になっているがゆえに、低級な牢なのでぶぅが…」
「ああ!?それがどうしたかぁ!!」
「相手も油断しているでぶぅ。我々がそうたやすく出られないと舐められまくっているようでぶぅが、うまい具合の隙になっているでぶぅ。床が土なら掘ればいいのではないでぶぅか?硬いけれども、この程度なら皆で力を合わせれば…」
「なるほど、脱獄できるか」
「掘る道具はないが…いや、この四肢がある」
「ぐっ…代案もないなら、そうしてみるか」
その案に対して全員が賛同し、一致団結して作業に移りだす。
愚か者たちとは言え、まとまればそれ相応に力を出し、さらに自分の命がかかっているかもしれないと考えればさらに死ぬ気で掘りまくって、普段以上の馬鹿力が出た。
それから数時間後、ようやく処分する方法を決めた者たちが牢屋に入った時には、いくつもはがれて血にまみれた爪が床に散乱したじょうたいで床に大穴があき、彼らの姿はどこにもないのであった‥‥‥‥
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