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第1章:幼少期~少年期前編
17話 前の話で正しい方法があったのに・・・
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SIDEエル
入学式から少々時間が経過した本日、ようやくある物が学校に届いたという連絡があった。
それは、入学式当初に測定でやらかしたエルのために、特別に用意された適性検査用の魔水晶である。
特別製と名が付くだけあって、しっかりとした頑丈性や耐久力などは保証されており、どれだけ魔力があろうが、どれだけ適した属性の数があろうが、それが例え未知のものだとしてもなんでもござれというようなすさまじいものらしく、それであれば、どれだけ魔力量が多くても必ず測定ができるらしい。
‥‥「らしい」と言っているのは、壊れないわけではないとも受け取れるけどね。
「とにもかくにも、これでようやく測定できるのか」
「またやらかさなければいいんですけれど、大丈夫でしょう」
ハクロの言葉道理だというように、うんうんとよっぽど壊れないことに自信があるのか、同意して頷く教師陣。
魔水晶が到着して早々、測定のために呼びだされ、僕は今その特別製の魔水晶の前に立っていた。
特別製なだけあって、入学式の時に見た魔水晶よりもかなり大きいだろう。
あれがまだ握りこぶしぐらいの大きさだったのに対して、こちらは牛とかのような大きさを誇っており、めっきめきのピッカピカな太い金属の支柱で支えられ、転がらないようにかつ壊れないようにこれでもかというほど補強が施されているようにも見えるだろう。
これならば、大丈夫だと思っていたのだが‥‥‥魔水晶に触れた瞬間、希望とは儚いものだと思い知ることになった。
バッリ―――――――――ン!!
「「「「「‥‥‥うっそだろぉぉぉぉぉおおおおおおい!?」」」」」
「あー…エル、また、やらかしたのですか」
教師陣や俺が思わず叫ぶ中、はぁぁっと溜息を吐くハクロ。
予想できたようなできなかったような光景を前にして、頭が痛くなりそうなのかちょっと天を仰いで遠い目押しながらそうつぶやかれてしまった。
なんか呆れているというか、諦めているというか…グゥの根も出ない。
とにもかくにも、せっかく用意された代物なのに、無残すぎるほどド派手に魔水晶は砕け散ってしまった
その光景を見て、誰もが驚愕する中、用意するのに時間をあっけて一番苦労したらしい、この学校の校長らしき人があぶくを拭いてぶっ倒れて、教師陣に運ばれていく。
なんか、心労をかけてしまったようで、本当にスイマセン。しかし、どうしようかこれ?
「これじゃあ、全く適正も分からないし、魔力量の予測もできないのがなぁ」
これ以上のものが用意できることは見込めず、わかったのはとりあえず魔水晶が壊れるほどの魔力があるという事ぐらいで、適性が何なのか不明なまま。
このままでは何の解決にもならないし、ほかに手段があるの不明である。
うーんっと考え込んでいると、ふとハクロが何かを思いついたようにぽんっと手を打った。
「あ、そうだ」
「ん?どうしたのハクロ?」
「エル、鑑定魔法を使えますよね?あの色々と探れる魔法で、わかってしまうもの」
「そうだけど、それがどうしたの?」
「それを使って、エル自身の適正とかって確認できないのでしょうか?」
「‥‥‥あ!?その手があったか!!」
「「「「それに早く気が付けばよかったぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
青天の霹靂というか、灯台下暗しというか、解決策はすぐそこに転がっており、その事実に気が付いた校長を運んでいった人以外の教師たちが思わず叫ぶ。
用意するのにかなり苦労していたようで、本当に申しわけないと思う。
でもまぁ。確かに単純な解決方法だった‥‥自分にどのような適性があるのか「鑑定魔法」で鑑定すればよかったじゃん。
一応、鑑定は万能でもなく閲覧不可な物もあるそうだが、それでも希望の光は再び灯された。
灯されたのであれば、後はその光に向かって進めば良いだけの話になる。
「自分の詳細な適性を、『鑑定』!!」
――――――――
適正属性:無属性、水属性、雷…その他数多いが全てではない。略称として『ノットオール』として鑑定結果を表示いたします。
――――――――
「‥‥‥なんだこれ?」
鑑定出来たようだが、何やら普通ではないおかしなものがでた。
―――――――
「ノットオール」
適正属性が数多くありすぎる者に対して、使われる適性属性を示す略称。
一部適性がないのだが、そこまで気にするようなものではなく、大体の属性が扱えるものだと考えればいいという事で、この結果となる。
適正ないのは魅了などの属性ではあるが、日常・非日常化において使わなくても死なないので、略されることになる。
ただし、多くの魔法に適正を持つ分、制御能力がかなり低下した状態になっており、使いこなすには練習あるのみであり、通常より多くの努力が必要となる。
―――――――
なるほど。一部使えないものもあるのでオールコンプリートとまではいかなくとも、大体の魔法に関しては適正があるように動けるらしい。
だが、器用貧乏になっているような形となっており、デメリットがそこそこ大きい様子だ。
魔法に必要なものにはイメージはもちろん、魔力もあるのだが‥‥‥その制御も大事なもの。
馬鹿みたいに魔力があろうと、ずんどこどっこんっとまったく制御せずに適当に扱えば一気に魔力は空っぽになるだろう。例えるのであれば、バケツから水を少しづつ注ぐのではなく、一気にひっくり返すようなことになり、あっというまに枯渇しかねない危険性を秘めているという事だ。
それどころか、制御能力が低ければかなり基本的な魔法でさえも、大雑把になり過ぎて使いづらくなるのだろう。あの小屋の魔法で、十分思い知ったからなぁ‥‥さらに言えば、膨大な魔力があるので、制御が出来なければ最悪の場合、周囲を吹き飛ばしかねない。
あんまりな結果に対して、周囲は何も言えない。
魔力が多いという事はそれだけ魔法を使っても困らないが、扱いづらさがこの上なく、どう声を掛ければいいのかもわからないのである。
少しの間周囲が声をかけにくくなっている中、一応詳細をこの場にいる全員と確認し合うことにした。
ほとんどの魔法の適性があるのは驚かれたが‥‥‥その分、制御能力が低下していることを話すと、魔水晶が砕けたことから魔力が膨大なのを理解し、制御が低ければまずいことになるのを教員たちは理解して顔を青ざめさせる。
どれだけやばいのか、教師として働いている以上、十分すぎる程理解したのだろう。
「その為、使わない手もありますけど、うっかり何かでやらかしかねませんし、周囲の被害を防ぐためにも、できるだけ魔法の制御方法について教えていただきたいのですが」
「もちろん教えるとも!!」
「というか、それならきちんとできないとまずいぞ!!」
「制御に関して、徹底的にやってあげるから吹き飛ばしたりするのはやめてくれぇ!!」
その言葉に対して、教師陣は即座に必死になって魔法に関する制御方法の訓練などを教えてくれることを約束してくれたのであった
ちなみにだが、この後、搬送されていた校長にもしっかり報告され、話を聞いた後にごべっばっと盛大に吐血したのは言うまでもない。
卒業までに、この学校の校長が代替わりしないだろうか?
――――――――
SIDEハクロ
その日の夜、無事(?)に適正を調べ終え、エルは寮室に戻って寝ていた。
色々とツッコミが多すぎたがキャパシティが超えたようで、夢の世界に逃亡したらしい。
そんな中、寝顔を見ながら、ハクロはそっとエルに寄り添う。
「全く、本当にどれだけやらかすのでしょうか、エルは‥‥‥」
呆れた声を出し方をすくめつつ、そっとハクロは優しげな瞳でエルを見ながら、起こさないように気を使いつつ、そっと抱きしめる。
どれだけ自分の尽くす相手が規格外だろうとも、この思いは変わらない。
例え、暴走してシャレにならない事態になったとしても‥‥自分だけは、最後まで彼の下にいようと心に決めているのだ。
「何があろうとも私は貴方に尽くします。明日からの制御の練習、頑張りましょうね…」
そうささやき、エルを抱きしめつぶやくハクロ。
寝床へに戻り、明日からの制御訓練で自分もできることがないかと模索しながら眠りにつくのであった‥‥‥
入学式から少々時間が経過した本日、ようやくある物が学校に届いたという連絡があった。
それは、入学式当初に測定でやらかしたエルのために、特別に用意された適性検査用の魔水晶である。
特別製と名が付くだけあって、しっかりとした頑丈性や耐久力などは保証されており、どれだけ魔力があろうが、どれだけ適した属性の数があろうが、それが例え未知のものだとしてもなんでもござれというようなすさまじいものらしく、それであれば、どれだけ魔力量が多くても必ず測定ができるらしい。
‥‥「らしい」と言っているのは、壊れないわけではないとも受け取れるけどね。
「とにもかくにも、これでようやく測定できるのか」
「またやらかさなければいいんですけれど、大丈夫でしょう」
ハクロの言葉道理だというように、うんうんとよっぽど壊れないことに自信があるのか、同意して頷く教師陣。
魔水晶が到着して早々、測定のために呼びだされ、僕は今その特別製の魔水晶の前に立っていた。
特別製なだけあって、入学式の時に見た魔水晶よりもかなり大きいだろう。
あれがまだ握りこぶしぐらいの大きさだったのに対して、こちらは牛とかのような大きさを誇っており、めっきめきのピッカピカな太い金属の支柱で支えられ、転がらないようにかつ壊れないようにこれでもかというほど補強が施されているようにも見えるだろう。
これならば、大丈夫だと思っていたのだが‥‥‥魔水晶に触れた瞬間、希望とは儚いものだと思い知ることになった。
バッリ―――――――――ン!!
「「「「「‥‥‥うっそだろぉぉぉぉぉおおおおおおい!?」」」」」
「あー…エル、また、やらかしたのですか」
教師陣や俺が思わず叫ぶ中、はぁぁっと溜息を吐くハクロ。
予想できたようなできなかったような光景を前にして、頭が痛くなりそうなのかちょっと天を仰いで遠い目押しながらそうつぶやかれてしまった。
なんか呆れているというか、諦めているというか…グゥの根も出ない。
とにもかくにも、せっかく用意された代物なのに、無残すぎるほどド派手に魔水晶は砕け散ってしまった
その光景を見て、誰もが驚愕する中、用意するのに時間をあっけて一番苦労したらしい、この学校の校長らしき人があぶくを拭いてぶっ倒れて、教師陣に運ばれていく。
なんか、心労をかけてしまったようで、本当にスイマセン。しかし、どうしようかこれ?
「これじゃあ、全く適正も分からないし、魔力量の予測もできないのがなぁ」
これ以上のものが用意できることは見込めず、わかったのはとりあえず魔水晶が壊れるほどの魔力があるという事ぐらいで、適性が何なのか不明なまま。
このままでは何の解決にもならないし、ほかに手段があるの不明である。
うーんっと考え込んでいると、ふとハクロが何かを思いついたようにぽんっと手を打った。
「あ、そうだ」
「ん?どうしたのハクロ?」
「エル、鑑定魔法を使えますよね?あの色々と探れる魔法で、わかってしまうもの」
「そうだけど、それがどうしたの?」
「それを使って、エル自身の適正とかって確認できないのでしょうか?」
「‥‥‥あ!?その手があったか!!」
「「「「それに早く気が付けばよかったぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
青天の霹靂というか、灯台下暗しというか、解決策はすぐそこに転がっており、その事実に気が付いた校長を運んでいった人以外の教師たちが思わず叫ぶ。
用意するのにかなり苦労していたようで、本当に申しわけないと思う。
でもまぁ。確かに単純な解決方法だった‥‥自分にどのような適性があるのか「鑑定魔法」で鑑定すればよかったじゃん。
一応、鑑定は万能でもなく閲覧不可な物もあるそうだが、それでも希望の光は再び灯された。
灯されたのであれば、後はその光に向かって進めば良いだけの話になる。
「自分の詳細な適性を、『鑑定』!!」
――――――――
適正属性:無属性、水属性、雷…その他数多いが全てではない。略称として『ノットオール』として鑑定結果を表示いたします。
――――――――
「‥‥‥なんだこれ?」
鑑定出来たようだが、何やら普通ではないおかしなものがでた。
―――――――
「ノットオール」
適正属性が数多くありすぎる者に対して、使われる適性属性を示す略称。
一部適性がないのだが、そこまで気にするようなものではなく、大体の属性が扱えるものだと考えればいいという事で、この結果となる。
適正ないのは魅了などの属性ではあるが、日常・非日常化において使わなくても死なないので、略されることになる。
ただし、多くの魔法に適正を持つ分、制御能力がかなり低下した状態になっており、使いこなすには練習あるのみであり、通常より多くの努力が必要となる。
―――――――
なるほど。一部使えないものもあるのでオールコンプリートとまではいかなくとも、大体の魔法に関しては適正があるように動けるらしい。
だが、器用貧乏になっているような形となっており、デメリットがそこそこ大きい様子だ。
魔法に必要なものにはイメージはもちろん、魔力もあるのだが‥‥‥その制御も大事なもの。
馬鹿みたいに魔力があろうと、ずんどこどっこんっとまったく制御せずに適当に扱えば一気に魔力は空っぽになるだろう。例えるのであれば、バケツから水を少しづつ注ぐのではなく、一気にひっくり返すようなことになり、あっというまに枯渇しかねない危険性を秘めているという事だ。
それどころか、制御能力が低ければかなり基本的な魔法でさえも、大雑把になり過ぎて使いづらくなるのだろう。あの小屋の魔法で、十分思い知ったからなぁ‥‥さらに言えば、膨大な魔力があるので、制御が出来なければ最悪の場合、周囲を吹き飛ばしかねない。
あんまりな結果に対して、周囲は何も言えない。
魔力が多いという事はそれだけ魔法を使っても困らないが、扱いづらさがこの上なく、どう声を掛ければいいのかもわからないのである。
少しの間周囲が声をかけにくくなっている中、一応詳細をこの場にいる全員と確認し合うことにした。
ほとんどの魔法の適性があるのは驚かれたが‥‥‥その分、制御能力が低下していることを話すと、魔水晶が砕けたことから魔力が膨大なのを理解し、制御が低ければまずいことになるのを教員たちは理解して顔を青ざめさせる。
どれだけやばいのか、教師として働いている以上、十分すぎる程理解したのだろう。
「その為、使わない手もありますけど、うっかり何かでやらかしかねませんし、周囲の被害を防ぐためにも、できるだけ魔法の制御方法について教えていただきたいのですが」
「もちろん教えるとも!!」
「というか、それならきちんとできないとまずいぞ!!」
「制御に関して、徹底的にやってあげるから吹き飛ばしたりするのはやめてくれぇ!!」
その言葉に対して、教師陣は即座に必死になって魔法に関する制御方法の訓練などを教えてくれることを約束してくれたのであった
ちなみにだが、この後、搬送されていた校長にもしっかり報告され、話を聞いた後にごべっばっと盛大に吐血したのは言うまでもない。
卒業までに、この学校の校長が代替わりしないだろうか?
――――――――
SIDEハクロ
その日の夜、無事(?)に適正を調べ終え、エルは寮室に戻って寝ていた。
色々とツッコミが多すぎたがキャパシティが超えたようで、夢の世界に逃亡したらしい。
そんな中、寝顔を見ながら、ハクロはそっとエルに寄り添う。
「全く、本当にどれだけやらかすのでしょうか、エルは‥‥‥」
呆れた声を出し方をすくめつつ、そっとハクロは優しげな瞳でエルを見ながら、起こさないように気を使いつつ、そっと抱きしめる。
どれだけ自分の尽くす相手が規格外だろうとも、この思いは変わらない。
例え、暴走してシャレにならない事態になったとしても‥‥自分だけは、最後まで彼の下にいようと心に決めているのだ。
「何があろうとも私は貴方に尽くします。明日からの制御の練習、頑張りましょうね…」
そうささやき、エルを抱きしめつぶやくハクロ。
寝床へに戻り、明日からの制御訓練で自分もできることがないかと模索しながら眠りにつくのであった‥‥‥
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