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色々集めた結果を見せ始めたり

#407 このご時世、割と見聞きしない人もいる者なのデス

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SIDE とある国

…‥‥シアンたちがワゼの教育機関に対してツッコミを入れつつも受け入れるしかない丁度その頃、ボラーン王国からはるか離れた…‥‥ミスティアの姉がいる国とはまた別の大陸の方にある国では、戦争の用意が勧められていた。

「‥‥‥もう少し兵装を積みたいが…‥‥これ以上は無理か」
「ええ、そうでございます国王陛下。これ以上は流石に船が沈没してしまいます」

 軍港に改装した港を歩き、海に浮かぶ軍船を見ながらその国‥‥‥アルドリア王国のラッパリアは臣下の言葉に残念そうに肩を落とす。

「そうか、できるだけ万全の態勢で我が国の力を示したいが、それなら仕方がないだろう」

 そう口にしつつ、国王は軍港を見渡す。

「ならば、あとはこれに優秀な兵士たちを乗せ…‥‥海の向こうにあるであろう国々へ攻め、我が国の糧にするだけで良いか」
「それでいいでしょう。どうせ我が国のように戦の用意をする国々はそうありません。何しろ野蛮な未開の民族が多そうですからなぁ」
「それもそうか」

 がははあっと笑いあう国王と臣下たち。

 そう、彼らは今、海の向こうにある国々を侵略しようと戦争の用意をしていたのである。

 とはいえ、何も海に面した国ばかりではなく、その内陸にある国々も想定しており、一旦拠点を沿岸部に作ってはじわじわ攻めていくという指針を立てていた。

「年月は多少はかかりますが、うまくいけば陛下は世界を手中に収めた王として確実に覇権を握れるでしょう」
「そう、それこそ我輩が偉大なる王であったと知らしめるのにいいからな」

 得られる利益や功績、名声などを頭に浮かべるだけで、彼らは笑みをこらえきれない。

 この国こそが世界最先端の軍事国であり、どこの国で有ろうとも直ぐに制圧して終わらせることができると信じ切っているのだ。

‥‥‥だがしかし、それはあくまでもその国だけでの話。

 いや、その国は確かにその大陸内で最強だったのかもしれないが…‥‥国外、それも未知の海の向こうにある国々ではどうなのだろうか?

 その答えがもう間もなく迫るのだが、その答えを知ったとしても、彼らは受け入れるのかどうかは分からない。

 ただ一つ言えるのは、井の中の蛙大海を知らずという言葉が、彼らに似合っていることぐらいだが‥‥‥とにもかくにも、愚かな選択をその国は選んでしまったのであった‥‥‥‥



――――――――――――――
SIDEシアン

「…‥‥何と言うか、娘たちの人気がこれで十分うかがえるけど」
【凄すぎるというか、なんというか‥‥‥‥】
「国としての判断もありますし、頭の痛くなりそうな話ですわね」

 ボラーン王国の王城内、執務室。

 その部屋にて、僕らはある山をみて、頭が痛くなりそうであった。

「記録更新デスネ。毎日増えてますが、諦めの悪い人から新たに申し込む人…‥‥すごい量デス」

 ワゼがわっせっわせとシスターズと共に運び入れているのは大量の手紙の山。

 これが普通の手紙なら良いのだが、この山の内容は‥‥‥‥


「おもに、婚約のお願いか‥‥‥‥国内の貴族だけじゃなくて、国外の王族とかまでいるんだけど」
「政略的な意味合いから、ひとめぼれ、学内での交流を経ての初恋…‥‥内容は様々ですわね」

 そう、その手紙の山は全て、僕たちの娘たちを迎えたい、あるいは受け入れられたいという求婚状。

 王子宛のものもあるが、それは1割であり、残りの9割を娘たちへのものが多いのである。

【んー、ミスティアさんとの子であればここの王族の血が入っているのでそっち目当てなのもありますけど‥‥‥私とシアンの子ですと、魔王の血筋だからという理由も多いですね】
「血だけを見ているのは却下しまくりたいが…‥‥中にはまともに見ている方もいるな」

 よくある表面上の事だけではなく、内面部分を考えている内容も結構ある。

 とはいえ、親が考えに考え抜いた内容が多くあり、その対象となる子自身が書いたとは思えないものが多いのはちょっと気に喰わないような気がするだろう。

「というか、身分詐称もいくつかありますね…‥相手が貴族でないと結婚させてくれないと考えている人もいるのでしょうカ?」
「そこはそんなに決まり事もないですわね」

 ワゼの言葉にそう返答するミスティア。

 普通の国だと王族は権力の補強や補充のために政略的な結婚を行い、ある程度の身分を必要とすることが多い。

 けれども、このボラーン王国の場合は出来るだけ恋愛結婚の方が推進されているのである。

 まぁ、多少身分などは必要になっていたりするが‥‥‥‥それでも、政略的なことになっても愛情をはぐくめるように積極的に行うようにしており、円満な結婚が多いのだ。

 ミスティアの姉の例が最たる例というべきか…‥‥先日結婚式を挙げた彼女の兄たちもその例に入るのか…‥何にしても考慮する内容にはあれども、身分で差別することはそうそうない。

 なので、そこは偽らなくてもいいはずなのだが、詐称している時点でアウトとも言うべきか。

「そもそも、まだ娘たち小さいのだし、結婚させたくないけどなぁ‥‥‥」
【毎日学園へ通って、学んだこととかを一生懸命披露して活かしてくれることとか、物凄く可愛いですものね】
「王子・王女な子供たちでも、まだまだ遊ばせたいですわねぇ‥‥‥」

 世間には親馬鹿とか言う話もあるが、僕らもちょっとそれに入りそうなことぐらいは自覚していたりする。

 でも、やはりまだまだ子供たちを嫁がせたりしたくはないという気持ちが大きいのだ。

‥‥‥まぁ、商国に婚約済みで、もう少ししたらそこへ向かって交流をさらに深めようという話もあったりするが‥‥‥まだ納得は仕切ってない。きちんとその時まで破棄するような真似はないと信じたい。

 とにもかくにも、毎日のように増えている求婚状の山に、僕らは深い溜息を吐くのであった…‥‥

 教育機関ができて学ぶ人が増えた分、娘たちを目にする機会が多くなったがゆえに、出す人が多くなってしまったのだろうか?


「‥あ、あとわたくし宛もありますわね。王族だからこそ子供を増やしてしまえと、妾的な夫を持てという煩いのがありますわね」
「本当に国を考えているのならまだしも、全部自身の血筋で乗っ取りたいという思惑が丸見えなんだよなぁ…‥‥」
「あとで処理しておきマス」

 うん、国として考えるのならまだしも、これ完全に身分・権力目当てな類しかなかったからね。そのあたりは残しておくと色々面倒になるのは分かっているし、処分は任せよう。

【あ、シアン。これポチたちからのやつですよ】
「え、なんでポチたちからのが…‥‥いや、内容だと代筆は別の神獣で…‥‥ん?」

‥‥‥なにやら話があるような感じだが‥‥‥この山を見た後の気分転換として出向いてみようか。
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