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清算する時も新しく生み出す時も

#387 一方ではというのも何回もデス

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SIDEシアン

「…‥‥なるほど、原因不明か」
「どうやらそのようですので、至急現地に調査特化型シスターズを派遣し、しばらく調べさせマス」

 ボラーン王国王城内の中庭にて、ハクロにもたれかかってのんびりしている中で、ワゼから知らされた連絡。

 はるか北の大地へ向かったロールたちからの通信であり、何やら面倒ごとの可能性があるのだとか。

「悪魔の消滅、人々がおらず廃墟化…‥‥つい最近までは、生存は確認できたはずだよね?」
「ええ、間違いないでしょウ。魔法などが施行されたのかと思われましたが、魔力の痕跡もなく、サンプルにある神々のデータや悪魔の使用する力なども確認しましたが、それらが発動した痕跡もなかったようデス」

 神でもなく、悪魔でもなく、かといって人でもなく、何者かが起こした北の国の廃墟化。

 まぁ、そもそも国交のある国自体がほとんどなかったので、別になくなっても気が付く国はそうでないらしいが、一応はロールの元故郷だしな…‥‥どうにかしたくもなる思いはあるだろう。

【原因不明の大喪失事件…‥‥なんか怖いですね】
「けっこう距離が離れているとはいえ、ここで起きないとも限らないからな‥‥‥不安にはなるよ」

 そうつぶやきつつ、ハクロの持っている卵二つに不安が伝わらないように気を遣いつつ、庭の方でワイワイと遊んでいる娘たちを見る。

「娘たちに害があっても困るし、全力で捜査に取り組んでもらいたい。念のために、警備体制も増やしつつ、応援もより増大して送ってほしい」
「了解デス」

 シスターズが多くなった分、人海戦術がとりやすい。

 一つの国が滅んでいる以上、こちらの方でも警戒するに越したことはないからな‥‥‥

「しかしなぁ、何があったんだろうか?」
【うーん、分かりませんし‥‥‥情報もそこまであるわけでもないですよね?】

 はるか北の大地にある国は、ほとんどの国と国交はない。

 とはいえ、別に国付き合いが悪いとか言う訳でもなく、場所が場所だけに領土を狙うような輩も特に存在せず、ぼそぼそとのんびりしていた国でもあるらしい。

 なので、誰がそんな廃墟化させるのか、その目的は何なのかと考えても分からないのだ。


【ふみゅ~~~!!からまったぁぁぁ!!】
【ぴゃーい!!】

「あ、ヒルドとノルンが糸の塊に!?」
【ちょっと目を離しただけで、何がどうなったんですか!!】

 ひとまずはその分からないことに関しては頭の隅の方において警戒しつつ、今はやらかす娘たちを助けるために動くのであった。

…‥‥いや本当に、成長しても娘たちやらかすんだけど。

 何がどうやってこんなに絡まったんだろうか‥‥‥‥






―――――――――――――――――――――
SIDEドーラ

【シャゲシャゲェシャゲェ】
【ブモー!!】
【フヘへへへ!!】

…‥‥丁度その頃、ハルディアの森方面よりちょっとズレた地下の方にて、ドーラは珍しくシアンの子供たちの面倒を見る事から離れ、植物系モンスターたちによる地下での会合に参加していた。

 と言っても、ドーラ以外の参加者であるモンスターたちは、純粋な野生のモンスターという訳ではない。

 このボラーン王国内にある温泉都市出身の植物系たちである。


 彼らは温泉都市で生まれ育ち、従業員として働いているのだが、たまにはこうやって休暇を取って休みたくもなる。

 そしてついでにドーラの方も、最近はちょっと同じ植物仲間が欲しいなぁと思っている中で、互に利害が一致し、適度にこうやって集うようになっていたのであった。

 何気にドーラの方もコミュニケーションの場は広くあり、その他の集いにも顔を出すことはあるが、今はこの場での集いである。

 特に話すことが無くとも、たわいもない世間話がほとんどでありつつ、割と盛り上がるので楽しめるのである。

【シャゲ~シャゲ】
【フヘフヘーン】

 互いに言語が異なるような気もするが、意味は通じ合う。

 植物ゆえの根っこでの交信か、それとも身振り手振りのジェスチャーでの相互理解なのか…‥‥仮に、植物系モンスターに関する学者がいたら、絶対に頭を悩ます光景なのは間違いないだろう。

【シャゲシャゲ‥‥‥シャゲェ?】

 っと、互に語り合う中で、ふと新しい顔入りにドーラは気が付いた。

 それは、小さなタケノコのようなモンスターであり、この辺では見かけないような類である。

【シャゲー!】

 へーい!!っという位軽く挨拶をして見るが、そのタケノコモンスターは返答しない。

【フヘェ?】

 ドーラと語り合っていた、マンイーターという植物モンスターが気が付き、同じように語り掛けるも返答無し。

 なんだなんだと、他の植物モンスターたちもその様子に気が付き、囲んで同じように語り掛けるも微動だにされない。

【シャゲシャゲ(特別翻訳:誰、これ?)】
【フヘ(知らないんだけど)】
【シュワシュワ(というか、会員リストに載ってないわねぇ。ここに生えただけの子かしら?】
【ブモーッス(んー、喋らないなら、ほっといてもいいんじゃないか?】

 互いにそう意見を出し合い、そのタケノコモンスターが語らないのであれば、無理に強要する必要もないと判断する。

【シュル?ウルフフ?(おいおい、でも話さないのはなんでだぁ?お前、口もないのかぁ?)】
【グジュワバア(いや、そもそも植物に口があるのはそうないんだが)】

 っと、ドーラたちがほっとこうと思っている中で、しつこく語り掛ける植物系二体がつんつんっと触りつつ、ちょっかいをかけた。

【ゲバーン(やめておけよ)】
【シャゲシャゲェ(何か事情があるかもしれないからね)】

 しつこくちょっかいをかける姿に、ちょっと見てられず、ドーラと別の植物系モンスターがそう口にした‥‥‥次の瞬間であった。

【シュ?ルルルシュ、ゴベッブゥ!?(あああん?こいつが喋らないのがわ、ごべぶぅっ!?】
【【【!?】】】

 しつこく動いていた奴がドーラたちに反論しようとした中で、突然そいつの体から何かが生えた。

 それは、そこにいるタケノコモンスターのような…‥‥いや、それよりも小さいものが地面から生え、見事に串刺しにしていたのである。


【シュゴッグ…‥‥ゴボゥ!!】

 そのまま何か言おうとしつつも、一気に体がしなびて、そのままその刺さった相手は枯れてしまった。

 そして、その肉体はすっと溶けるように地面に消えてしまった‥‥‥‥。

【‥‥‥シャゲェェェ!!(逃げろおおおおおお!!)】
【【【キゲェェ!!】】】

 あっけに取られていたが、不味い予感がしたのでドーラはそう叫び、他の植物モンスターたちが逃げ出す。

 すると、先ほどまでいた地面から次から次へと串刺しにしてきたものとおなじものがどんどん生えてきた。

 植物系モンスターの集まりの場は、一瞬にして阿鼻叫喚となり、全員必死で逃亡する羽目になるのであった‥‥‥‥
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