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良からぬ企みは、なぜこうも生み出されるのか
#344 きちんとこういう部分も忘れずにデス
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SIDEシアン
…‥‥ディングルア王国でのごたごたに巻き込まれてから、既に数週間ほどが経過していた。
帰国した後、ワゼが何かを得ていたらしく、その技術を色々と試していたようではあったが…‥‥
【ふみゅ~!ブーブーはやーい!!】
「みー!飛ぶより遅いけど、はやーい!!」
「ちょっと待つにょぉぉぉ!!お姉ちゃん、まだ慣れていないのに何でそんなにテクニックが磨かれているんだにょぉお!!」
「‥‥‥今度は何を作った、ワゼ」
「見ての通りデス。出力は相当落としていますが、錬金術の本で得た技術によれば、自動車というものを開発して見まシタ」
いや、開発したというか‥‥‥アレ、どう見ても前世の自動車の子供用のおもちゃにそっくりなんだけど。
錬金術の本で、何をどうやってあれを作ったんだろうか。
今、ヒルドとオルトリンデがそれぞれ赤い車のようなものと、ピンクの車のようなものにのって遊んでおり、その背後をロールが一生懸命青い車を操縦して追いかけている光景。
いや、車というよりも、某配管工が操縦するおもちゃのカート的なモノなのだが‥‥‥あ、溝にタイヤが嵌ったと思ったら、それを利用してカーブをしただと?なんか変なテクニックを身につけてないかあれ?
「現在は、安全性も確認して、お子様方に楽しんでいただけますように小型化を施したものを出してますが、好評デス」
「まぁ、けっこう喜んでいるからいいか」
普通のアクセル、ブレーキペダルもあるようで、おもちゃバージョンらしいがそれでも結構本格的な仕様。
ヒルドの場合、足の部分がハクロと同じなのでそのあたりの操作はどうなのかと思ったが、一応あの前足のように見える食指の部分で操縦可能なようで、皆で仲良く遊んでいる。
というか、乗ってまだ1時間も経っていないのに、なんかすごいテクニックを身に着けているんだけど。
ドリフト、バク中、スピンジャンプ、瞬間加速…‥‥某配管工カートゲームであれば、あれ全部一位に持っていけそうなレベルなんだけど。
しかもシスターズ、お前ら何専用サーキット場を中庭に作って、そこで競わせてみているんだよ。余計にそれっぽいというか‥‥‥‥ああ、語彙力がない自分のツッコミ力を鍛えたい。
【うわぁ、楽しそうですねあれ!】
「城の中庭に、勝手にああいうものは作ってほしくないのですが…‥‥すごいとしか、言いようがないですわね」
ハクロも乗って見たいのかワクワクした声であり、ミスティアの方は既にあきらめたかのような、達観した声になっている。
「一応聞くけど、あれってホムンクルスの技術を元にしたエンジン搭載?」
「ええ、そうデス。設計図なども記録していましたが、本来は何か液体燃料を注ぐようでしたが、環境や事故、お子様方の健康なども配慮し、その代用品となりうるものとして採用いたしまシタ。出力自体私たちの動力式に比べて大幅に下がりますが、あのサイズで最高時速100キロは可能デス」
「いや、その速度で子供に運転させるのは危ないからね!?」
「安全装置がありますので、実際は10キロ程度デス」
「あ、それなら安心‥‥‥」
そのぐらいなら、まだ許容範囲内だ。すぐに追いつけるだろうし、安全装置とやらを付けるほど、ワゼも配慮してくれるようになった部分に、安心感を‥‥‥
「で、子供サイズから大人サイズへ変更いたしますと、300キロは容易くなりまシタ」
「上げて落とすなぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!いや、速度を上げるなぁ!!」
なんというか、久しぶりにツッコミを入れたような気がする。
彼女のやらかしは何処かで受け入れていたが、久しぶりに受け入れがたいものを見てしまったせいだろう。
‥‥‥何と言うか、あの王国へ渡ったのは、ワゼに何かやばいものを覚えさせる結果に至ったのではなかろうかと、シアンは少々後悔するのであった。
【ふみゅー!!おかあしゃんにジャァァンプ!!】
「みー!!勢いそのままでー!!」
【え!?ちょっと二人とも、そのジャンプ台から跳ね、ひやああああああああああああああ!!】
「ちょっと待てぇ!!車危ないんだけど!!衣急速展開と確保ぉぉぉぉぉぉ!!」
―――――――――――――――――――――――――
SIDEボラーン王国元国王陛下
「ふひぃ…‥‥だいぶ浸かったなぁ」
…‥‥王城にて、無茶苦茶な事をやらかした妹たちに対して、ロールが説教をしていた丁度その頃、かつてボラーン王国の国王でありつつ、現在は娘のミスティアに王位を譲り渡し、隠居していた国王は、温泉都市のとある温泉宿にてゆったりと浸かっていた。
国王の座から降りて、念願の隠居生活。
数カ月以上経過しているが、政務に追われていた日々が懐かしくなるほど、今の生活はゆったりと過ごせていた。
時折、温泉都市では彼らが泊まる宿屋からたまに奇声が上がっている報告もあるが‥‥‥‥それは気にしていない。
温泉都市の主であるという、最近姿を現したダンジョンコアと名乗る者が談判しに来たので、それを了承し、現在は人の迷惑に掛からないところで宿泊しているが、それでも温泉自体の過ごしやすさは変わらないのである。
色々大変であった国王は今、まさに人生の中でもっともな安らぎを得ているのであった。
「にしてもだ…‥‥息子たちの近況報告も聞くと、色々やっているなぁ」
入り婿の方についていたメイドのシスターズとやらが、定期的に知らせてくれる、現在のボラーン王国の王族の動きについての防水加工を施した報告書を読みながら、国王はそうつぶやく。
国王には5男2女の子供たちがいたが、一人は既に王位を継いで女王になっているのは分かっていたが、他の面々の動向を知って、その生活に対して面白そうに思った。
第1、第2王子は現在、ここからはるか離れた大陸で、今もなお慕う者たちに追いかけられており、逃走中ながらも着実に逃走経路を潰されており、そう遠くないうちに婚姻が決定してしまうようだ。
第3、第4王子たちは、既に王子と言えず、何と国を建国しており、他国の間者たちも引き入れ、一大情報国家として軌道に乗り始めたらしい。情報によれば、この情報をもたらしてくれたメイドたちからも一部受け入れをしており、余計に情報収集能力を高めているのだとか‥‥‥‥
第5王子に関しては、歌唱力強化の旅で、どうも気になる女性が出来たらしい。
「そして娘二人の内、ディングルア王国へ嫁いだアルティアには懐妊…‥‥孫が早くも見れそうだ」
親として、子供の成長する姿も嬉しく、そしてその子供が大人となり、自分と同じ立場になるのも非常に楽しみで、嬉しい事なのだ。
「出来れば、国の後継ぎとしてミスティアにも早く子が欲しいのだがな…‥‥」
王座を譲り渡した娘、ミスティア。
しばらく彼女の治世を続けることができるだろうが、それでも早めに、次の王になる子供を授かってほしいという親心もあるのだ。
まぁ、それだけではなく…‥‥
「‥‥‥魔王との子がどの様な者になるかは分からないがな」
ミスティアの王配は、魔王。
中立の立場にあるとされる者であり、名前はシアン。
彼との間に子供ができれば、それこそ国を守れるようなものになるだろうと予想ができるのだが‥‥‥一つ、不安があった。
それは、仮に子供を授かったとしても、それが本当に人の子になるのか、という不安。
そのシアンにはすでに妻が一人おり、そちらは絶世の美女のようなアラクネではあるが、その彼女との子供は同種という訳ではなかった。
となると、ミスティアと子供を成した場合‥‥‥その子供が人間ではない可能性も、十分あり得るのだ。
「何にしても、それがかわいい孫になるのは間違いないか…‥‥早めに、作って欲しい所だ」
不安はあれども、それでも大丈夫だろうと思う心もあり、孫の顔を見たいという爺心が既にある状態。
ふと、その時に、この温泉にある子宝の湯の存在を思い出し、それを利用するのも手かなと考え、手紙を送ることにしたのであった‥‥‥‥
…‥‥ディングルア王国でのごたごたに巻き込まれてから、既に数週間ほどが経過していた。
帰国した後、ワゼが何かを得ていたらしく、その技術を色々と試していたようではあったが…‥‥
【ふみゅ~!ブーブーはやーい!!】
「みー!飛ぶより遅いけど、はやーい!!」
「ちょっと待つにょぉぉぉ!!お姉ちゃん、まだ慣れていないのに何でそんなにテクニックが磨かれているんだにょぉお!!」
「‥‥‥今度は何を作った、ワゼ」
「見ての通りデス。出力は相当落としていますが、錬金術の本で得た技術によれば、自動車というものを開発して見まシタ」
いや、開発したというか‥‥‥アレ、どう見ても前世の自動車の子供用のおもちゃにそっくりなんだけど。
錬金術の本で、何をどうやってあれを作ったんだろうか。
今、ヒルドとオルトリンデがそれぞれ赤い車のようなものと、ピンクの車のようなものにのって遊んでおり、その背後をロールが一生懸命青い車を操縦して追いかけている光景。
いや、車というよりも、某配管工が操縦するおもちゃのカート的なモノなのだが‥‥‥あ、溝にタイヤが嵌ったと思ったら、それを利用してカーブをしただと?なんか変なテクニックを身につけてないかあれ?
「現在は、安全性も確認して、お子様方に楽しんでいただけますように小型化を施したものを出してますが、好評デス」
「まぁ、けっこう喜んでいるからいいか」
普通のアクセル、ブレーキペダルもあるようで、おもちゃバージョンらしいがそれでも結構本格的な仕様。
ヒルドの場合、足の部分がハクロと同じなのでそのあたりの操作はどうなのかと思ったが、一応あの前足のように見える食指の部分で操縦可能なようで、皆で仲良く遊んでいる。
というか、乗ってまだ1時間も経っていないのに、なんかすごいテクニックを身に着けているんだけど。
ドリフト、バク中、スピンジャンプ、瞬間加速…‥‥某配管工カートゲームであれば、あれ全部一位に持っていけそうなレベルなんだけど。
しかもシスターズ、お前ら何専用サーキット場を中庭に作って、そこで競わせてみているんだよ。余計にそれっぽいというか‥‥‥‥ああ、語彙力がない自分のツッコミ力を鍛えたい。
【うわぁ、楽しそうですねあれ!】
「城の中庭に、勝手にああいうものは作ってほしくないのですが…‥‥すごいとしか、言いようがないですわね」
ハクロも乗って見たいのかワクワクした声であり、ミスティアの方は既にあきらめたかのような、達観した声になっている。
「一応聞くけど、あれってホムンクルスの技術を元にしたエンジン搭載?」
「ええ、そうデス。設計図なども記録していましたが、本来は何か液体燃料を注ぐようでしたが、環境や事故、お子様方の健康なども配慮し、その代用品となりうるものとして採用いたしまシタ。出力自体私たちの動力式に比べて大幅に下がりますが、あのサイズで最高時速100キロは可能デス」
「いや、その速度で子供に運転させるのは危ないからね!?」
「安全装置がありますので、実際は10キロ程度デス」
「あ、それなら安心‥‥‥」
そのぐらいなら、まだ許容範囲内だ。すぐに追いつけるだろうし、安全装置とやらを付けるほど、ワゼも配慮してくれるようになった部分に、安心感を‥‥‥
「で、子供サイズから大人サイズへ変更いたしますと、300キロは容易くなりまシタ」
「上げて落とすなぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!いや、速度を上げるなぁ!!」
なんというか、久しぶりにツッコミを入れたような気がする。
彼女のやらかしは何処かで受け入れていたが、久しぶりに受け入れがたいものを見てしまったせいだろう。
‥‥‥何と言うか、あの王国へ渡ったのは、ワゼに何かやばいものを覚えさせる結果に至ったのではなかろうかと、シアンは少々後悔するのであった。
【ふみゅー!!おかあしゃんにジャァァンプ!!】
「みー!!勢いそのままでー!!」
【え!?ちょっと二人とも、そのジャンプ台から跳ね、ひやああああああああああああああ!!】
「ちょっと待てぇ!!車危ないんだけど!!衣急速展開と確保ぉぉぉぉぉぉ!!」
―――――――――――――――――――――――――
SIDEボラーン王国元国王陛下
「ふひぃ…‥‥だいぶ浸かったなぁ」
…‥‥王城にて、無茶苦茶な事をやらかした妹たちに対して、ロールが説教をしていた丁度その頃、かつてボラーン王国の国王でありつつ、現在は娘のミスティアに王位を譲り渡し、隠居していた国王は、温泉都市のとある温泉宿にてゆったりと浸かっていた。
国王の座から降りて、念願の隠居生活。
数カ月以上経過しているが、政務に追われていた日々が懐かしくなるほど、今の生活はゆったりと過ごせていた。
時折、温泉都市では彼らが泊まる宿屋からたまに奇声が上がっている報告もあるが‥‥‥‥それは気にしていない。
温泉都市の主であるという、最近姿を現したダンジョンコアと名乗る者が談判しに来たので、それを了承し、現在は人の迷惑に掛からないところで宿泊しているが、それでも温泉自体の過ごしやすさは変わらないのである。
色々大変であった国王は今、まさに人生の中でもっともな安らぎを得ているのであった。
「にしてもだ…‥‥息子たちの近況報告も聞くと、色々やっているなぁ」
入り婿の方についていたメイドのシスターズとやらが、定期的に知らせてくれる、現在のボラーン王国の王族の動きについての防水加工を施した報告書を読みながら、国王はそうつぶやく。
国王には5男2女の子供たちがいたが、一人は既に王位を継いで女王になっているのは分かっていたが、他の面々の動向を知って、その生活に対して面白そうに思った。
第1、第2王子は現在、ここからはるか離れた大陸で、今もなお慕う者たちに追いかけられており、逃走中ながらも着実に逃走経路を潰されており、そう遠くないうちに婚姻が決定してしまうようだ。
第3、第4王子たちは、既に王子と言えず、何と国を建国しており、他国の間者たちも引き入れ、一大情報国家として軌道に乗り始めたらしい。情報によれば、この情報をもたらしてくれたメイドたちからも一部受け入れをしており、余計に情報収集能力を高めているのだとか‥‥‥‥
第5王子に関しては、歌唱力強化の旅で、どうも気になる女性が出来たらしい。
「そして娘二人の内、ディングルア王国へ嫁いだアルティアには懐妊…‥‥孫が早くも見れそうだ」
親として、子供の成長する姿も嬉しく、そしてその子供が大人となり、自分と同じ立場になるのも非常に楽しみで、嬉しい事なのだ。
「出来れば、国の後継ぎとしてミスティアにも早く子が欲しいのだがな…‥‥」
王座を譲り渡した娘、ミスティア。
しばらく彼女の治世を続けることができるだろうが、それでも早めに、次の王になる子供を授かってほしいという親心もあるのだ。
まぁ、それだけではなく…‥‥
「‥‥‥魔王との子がどの様な者になるかは分からないがな」
ミスティアの王配は、魔王。
中立の立場にあるとされる者であり、名前はシアン。
彼との間に子供ができれば、それこそ国を守れるようなものになるだろうと予想ができるのだが‥‥‥一つ、不安があった。
それは、仮に子供を授かったとしても、それが本当に人の子になるのか、という不安。
そのシアンにはすでに妻が一人おり、そちらは絶世の美女のようなアラクネではあるが、その彼女との子供は同種という訳ではなかった。
となると、ミスティアと子供を成した場合‥‥‥その子供が人間ではない可能性も、十分あり得るのだ。
「何にしても、それがかわいい孫になるのは間違いないか…‥‥早めに、作って欲しい所だ」
不安はあれども、それでも大丈夫だろうと思う心もあり、孫の顔を見たいという爺心が既にある状態。
ふと、その時に、この温泉にある子宝の湯の存在を思い出し、それを利用するのも手かなと考え、手紙を送ることにしたのであった‥‥‥‥
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