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良からぬ企みは、なぜこうも生み出されるのか

#334 狙いは何かズレていたりするのデス

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SIDEシアン

「アルティア姉様、お久しぶりですわね。お元気そうで何よりですわ」
「ええ、ミスティア、貴女も元気そうね~」

‥‥‥馬車の道中、考えたくないが色々あったが、無事にディングルア王国の王城に僕らは到着した。

 王城内に入り、事前に客用に用意されていた来賓室の方へ案内され、そこでミスティアは彼女の姉であるアルティアに再会した。

 片方はボラーン王国の女王であり、もう片方はこのディングルア王国の王太子妃‥‥‥今回の懐妊を受け、国王が退位を早め、出産の時期頃には王妃になる人物たち。

「そう考えると、なんか場違いなような気もするな‥‥‥」
「何を言うのかな?私の妃の妹の夫‥‥‥ようは義弟ともいえるシアン殿よ。いや、魔王殿というべきだろうか?」
「いや、普通に魔王呼びはしなくても良いかな。魔王は魔王でも、権力があるわけでもないからね」

 あっちはあっちで仲良くしている一方で、僕の方は義姉の夫、この国の王太子であるモルドという人物と話していた。

 見た目的には少々優男という感じだが、これであの物体Xたっぷり料理をおいしそうに食べているらしいから驚きである。

 いや、ちょっと予定よりも早めについてしまい、ちょうど調理されたてのものを食べていたそうだが‥‥‥人って、見た目に寄らないなぁ‥‥‥



「妻の懐妊に関して、祝いに来てくれたことに感謝を申し上げたい。まだ時間もさほど経ってはいないが、それでもやはり彼女の体調を気遣いたくなるからな」
「まだまだ、安心できない点があるからか」
「ああ、妊娠3カ月とは言え、それでもまだまだ産まれるまでは気が抜けないこともある。彼女との甘い日常を過ごすのも良いが、やはりどうしても気にかけてしまうのだ」

 その割には、物体Xとかを生産してしまっているようだが‥‥‥まだ動きやすいうちに、色々としたいだけなのだろう。

 ハクロの時は、彼女は卵を産んだからなぁ‥‥‥普通の人間の妊娠と感覚が違うから、ちょっと気づかいの方法が異なる事に、ちょっと違和感を覚えてしまう。

【ふみゅ~?妹、弟?】
「お姉ちゃんになれるの~?」
【んー、血縁関係上、ちょっと違いますね】
「貴女たちはシアンわたくしの夫の妻の娘。血縁的にはつながらないのですが‥‥‥言うのであれば、従妹とかが正しいのかしら?」

 何にしても、まだそこまで目立っていないのだが、新しい生命が人のお腹の中にいることに、二人は興味を持ったようである。

「ロールとしては、また下に守るべきものが出来たと思えるにょ!で、弟なの、妹なにょ?」
「どっちの性別かは、まだ調べてないね」
「というよりも、産まれるまで調べるつもりはないわね~。こういうのは、成長を待ちつつ、楽しみに待ちたいのよ~」
「まぁ、ハクロの時も分からなかったこともあるし、待つ楽しみは同意できるかな」

 生まれてくる子供が何であれども、それは大切な我が子であるのに変わりはないだろう。

 何にしても、楽しみなのは間違いないのであった‥‥‥

「ところで、ミスティア。貴女の方はまだなのかしら~?」
「まだですわね‥‥‥女王という立場上、きちんとできた方が良いのですが‥‥‥」

…‥‥割と生々しい話しになりそうだ。うん、それは運次第というべきか‥‥‥また温泉都市の方で、子宝の湯とかにでも向かうべきかな?

「今度は弟が欲しいにょ!!おかあしゃんたち、頑張ってにょ!」
【ふみゅ~!】
「みー!」


―――――――――――――――――――――――――
SIDEディングルア王国:王城内


…‥‥かつては、錬金術が発展し、栄えていたディングルア王国。

 今はもう技術は衰退し、失われてしまったものが多いのだが、それでも国の滅亡へは至らず、しっかりと発展し続けている。

 その国の中でも、再び技術を取り戻し、より豊かにしようという目的をもって、錬金術師たちが王城お抱えのものとして仕えていた。

 その中でもいくつか派閥があり、過去の技術を探し出して復元したり、新しいものを生み出したり、別の使い道を模索する者たちが多くいたのだが‥‥‥そろって錬金術馬鹿なのは間違っていなかった。

 その中に、本日シアンたち一行が王城は入るのを見かけた者たちもいたのだが‥‥‥


「‥‥‥おい、あのメイド‥‥‥ゴーレムだよな?」
「ああ、錬金術を使用して生み出された類のようだが‥‥‥なんて精巧な作りなんだ」
「機能美を優先しているようだが、それでも技術的には興味深いな‥‥‥」

 王城の一角で、シアンたちの側にいるワゼやシスターズに、彼らは気が付き、観察していた。

 ゴーレムの技術も錬金術に由来するものがあり、それに類するゴーレムがいるとなれば、彼らは興味を示すのだ。

 しかも、ワゼの場合はメイドゴーレムでありつつ、その機能は多種多様。

 たかがメイド、されどもメイドの所作の中には技術的に難しい動作もあり、その動く様子を見て彼らは興奮する。

「あれだけの性能ではないだろう‥‥‥もっと色々と見たいな」
「動力は外部吸収方式‥‥‥いや、内部から生み出すものもあるのか?分解して確かめたいな」
「無理だろう。話によればあれ、本日お王太子妃様へのお祝いにきたボラーン王国の女王陛下、その夫緒の方についているメイドだぞ?噂だと魔王のメイドってことになるんじゃないか?」
「魔王のメイド…‥‥字面だけ見たら、メイドが魔王に思えるのだが‥‥‥」


 それでも、彼等にとってワゼたちのようなゴーレムは非常に興味を惹かれる存在。

 失われた技術に近づけるかもしれない可能性でもあり、あのようなものを生み出せるのは他の道も模索できる可能性でもあるのだ。

「ん?しかし‥‥‥」
「どうした?」
「いや、あのメイドの機能とかはまだいいとして、確か技術復元の文献の方で、似たようなものがなかったか?」
「失われた技術の模索をするための文献の方にか?でも、あれかなり大昔の方の設計図だったよな。しかも、現在では材料とかも不明なものが多い奴だろ」
「でも、それを元にして生まれた可能性もいあるし…‥‥その当時の錬金術師でも、自分自身を実験台にして長生きした例もあるよな?そういうやつが生み出した可能性とかは‥‥‥」

‥‥‥ふと、浮かび上がったある疑問。

 それに対して彼らは議論し始める。

 


 その議論に対して、彼らは結論を導きだしきれない。

 けれども、その話しから別のことを思いつき、行動へ移そうと考える輩が出始める。

‥‥‥手を出す前に、彼らは既に目を付けられていたというのに。

 視線を感じないような相手でもないし、元からある疑惑もかけられていたのだ。

 誰が探っているのかは、その時はまだ、彼らは知る由もなかったのであった‥‥‥‥


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