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良からぬ企みは、なぜこうも生み出されるのか

#330 人は何故学ばないのかという事を問いかけたくなる時もあるのデス

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SIDEシアン

【ふみっ、ま、ふみゅうっ】
「み、みぃ、みぃい」

「もう少し、もう少しだぞー」
【あとちょっとで、はっきりした発音になりますよ!】
「さぁ、お姉ちゃんにしっかりと聞かせるにょ!」
「わたくしとしても、逃せませんわ!」
【ガウガーウ】

 ボラーン王国王城内。

 娘二人が誕生し、早半年は経過しており、もう間もなく秋になりそうな季節になっている。

 そこまでの時間経過とは言えないが‥‥‥それでも、ヒルドとオルトリンデは着実に成長しているようで、本日、ようやく言葉を一つ、話せそうな状態になっており、僕等はその瞬間を今か今かと待ちわびていた。


「どっちでもいいけど、できれば僕の方から呼んで欲しいな」
【ふふん、シアンでもこれは譲れません!母親という立場になっている以上、私の方を優先して欲しいのですよ!】

 ちょっとした夫婦喧嘩っぽいけど、これはちょっと譲れない。

 初めての、娘たちのまともな発音…‥その記念すべき、第一声には、親という立場には譲れないものがあるのだ。

 僕は父親、ハクロは母親、ロールは姉、ミスティアはもう一人の母親として、各々自分が呼ばれて欲しいと強く願っている。

 なお、クロも興味があるようだが‥‥できれば第一声は僕の方にして欲しい。

「私もちょっと、気になりますネ」

 メイドという立場からか、ワゼもひょこっと現れ、その他のシスターズも集まっている。

【ふ、み、ふみゅ、みぃぃぃ】
「みー、みぃみっつ」

 一生懸命、その言葉を出そうとして頑張る娘たち。

 さぁ、その第一声に来るのは‥‥‥‥


【ふみぃふみぃ‥‥‥みゃ、ママー!!】
「みぃみぃみぃ…‥ママー!!」

【はぅぅぅぅぅぅん!!】

 元気よくそう口にして、ぴょいっとハクロに飛び込むヒルドとオルトリンデ。

 その言葉に胸を打たれたのか、物凄いのけぞり方をしつつもハクロは受け止める。

【ああ、シアン、私今、母親として幸せです…‥‥がくっ】
【ママー?】
「ママー?」

「あ、逝った」
「お母しゃんが良い笑顔で逝ったにょ…‥」
「残念ですわね‥‥‥でも、きちんと言えるようになったのは、お祝い事ですわね」
「ふむ、でしたら今夜は祝賀会レベルのものを用意いたしましょウ」

 いい笑顔で気絶したハクロを見つつ、僕等はそう話し合う。

 ちょっと最初にハクロに対して言われたのは残念だけど、それでもちょっとは言えるようになったのは、嬉しい成長だな。

 そう思いつつも、気絶したハクロを揺さぶって起こすことにする。

「目覚めない場合は、以前の改良版気付け薬を用意していマス」
【ただ今しゃっきり目が覚めました!!】

‥‥‥トラウマになっているのか、速攻で起きたな。

 その反動でぼよんっと娘たちが弾き飛ばされかけたので、慌ててキャッチするのであった。

 なんとなく、その光景を見て一瞬だけワゼがハクロのその部分をにらんだような気がしたが‥‥まぁ、コメントは控えよう。言っていい事と、悪い事確実死があるからなぁ‥‥‥



――――――――――――――――――――――
SIDE???

‥‥‥人というものは、学んだことを活かして、先へ進むことができる。

 だがしかし、中には学んだことを全く活かせずに、いや、学んだことすらも忘却し、やらかすものもいるのだ。

 その最たる例が今、とある国で起きていた。



「ぎゃあああああ!!何故だ、何故だ、何故だ!!なぜこのチー」
ぐっしゃぁぁぁぁぁあ!!

「‥‥‥これで3人目、か」
「材料としても十分となるが…‥‥駄目だ、まったくできないな」

 その国の奥深く、国の機密情報として知られてはいけない場所で、それは起きていた。

「生成‥‥‥うん、今回も失敗か。出来損ないの肉塊が一つできたか…‥」
「手順、および材料などはあっているはずだが、全然再現できないな」
「廃棄するのが面倒だが‥‥‥これで本当にあっているのか?」

 非人道的な実験が行われる中、そこに集められ、作業をしている人々は疑問の声を口に出す。

「ああ、そのはずだ。だが、何かが足りないとしか言いようがないな‥‥‥時間がないというのに、何故こうなったんだ」
「残り僅かなエネルギーを、召喚陣とやらへ注ぎ、都合のいい材料を得ており、それなりの質もあるはずなのに‥‥‥」

 はぁぁっと溜息を吐きつつも、彼らはその実験を辞めるという選択肢には至らなかった。

「何にしてもだ、次にまた3人ほど呼び出し、材料としよう。今度こそ、過去にいたという、あの錬金術師が作成した『賢者の石』を創り出さねばならない…‥‥」

…‥‥本当にその作業で合っているのかという疑問がありつつも、目的の物を得るまで終わる事は無い。

 繰り返し失敗をしているはずなのに、その手順こそが正しいと思いこまなければやっていられない状態。

 そしてまた、新たな犠牲者が出て、成果を得られないのであった‥‥‥‥
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