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何が良いのかどうかはその時次第かもしれないけど
#321 親としての立場も良いものデス
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SIDEシアン
‥‥‥少々ごたごたはあれども、アブリルサーモン法王国での用事も済み、無事に僕らは帰って来た。
【ふみゅふみゅ~♪】
「みー!」
「おおっと!二人ともちょっと危なかったよ」
【ふみゅ~♪】
「み~♪」
【ふふふ、二人ともシアンの乗った馬車が見えてきたところから、素早く動いていたんですよ】
馬車から下車すると、それと同時にヒルドとオルトリンデの二人がすごい勢いで迫って来て、なんとか衣の方でキャッチした。
きゃっきゃとおてんばぶりを見せながらも笑う二人の後から、ハクロがそう言いながらすぐに来る。
【お帰りなさい、シアン】
「ああ、ただいま、ハクロ」
ひとまずは、わざわざ他国まで行ったのでその話しで一家団欒しようとしたのだが‥‥‥
「あー‥‥‥すいませんですわ。仕事が、溜まっていたようですわ‥‥‥」
「フー‥‥‥」
「ある程度はこちらで処理できましたが、王族案件分までは流石に手が出しにくいものでしたからネ。少々残ってマス」
隣国へ出かけている間、ミスティアの女王としての仕事のいくつかは、ワゼたちが分担して行っていた。
けれども、流石に全権を担っているわけでもないので、仕事がある程度残っており、彼女はそのまま仕事を片付けるために執務室の方へ連れていかれるのであった。
「‥‥‥っと、そうそう、二人にお土産があるよ」
【ふみゅぅ?】
「みー?」
一旦王城内の、私室に入り、そこで法王国で買ってきたものを手渡す。
「ほら、二人に似合う可愛い靴だ。きちんとミスティアと選んだから、センスも多分問題ないと思うけれども…‥‥どうかな?」
【ふみゅ!】
「みー!」
ヒルドには、その蜘蛛の足に合うようにぴったりフィットする物を、オルトリンデには、空を飛んでいても脱げないように、きちんと固定できるタイプの靴。
可愛らしい模様が描かれており、二人とも気に入ったようである。
「まぁ、不審者撃退用の仕掛け靴だけど‥‥‥」
【あー‥ワゼさんでの通信で、話していたやつですか。あれ?でも‥‥‥】
「ああ、一応安全装置付きで、シスターズの判断でしかできないようにしている。うっかり作動させるのも危険だからね」
晩餐会の場で威力を見せてもらったが、アレがついうっかりで出てしまうのはちょっと怖い。
まだ幼い娘たちに注意しても作動させる可能性があるので、ここまでの道中の合間に、フィーアに改造を頼んだのである。
常にシスターズも付いているし、彼女達の判断で刃が出るようにもなっており、安全装置付き。
近寄る不審者共がざっくりと逝くだろう。
【ふみゅ~♪ふ!ふみゅふみゅ!】
「みー!みー!」
「ん?」
っと、ご機嫌にしていた娘たちが、何かを思い出したのかとててと部屋を飛び出してすぐに、何かを抱えて戻って来た。
大きな袋であり、中身があるようだが‥‥‥
【ふみゅ!】
「みー!」
「え?これをくれるのか?」
【あ、そうでしたそうでした!シアン、貴方のために作っていたんですよ】
いわく、どうやら僕らが外出している間、ちょっと思いついて作っていたらしい。
僕のためにというようで、娘たちが一生懸命作業し、ハクロもちょっと手伝ったそうだ。
「開けていいのかな?」
【ふみゅ!】
「み!」
問いかけると、自信満々そうにうなずいたので、開けて中身を出してみれば‥‥‥
「‥‥おー!」
出て来たのは、ひとつの大きなぬいぐるみ。
それも一つではなく‥‥‥家族みんなをデフォルメしたような、可愛らしい人形であった。
「僕にハクロに、ロール、ヒルド、オルトリンデ、ワゼにシスターズ‥‥‥って、全員分!?すごいじゃないか!」
【ふみゅふふん!】
「みふふん!」
ふんす!っと自慢げに答える娘たち。
少々羽がはみ出ていたり、ほつれ気味なところがあるとは言え、この幼さでこれだけの代物を作り上げるその才能はとてもすごい!!
「ありがとう!すごいうれしいよ!」
【ふみゅふみゅ~♪】
「みー!」
ぎゅっと二人を寄せて抱きしめると、嬉しそうに答えてくれる。
親という立場になって、非常に嬉しい贈り物。
‥‥‥この世界へ来る前の、あの家族。
何もなく、腐れ切ったものしかなく、凄まじく荒んでいた場所。
でも、今の家族
は非常に温かく、娘二人の贈り物に、思わず僕は涙を嬉しさのあまり流すのであった…‥‥
‥‥‥少々ごたごたはあれども、アブリルサーモン法王国での用事も済み、無事に僕らは帰って来た。
【ふみゅふみゅ~♪】
「みー!」
「おおっと!二人ともちょっと危なかったよ」
【ふみゅ~♪】
「み~♪」
【ふふふ、二人ともシアンの乗った馬車が見えてきたところから、素早く動いていたんですよ】
馬車から下車すると、それと同時にヒルドとオルトリンデの二人がすごい勢いで迫って来て、なんとか衣の方でキャッチした。
きゃっきゃとおてんばぶりを見せながらも笑う二人の後から、ハクロがそう言いながらすぐに来る。
【お帰りなさい、シアン】
「ああ、ただいま、ハクロ」
ひとまずは、わざわざ他国まで行ったのでその話しで一家団欒しようとしたのだが‥‥‥
「あー‥‥‥すいませんですわ。仕事が、溜まっていたようですわ‥‥‥」
「フー‥‥‥」
「ある程度はこちらで処理できましたが、王族案件分までは流石に手が出しにくいものでしたからネ。少々残ってマス」
隣国へ出かけている間、ミスティアの女王としての仕事のいくつかは、ワゼたちが分担して行っていた。
けれども、流石に全権を担っているわけでもないので、仕事がある程度残っており、彼女はそのまま仕事を片付けるために執務室の方へ連れていかれるのであった。
「‥‥‥っと、そうそう、二人にお土産があるよ」
【ふみゅぅ?】
「みー?」
一旦王城内の、私室に入り、そこで法王国で買ってきたものを手渡す。
「ほら、二人に似合う可愛い靴だ。きちんとミスティアと選んだから、センスも多分問題ないと思うけれども…‥‥どうかな?」
【ふみゅ!】
「みー!」
ヒルドには、その蜘蛛の足に合うようにぴったりフィットする物を、オルトリンデには、空を飛んでいても脱げないように、きちんと固定できるタイプの靴。
可愛らしい模様が描かれており、二人とも気に入ったようである。
「まぁ、不審者撃退用の仕掛け靴だけど‥‥‥」
【あー‥ワゼさんでの通信で、話していたやつですか。あれ?でも‥‥‥】
「ああ、一応安全装置付きで、シスターズの判断でしかできないようにしている。うっかり作動させるのも危険だからね」
晩餐会の場で威力を見せてもらったが、アレがついうっかりで出てしまうのはちょっと怖い。
まだ幼い娘たちに注意しても作動させる可能性があるので、ここまでの道中の合間に、フィーアに改造を頼んだのである。
常にシスターズも付いているし、彼女達の判断で刃が出るようにもなっており、安全装置付き。
近寄る不審者共がざっくりと逝くだろう。
【ふみゅ~♪ふ!ふみゅふみゅ!】
「みー!みー!」
「ん?」
っと、ご機嫌にしていた娘たちが、何かを思い出したのかとててと部屋を飛び出してすぐに、何かを抱えて戻って来た。
大きな袋であり、中身があるようだが‥‥‥
【ふみゅ!】
「みー!」
「え?これをくれるのか?」
【あ、そうでしたそうでした!シアン、貴方のために作っていたんですよ】
いわく、どうやら僕らが外出している間、ちょっと思いついて作っていたらしい。
僕のためにというようで、娘たちが一生懸命作業し、ハクロもちょっと手伝ったそうだ。
「開けていいのかな?」
【ふみゅ!】
「み!」
問いかけると、自信満々そうにうなずいたので、開けて中身を出してみれば‥‥‥
「‥‥おー!」
出て来たのは、ひとつの大きなぬいぐるみ。
それも一つではなく‥‥‥家族みんなをデフォルメしたような、可愛らしい人形であった。
「僕にハクロに、ロール、ヒルド、オルトリンデ、ワゼにシスターズ‥‥‥って、全員分!?すごいじゃないか!」
【ふみゅふふん!】
「みふふん!」
ふんす!っと自慢げに答える娘たち。
少々羽がはみ出ていたり、ほつれ気味なところがあるとは言え、この幼さでこれだけの代物を作り上げるその才能はとてもすごい!!
「ありがとう!すごいうれしいよ!」
【ふみゅふみゅ~♪】
「みー!」
ぎゅっと二人を寄せて抱きしめると、嬉しそうに答えてくれる。
親という立場になって、非常に嬉しい贈り物。
‥‥‥この世界へ来る前の、あの家族。
何もなく、腐れ切ったものしかなく、凄まじく荒んでいた場所。
でも、今の家族
は非常に温かく、娘二人の贈り物に、思わず僕は涙を嬉しさのあまり流すのであった…‥‥
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