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何が良いのかどうかはその時次第かもしれないけど
#318 たまには傍観者として見るだけ(にしたかった)デス
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SIDEアブリルサーモン法王国:王城内
「‥‥‥大体、役者はそろったか」
晩餐会の会場内を見下ろせる、王城のとある塔の部屋にて、その人物はそうつぶやく。
国王夫妻、今晩の主役の王太子たち、その他王族たち‥‥‥そして、各国から招待された客たち。
その客の中には、他国の王族や宰相、大臣、財務大臣などもあり、ちょっとした権力を持つ者たちばかりである。
「そしてあれが、ボラーン王国の女王であり‥‥‥あの横にいるのがその夫という事は、噂の魔王で間違いないか」
望遠鏡で観察し、どの様な人物であるのかを確認していく。
「ふむ…‥では、そろそろか。手駒が動き出す頃合いだ」
予定時刻が迫り、その人物はそうつぶやき、改めて会場の方に目を向ける。
既に愚かな手駒である者は動きつつあり、今宵この場で大馬鹿をしでかすというのは百も承知。
いや、だからこそ、その大馬鹿者を動き出す頃合いを利用して、自分の手中に収めることができるので、大馬鹿者でも役に立つ者だと思い直す。
何にしても、すでに裏切り者がいるとも聞くが、それも予定通り。
あとはあの場で馬鹿がやらかしまくった後に実行すれば、良いだけの話だ。
「さぁ、あの者たちの権力を手中に収める前に、余興を見せてもらおうか」
くっくっくっくっと笑いを洩らし、会場に目を向け、ゆっくりと悦に浸る。
‥‥‥だが、そんな人物がいることは、既に把握している者がいた。
そしてその後ろで、しっかりと時を待っているのであった…‥‥
――――――――――――――――――――
SIDEシアン
「お、そろそろか」
「そう言われれば、そうですわね」
晩餐会の場に本日の主役たちとなる王太子たちが現れてから早数分。
会場内はその婚約の様子を聞いたり、王族たちと話して国同士の探り合いに乗っているのが見て取れるが、もう間もなくワゼたちの調査によって、ある事が起きる頃合いであろう。
「‥‥確か、まず最初は今の位置から右斜め34度だったか…?」
「フロンの計算で、わたくしたちの位置予測をしているのはすごいですが、むしろ何故そこまで細かにできてしまうのかが疑問ですわね‥‥」
何にしても、事が起こる最初の場所を分かるのは都合がいい。
そうこうしてるうちに、予定通りに騒ぎが起き始めた。
「------!!----!!」
「ああ、遂に始まった。会場内を騒がせる、最初の投石が」
見れば、会場内に参加している何処ぞやの貴族の男性が、別の男女のペアの貴族に対して、怒り狂っている様子が見て取れた。
彼らはこの国の貴族たちであり、同じ教育機関の同級生。
どうも今、あの怒っている男性の婚約者である女性が別の男性とは案していることに対して怒り狂っているように話しているが‥‥‥
「‥‥確か、違うっけな?」
「ええ、報告によれば、あの怒っている方がアウトな方ですわね」
本当は全く違い、今の男女のペア同士が正しい婚約者であり、あの怒っている方はそれに無理やり割り込もうと、画策している愚か者。
自分が彼女の婚約者であると言いまくっているそうだが、その根拠も何もなく、本当は根も葉もない婚約破棄を引き起こし、面倒な噂を立てられる前に莫大な慰謝料を引き出せと、更に愚かな両親からの言葉に騙されて、動いているだけなのだ。
簡単に言えば、ストーカーに詐欺師がさらに金をとる手段として、頭の悪いように動かしている…‥いや、違うか。ただの他人がいちゃもんを付けているだけか。
面倒なことだが、貴族の世界は噂話も色々とあり、面倒なものが立てば消し去るのが非常に大変。
全然関係のないというか、ただの粘着質で嫌なストーカーが騒ぎ立てているだけなのに、騒ぎを起こされてしまえば、それを利用して他家を蹴落とそうと勝手に他の貴族が動きだしたりもする。
事実、目の前では今、粘着質騒ぎ立て怒り馬鹿の援護をする者たちが現れ、見事な証言…‥‥いや、念入りに作られた、それでも足りない頭で作ったがゆえに、調べればすぐにぼろが出るような偽の証言や証拠を見せ始めている。
「で、幸いというか、まだこの国の王族は‥‥‥」
「まともな方の方らしいですわね。しかもあのペアと、王太子たちは親友でもあるらしいので…‥ほら、反撃をし始めしたわ」
会場の主役である王太子たちが参戦し、男女の方につき、見事に反論を述べていく。
しかも、あらかじめこういうことが起こるのを調べていたのか、出された証拠に対して、逆に相手がしでかしまくった記録などの証拠を出しまくり、盛大に自爆をさせて恥をかかせまくっている。
「あの様子だと、結果としていちゃもんを付けたほうが社会的に死ぬな」
「ええ、そうですわね。しかもここは、各国からの来賓が招かれる場ですし…‥‥最悪の場合、国の顔に泥を塗ったという事で、死罪になる可能性も大きいですわね」
最悪死罪、良くて貴族積没収平民落ち‥‥‥まぁ、あの手の馬鹿にとっては前者の方が良かったりするのだが、それはどうでもいい。
見ている分には、見事なざまぁ物というべき光景なのか、そういう茶番劇が繰り広げられ、中々面白いものになっているだろう。
参加者たちも、あの王太子たちの見事な反撃ぶり、相手の愚かさによって惹き垂れられる様に、むしろあらかじめこれが茶番劇として作られた余興なのかと言いたいレベルなものに、笑いを隠さない。
「‥‥‥ああいう、お笑い物の劇とか見たいなぁ。ミスティア、今度ハクロたちと一緒に、ああいう劇を見に行けないかな?」
「んー…‥仕事がありますが、予定を作ればどうにかなりますわね。ヒルドとオルトリンデたちも一緒であれば、教育面を考えてちょっと選ぶ必要がありそうですけれどもね」
そうこうしているうちに、茶番劇が進んでいき、最初に騒ぎを起こした愚か者は、見事にその地位を剥奪された上に、厳しい処罰が言い渡された。
死罪までは言い渡されなかったようだが、平民落ちではなく強制労働刑の方になったようだ。ああ、こっちのほうが悪い方だったか?すぐに終わる死よりも、長く続く苦しみの方‥‥‥しかも、酷い環境の、犯罪者のために課せられるような類のようだ。
「くそぉう!!ここで終わってたまるかぁぁぁぁぁ!!」
衛兵たちが呼ばれ、拘束されていく中で、最後のあがきとばかり愚か者は抵抗し、なんとか逃れる。
そして、元々狙っていた女の方へ駆けだし、どこからか短剣を取り出すが‥‥‥
めっござぐぅぅ!!
「あぶあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」
「‥‥‥ひぇっ、流石に同性としては肝が冷えるな」
「自業自得と言えばそうですけれども…‥‥あれ、潰れましたわね」
笑っていた客たちも、同じ男性陣は笑いを引っ込め、恐怖の顔になる。
‥‥‥うん、何が起きたのかはあえて言うまい。精々、あの愚か者に未来を無くしたというべきか。
というか、あの女性あのスカートで見事な蹴り‥‥‥あ、ヒールの先に刃物か。
「確か、護身用の靴だったか?刃物が飛び出る系統の」
「ええ、そうですわね。か弱い令嬢に対して、お手軽にできる護身靴として発売されてますわ」
この国限定生産バージョンのおしゃれな模様が描かれているやつのようだけど‥‥‥絵面がやや酷いとはいえ、娘たち用に買っていくべきか?うん、悪い虫が付く前に、自分で防止できるようにさせておかないといけないからね。
っと、赤い血の池が出来た床に倒れ伏した愚か者に対して、衛兵たちは血の気を引かせつつも、仕事だからという事で、もはや生きているのかどうか(性別的な意味では死亡か)怪しい愚か者を捕縛し、連行していった。
そして静まり返っていた会場ではあったが、誰かが拍手をし始め、その健闘を称え始める。
「うん、見事な茶番劇だったというか、最後の方に肝が冷えたというか‥‥‥惨状がひどすぎたとはいえ、案外心がたくましいなぁ‥‥‥」
一歩間違えればスプラッターものであったが、それでもすぐに反撃し、見事に成敗してみせた彼らに対して、賞賛がかけられる。
僕らも拍手しつつ…‥この後にわかり切っていることに対して、身構える。
「さぁって、もうすぐか」
晩餐会の会場内での、ちょっとした惨劇茶番劇。
それが終わり、健闘を称え、皆が彼らを祝し、見事に反撃してみせたことに対して感嘆の意を抱くが、それは逆を言えば、皆喜びの雰囲気に流され、気が抜けているとも言える状態。
それこそ心が無防備となっている状態であり、だからこそ、さらなる愚か者が仕掛けるにはちょうどいい時だろう。
掃除がされ、先ほどの茶番劇に対しての感想を述べあう者たちがいる中‥‥‥誰もが気が付かないようにわずかに床が動き、小さな道具が顔を出す。
サイズは小さくとも、広範囲に伝えることが可能であり、そして心が無防備なこの瞬間に、狙う物。
そしてその道具が起動するスイッチはここではない場所にあり…‥‥それが押された瞬間、その効果を発揮する。
――――――キィィィィィィィィィン!!
黒板や窓ガラスを爪でひっかいたような、スポンジ同士がこすれ合わさったような、とにかく嫌な音が流れ始める。
気が付く者は耳を抑え、何が起きたのかを探ろうとしたが‥‥‥すぐにその手を放し、目がうつろとなっていく。
(‥‥‥さて、やっぱり実行されたか)
その音がやんだ頃合いには、会場内にいる者たちの目から光が失われた。
皆、力を抜き、立っているのに何処かうつろな表情となり、言葉を発しなくなる。
そして、数分ほど経過した頃合いに…‥‥それを行った人物が、会場に入ってくるのであった…‥‥
「‥‥‥大体、役者はそろったか」
晩餐会の会場内を見下ろせる、王城のとある塔の部屋にて、その人物はそうつぶやく。
国王夫妻、今晩の主役の王太子たち、その他王族たち‥‥‥そして、各国から招待された客たち。
その客の中には、他国の王族や宰相、大臣、財務大臣などもあり、ちょっとした権力を持つ者たちばかりである。
「そしてあれが、ボラーン王国の女王であり‥‥‥あの横にいるのがその夫という事は、噂の魔王で間違いないか」
望遠鏡で観察し、どの様な人物であるのかを確認していく。
「ふむ…‥では、そろそろか。手駒が動き出す頃合いだ」
予定時刻が迫り、その人物はそうつぶやき、改めて会場の方に目を向ける。
既に愚かな手駒である者は動きつつあり、今宵この場で大馬鹿をしでかすというのは百も承知。
いや、だからこそ、その大馬鹿者を動き出す頃合いを利用して、自分の手中に収めることができるので、大馬鹿者でも役に立つ者だと思い直す。
何にしても、すでに裏切り者がいるとも聞くが、それも予定通り。
あとはあの場で馬鹿がやらかしまくった後に実行すれば、良いだけの話だ。
「さぁ、あの者たちの権力を手中に収める前に、余興を見せてもらおうか」
くっくっくっくっと笑いを洩らし、会場に目を向け、ゆっくりと悦に浸る。
‥‥‥だが、そんな人物がいることは、既に把握している者がいた。
そしてその後ろで、しっかりと時を待っているのであった…‥‥
――――――――――――――――――――
SIDEシアン
「お、そろそろか」
「そう言われれば、そうですわね」
晩餐会の場に本日の主役たちとなる王太子たちが現れてから早数分。
会場内はその婚約の様子を聞いたり、王族たちと話して国同士の探り合いに乗っているのが見て取れるが、もう間もなくワゼたちの調査によって、ある事が起きる頃合いであろう。
「‥‥確か、まず最初は今の位置から右斜め34度だったか…?」
「フロンの計算で、わたくしたちの位置予測をしているのはすごいですが、むしろ何故そこまで細かにできてしまうのかが疑問ですわね‥‥」
何にしても、事が起こる最初の場所を分かるのは都合がいい。
そうこうしてるうちに、予定通りに騒ぎが起き始めた。
「------!!----!!」
「ああ、遂に始まった。会場内を騒がせる、最初の投石が」
見れば、会場内に参加している何処ぞやの貴族の男性が、別の男女のペアの貴族に対して、怒り狂っている様子が見て取れた。
彼らはこの国の貴族たちであり、同じ教育機関の同級生。
どうも今、あの怒っている男性の婚約者である女性が別の男性とは案していることに対して怒り狂っているように話しているが‥‥‥
「‥‥確か、違うっけな?」
「ええ、報告によれば、あの怒っている方がアウトな方ですわね」
本当は全く違い、今の男女のペア同士が正しい婚約者であり、あの怒っている方はそれに無理やり割り込もうと、画策している愚か者。
自分が彼女の婚約者であると言いまくっているそうだが、その根拠も何もなく、本当は根も葉もない婚約破棄を引き起こし、面倒な噂を立てられる前に莫大な慰謝料を引き出せと、更に愚かな両親からの言葉に騙されて、動いているだけなのだ。
簡単に言えば、ストーカーに詐欺師がさらに金をとる手段として、頭の悪いように動かしている…‥いや、違うか。ただの他人がいちゃもんを付けているだけか。
面倒なことだが、貴族の世界は噂話も色々とあり、面倒なものが立てば消し去るのが非常に大変。
全然関係のないというか、ただの粘着質で嫌なストーカーが騒ぎ立てているだけなのに、騒ぎを起こされてしまえば、それを利用して他家を蹴落とそうと勝手に他の貴族が動きだしたりもする。
事実、目の前では今、粘着質騒ぎ立て怒り馬鹿の援護をする者たちが現れ、見事な証言…‥‥いや、念入りに作られた、それでも足りない頭で作ったがゆえに、調べればすぐにぼろが出るような偽の証言や証拠を見せ始めている。
「で、幸いというか、まだこの国の王族は‥‥‥」
「まともな方の方らしいですわね。しかもあのペアと、王太子たちは親友でもあるらしいので…‥ほら、反撃をし始めしたわ」
会場の主役である王太子たちが参戦し、男女の方につき、見事に反論を述べていく。
しかも、あらかじめこういうことが起こるのを調べていたのか、出された証拠に対して、逆に相手がしでかしまくった記録などの証拠を出しまくり、盛大に自爆をさせて恥をかかせまくっている。
「あの様子だと、結果としていちゃもんを付けたほうが社会的に死ぬな」
「ええ、そうですわね。しかもここは、各国からの来賓が招かれる場ですし…‥‥最悪の場合、国の顔に泥を塗ったという事で、死罪になる可能性も大きいですわね」
最悪死罪、良くて貴族積没収平民落ち‥‥‥まぁ、あの手の馬鹿にとっては前者の方が良かったりするのだが、それはどうでもいい。
見ている分には、見事なざまぁ物というべき光景なのか、そういう茶番劇が繰り広げられ、中々面白いものになっているだろう。
参加者たちも、あの王太子たちの見事な反撃ぶり、相手の愚かさによって惹き垂れられる様に、むしろあらかじめこれが茶番劇として作られた余興なのかと言いたいレベルなものに、笑いを隠さない。
「‥‥‥ああいう、お笑い物の劇とか見たいなぁ。ミスティア、今度ハクロたちと一緒に、ああいう劇を見に行けないかな?」
「んー…‥仕事がありますが、予定を作ればどうにかなりますわね。ヒルドとオルトリンデたちも一緒であれば、教育面を考えてちょっと選ぶ必要がありそうですけれどもね」
そうこうしているうちに、茶番劇が進んでいき、最初に騒ぎを起こした愚か者は、見事にその地位を剥奪された上に、厳しい処罰が言い渡された。
死罪までは言い渡されなかったようだが、平民落ちではなく強制労働刑の方になったようだ。ああ、こっちのほうが悪い方だったか?すぐに終わる死よりも、長く続く苦しみの方‥‥‥しかも、酷い環境の、犯罪者のために課せられるような類のようだ。
「くそぉう!!ここで終わってたまるかぁぁぁぁぁ!!」
衛兵たちが呼ばれ、拘束されていく中で、最後のあがきとばかり愚か者は抵抗し、なんとか逃れる。
そして、元々狙っていた女の方へ駆けだし、どこからか短剣を取り出すが‥‥‥
めっござぐぅぅ!!
「あぶあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」
「‥‥‥ひぇっ、流石に同性としては肝が冷えるな」
「自業自得と言えばそうですけれども…‥‥あれ、潰れましたわね」
笑っていた客たちも、同じ男性陣は笑いを引っ込め、恐怖の顔になる。
‥‥‥うん、何が起きたのかはあえて言うまい。精々、あの愚か者に未来を無くしたというべきか。
というか、あの女性あのスカートで見事な蹴り‥‥‥あ、ヒールの先に刃物か。
「確か、護身用の靴だったか?刃物が飛び出る系統の」
「ええ、そうですわね。か弱い令嬢に対して、お手軽にできる護身靴として発売されてますわ」
この国限定生産バージョンのおしゃれな模様が描かれているやつのようだけど‥‥‥絵面がやや酷いとはいえ、娘たち用に買っていくべきか?うん、悪い虫が付く前に、自分で防止できるようにさせておかないといけないからね。
っと、赤い血の池が出来た床に倒れ伏した愚か者に対して、衛兵たちは血の気を引かせつつも、仕事だからという事で、もはや生きているのかどうか(性別的な意味では死亡か)怪しい愚か者を捕縛し、連行していった。
そして静まり返っていた会場ではあったが、誰かが拍手をし始め、その健闘を称え始める。
「うん、見事な茶番劇だったというか、最後の方に肝が冷えたというか‥‥‥惨状がひどすぎたとはいえ、案外心がたくましいなぁ‥‥‥」
一歩間違えればスプラッターものであったが、それでもすぐに反撃し、見事に成敗してみせた彼らに対して、賞賛がかけられる。
僕らも拍手しつつ…‥この後にわかり切っていることに対して、身構える。
「さぁって、もうすぐか」
晩餐会の会場内での、ちょっとした惨劇茶番劇。
それが終わり、健闘を称え、皆が彼らを祝し、見事に反撃してみせたことに対して感嘆の意を抱くが、それは逆を言えば、皆喜びの雰囲気に流され、気が抜けているとも言える状態。
それこそ心が無防備となっている状態であり、だからこそ、さらなる愚か者が仕掛けるにはちょうどいい時だろう。
掃除がされ、先ほどの茶番劇に対しての感想を述べあう者たちがいる中‥‥‥誰もが気が付かないようにわずかに床が動き、小さな道具が顔を出す。
サイズは小さくとも、広範囲に伝えることが可能であり、そして心が無防備なこの瞬間に、狙う物。
そしてその道具が起動するスイッチはここではない場所にあり…‥‥それが押された瞬間、その効果を発揮する。
――――――キィィィィィィィィィン!!
黒板や窓ガラスを爪でひっかいたような、スポンジ同士がこすれ合わさったような、とにかく嫌な音が流れ始める。
気が付く者は耳を抑え、何が起きたのかを探ろうとしたが‥‥‥すぐにその手を放し、目がうつろとなっていく。
(‥‥‥さて、やっぱり実行されたか)
その音がやんだ頃合いには、会場内にいる者たちの目から光が失われた。
皆、力を抜き、立っているのに何処かうつろな表情となり、言葉を発しなくなる。
そして、数分ほど経過した頃合いに…‥‥それを行った人物が、会場に入ってくるのであった…‥‥
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