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何が良いのかどうかはその時次第かもしれないけど

#313 忘れがちだけど、一応その勤めをやっておくべきらしいデス

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SIDEシアン

…‥‥たまにというか、本気で忘れていたことがある。

 いや、いつもこの場所にいて、彼女の手伝いもしたり、何か問題があったらワゼに解決されつつ、自ら出向いたりしていたのだが‥‥‥‥

「‥‥‥そう言えば、ミスティアと婚姻状態でもあるから、一応王配という立場だったね」
「忘れていましたの?」

 呆れたようにミスティアに言われたが、本当にそうだったのだから仕方がない。

 ここ最近は色々あり過ぎたからなぁ…‥‥王配の立場も僕は持っていたんだった。



 何にしても、その王配という立場は、政治的な権力は特にない。

 だがしかし、たまにというか、その立場故に出なければならないものもあるようで‥‥‥

「他国の晩餐会への出席か…‥‥国づきあいとしては、必要なものだったか」
「とはいえ、ただの国づきあい目的で出るものでもないですわね」

 こういう多国間の交流行事は出る必要があるのだが、ただ出席するだけではない。

 出席し、他国の中で、どこがどの様に動いているのか、また、次代の王になるものがどの様な者であり、どう対応していくべきかなど、国同士の付き合い方をきちんと見直す、大事なものでもあるようなのだ。

 なお、今回招待されたのは僕とミスティアではあるが‥‥‥ハクロと娘たちの場合、王族と言う立場よりも王配の方の妻という関係上、今回は向かえない。

「まぁ、関係上一緒に向かう事は可能ですが…‥‥他国という場は、いらぬトラブルもありますからネ。ガッチガチに固めて留守番をしてもらうのが良いでしょウ」
「僕としては、一緒に行きたいけど…‥‥大丈夫?」
【んー‥‥‥多分、大丈夫ですよ、シアン。でも、帰ってきたらきちんとその国での出来事とか、土産話をしてください】

 考えつつも、背中ですやぁっと昼寝している娘たちを見ながら、彼女はそう答えた。

 ヒルドとオルトリンデも連れて行きたいが、生憎まだ社交界関係に出られるわけではない。

 ロールに関していえば、彼女の場合雪の女王時代の者があるとは言え‥‥‥やっぱり、妹たちの方が気になるようで、こちらも留守番をするようだ。

「大丈夫なにょ!前の温泉都市のようなこともないように、がっちりおかあしゃんと大事な妹たちは守るにょ!」
「そうか、できるなら頼むよ」

‥‥‥以前、温泉都市で受けた襲撃にも、ロールは必死に対応してくれた時があった。

 あと一歩及ばずという事もあって悔しい思いもしたせいか、精進し、実力を向上させたらしい。

 まぁ、流石にこの間、悪魔グズゥエルゼも討伐したし、そうそう留守中に襲撃をかけてくるような類は無いだろうな…‥‥

「‥‥‥と思いたいけど、ワゼ、その辺は大丈夫かな?」
「不穏な動きはありますが、許容範囲内デス。ホムンクルス技術も流用して、ちょっと改善も行いましたし、対応は可能でしょウ。ただ、問題があるとすれば…‥‥」
「あるとすれば?」
「ご主人様のお子様方‥‥‥ヒルドとオルトリンデたちの、予測不可能な動きですカネ。フロンの計算である程度は可能になりましたが、それでも子供の行動力は油断できまセン‥‥‥」

‥‥‥例えで言うならば、予測可能なスーパーコンピューター相手。それなのに、その予測を上回れるって、うちの娘たち大丈夫なの?

 おてんば具合、成長ぶりに微笑ましさも感じつつ、頭を悩ませる娘たち。

 留守にするのはちょっと不味いような気もしなくはないが…‥‥まぁ、早めに帰れるように努力するか。

「ミスティア、帰宅できるとすれば?」
「急いで、1~2週間ほどですわね。情勢を探るのはシスターズでも可能ですし、そう長期滞在はしませんわ。シアンだって、魔王の立場でもありますし、その分できるだけ友好を深めたいと思いつつも、何か起きる前に去ってほしいという方もいらっしゃいますからね」
「‥‥‥招待状を受けているのに、去ってほしいっていうのもどうなんだろうか」

‥‥‥何にしても、そのあたりは考えないほうがいいかもしれない。うん、気にしたら負けであろう。

 とにもかくにも、珍しくハクロと離れて、ミスティアと共に、僕等は他国の晩餐会とやらへ出席しに向かうことになったのであった…‥‥


「一応、危害を加えるような輩がいたら、容赦なく徹底的にね。いつもなら抑えるけど、今回は加減無しで」
「了解デス」
【‥‥‥シアン、ちょっと物騒な思考になってません?】
 
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