上 下
331 / 459
何が良いのかどうかはその時次第かもしれないけど

#311 何処の世界も、この手の問題は面倒くさいことになるのデス

しおりを挟む
SIDE???

…‥‥この世界に宗教があるのかどうか、という問いがあれば、ほぼ間違いなくあると言えるだろう。

 神に祈る事もあり、普通に崇め称え、自分たちの信仰を深め、集団を創り出すことも有る。

 別に、誰がどの神を崇めるのか、そもそもその神がいるのかどうかも分からない事もあるが、それでも人々は何かしらの心のよりどころして求めるのだ。

 とはいえ、基本的に適当なところが多い。

 いちいち気にするのも面倒であり、各地に教会等があるけれども、どの神を崇めてもいいのだ。

 中には、他の宗教からは邪神などと呼ばれるものがあっても神は神であり、強く否定もしない。

 その心のよりどころとなって、日々の支えになればいいという事を、理解しているのだ。



 だがしかし、そういうものの中には、面倒な類もある。

 己が信じる神を人へ押しつけて信仰を強制させたり、自分の神以外は正しくないと否定しまくり、徹底的に弾圧を行ったり…‥‥信仰も度が過ぎればただの狂信者となり、そこに神はもはやいないのだ。

 あるのは、ただその想いが強すぎるだけか、もしくは自分たち以外から搾取を行おうと企む者たちだけか‥‥‥
 そんな中で、その類にあたる者たちが一つにまとまり、国を作り上げたという例もあった。

 あまり関わらなければ、それなりに都合のいい国でもあるのだが…‥‥そう言うのが動き出すと、周囲に迷惑を被ることがある‥‥‥‥





 そしてその迷惑な一部で、動きがあった。

「‥‥‥あの光の柱が立ったあの場所を、聖地としたいが、どの国もあの場所を求めている」
「ううむ、戦を仕掛けようにも、兵力差などを考えると難しい」
「ああ、敬虔な我々にも及ばぬ者たちではあるが、それでも数の差は大きいからな」

 その地を得ようとする国でもあり、かと言ってその他の国々に勝てるともいえない。

 真正面から堂々と挑んでも確実に無理という事は理解できており、このまま黙ってみるしかない。

 だがしかし、何としてでも手に入れたい、そう考える中で、その場にいた物の一人がある案を思いついた。

「そうだ、だったら我々じゃないものに戦ってもらうというのはどうだ?」
「同盟を結び、補助してもらうとかか?」
「いや、違う。我々とは指針の違う国との同盟は結びたくもないが、利用できる野蛮人共は利用しろと、昔から言うからな」
「我々の教えの、中にあるその言葉か‥‥‥なるほど、誰か別のものに戦ってもらえば確かに楽して手に入るかもしれぬが、その誰かというのには当てがないだろう」
「何も、頼んで戦ってもらうという訳ではない。戦わざるを得ない状況にしてもらうという方法だ」
「ふむ?」

 その案に、その場にいた者たちは首を傾げつつ、その案を耳にする。

 そして、成功率などを検討し‥‥‥何人かは反対した。

「ダメだろう。そもそも、そこまで行くのには犠牲が大きくなる可能性が大きい」
「それに、聖地とすべき場所を得るために、それとは真逆の者を利用するのはどうかと思う」
「というかそもそも、それをやらかすのは流石に醜聞なのでは…‥‥」

‥‥‥反対している者の内、数名ほどはまだまともな思考。

 その案が成功するとも思えないし、そもそも世間一般に見られたら流石にアウトだろうと思うのだ。


 けれども、それ以外はまともでないし、その手でもいいと思った。

「大丈夫だろう。ある程度方が付けば、その隙に我々が手に入れればいい話だ」
「そうだそうだ。その犠牲に目をつむり、いや、犠牲も出さないように注意を払えばいい話ではないか」

‥‥‥それが怖ろしいものである事は、既に十分知っている。

 けれども、実際に目の当たりにしなければ、その恐ろしさを知らぬ者たちは考えもしない。

 「自分さえ大丈夫ならば良いだろう」と、そういう想いもあるせいだろう。



 とにもかくにも、色々と改善案を出しつつ、彼らはその案を採用することにした。

 ああ、痛い目に合う可能性が大きいのに、なぜ彼らはそれに手を出してしまうのか。

 その例が幾つも出ているのに、なぜそれらを顧みず、自ら破滅へ向かうのか。

 
 人の持つ愚かさを、彼らは自ら証明してしまうせいなのだろうか‥‥‥
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio
ファンタジー
 なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。  こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。  なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。  自分の中に眠る力とは何なのか。  その答えを知った時少女は、ある決断をする。 長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

転生したら大好きな乙女ゲームの世界だったけど私は妹ポジでしたので、元気に小姑ムーブを繰り広げます!

つなかん
ファンタジー
なんちゃってヴィクトリア王朝を舞台にした乙女ゲーム、『ネバーランドの花束』の世界に転生!? しかし、そのポジションはヒロインではなく少ししか出番のない元婚約者の妹! これはNTRどころの騒ぎではないんだが! 第一章で殺されるはずの推しを救済してしまったことで、原作の乙女ゲーム展開はまったくなくなってしまい――。    *** 黒髪で、魔法を使うことができる唯一の家系、ブラッドリー家。その能力を公共事業に生かし、莫大な富と権力を持っていた。一方、遺伝によってのみ継承する魔力を独占するため、下の兄弟たちは成長速度に制限を加えられる負の側面もあった。陰謀渦巻くパラレル展開へ。

【完結】悪役令嬢に転生しましたが、聞いてた話と違います

おのまとぺ
ファンタジー
ふと気付けば、暗記するほど読み込んだ恋愛小説の世界に転生していた。しかし、成り代わったのは愛されヒロインではなく、悪質な嫌がらせでヒロインを苦しめる悪役令嬢アリシア・ネイブリー。三日後に控える断罪イベントを回避するために逃亡を決意するも、あら…?なんだか話と違う? 次々に舞い込む真実の中で最後に選ぶ選択は? そして、明らかになる“悪役令嬢”アリシアの想いとは? ◆もふもふな魔獣と共に逃避行する話 ◇ご都合主義な設定です ◇実在しないどこかの世界です ◇恋愛はなかなか始まりません ◇設定は作者の頭と同じぐらいゆるゆるなので、もしも穴を見つけたらパンクする前に教えてくださると嬉しいです 📣ファンタジー小説大賞エントリー中 ▼R15(流血などあり)

処理中です...