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春間近、でも頭春は来ないで欲しい
#241 まずは手探りからデス
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SIDEシアン
【はむはむはむ…‥‥私の体にシアンとの子ですか‥‥‥道理で食欲がわき上がっていたんですね】
「そうらしいけど、その分本当にどこに行っているの?」
ハクロに子が宿ったという事が判明した翌日、ハクロはむしゃむしゃと朝食を食べていた。
卵胎生ゆえに、途中からは卵として体外へ生むことになるが、体内にある間は栄養を取ったほうがいい。
それに、検査の結果どうも栄養がやや不足していたようで、その分も現在取っているのだ。
‥‥‥常人なら確実に増量間違いなしレベルだが、ワゼいわくハクロの体質などを考えても、これでようやく子どもとのバランスがとれるのだとか。
「ただ、しばらくの間激しい運動などはNGデス。昨日のあの闘争でも相当エネルギーを消費しますし、少しばかりゆっくりと過ごしたほうがよろしいデス」
「つまり、僕の魔法屋としての仕事にも連れて行けないのか」
「そういう事になりマス。一応、卵を出した後は自由に動けますが、それでも安定するまでしばらく家にいたほうがよろしいカト」
何にしても、この様子だとしばらく彼女と共に外に出歩けなさそうだし、しばらくは一人で魔法屋として働かなければいけないな。
「うーん、でもその子供がどういうのなのかは気になるわね‥‥‥今から用意できそうな代物が無いか、お母様たちに聞いてみるべきかしら?」
ミスティアがそうつぶやき、僕らはそれに賛成する。
こういうのもなんだが、この中に赤子が出来た時の対応がまともにできる人選が無い。
ロールの場合は雪の女王時代に子供を育てたこともないし、産んだこともない。
ミスティアに関しても、彼女はボラーン王国王家の中で第2王女‥‥‥末娘だけに他の兄や姉に当たる王子や王女に比べて赤子と触れ合う事もなかっただろう。
そう考えると、ミスティアの方だとその子育ての経験が豊富そうな王妃や側室たちとやらの方へ尋ねてみるのが正解かもしれない。
なお、いつもならば頼れるはずのワゼなのだが…‥‥
「データ不足デス。教育面ではやれる自信はありますが、とりあえず情報収集をしマス」
「いつもなら、『これもメイドの嗜みデス』って言って、自信満々そうなのにか?」
「ええ、そう言う時もあるのデス。何もすべてがメイドの嗜みにはいるわけではありませんし、生憎乍ら私を作った人がそのデータを入れ損ねている形跡がありマス」
‥‥‥いろいろやらかすこのメイドに、今更ながらメイドの嗜みの基準を問いただしたいところだが‥‥‥まぁ、聞いても意味ないだろうな。
むしろ延々とメイドの道とかそういう話になりそう。というか、言われてみればワゼの製作者の方はその子育ての方に考えが行かなかったのだろうか?‥‥‥まだ不明な人物だが、多分独身だった可能性もあるなぁ。
【シャゲ!】
「お、ドーラの方は自身があると?」
【シャッゲェ!】
任せろとでもいうように、葉っぱを器用に曲げてピースサインを作るドーラ。
フェンリル一家の子フェンリルの面倒を見ていたりと何かとそういう面ではドーラは頼れそうだ。
とにもかくにも、新しい命の生まれる予定日はまだわからない。
でも今すぐにという事でもないので、ひとまず僕らはその手の情報を集めることにするのであった。
「ついでですし、警戒も立て直しも同時に進行させましょウ。設計図などもきちんと練り直しましたし、30分程度で済みそうデス」
「なんか短くなってない?」
昨日の時点だと1時間ほどと言っていたのに、短縮されてないか?いや、短時間で立て直しするのは良いが‥‥‥今の家の状態が、更にどうなるのかちょっと不安だな…‥‥
――――――――――――――――――――――
SIDE HWG本部
‥‥‥ちょうどそのころ、ボラーン王国内の都市アルバス発祥、現在の本拠地は秘密裏に作られたとある施設にて、ハクロファンクラブことHWGのメンバーがそこに集まっていた。
彼らに情報を提供してくれるとあるメイドからの報告で、彼らの崇拝対象でもある…‥‥
「諸君、遂にこの時が来たようだ」
「ああ、我々の輝かしいあのお方…‥‥美女のあのアラクネが、ご懐妊なさったそうだ」
「「「「おおおおおおおおお!!」」」」
その言葉に、集まっていたメンバーは嬉しい声を上げる。
ファンクラブとは言え、自分たちには届かぬ高嶺の花という事は理解しており、彼女の笑顔のためにという活動目的で集まっているがゆえに、今回の懐妊の知らせは、我が身のように嬉しいのだ。
あと、ついでにそのできた子供の将来性などを考えるとチャンスなどもあり、更に楽しみが増加していた。
「この組織の拡大もしており、改名の時期が迫っていたが‥‥‥‥この度の嬉しい報告により、我々も彼女が無事に出産、子育てできるように、その手の情報提供や事業を立ち上げる時であろう」
「ああ、そうだな。紹介なども手中に収めている今、子育て用の用品なども充実させねば」
「子どもはどのような種族になるのか‥‥‥そこは不明らしい。なんでも亜種の例などもあり、未だにわからぬとか」
「ならば男の子の可能性もあるな…‥‥そうなった場合、一部の女性会員たちが肉食系になりそうだ」
「その可能性は想像したくないなぁ‥‥‥でもめでたい話しなのは変わりなしだな」
和気あいあいと話しつつ、今後の組織の活動方針や、いかにしてサポートすべきかきちんと議論も交わしていく。
「何にしても、新たな命の誕生は悪い話しでもあるまい」
「だが、少々不安もあるな」
と、ここで一人の会員がそうつぶやく。
「ん?不安とはどういうことだ?出産時などのサポート体制も整え、死産・流産などに関しても万全の備えをするのだが…‥‥」
「いや、そう言う内的要因ではない。外的要因…‥‥こういう時こそ出てくるであろう、面倒な輩たちだ」
「なるほど、言われてみればそうだな」
忘れがちになるが、彼らの崇拝対象でもあるハクロはアラクネの亜種と考えられる。
その亜種という存在も珍しく、そう言った類を狙う収集家などが存在しているのだ。
「討伐できる相手ならまだしも、平穏に暮らすようなものを狙う輩はいるからな。悪質なコレクターというべきか、それとも性的な意味の方で狙うか‥‥‥‥今までにこちらでも排除してきたとはいえ、それでもやはりあきらめの悪い輩もいる」
「ああ、しかも亜種の産む赤子という話で、物珍しさからより一層狙ってくる危険性もあるな」
面倒な輩は排除されてきたが、こういうことで人の欲望などは尽きる事もなく、第2、第3の愚か者が出てくるのだ。
「警戒態勢はとっておこう。アラクネの場合、卵胎生‥‥‥お腹の中にいる間は良いとして、卵として出てきた時に盗むなどが考えられるしな」
「ああ、そうなれば彼女の笑顔も失せてしまうだろうし、我々にとっても大失態どころか存在意義を問われることになるからな」
「「「「我らの好む彼女のために、その笑顔を守るために闘おう!!」」」」
…‥‥決意を新たにし、彼らは団結力を高める。
最近、ようやくとある国の中枢部分にも潜り込んで一国すらも操れるようになってきた分、さらなる危険の排除に彼らは動きやすくなってきている。
その力を活かし、彼らの崇拝対象でもあるハクロのために、密かに動き出すのであった‥‥‥
【はむはむはむ…‥‥私の体にシアンとの子ですか‥‥‥道理で食欲がわき上がっていたんですね】
「そうらしいけど、その分本当にどこに行っているの?」
ハクロに子が宿ったという事が判明した翌日、ハクロはむしゃむしゃと朝食を食べていた。
卵胎生ゆえに、途中からは卵として体外へ生むことになるが、体内にある間は栄養を取ったほうがいい。
それに、検査の結果どうも栄養がやや不足していたようで、その分も現在取っているのだ。
‥‥‥常人なら確実に増量間違いなしレベルだが、ワゼいわくハクロの体質などを考えても、これでようやく子どもとのバランスがとれるのだとか。
「ただ、しばらくの間激しい運動などはNGデス。昨日のあの闘争でも相当エネルギーを消費しますし、少しばかりゆっくりと過ごしたほうがよろしいデス」
「つまり、僕の魔法屋としての仕事にも連れて行けないのか」
「そういう事になりマス。一応、卵を出した後は自由に動けますが、それでも安定するまでしばらく家にいたほうがよろしいカト」
何にしても、この様子だとしばらく彼女と共に外に出歩けなさそうだし、しばらくは一人で魔法屋として働かなければいけないな。
「うーん、でもその子供がどういうのなのかは気になるわね‥‥‥今から用意できそうな代物が無いか、お母様たちに聞いてみるべきかしら?」
ミスティアがそうつぶやき、僕らはそれに賛成する。
こういうのもなんだが、この中に赤子が出来た時の対応がまともにできる人選が無い。
ロールの場合は雪の女王時代に子供を育てたこともないし、産んだこともない。
ミスティアに関しても、彼女はボラーン王国王家の中で第2王女‥‥‥末娘だけに他の兄や姉に当たる王子や王女に比べて赤子と触れ合う事もなかっただろう。
そう考えると、ミスティアの方だとその子育ての経験が豊富そうな王妃や側室たちとやらの方へ尋ねてみるのが正解かもしれない。
なお、いつもならば頼れるはずのワゼなのだが…‥‥
「データ不足デス。教育面ではやれる自信はありますが、とりあえず情報収集をしマス」
「いつもなら、『これもメイドの嗜みデス』って言って、自信満々そうなのにか?」
「ええ、そう言う時もあるのデス。何もすべてがメイドの嗜みにはいるわけではありませんし、生憎乍ら私を作った人がそのデータを入れ損ねている形跡がありマス」
‥‥‥いろいろやらかすこのメイドに、今更ながらメイドの嗜みの基準を問いただしたいところだが‥‥‥まぁ、聞いても意味ないだろうな。
むしろ延々とメイドの道とかそういう話になりそう。というか、言われてみればワゼの製作者の方はその子育ての方に考えが行かなかったのだろうか?‥‥‥まだ不明な人物だが、多分独身だった可能性もあるなぁ。
【シャゲ!】
「お、ドーラの方は自身があると?」
【シャッゲェ!】
任せろとでもいうように、葉っぱを器用に曲げてピースサインを作るドーラ。
フェンリル一家の子フェンリルの面倒を見ていたりと何かとそういう面ではドーラは頼れそうだ。
とにもかくにも、新しい命の生まれる予定日はまだわからない。
でも今すぐにという事でもないので、ひとまず僕らはその手の情報を集めることにするのであった。
「ついでですし、警戒も立て直しも同時に進行させましょウ。設計図などもきちんと練り直しましたし、30分程度で済みそうデス」
「なんか短くなってない?」
昨日の時点だと1時間ほどと言っていたのに、短縮されてないか?いや、短時間で立て直しするのは良いが‥‥‥今の家の状態が、更にどうなるのかちょっと不安だな…‥‥
――――――――――――――――――――――
SIDE HWG本部
‥‥‥ちょうどそのころ、ボラーン王国内の都市アルバス発祥、現在の本拠地は秘密裏に作られたとある施設にて、ハクロファンクラブことHWGのメンバーがそこに集まっていた。
彼らに情報を提供してくれるとあるメイドからの報告で、彼らの崇拝対象でもある…‥‥
「諸君、遂にこの時が来たようだ」
「ああ、我々の輝かしいあのお方…‥‥美女のあのアラクネが、ご懐妊なさったそうだ」
「「「「おおおおおおおおお!!」」」」
その言葉に、集まっていたメンバーは嬉しい声を上げる。
ファンクラブとは言え、自分たちには届かぬ高嶺の花という事は理解しており、彼女の笑顔のためにという活動目的で集まっているがゆえに、今回の懐妊の知らせは、我が身のように嬉しいのだ。
あと、ついでにそのできた子供の将来性などを考えるとチャンスなどもあり、更に楽しみが増加していた。
「この組織の拡大もしており、改名の時期が迫っていたが‥‥‥‥この度の嬉しい報告により、我々も彼女が無事に出産、子育てできるように、その手の情報提供や事業を立ち上げる時であろう」
「ああ、そうだな。紹介なども手中に収めている今、子育て用の用品なども充実させねば」
「子どもはどのような種族になるのか‥‥‥そこは不明らしい。なんでも亜種の例などもあり、未だにわからぬとか」
「ならば男の子の可能性もあるな…‥‥そうなった場合、一部の女性会員たちが肉食系になりそうだ」
「その可能性は想像したくないなぁ‥‥‥でもめでたい話しなのは変わりなしだな」
和気あいあいと話しつつ、今後の組織の活動方針や、いかにしてサポートすべきかきちんと議論も交わしていく。
「何にしても、新たな命の誕生は悪い話しでもあるまい」
「だが、少々不安もあるな」
と、ここで一人の会員がそうつぶやく。
「ん?不安とはどういうことだ?出産時などのサポート体制も整え、死産・流産などに関しても万全の備えをするのだが…‥‥」
「いや、そう言う内的要因ではない。外的要因…‥‥こういう時こそ出てくるであろう、面倒な輩たちだ」
「なるほど、言われてみればそうだな」
忘れがちになるが、彼らの崇拝対象でもあるハクロはアラクネの亜種と考えられる。
その亜種という存在も珍しく、そう言った類を狙う収集家などが存在しているのだ。
「討伐できる相手ならまだしも、平穏に暮らすようなものを狙う輩はいるからな。悪質なコレクターというべきか、それとも性的な意味の方で狙うか‥‥‥‥今までにこちらでも排除してきたとはいえ、それでもやはりあきらめの悪い輩もいる」
「ああ、しかも亜種の産む赤子という話で、物珍しさからより一層狙ってくる危険性もあるな」
面倒な輩は排除されてきたが、こういうことで人の欲望などは尽きる事もなく、第2、第3の愚か者が出てくるのだ。
「警戒態勢はとっておこう。アラクネの場合、卵胎生‥‥‥お腹の中にいる間は良いとして、卵として出てきた時に盗むなどが考えられるしな」
「ああ、そうなれば彼女の笑顔も失せてしまうだろうし、我々にとっても大失態どころか存在意義を問われることになるからな」
「「「「我らの好む彼女のために、その笑顔を守るために闘おう!!」」」」
…‥‥決意を新たにし、彼らは団結力を高める。
最近、ようやくとある国の中枢部分にも潜り込んで一国すらも操れるようになってきた分、さらなる危険の排除に彼らは動きやすくなってきている。
その力を活かし、彼らの崇拝対象でもあるハクロのために、密かに動き出すのであった‥‥‥
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