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寒さ到来面倒事も到来するな
#213 ひとまずゴリっとデス
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SIDEシアン
……ハクロの救出から一夜明け、僕らは今、この地に住まう神獣ファフニールのシグルドさんに呼ばれ、都市の端っこに来ていた。
人もほとんどいないが、ワゼいわく昨日の大暴れで僕が無意識にはなちまくった魔力だの怒りの威圧などの影響で、周辺住民が未だに気絶しているのだとか。
まぁ、色々とごめんなさいと心の中で謝りつつ、ここに呼ばれた要件を聞いた。
「‥‥‥え?あの廃棄物が暴れた原因がはっきりした?」
【そうであーる。詳しい話しはちょっとアレな故、こちらに来るであーる】
温泉効果故か、以前よりも若く見えるシグルドさんに案内され、僕らは温泉都市の地下の方へ進んだ。
道中である程度聞くと、どうもこの都市のダンジョンコアが原因らしいが‥‥‥
「‥‥‥なんか、変わってない?」
【以前は確か、地底湖の真ん中にあるような形でしたよね?】
前に訪れたことがあるダンジョンコアのある部屋。
そこよりさらに深い場所に、新たなコアの部屋が出来ており、ここにダンジョンコアが鎮座していた。
ただし、以前のようなものではない。
前の部屋は地底湖にあるような光景だったが、こちらは違う。
あちこちにいくつかの温泉がわき上がっており、黄金、虹色、真珠色など、色々ありえないような色合いの温泉である。
そしてそれらの中心に、黄金の玉座があり‥‥‥そこに、人が座っていた。
燃える様な真紅の髪色に、来ている衣服は赤い浴衣。
赤い紐の下駄をはきつつ、目の方はタオルで目隠ししているような形で見えないが、額の方には赤い球のような物が付いていた。
容姿的に少女だが…‥‥気配的に人とは違う。
彼女はこちらに気が付くと…‥‥すぐに立ち上がり、ダッシュで駆けよる。
カタカタカタっと下駄の音が大きく響き、そのままジャンプ。
そして僕らの目の前にくるっと一回転して‥‥‥‥
「コノ度ハ本当ニスイマセンデシタァァァァァ!!」
それはそれは、見事な土下座をしたのであった。
この世界に来て、こんなジャンピング土下座初めて見たような‥‥‥‥というか、いきなり土下座って何事?
……それはそれは、前の事……シアンたちが初めてこの都市へ訪れ、ダンジョンコアへ魔力を渡し、復活したその頃である。
魔力を十分に、いや、それ以上に充填されたダンジョンコアは力を増し、以前以上にこの温泉都市に温泉を増やし、より一層発展させる状態になった。
だがしかし、その増した力ゆえかモンスターも湧くようになってしまい、少々その扱いに困っていたようである。
このダンジョンコア、温泉が好きゆえにこの都市へ訪れる人には笑顔になってほしく、モンスターに襲われて人が減ってしまうのは避けたい。
されども、モンスターを出してしまうのはコアの能力ゆえであり、コントロールが難しいのだ。
減らすこともしにくいし、できるとしてもモンスターを弱らせる程度で、その分より一層数を増やしてしまう。
悩みに悩み、試行錯誤をした結果…‥‥ある案を、このダンジョンコアは思いついた。
「ソウダ、悪意トカ抜イテシマエバ良イジャン」
モンスターの本能的なところにある、人を襲うような悪意。
その分を取り除きつつ、温泉好きに変えてしまえば良いのではないかと考えたのである。
だが、その悪意はどうするのか?
それは、別の利用方法があった。
このコア、シアンに魔力を充填されたことから恩義を感じており、次に彼らが来た時にはより一層楽しんでほしいと思っていた。
ついでに、自身が自ら出向いてお世話をできるようにして、より一層尽くせるようにと考えていた。
とはいえコアはコア、丸い球体上になったのは変わらない。
ならば、その体を変えるために‥‥‥その悪意の力を変え、自分の体として作ってしまえば良いと考えたのである。
……そして現在、その力を変換しまくり、今の少女のような姿を取って動けるようにはなった。
だがしかし、問題が生じた。
「‥‥‥変換効率、滅茶苦茶悪カッタ」
「えっと、つまり悪意の力を、その体に変換するためにはある程度貯めてからじゃないと意味が無かったと?」
「ソウイウ事」
僕の質問に対し、目の前の少女‥‥‥悪意を変換し、己の体を形成したダンジョンコアはそう答えた。
変換できるのは良いが、ある程度貯めてからじゃないと変換が出来なかった。
ゆえに、ある程度貯めては変換として、繰り返していたが、その貯めている間に悪意は濃縮されていく。
流石に人に見つかると不味い代物でもあり、隠していた。
悪意ある力、それ単体では何もできない。
ゆえに、単純にどこかに隠しておくだけでも、誰かが同行できる物でもないし、ある程度貯めては変換してしまえば問題ない。
けれども、偶然という物は怖いもので…‥‥
「そこに、あの廃棄物が来ちゃったという事か……」
「欲望ヤバイ……悪意ガ感知シテ引キヨセチャッタ」
この温泉に、ダメすぎる愚者が‥‥‥あの馬鹿が来てしまった。
温泉都市は基本的に争いごとはダメであり、リラックスできる場として基本的に良い人ばかりしかいない。
だが、その欲望満載されたやつに、悪意が反応してしまい…‥‥結果として、結びつき、今回の騒ぎとなってしまったようだ。
「此度ノ騒ギ、言ッテシマエバ監督不行キ届キ。大事ニスベキ皆様ニ迷惑ヲカケテシマッタ事ニ責任ヲ感ジタ」
土下座を再び深々としつつ、ダンジョンコアの少女はそう言葉にする。
そのため、ここで土下座しつつ、許してほしいと懇願しているようだ。
「出来ヌノデアレバ、コノ身ヲ好キニシテ‥‥」
「‥‥‥いや、そこまでしなくても良いから」
事情は分かった。
このコアが今の形を取り、僕らの世話をするためにやろうとしていたことが裏目に出て、今回の事件が起きてしまった。
でも、このコアの少女がすべて悪いわけではない。
悪意の力‥‥‥もとい、あの愚物がやって来たのが元凶だよなこれ。
そもそも、あの廃棄物をボッコボコにした時点でもう怒りも晴れているし、気にすることもない。
ここまで謝られても、見当違いなような気もするし…‥‥どうこうするきはない。
「デモ気ガスマナイ」
僕の言葉に対し、答えるコア少女。
やらかしてしまった分、本当に責任感を感じて、何かしないと気が済まないのだろうか?
「と言われてもなぁ…‥‥どうする?」
【こちらに言われましても…‥‥どうしましょう?】
「わからないにょ」
どうすべきか、解答しにくい。
けれどもしなければ気が済まないようで、解答しない選択もできない。
どうすべきかと考える中、ふとワゼが手を上げた。
「あの、一つ名案がありマス」
「というと?」
「悪意の保管が不自由分ゆえに、今回の事が起きたんですヨネ?でしたら、多少手間がかかりますが、再発防止策として…‥‥」
ワゼのその案に、僕らはなるほどとなっとくし、採用することにした。
コア少女にもその案を話すと、それで良いと了解してくれた。
……まぁ、あとはその相手の方に了承を得るだけだが…‥‥多分、やってくれるだろうなぁ。いや、食べるかもしれないが、再発防止になるのならばそれが最善策であろう。
謝罪も受けたし、どうこうする気もない僕らとしては、これで良い。
相手方にとっても、多分悪くないだろうしね‥‥‥‥
――――――――――――――――
SIDE神聖国ゲルマニア
「‥‥‥なんか今、ぞくっとしたような」
神殿内部にて、預言者はそうつぶやく。
義体を今着ており、感覚的には人とは異なるのだが…‥‥そういうことを感じる感覚は、同じなのだろうか?
数時間後に、魔王の大暴れの報告と、ワゼからの提案が同時に来て心的に疲れるのだが、今はまだわからないのであった‥‥‥
……ハクロの救出から一夜明け、僕らは今、この地に住まう神獣ファフニールのシグルドさんに呼ばれ、都市の端っこに来ていた。
人もほとんどいないが、ワゼいわく昨日の大暴れで僕が無意識にはなちまくった魔力だの怒りの威圧などの影響で、周辺住民が未だに気絶しているのだとか。
まぁ、色々とごめんなさいと心の中で謝りつつ、ここに呼ばれた要件を聞いた。
「‥‥‥え?あの廃棄物が暴れた原因がはっきりした?」
【そうであーる。詳しい話しはちょっとアレな故、こちらに来るであーる】
温泉効果故か、以前よりも若く見えるシグルドさんに案内され、僕らは温泉都市の地下の方へ進んだ。
道中である程度聞くと、どうもこの都市のダンジョンコアが原因らしいが‥‥‥
「‥‥‥なんか、変わってない?」
【以前は確か、地底湖の真ん中にあるような形でしたよね?】
前に訪れたことがあるダンジョンコアのある部屋。
そこよりさらに深い場所に、新たなコアの部屋が出来ており、ここにダンジョンコアが鎮座していた。
ただし、以前のようなものではない。
前の部屋は地底湖にあるような光景だったが、こちらは違う。
あちこちにいくつかの温泉がわき上がっており、黄金、虹色、真珠色など、色々ありえないような色合いの温泉である。
そしてそれらの中心に、黄金の玉座があり‥‥‥そこに、人が座っていた。
燃える様な真紅の髪色に、来ている衣服は赤い浴衣。
赤い紐の下駄をはきつつ、目の方はタオルで目隠ししているような形で見えないが、額の方には赤い球のような物が付いていた。
容姿的に少女だが…‥‥気配的に人とは違う。
彼女はこちらに気が付くと…‥‥すぐに立ち上がり、ダッシュで駆けよる。
カタカタカタっと下駄の音が大きく響き、そのままジャンプ。
そして僕らの目の前にくるっと一回転して‥‥‥‥
「コノ度ハ本当ニスイマセンデシタァァァァァ!!」
それはそれは、見事な土下座をしたのであった。
この世界に来て、こんなジャンピング土下座初めて見たような‥‥‥‥というか、いきなり土下座って何事?
……それはそれは、前の事……シアンたちが初めてこの都市へ訪れ、ダンジョンコアへ魔力を渡し、復活したその頃である。
魔力を十分に、いや、それ以上に充填されたダンジョンコアは力を増し、以前以上にこの温泉都市に温泉を増やし、より一層発展させる状態になった。
だがしかし、その増した力ゆえかモンスターも湧くようになってしまい、少々その扱いに困っていたようである。
このダンジョンコア、温泉が好きゆえにこの都市へ訪れる人には笑顔になってほしく、モンスターに襲われて人が減ってしまうのは避けたい。
されども、モンスターを出してしまうのはコアの能力ゆえであり、コントロールが難しいのだ。
減らすこともしにくいし、できるとしてもモンスターを弱らせる程度で、その分より一層数を増やしてしまう。
悩みに悩み、試行錯誤をした結果…‥‥ある案を、このダンジョンコアは思いついた。
「ソウダ、悪意トカ抜イテシマエバ良イジャン」
モンスターの本能的なところにある、人を襲うような悪意。
その分を取り除きつつ、温泉好きに変えてしまえば良いのではないかと考えたのである。
だが、その悪意はどうするのか?
それは、別の利用方法があった。
このコア、シアンに魔力を充填されたことから恩義を感じており、次に彼らが来た時にはより一層楽しんでほしいと思っていた。
ついでに、自身が自ら出向いてお世話をできるようにして、より一層尽くせるようにと考えていた。
とはいえコアはコア、丸い球体上になったのは変わらない。
ならば、その体を変えるために‥‥‥その悪意の力を変え、自分の体として作ってしまえば良いと考えたのである。
……そして現在、その力を変換しまくり、今の少女のような姿を取って動けるようにはなった。
だがしかし、問題が生じた。
「‥‥‥変換効率、滅茶苦茶悪カッタ」
「えっと、つまり悪意の力を、その体に変換するためにはある程度貯めてからじゃないと意味が無かったと?」
「ソウイウ事」
僕の質問に対し、目の前の少女‥‥‥悪意を変換し、己の体を形成したダンジョンコアはそう答えた。
変換できるのは良いが、ある程度貯めてからじゃないと変換が出来なかった。
ゆえに、ある程度貯めては変換として、繰り返していたが、その貯めている間に悪意は濃縮されていく。
流石に人に見つかると不味い代物でもあり、隠していた。
悪意ある力、それ単体では何もできない。
ゆえに、単純にどこかに隠しておくだけでも、誰かが同行できる物でもないし、ある程度貯めては変換してしまえば問題ない。
けれども、偶然という物は怖いもので…‥‥
「そこに、あの廃棄物が来ちゃったという事か……」
「欲望ヤバイ……悪意ガ感知シテ引キヨセチャッタ」
この温泉に、ダメすぎる愚者が‥‥‥あの馬鹿が来てしまった。
温泉都市は基本的に争いごとはダメであり、リラックスできる場として基本的に良い人ばかりしかいない。
だが、その欲望満載されたやつに、悪意が反応してしまい…‥‥結果として、結びつき、今回の騒ぎとなってしまったようだ。
「此度ノ騒ギ、言ッテシマエバ監督不行キ届キ。大事ニスベキ皆様ニ迷惑ヲカケテシマッタ事ニ責任ヲ感ジタ」
土下座を再び深々としつつ、ダンジョンコアの少女はそう言葉にする。
そのため、ここで土下座しつつ、許してほしいと懇願しているようだ。
「出来ヌノデアレバ、コノ身ヲ好キニシテ‥‥」
「‥‥‥いや、そこまでしなくても良いから」
事情は分かった。
このコアが今の形を取り、僕らの世話をするためにやろうとしていたことが裏目に出て、今回の事件が起きてしまった。
でも、このコアの少女がすべて悪いわけではない。
悪意の力‥‥‥もとい、あの愚物がやって来たのが元凶だよなこれ。
そもそも、あの廃棄物をボッコボコにした時点でもう怒りも晴れているし、気にすることもない。
ここまで謝られても、見当違いなような気もするし…‥‥どうこうするきはない。
「デモ気ガスマナイ」
僕の言葉に対し、答えるコア少女。
やらかしてしまった分、本当に責任感を感じて、何かしないと気が済まないのだろうか?
「と言われてもなぁ…‥‥どうする?」
【こちらに言われましても…‥‥どうしましょう?】
「わからないにょ」
どうすべきか、解答しにくい。
けれどもしなければ気が済まないようで、解答しない選択もできない。
どうすべきかと考える中、ふとワゼが手を上げた。
「あの、一つ名案がありマス」
「というと?」
「悪意の保管が不自由分ゆえに、今回の事が起きたんですヨネ?でしたら、多少手間がかかりますが、再発防止策として…‥‥」
ワゼのその案に、僕らはなるほどとなっとくし、採用することにした。
コア少女にもその案を話すと、それで良いと了解してくれた。
……まぁ、あとはその相手の方に了承を得るだけだが…‥‥多分、やってくれるだろうなぁ。いや、食べるかもしれないが、再発防止になるのならばそれが最善策であろう。
謝罪も受けたし、どうこうする気もない僕らとしては、これで良い。
相手方にとっても、多分悪くないだろうしね‥‥‥‥
――――――――――――――――
SIDE神聖国ゲルマニア
「‥‥‥なんか今、ぞくっとしたような」
神殿内部にて、預言者はそうつぶやく。
義体を今着ており、感覚的には人とは異なるのだが…‥‥そういうことを感じる感覚は、同じなのだろうか?
数時間後に、魔王の大暴れの報告と、ワゼからの提案が同時に来て心的に疲れるのだが、今はまだわからないのであった‥‥‥
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