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寒さ到来面倒事も到来するな
#199 再会しつつも仕事デス
しおりを挟むSIDEシアン
……助けた冒険者パーティに、入っていた商人のディックさん。
彼は以前、僕らが森を出て、そこで盗賊に襲われていたところを助け、都市に関して等の情報を提供してくれた人物である。
そんな人物が、なぜここで商人ではなく、冒険者として加わっているのだろうか?
「実はこれには事情がありまして‥‥‥‥」
かくかくしかじかと、ディックさんは話しだした。
いわく、派遣商人としての業績を積みまくって、今度「派遣」から正社員ならぬ「正商人」という事で、きちんとした自分の店を持つことになったらしい。
だがしかし、商人として働くためには人脈作りなども欠かせないという考えがあるようで、モルタル商会では特にその傾向が強く、正式な正商人になる前に、素材などを売却してくれる冒険者たちと同じ目線に立ってもらい、いかにして自分たちが彼らのおかげで成り立っているのかを考えさせるために、冒険者として一定の期間だけ働かされるらしい。
「まぁ、戦闘をメインにせずに、主に解体などを行うのですが…‥‥やって見たければ討伐なども行う事もできたのです」
「でだ、商会の方では商人たちと組んでもらうために私たちの方へ声をかける事があってな、その中で彼はこのパーティに仮所属をしたと言う訳だ」
ディックさんの説明に対して、リーダーのゴリムーチョさんがそう補足した。
商人たちが冒険者パーティに入ってもらうことで、戦闘がどのようなものか学ばせてもらう事が出来るし、冒険者側としては繋がりを持って、その店でのある程度の待遇を約束されたりするので、悪い話しでもなかったらしい。
「だが、流石に今日の雪将軍は、こちらにとっては不測の事態だった…‥‥」
「本日の予定は、雪大福スライムの討伐でしたからね」
「なるほど‥‥‥」
討伐依頼を受けていたのではなく、その向かう途中で襲撃されちゃったのか…‥‥何とかなっただけ幸運だよなぁ。
とにもかくにも、それなりの実力は持っていて、それでも危かったところで偶然僕らがたどり着いただけのようである。
「‥‥‥こちらは魔法屋として、本来は討伐依頼は受けないのだけど」
【たまにはやって見ようという事で、受注したんですよ】
「雪将軍の素材は貴重なものでもありますからネ。まあ、結構溶けましたが…‥‥」
ワゼの言葉に、僕はそっと目をそらした。
……いやね、耐性を持っているようだけどそれなりには効きそうだなと思って、試し打ちした結果がこれとはちょっと言い出しにくい。
「何にしてもだ、こちらとしては助かったし、感謝する。魔法屋とは言え、威力がいささかおかしいような気もしなくはないが‥‥‥」
「盗賊討伐を見てますし、彼らの実力は本物ですよ、ゴリムーチョさん」
ゴリムーチョさんに対して、ディックさんがそうフォローを入れる。
「そうか。‥‥‥で、問題の素材の事などに関しては‥‥‥そちらが正式な討伐依頼を受注しているのであれば、その方に権利がいく。どうしたいか、そっちで決められるが、どうする?」
「こちらのほうにですか…‥‥」
正式な討伐受注を受けた僕らの方に、今回のケースでは素材を得られるらしい。
とはいえ、あの頭を斬り飛ばされた雪将軍から採れる素材としては‥‥‥
「‥‥‥じゃあ、内部の氷塊、頭の兜代わりのバケツを僕らが貰いましょう。それ以外の部位は、そちらでどうぞ」
「わかった。こちらは残りの部位を貰おう」
氷塊の方は加工すれば綺麗な装飾品になるようだし、ワゼに頼んでロール用の土産物に加工してもらおう。
バケツの方は、こちらも改造すればいい金属なので部品などにできるらしいが‥‥‥ドーラ宛の土産で良いかもね。水やりとか、土入れて鉢代わりとか、色々と用途があるなぁ。
とりあえず、僕らはそう素材の採取部位を取り決め、それをれを回収しつつ、討伐達成報告のために、ギルドへ戻る事にしたが‥‥‥
「ああ、こちらはまだ討伐予定があるから、ここで別れよう」
「そうですか。では、また雪将軍に襲われないように気を付けて」
「2度も流石に無いとは思いたいけどね」
ディックさん含むパーティ「ドゥドゥ」の人達と別れ、僕らは魔法ギルドへ向けて帰還するのであった。
――――――――――――――――――
SIDEゴリムーチョ
「‥‥‥それにしても、彼らがいなければ危なかったな」
シアンたちが去った後、本来の討伐依頼の場所へ向かうパーティドゥドゥ。
そのリーダーであるゴリムーチョは、ふとそうつぶやいた。
「本当に不味かったからなぁ‥‥‥こういうのを天の助けというのだろうか」
「ほんとほんと、ああいう人たちがこのパーティに入ってくれればいいんだけどねぇ」
「あのアラクネの人とか、結構綺麗だったしなぁ‥‥‥」
ゴリムーチョの言葉に、他の面々もうんうんと頷き、同意していく。
「しかし、彼らにわたくしめはもう2度目の助けを得てしまいましたからね‥‥‥何かお礼ができればいいのですが、良い物はあるのでしょうか?」
「ふーむ、ディックさんは商人なんだろう?こちらのメンバーに仮編成して居る分、店を得た時に割引などをしてくれるならば、それを彼らにも適応するとかはどうだ?」
「ああ、それもいいかもしれませんね。ですが、気に入られるような品があるかどうかは‥‥」
「割と難しそうだけどなぁ」
和気あいあいと話しつつ、次の目的地が近づいて、装備の手入れなども合間に行い、雪将軍にやられていたダメージも回復し、戦闘への準備を万全にしていく。
「そう言えば、あの美しいアラクネ……ふと、何処かで聞いたことがあるなぁっと思ったら……あれか?」
そんな中で、ふとメンバーの一人がつぶやいた。
「ん?どうしたんだ?」
「いや、彼らの中にいた、美女のアラクネなんだけどさ、見た目的に白かっただろう?」
「ああ、通常は冷酷・冷徹なども言うが、白さは特にないと言うし……多分亜種とか、そういうのだろう?」
同種でも、たまに違う容姿や能力、性格、習性などを持つと亜種に分類されることがあるモンスター。
シアンたちが連れていたあの白いアラクネも、その亜種の類であると彼らは思っていた。
「いやな、ちょっとした噂を前に冒険者仲間から聞いたが、とあるアラクネの群れの討伐時に、美しいアラクネを巡ってのパーティ崩壊の話があったんだ」
「あー‥‥‥色々と問題がありつつも、それなりに戦闘はできた迷惑な奴らだったか」
「そ。今は解散していて、各自連絡はとれないそうだけど‥‥‥実は一人だけ、はっきりと残っているやつがいるんだよ」
「確か、どこかの王族だったか?平民に偽装していたとかで、色々と問題を起こした奴か」
そこまで来て、ふと彼らは何を言いたいのか理解した。
「…‥‥そう言えば、その王族だったか?確か、もうそろそろこの雪の季節で、今いるボラーン王国の王城に使節団を派遣する中で、ついでに紛れてやって来るとか言う話があったな」
「で、ここはそのボラーン王国だし…‥‥まさかとは思うが、あの白いアラクネがその崩壊原因のやつで、鉢合わせとかする可能性がないわけでも……」
「そこで馬鹿な事をやらかせば…‥‥どうなるだろうか?」
‥‥‥‥想像し、彼らは嫌な未来を見たような気がした。
あのアラクネの実力もあるが、その周囲にいたシアンやその他メイドたちの戦闘も見ており、下手にやらかせばどうなるのか、火を見るよりも明らかである。
「…‥‥そ、そんなことはないと‥‥‥思いたいなぁ」
「無いと言い切れないのが、怖いな」
「好色家、馬鹿の実力持ち、わきまえしらず……いかん、トラブルが起きる未来しか見えねぇ」
ぞっとする悪寒が走りつつも、どうすることもできない。
「うーむ、そうなった時のために‥‥‥万が一に備えて、傷薬とか大量入荷して、配布したほうが良いですかねぇ?」
そんなトラブルの予兆を感じる中で、防ぐことはできないけれども、起きた後の対処方法をディックは練り始めるのであった………
……助けた冒険者パーティに、入っていた商人のディックさん。
彼は以前、僕らが森を出て、そこで盗賊に襲われていたところを助け、都市に関して等の情報を提供してくれた人物である。
そんな人物が、なぜここで商人ではなく、冒険者として加わっているのだろうか?
「実はこれには事情がありまして‥‥‥‥」
かくかくしかじかと、ディックさんは話しだした。
いわく、派遣商人としての業績を積みまくって、今度「派遣」から正社員ならぬ「正商人」という事で、きちんとした自分の店を持つことになったらしい。
だがしかし、商人として働くためには人脈作りなども欠かせないという考えがあるようで、モルタル商会では特にその傾向が強く、正式な正商人になる前に、素材などを売却してくれる冒険者たちと同じ目線に立ってもらい、いかにして自分たちが彼らのおかげで成り立っているのかを考えさせるために、冒険者として一定の期間だけ働かされるらしい。
「まぁ、戦闘をメインにせずに、主に解体などを行うのですが…‥‥やって見たければ討伐なども行う事もできたのです」
「でだ、商会の方では商人たちと組んでもらうために私たちの方へ声をかける事があってな、その中で彼はこのパーティに仮所属をしたと言う訳だ」
ディックさんの説明に対して、リーダーのゴリムーチョさんがそう補足した。
商人たちが冒険者パーティに入ってもらうことで、戦闘がどのようなものか学ばせてもらう事が出来るし、冒険者側としては繋がりを持って、その店でのある程度の待遇を約束されたりするので、悪い話しでもなかったらしい。
「だが、流石に今日の雪将軍は、こちらにとっては不測の事態だった…‥‥」
「本日の予定は、雪大福スライムの討伐でしたからね」
「なるほど‥‥‥」
討伐依頼を受けていたのではなく、その向かう途中で襲撃されちゃったのか…‥‥何とかなっただけ幸運だよなぁ。
とにもかくにも、それなりの実力は持っていて、それでも危かったところで偶然僕らがたどり着いただけのようである。
「‥‥‥こちらは魔法屋として、本来は討伐依頼は受けないのだけど」
【たまにはやって見ようという事で、受注したんですよ】
「雪将軍の素材は貴重なものでもありますからネ。まあ、結構溶けましたが…‥‥」
ワゼの言葉に、僕はそっと目をそらした。
……いやね、耐性を持っているようだけどそれなりには効きそうだなと思って、試し打ちした結果がこれとはちょっと言い出しにくい。
「何にしてもだ、こちらとしては助かったし、感謝する。魔法屋とは言え、威力がいささかおかしいような気もしなくはないが‥‥‥」
「盗賊討伐を見てますし、彼らの実力は本物ですよ、ゴリムーチョさん」
ゴリムーチョさんに対して、ディックさんがそうフォローを入れる。
「そうか。‥‥‥で、問題の素材の事などに関しては‥‥‥そちらが正式な討伐依頼を受注しているのであれば、その方に権利がいく。どうしたいか、そっちで決められるが、どうする?」
「こちらのほうにですか…‥‥」
正式な討伐受注を受けた僕らの方に、今回のケースでは素材を得られるらしい。
とはいえ、あの頭を斬り飛ばされた雪将軍から採れる素材としては‥‥‥
「‥‥‥じゃあ、内部の氷塊、頭の兜代わりのバケツを僕らが貰いましょう。それ以外の部位は、そちらでどうぞ」
「わかった。こちらは残りの部位を貰おう」
氷塊の方は加工すれば綺麗な装飾品になるようだし、ワゼに頼んでロール用の土産物に加工してもらおう。
バケツの方は、こちらも改造すればいい金属なので部品などにできるらしいが‥‥‥ドーラ宛の土産で良いかもね。水やりとか、土入れて鉢代わりとか、色々と用途があるなぁ。
とりあえず、僕らはそう素材の採取部位を取り決め、それをれを回収しつつ、討伐達成報告のために、ギルドへ戻る事にしたが‥‥‥
「ああ、こちらはまだ討伐予定があるから、ここで別れよう」
「そうですか。では、また雪将軍に襲われないように気を付けて」
「2度も流石に無いとは思いたいけどね」
ディックさん含むパーティ「ドゥドゥ」の人達と別れ、僕らは魔法ギルドへ向けて帰還するのであった。
――――――――――――――――――
SIDEゴリムーチョ
「‥‥‥それにしても、彼らがいなければ危なかったな」
シアンたちが去った後、本来の討伐依頼の場所へ向かうパーティドゥドゥ。
そのリーダーであるゴリムーチョは、ふとそうつぶやいた。
「本当に不味かったからなぁ‥‥‥こういうのを天の助けというのだろうか」
「ほんとほんと、ああいう人たちがこのパーティに入ってくれればいいんだけどねぇ」
「あのアラクネの人とか、結構綺麗だったしなぁ‥‥‥」
ゴリムーチョの言葉に、他の面々もうんうんと頷き、同意していく。
「しかし、彼らにわたくしめはもう2度目の助けを得てしまいましたからね‥‥‥何かお礼ができればいいのですが、良い物はあるのでしょうか?」
「ふーむ、ディックさんは商人なんだろう?こちらのメンバーに仮編成して居る分、店を得た時に割引などをしてくれるならば、それを彼らにも適応するとかはどうだ?」
「ああ、それもいいかもしれませんね。ですが、気に入られるような品があるかどうかは‥‥」
「割と難しそうだけどなぁ」
和気あいあいと話しつつ、次の目的地が近づいて、装備の手入れなども合間に行い、雪将軍にやられていたダメージも回復し、戦闘への準備を万全にしていく。
「そう言えば、あの美しいアラクネ……ふと、何処かで聞いたことがあるなぁっと思ったら……あれか?」
そんな中で、ふとメンバーの一人がつぶやいた。
「ん?どうしたんだ?」
「いや、彼らの中にいた、美女のアラクネなんだけどさ、見た目的に白かっただろう?」
「ああ、通常は冷酷・冷徹なども言うが、白さは特にないと言うし……多分亜種とか、そういうのだろう?」
同種でも、たまに違う容姿や能力、性格、習性などを持つと亜種に分類されることがあるモンスター。
シアンたちが連れていたあの白いアラクネも、その亜種の類であると彼らは思っていた。
「いやな、ちょっとした噂を前に冒険者仲間から聞いたが、とあるアラクネの群れの討伐時に、美しいアラクネを巡ってのパーティ崩壊の話があったんだ」
「あー‥‥‥色々と問題がありつつも、それなりに戦闘はできた迷惑な奴らだったか」
「そ。今は解散していて、各自連絡はとれないそうだけど‥‥‥実は一人だけ、はっきりと残っているやつがいるんだよ」
「確か、どこかの王族だったか?平民に偽装していたとかで、色々と問題を起こした奴か」
そこまで来て、ふと彼らは何を言いたいのか理解した。
「…‥‥そう言えば、その王族だったか?確か、もうそろそろこの雪の季節で、今いるボラーン王国の王城に使節団を派遣する中で、ついでに紛れてやって来るとか言う話があったな」
「で、ここはそのボラーン王国だし…‥‥まさかとは思うが、あの白いアラクネがその崩壊原因のやつで、鉢合わせとかする可能性がないわけでも……」
「そこで馬鹿な事をやらかせば…‥‥どうなるだろうか?」
‥‥‥‥想像し、彼らは嫌な未来を見たような気がした。
あのアラクネの実力もあるが、その周囲にいたシアンやその他メイドたちの戦闘も見ており、下手にやらかせばどうなるのか、火を見るよりも明らかである。
「…‥‥そ、そんなことはないと‥‥‥思いたいなぁ」
「無いと言い切れないのが、怖いな」
「好色家、馬鹿の実力持ち、わきまえしらず……いかん、トラブルが起きる未来しか見えねぇ」
ぞっとする悪寒が走りつつも、どうすることもできない。
「うーむ、そうなった時のために‥‥‥万が一に備えて、傷薬とか大量入荷して、配布したほうが良いですかねぇ?」
そんなトラブルの予兆を感じる中で、防ぐことはできないけれども、起きた後の対処方法をディックは練り始めるのであった………
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