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寒さ到来面倒事も到来するな
閑話 ちょっとした変化の一日デス
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SIDEロール
「それじゃロール、僕らは魔法屋としての仕事で出るけど、夕方には戻って来るからね?」
【いい子にしているんですよ】
「はーい!」
フェンリルが引く馬車に乗って、シアンたちが出て行き、ロールはそれを見えなくなるまで手を振って見送った。
‥‥‥暴走騒動から数日。ロールは今、シアンたちの元で養子として過ごしていた。
まだちょっと、暴走時のことで気に病んでいる部分もあるのでぎこちない所もあったりするが、今は幼体。小さな子供としてロールの精神はきちんと成長し始め、見た目相応のそぶりを見せ始めていた。
できればシアンたちの事をお父さん、お母さんなどと呼びたいが、まだちょっと時間はかかりそうである。
けれども、雪の女王時には無かった家族の温かみに触れ、彼女は着実に成長をしていた。
「‥‥‥さてと、今日は何しようかにょ?」
てとととっと、軽快に家の中を歩き回り、暇つぶしを捜すロール。
本日はワゼではなくミニワゼシスターズとの勉強が待っているが、それはもう少し後。
それまで、とりあえず適当に遊ぶ目的を彼女は探していた。
……雪もちょっとは落ち着いたので、本日、シアンたちは一旦都市へ様子見に出かけるらしい。
この季節は色々と厳しいため、早々出る事が無いとはいえ、それでも一応自身の手で情報を手に入れたい時もあるらしい。
「まぁ、わかっているにょ」
先日の騒ぎからそう時も経っておらず、現状まだまだ外へ出るには色々と学ばなければいけない。
ワゼも一緒に行ったようだが、こういう時の彼女のお目付け役としてはミニワゼシスターズが残っているようで、勉強の時間までは遊べる。
「そーにょ!」
と、ここでふと思いついたように、彼女は庭の方へ駆けた。
「ドーラ!!今日も相手をするによ!!」
【シャゲ?シャゲー!】
除雪をなんとか終え、花壇の手入れをしているドーラへ彼女は駆けより、ドーラも返事をする。
……今のロールもドーラも違うが、大昔にさかのぼると、実はかつて戦った関係でもある。
まぁ、ロールは記憶の方で雪の女王時代のもので確認し、ドーラの方は色々な事情でその知識を得ているが‥‥‥対立するようなことはない。
むしろ、現在はそれぞれ別々の存在のような者であるので、互に仲良く遊ぶことはするのだ。
「そうにょ!せっかくだし今日は一家の元へ遊びに行くにょ!」
【シャゲェ】
ロールの思い付きに、ドーラはそうかそうかと頷き、付き合っていく。
……フェンリル一家の子フェンリルたちとも関係は良好。
暴走騒動後、シアンたちが事情を話し、森で大暴れをしたことに関しては謝罪を行ったが、それでフェンリル一家は普通に許してくれた。
むしろ、そう言った氷の魔法系統の能力があることで‥‥‥
【ガウガウ―!!】
【ガウッツ!】
「あははは!今日も一緒に遊ぶにょー!」
氷の滑り台や、氷上を作ってのスケート遊びなど、遊びの幅が広がって楽しい時を過ごす。
【うんうん、アレが大暴れをしたとは言え、こうして元気に遊ぶ様子は年相応の子供にしか見えないねぇ‥】
【シャゲ】
その様子を微笑ましそうに見ながらつぶやくロイヤルに、ドーラは同意をする。
さりげなく本日もヴァルハラが来ており、その氷上を後でポチとの特訓で使用していたようだが……まぁ、それは気にすることではなかった。
昼食で家に戻り、食後に少し寝て、シスターズから勉強を施される。
勉強と言っても、ロールには雪の女王の記憶はあるので、ある程度は必要ないのだが‥‥‥それでも、学ぶことは多いし、他人事のような記憶でもあるので、こうやって学ぶこと自体は彼女にとっては楽しい。
「でも、この数式が分からないにょ‥」
「セ?セーセ」
「ん?ふんふん、そうやって‥‥‥」
「シー」
「なるほど、そうやればいいのかにょ!」
分からないところは、シスターズがヒントを出しつつ、それを元にして解ける。
自分の力で出来た時の達成感は、それこそ至上のものでもある。
そうこうしているうちに、夕暮時になって…‥‥ようやくシアンたちが帰って来た。
「ただいまー」
【帰ってきましたよー】
「あ!お帰りなさいにょー!!」
馬車から降り、そう告げるシアンたちの元へロールは嬉しそうに駆け寄り、ジャンプして飛びつく。
……雪の女王時代、こうやって帰ってくる家族を待つこともなかったし、帰ってきた時の嬉しさは非常に良い物である。
ロールとしては、できれば一日中一緒に居たいが‥‥‥まぁ、流石にシアンたちなりの都合などがある事は理解しており、わがままは言わない。
幼い容姿とは言え、一応雪の女王の記憶もあるロール。
見た目相応のそぶりを見せつつ、そのあたりもわきまえているのだ。
夕食は皆で一緒に食べ、和気あいあいと今日会ったことが話され、目を輝かせてロールは聞く。
今はまだ出ないが、そのうち都市へも彼女は顔を出す予定であり、その時を楽しみに待つ。
「できればロールは学校とかにも通わせたいけど‥‥‥今の年齢だと無理かな?」
「うーん、ご主人様の言う通り、まだ無理デス。ですが、ミスティア王女に連絡したところ、数年以内には入学できるかと思われマス」
‥‥‥今いるこのボラーン王国には、一応教育機関として学校は存在していた。
いや、正確に言えば学園らしいが、その区別はシアンにはまだいまいちつかない。
けれども、そこへ入学させたほうが人間関係とかの構築などでためになりそうなのだが…‥‥残念ながら、ロールの容姿はまだちょっと幼く、微妙に足りなかったのである。
「ん?でもまだいいにょ!今は一緒にいたいにょ!」
「そうかそうか‥‥‥まぁ、そう焦らずに考えたほうが良いか」
【ええ、そうですよ。まだまだ、手元に置いておきたいですしね。あ、ほら、ちょっと口元についてますよ】
ロールとしては、その学園とやらが気になるが…‥‥できればまだ、この家でのんびりと過ごしていたい。
勉強が楽しく想え、学ぶのであればそちらへ行った方が良いかもしれないが、それでもなお、ここで過ごしていたいのである。
・・・正直言って、ワゼたちから受ける方が圧倒的に良かったりするのだが、それはそれ、これはこれというやつであった。
夕食も終わり、風呂に入り、就寝の時間が近づく。
ロール用の部屋は増築されて作られており、ベッドに横になってロールは就寝する準備をしはじめる。
シアンたちとも寝たいが…‥‥まぁ、今日はお邪魔をしない。
色々と夫婦の営みもあるようだし、雪の女王の記憶からそのあたりは理解しており、わきまえる事が出来る。
容姿は幼いが、中身も成長しているので問題はない。
「ふぅ‥‥‥今日も一日、あったにょ」
ベッドで横になり、ロールはふとそうつぶやいた。
雪の女王時代には、絶対に味わえなかった家族としての温かみ。
今日の昼間は寂しさもあったとはいえ、それでも魔法屋としての仕事が無い時はきちんと家におり、相手にしてくれるのがうれしい。
「‥‥‥体にも希望あるしね」
ぼそっとそうつぶやくのは、ドーラも女の子という事であろうか。
雪の女王の体としては、シアンたちにはぼーんっとなど色々言ったが…‥‥実際にはちょっと見栄を張っていたりする。
だが、今のロールはその幼い時代の体。
それも、成長するようにされており、きちんとした生活を行えれば…‥‥うまくいけばハクロのようなボディに成長する未来もあるのだ。
「何にしても、今日も楽しかったにょ。また明日が楽しみだにょ」
うきうきとしつつ、眠気が襲い始めてロールの瞼が下がってくる。
‥‥‥雪の女王時代は、このような時は無かった。
只々、極寒の地にてどのようにしていけばいいのか、毎日が厳しく、明日に不安を覚えていた。
でも、今は違う。
こうして家族となり、共に過ごして明日が待ち遠しくなっている。
「‥‥‥家族って良いにょ」
そう微笑み、彼女はつぶやき、まどろんでいく。
昔は得なかった温かさを、今は十分堪能し始めている。
けれども、まだまだ足りず、もっと甘えたい、温かさを求めたい。
「ああ、できれば明日は‥‥‥‥」
もうちょっと勇気をだして、今日よりも大胆にしてみよう。
いや、家族として受け入れられているし、もっと深めるためにも…‥‥
「お父さん、お母さんとよぶにょ……」
シアンたちへ向ける言葉を考え、ロールはそうつぶやく。
家族を得て、彼女は着実に成長していく。
できれば、もっと家族が増えて欲しいが…‥‥まぁ、それはシアンたちのがんばり次第ともいえよう。
密かにドーラやワゼも巻き込んで、その頑張りをより一層できないかと、小さいながらもいっちょまえな企み事を思いつきつつ、眠りにつくのであった…‥‥
―――――――――――――――――――
SIDEドーラ(いつものシャゲシャゲ語ではなく、日本語訳でお届けいたします)
【‥‥‥ふぅ、今日もここはにぎやかだな】
【あらぁん?ドーラちゃん、久しぶりねぇ】
‥‥‥ハルディアの森の地下深く。
密かに作られた小さな空洞の中に、『冬季地中友の会』なる者たちが集まり、小さなバーのようになっていた。
そこに、ドーラは訪れ、その集まりの中に紛れ込む。
【いやまぁ、ちょっとね。先日話題に出た雪の女王の幼体と過ごしていたんだよ】
【ほぅ、数百年前の魔王と戦い、行方不明になったとされるあれか】
【知っているぜーん!ドーラっちにそもそも教えたのは拙者やもーん】
ドーラの言葉に、友たちが集まり、その話題にいく。色々と言いあう。
【記憶はあるが、本質はもう変わったよ。今のあの子は、ただの幼い少女。まぁ、こちらと同じようなものと考えれば分かりやすいだろうな】
【そうねぇ、大昔のあなたであってあなたではないやつの時は、非常にやばかったはずなのに今はこうも丸くなるのと同じねぇ】
うんうんと、事情を知る者たちは頷き、知らない者たちはその内容を聞いて驚く。
それだけ昔のドーラであって、そうではない存在の話は驚異的なものでもあるからだ。
【何にしても、この件でさらに深まったよ。今のあの家の主…‥‥シアンというやつは、各自に今代の魔王だ】
ドーラのその言葉に、周囲の者たちは真剣な表情になる。
【なるほど…‥‥もう決まりか】
【だろうなぁ。似たような候補はあったが、もうほぼ魔王だからな】
【もう魔王としての力も覚醒しているのかしらぁ?】
【んー、まだとは思うが…‥‥微妙に出ているからな。もう確定だろう。それに、数百年前のあの魔王とも違うとはいえ、実力は既に上回っているしなぁ…‥‥魔王って、何でああもこちらよりも上の相手が多いのやら】
【まぁ、そいつが魔王なら今は安心だろ?野心とかとんでもない屑とかじゃないし、十分いいじゃねぇか】
【甘いわね、あなた】
と、そこで出た言葉に、一人がそう指摘する。
【今の魔王だとして、立場は中立でしょう?場合によっては、善にも悪にもなりかねない危険性もあるってことなのよぅ】
【家族などに、下手に手を出さなければいいタイプってことか…‥‥でもなぁ、そういうやつに限って】
【絶対に手を出すような馬鹿が出て、世界滅亡なんてことも考えられるからなぁ】
シャレにならない未来が想像でき、空気が重くなる。
【何にしても、今は良い隣人としての付き合いだし、関係が壊れることはないだろう。過去の魔王と戦闘で来た少女が加わったことだし、万が一の時には相手をできるだけすることはもう決めた】
【よっ、男前、いや女前?】
【…‥‥そう言えば、自分の性別って何だろう?】
その言葉に誰もが答えられない微妙な空気となるが、とにもかくにも、これ以上話すこともない。
あとは適当に、この厳しい寒さがある季節をどう乗り越えるかなどの対策会議を行い、適当に切りが良いところで解散しあうのであった。
【ところでさ、一つ良いか?】
【ん?】
【いやまぁ、ちょーっとばかり今度ある国へこちらは種をまくために向かうんだけど…‥‥その国がね、下手すっと色々とね‥‥‥】
【…‥‥嫌な予感しかしないなぁ】
こういう時の嫌な予感を感じるのは、ワゼかシアンの役割だろとドーラは思いつつも、仕方がなくその話を聞くのであった。
‥‥‥何気にこの会で、『頼れるオカン的存在』と言われていることをドーラが知るのはもう少し後であり、知った後は取りあえず数体ほど―――――のであった。
【うん、オカンじゃないからね?いやまぁ、子どもたちが可愛いし、どうにかしてあげたいという想いならあるけど…‥‥】
【ロリショタコンってやつなのか?】
【違うからな!!】
「それじゃロール、僕らは魔法屋としての仕事で出るけど、夕方には戻って来るからね?」
【いい子にしているんですよ】
「はーい!」
フェンリルが引く馬車に乗って、シアンたちが出て行き、ロールはそれを見えなくなるまで手を振って見送った。
‥‥‥暴走騒動から数日。ロールは今、シアンたちの元で養子として過ごしていた。
まだちょっと、暴走時のことで気に病んでいる部分もあるのでぎこちない所もあったりするが、今は幼体。小さな子供としてロールの精神はきちんと成長し始め、見た目相応のそぶりを見せ始めていた。
できればシアンたちの事をお父さん、お母さんなどと呼びたいが、まだちょっと時間はかかりそうである。
けれども、雪の女王時には無かった家族の温かみに触れ、彼女は着実に成長をしていた。
「‥‥‥さてと、今日は何しようかにょ?」
てとととっと、軽快に家の中を歩き回り、暇つぶしを捜すロール。
本日はワゼではなくミニワゼシスターズとの勉強が待っているが、それはもう少し後。
それまで、とりあえず適当に遊ぶ目的を彼女は探していた。
……雪もちょっとは落ち着いたので、本日、シアンたちは一旦都市へ様子見に出かけるらしい。
この季節は色々と厳しいため、早々出る事が無いとはいえ、それでも一応自身の手で情報を手に入れたい時もあるらしい。
「まぁ、わかっているにょ」
先日の騒ぎからそう時も経っておらず、現状まだまだ外へ出るには色々と学ばなければいけない。
ワゼも一緒に行ったようだが、こういう時の彼女のお目付け役としてはミニワゼシスターズが残っているようで、勉強の時間までは遊べる。
「そーにょ!」
と、ここでふと思いついたように、彼女は庭の方へ駆けた。
「ドーラ!!今日も相手をするによ!!」
【シャゲ?シャゲー!】
除雪をなんとか終え、花壇の手入れをしているドーラへ彼女は駆けより、ドーラも返事をする。
……今のロールもドーラも違うが、大昔にさかのぼると、実はかつて戦った関係でもある。
まぁ、ロールは記憶の方で雪の女王時代のもので確認し、ドーラの方は色々な事情でその知識を得ているが‥‥‥対立するようなことはない。
むしろ、現在はそれぞれ別々の存在のような者であるので、互に仲良く遊ぶことはするのだ。
「そうにょ!せっかくだし今日は一家の元へ遊びに行くにょ!」
【シャゲェ】
ロールの思い付きに、ドーラはそうかそうかと頷き、付き合っていく。
……フェンリル一家の子フェンリルたちとも関係は良好。
暴走騒動後、シアンたちが事情を話し、森で大暴れをしたことに関しては謝罪を行ったが、それでフェンリル一家は普通に許してくれた。
むしろ、そう言った氷の魔法系統の能力があることで‥‥‥
【ガウガウ―!!】
【ガウッツ!】
「あははは!今日も一緒に遊ぶにょー!」
氷の滑り台や、氷上を作ってのスケート遊びなど、遊びの幅が広がって楽しい時を過ごす。
【うんうん、アレが大暴れをしたとは言え、こうして元気に遊ぶ様子は年相応の子供にしか見えないねぇ‥】
【シャゲ】
その様子を微笑ましそうに見ながらつぶやくロイヤルに、ドーラは同意をする。
さりげなく本日もヴァルハラが来ており、その氷上を後でポチとの特訓で使用していたようだが……まぁ、それは気にすることではなかった。
昼食で家に戻り、食後に少し寝て、シスターズから勉強を施される。
勉強と言っても、ロールには雪の女王の記憶はあるので、ある程度は必要ないのだが‥‥‥それでも、学ぶことは多いし、他人事のような記憶でもあるので、こうやって学ぶこと自体は彼女にとっては楽しい。
「でも、この数式が分からないにょ‥」
「セ?セーセ」
「ん?ふんふん、そうやって‥‥‥」
「シー」
「なるほど、そうやればいいのかにょ!」
分からないところは、シスターズがヒントを出しつつ、それを元にして解ける。
自分の力で出来た時の達成感は、それこそ至上のものでもある。
そうこうしているうちに、夕暮時になって…‥‥ようやくシアンたちが帰って来た。
「ただいまー」
【帰ってきましたよー】
「あ!お帰りなさいにょー!!」
馬車から降り、そう告げるシアンたちの元へロールは嬉しそうに駆け寄り、ジャンプして飛びつく。
……雪の女王時代、こうやって帰ってくる家族を待つこともなかったし、帰ってきた時の嬉しさは非常に良い物である。
ロールとしては、できれば一日中一緒に居たいが‥‥‥まぁ、流石にシアンたちなりの都合などがある事は理解しており、わがままは言わない。
幼い容姿とは言え、一応雪の女王の記憶もあるロール。
見た目相応のそぶりを見せつつ、そのあたりもわきまえているのだ。
夕食は皆で一緒に食べ、和気あいあいと今日会ったことが話され、目を輝かせてロールは聞く。
今はまだ出ないが、そのうち都市へも彼女は顔を出す予定であり、その時を楽しみに待つ。
「できればロールは学校とかにも通わせたいけど‥‥‥今の年齢だと無理かな?」
「うーん、ご主人様の言う通り、まだ無理デス。ですが、ミスティア王女に連絡したところ、数年以内には入学できるかと思われマス」
‥‥‥今いるこのボラーン王国には、一応教育機関として学校は存在していた。
いや、正確に言えば学園らしいが、その区別はシアンにはまだいまいちつかない。
けれども、そこへ入学させたほうが人間関係とかの構築などでためになりそうなのだが…‥‥残念ながら、ロールの容姿はまだちょっと幼く、微妙に足りなかったのである。
「ん?でもまだいいにょ!今は一緒にいたいにょ!」
「そうかそうか‥‥‥まぁ、そう焦らずに考えたほうが良いか」
【ええ、そうですよ。まだまだ、手元に置いておきたいですしね。あ、ほら、ちょっと口元についてますよ】
ロールとしては、その学園とやらが気になるが…‥‥できればまだ、この家でのんびりと過ごしていたい。
勉強が楽しく想え、学ぶのであればそちらへ行った方が良いかもしれないが、それでもなお、ここで過ごしていたいのである。
・・・正直言って、ワゼたちから受ける方が圧倒的に良かったりするのだが、それはそれ、これはこれというやつであった。
夕食も終わり、風呂に入り、就寝の時間が近づく。
ロール用の部屋は増築されて作られており、ベッドに横になってロールは就寝する準備をしはじめる。
シアンたちとも寝たいが…‥‥まぁ、今日はお邪魔をしない。
色々と夫婦の営みもあるようだし、雪の女王の記憶からそのあたりは理解しており、わきまえる事が出来る。
容姿は幼いが、中身も成長しているので問題はない。
「ふぅ‥‥‥今日も一日、あったにょ」
ベッドで横になり、ロールはふとそうつぶやいた。
雪の女王時代には、絶対に味わえなかった家族としての温かみ。
今日の昼間は寂しさもあったとはいえ、それでも魔法屋としての仕事が無い時はきちんと家におり、相手にしてくれるのがうれしい。
「‥‥‥体にも希望あるしね」
ぼそっとそうつぶやくのは、ドーラも女の子という事であろうか。
雪の女王の体としては、シアンたちにはぼーんっとなど色々言ったが…‥‥実際にはちょっと見栄を張っていたりする。
だが、今のロールはその幼い時代の体。
それも、成長するようにされており、きちんとした生活を行えれば…‥‥うまくいけばハクロのようなボディに成長する未来もあるのだ。
「何にしても、今日も楽しかったにょ。また明日が楽しみだにょ」
うきうきとしつつ、眠気が襲い始めてロールの瞼が下がってくる。
‥‥‥雪の女王時代は、このような時は無かった。
只々、極寒の地にてどのようにしていけばいいのか、毎日が厳しく、明日に不安を覚えていた。
でも、今は違う。
こうして家族となり、共に過ごして明日が待ち遠しくなっている。
「‥‥‥家族って良いにょ」
そう微笑み、彼女はつぶやき、まどろんでいく。
昔は得なかった温かさを、今は十分堪能し始めている。
けれども、まだまだ足りず、もっと甘えたい、温かさを求めたい。
「ああ、できれば明日は‥‥‥‥」
もうちょっと勇気をだして、今日よりも大胆にしてみよう。
いや、家族として受け入れられているし、もっと深めるためにも…‥‥
「お父さん、お母さんとよぶにょ……」
シアンたちへ向ける言葉を考え、ロールはそうつぶやく。
家族を得て、彼女は着実に成長していく。
できれば、もっと家族が増えて欲しいが…‥‥まぁ、それはシアンたちのがんばり次第ともいえよう。
密かにドーラやワゼも巻き込んで、その頑張りをより一層できないかと、小さいながらもいっちょまえな企み事を思いつきつつ、眠りにつくのであった…‥‥
―――――――――――――――――――
SIDEドーラ(いつものシャゲシャゲ語ではなく、日本語訳でお届けいたします)
【‥‥‥ふぅ、今日もここはにぎやかだな】
【あらぁん?ドーラちゃん、久しぶりねぇ】
‥‥‥ハルディアの森の地下深く。
密かに作られた小さな空洞の中に、『冬季地中友の会』なる者たちが集まり、小さなバーのようになっていた。
そこに、ドーラは訪れ、その集まりの中に紛れ込む。
【いやまぁ、ちょっとね。先日話題に出た雪の女王の幼体と過ごしていたんだよ】
【ほぅ、数百年前の魔王と戦い、行方不明になったとされるあれか】
【知っているぜーん!ドーラっちにそもそも教えたのは拙者やもーん】
ドーラの言葉に、友たちが集まり、その話題にいく。色々と言いあう。
【記憶はあるが、本質はもう変わったよ。今のあの子は、ただの幼い少女。まぁ、こちらと同じようなものと考えれば分かりやすいだろうな】
【そうねぇ、大昔のあなたであってあなたではないやつの時は、非常にやばかったはずなのに今はこうも丸くなるのと同じねぇ】
うんうんと、事情を知る者たちは頷き、知らない者たちはその内容を聞いて驚く。
それだけ昔のドーラであって、そうではない存在の話は驚異的なものでもあるからだ。
【何にしても、この件でさらに深まったよ。今のあの家の主…‥‥シアンというやつは、各自に今代の魔王だ】
ドーラのその言葉に、周囲の者たちは真剣な表情になる。
【なるほど…‥‥もう決まりか】
【だろうなぁ。似たような候補はあったが、もうほぼ魔王だからな】
【もう魔王としての力も覚醒しているのかしらぁ?】
【んー、まだとは思うが…‥‥微妙に出ているからな。もう確定だろう。それに、数百年前のあの魔王とも違うとはいえ、実力は既に上回っているしなぁ…‥‥魔王って、何でああもこちらよりも上の相手が多いのやら】
【まぁ、そいつが魔王なら今は安心だろ?野心とかとんでもない屑とかじゃないし、十分いいじゃねぇか】
【甘いわね、あなた】
と、そこで出た言葉に、一人がそう指摘する。
【今の魔王だとして、立場は中立でしょう?場合によっては、善にも悪にもなりかねない危険性もあるってことなのよぅ】
【家族などに、下手に手を出さなければいいタイプってことか…‥‥でもなぁ、そういうやつに限って】
【絶対に手を出すような馬鹿が出て、世界滅亡なんてことも考えられるからなぁ】
シャレにならない未来が想像でき、空気が重くなる。
【何にしても、今は良い隣人としての付き合いだし、関係が壊れることはないだろう。過去の魔王と戦闘で来た少女が加わったことだし、万が一の時には相手をできるだけすることはもう決めた】
【よっ、男前、いや女前?】
【…‥‥そう言えば、自分の性別って何だろう?】
その言葉に誰もが答えられない微妙な空気となるが、とにもかくにも、これ以上話すこともない。
あとは適当に、この厳しい寒さがある季節をどう乗り越えるかなどの対策会議を行い、適当に切りが良いところで解散しあうのであった。
【ところでさ、一つ良いか?】
【ん?】
【いやまぁ、ちょーっとばかり今度ある国へこちらは種をまくために向かうんだけど…‥‥その国がね、下手すっと色々とね‥‥‥】
【…‥‥嫌な予感しかしないなぁ】
こういう時の嫌な予感を感じるのは、ワゼかシアンの役割だろとドーラは思いつつも、仕方がなくその話を聞くのであった。
‥‥‥何気にこの会で、『頼れるオカン的存在』と言われていることをドーラが知るのはもう少し後であり、知った後は取りあえず数体ほど―――――のであった。
【うん、オカンじゃないからね?いやまぁ、子どもたちが可愛いし、どうにかしてあげたいという想いならあるけど…‥‥】
【ロリショタコンってやつなのか?】
【違うからな!!】
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そんなアスカの人生は、日本王国のお姫様との出会い、そして恋に落ちたことにより激動する。
——ある日、アスカと姫様はサニーの丘で今年最大の夕陽を見に行く。夕日の壮大さに魅入られ甘い雰囲気になり、見つめ合う2人。2人の手が触れ合った時……
その瞬間、アスカの脳内に火花が飛び散るような閃光が走り、一瞬気を失ってしまう。
再び目を覚ました時、アスカは前世の記憶を思い出していた‥‥‥
前世の記憶を思い出したアスカは、自分がなぜ転生したのかを思い出す。
そして、元の世界のような過ちをしないように、この世界を救うために立ち上がる。
この物語は、不遇な人生を送っていた少年が、前世を思い出し世界を救うまでの成り上がり英雄伝である。
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