200 / 459
寒さ到来面倒事も到来するな
#187 そっち系だったのデス
しおりを挟む
SIDEシアン
「‥‥‥ねぇ、ワゼ。確かにさ、解呪できるかもしれない相手な事は相手だよね」
「ハイ」
「だけどね…‥‥流石に、あれは無いような」
「‥‥‥黙認いたしマス」
僕の言葉に、思いっきり目をそらして答えるワゼ。
今回、ロールの呪いとやらを解呪するために、彼女が呼んだのは…‥‥
「ふむふむ……この程度なら可能だね」
「なんで預言者を呼んでいるんだよ‥‥‥‥」
神聖国のトップ、預言者と呼ばれる人物、ファイスであった。
色々とツッコミを入れたいが、残念ながらツッコミ役が不足している。
ゆえに、入れるのであれば僕一人でしかできない。
まず、本日の義体とやらは、以前にもあった中性的な見た目のものであり、これはまだ良いだろう。
だがしかし、不自然過ぎるようなアホ毛と呼べそうなものが堂々と主張して生えているのはどうなのだろうか?
「ああ、これは今回の件をそのメイドから聞いていたからね。より詳細に呪いを分析しやすくするために、呪いに感知してすぐにどのような解呪法があるのか調べる義体の一部かな。ほら、『3』の数字の形になっているだろう?つまり、3つの呪いが確定しているんだ」
「そんな測定方法で良いのだろうか」
見た目的にそのままじゃんと色々言いたいが、ツッコミをこれ以上入れても切りが無さそうである。
「とにもかくにも、今代の魔王‥‥んー、だいぶ確定した状態になっている相手との関係はきちんと築いたほうが良いから、今回は無償で良いよ」
「さらっと流されたけど、だいぶ確定しているのか…‥‥」
以前、魔王と言われた際にも「まだ」と付く程度だったのに、「だいぶ確定」と、ほぼ決定してきている状態になっているのか‥‥‥‥まぁ、ここ最近やらかしてはいるから、何も言えない。
【あれ?そう言えばもう一人、この間いた人がいませんね?】
「ああ、彼ならちょっと別件である場所に出向いてもらっているんだ。一応、実力的に五体満足で返ってくるはずだよ、多分」
‥‥‥‥なんか苦労人臭が、その人から出ていそうだな。「多分」とか不安になるようなことも言うし、案外その人物はポチと馬が合うかもしれない。
とりあえず、気を取り直し解呪作業に移ってもらうことにした。
「さてと、この子がその呪いの子なんだろうけれども…‥‥ん?」
ロールの姿を見て、預言者ことファイスが、何やら怪訝な声を出した。
「どうした?」
「どうしたにょ?」
「んー……えっと、ロールちゃんだっけ?…‥‥なーんかどこかで見たことがあるような」
うむむむ?と声を出し、首をかしげて考え込むファイス。
何だろう、預言者の見覚えのあるものと言われると、嫌な予感しかしない気がする。
「まぁ、良いか。えっと、とりあえずその呪いを見せてもらうから、ちょっと額に手を当てるね」
そう言い、ロールの額にファイスは手を当てた。
目をつぶり、何かをぶつぶつと唱え始める。
頭の呪いの感知するものとやらも、グネグネと動き始め、ちょっと気味悪い。
数分ほどそうしていたところで、目を開けて手を離した。
「…‥‥うん、ちょっとこれは面倒だね。特に、3つ目の呪いが」
「というと?」
「色々とあるから、順を追って説明するならば…‥‥まずね、知らされてきた呪いの内容の『幼少弱体化』、『記憶封印』なんだけど‥‥‥ちょっと違うね」
「…‥‥まぁ、私でも専門外ですので、そのあたりの正確性は自信ありまセン」
預言者の言葉に対して、ワゼがそうつぶやいた。
「まず、『幼少弱体化』は『幼体弱体化』だ。幼少と違うとすれば、あちらは簡易的な若返りの呪い……いや、一部の女性とかには呪いと言えるのどうかは実はまだわかっていなかったりするけど、この幼体弱体化は人以外の種族、一般的に幼体と呼ばれる時期がある種族にしかかからないものだ」
「なるほど…‥‥似てはいるけど、違うものか」
「そういうこと」
簡単に例えるのであれば、ミツバチとスズメバチのような、同じ蜂というくくりでも、種族が違うのと同じような物らしい。…‥‥いや、別物にしか見えないような。
「で、次に『記憶封印』だけど‥‥‥‥これがこれでちょっとね」
「何か問題が?」
「一般的な部分は大丈夫だとして、これ結構重要そうな部分へ刻まれた呪いだ。…‥‥ある意味、捕食価値のある呪いだけどね」
「ひっ!!」
にゃぁっと笑う預言者の顔を至近距離で見て、恐怖を覚えたのかロールがばっと後ろへ下がる。
「怖い怖い!!あの人怖いにょ!!」
「ああ、ごめんごめん、つい食欲が‥‥‥」
……そう言えば、前に話していたな。
預言者って一応、人の魂を理由あって喰らうらしいが…‥‥呪いもその捕食対象に入るのだろうか?
「何にしても、この2つの呪いに関して言えば、結構楽に解ける。多分、解呪法があれば魔王の君でも簡単に解けるよ」
「そういうものなのか?」
「そういうものだよ。乱暴だけど初歩的な解呪方法は魔力を込めた良いストレートをみぞおちに与えるというのがあるからね」
それ、解呪法?解呪(物理)って、結構物騒なんだけど。
「まぁ、それは別にどうでもいい話だけど…‥‥問題なのは、この3つ目の呪いだ」
話を切り替えると同時に、預言者の顔が神妙なものになる。
「この2つは、誰でもと言うのは語弊があるかもしれないが、わりとかけやすい類。けれども‥‥‥この3つ目だけは、非常に面倒だ。解けないとか言う話ではなく‥‥‥かけた相手がね」
「呪いをかけた相手が、わかるのか?」
「ああ、間違いなくね。そしてその分、厄介さも十分に」
預言者でも厄介な相手とは?
「その相手は…‥‥おそらく、魔王、正確に言えば君の前の魔王、数百年前に現れたやつのだ」
「…‥‥前の魔王?」
「ああ、そういうことになるね」
ロールにかけられていた呪い、そのかけた相手はまさかの魔王。
そうだとすれば、厄介だと言われるとなんとなく理解できるが…‥‥
「待てよ?ロールは数日ほど前に出て来たばかりだろ?前の魔王なんて数百年前と言うし、ちょっと合わないような‥‥‥」
「その原因が、第3の呪い。一時的に肉体を停止させ、切れる時まで封印される……まぁ、呪いというよりも封印の一種、『時限停止』。しかも今もなお作用していて、他の呪いに影響を与えているんだ。そこからさらに、彼女の正体に関して思い当たる人物がいる」
預言者のその言葉に、僕らは驚愕した。
「ロールの正体も、わかったのか?」
「ああ。数百年前の魔王がいた時代に行方不明になったとされる者。北方の北の大地に氷の世界を作り、君臨していた雪の女王、リザ。…‥‥冷酷で有りながらも、自身の民を虐げる者には容赦せず、他国からの干渉を受け付けなかったとされる雪の女王。けれども、当時の魔王はその女王に目を付けた」
「…‥‥つけた理由は?」
「その身に引くとされる氷竜の血。古今東西、厄介な代物でもある」
……竜、ドラゴン、龍、空行くウミヘビなど、様々な言われようがあるモンスター。
彼らが多種多様だが、その身に引く血には様々な効能があるとされ、権力者などに求められやすい。
「そして、氷竜の血の場合、氷の魔力を高める…‥‥いわば魔力増強剤の中でも、トップクラスの代物。それを、当時の魔王は欲しがった」
数百年前にいたその魔王は、破壊などを行う悪の魔王。
その手段に、氷結などを加えたかったなどの目的が予想され、ろくでもないというのは良く分かる。
「だがしかし、女王は盛大に断ったそうだ。そこで、魔王が侵攻し…‥‥結果として、女王は行方不明になり、魔王の方は氷の力を手に入れられなかったと聞く」
その応戦の最中に、おそらくは呪いが放たれ、その相手がロールだったのだろうか?
「‥‥‥わたし、そんなことをしていたにょ?」
「まぁ、まだ呪いから推測しているだけであって、完全にそうとは言い切れない。他にも該当者はあるしね。けれども、ここに来た時点で、その女王であった可能性はある」
「その根拠は?」
「今の魔王とされる君だ。魔法屋として活動してるようだけど、その使用する魔法…‥‥主に氷系が多いよね?」
……そう言われると、確かにそうかもしれない。
火に電気、水なども扱えるが、戦闘時にはもっぱら氷の魔法を多く使用してるからなぁ…‥‥殴るとかできるしね。
「ゆえに、性質的に氷の魔力に近いのだろう。ゆえに、偶然かもしれないが彼女は君に惹かれ、ここへ来た可能性がある」
その預言者の推測に、反論する声は無かった。
場所としてはかなりズレているらしいが、数百年もすれば確かに固まっていても移動している可能性はあるし、あまり不思議ではない。
子フェンリルが拾ってきた氷塊内にいたが…‥‥もしかすると、ここへ来ようとして凍っていたのかもしれないのだ。
「でだ、ここまで話をしておいてなんだが‥‥‥‥解呪は、お勧めしないね」
そう言い、預言者はロールの方へ顔を向けた。
「今は幼子、されどもその本質は雪の女王。生憎腐ったところが無くて、捕食対象ではなかったが‥‥‥その冷徹さは見る者を凍らせ、逆らう物は砕いたという。記憶を戻して‥‥‥今の君が消える可能性もあるんだよ」
長期間の肉体停止に加え、現在のロールは精神的にも幼子の状態。
それはかつての女王としての人格とも異なり、このまま解呪したら…‥‥今のロールが消える可能性もあるそうだ。
「まぁ、それはあくまでも推定の話。この手の場合は、元の女王としての人格になるか、2重人格となるか、もしくは統合されるか、それとも暴走するかの3つがある。可能性としては100%中それぞれ90%、5%、1%、4%ってところかな」
……呪いも呪いだが、解呪にリスクもあるようだ。
今のロールが消えてその女王になる可能性もあれば、まったくの別物ともなる。
早めに解呪できていれば、避けられたかもしれないが…‥‥流石に数百年の歳月は重すぎた。
「さぁ、どうする?」
その預言者の問いかけに対して、僕らは顔を見合わせ、どうするべきか迷うのであった‥‥‥
「‥‥‥ねぇ、ワゼ。確かにさ、解呪できるかもしれない相手な事は相手だよね」
「ハイ」
「だけどね…‥‥流石に、あれは無いような」
「‥‥‥黙認いたしマス」
僕の言葉に、思いっきり目をそらして答えるワゼ。
今回、ロールの呪いとやらを解呪するために、彼女が呼んだのは…‥‥
「ふむふむ……この程度なら可能だね」
「なんで預言者を呼んでいるんだよ‥‥‥‥」
神聖国のトップ、預言者と呼ばれる人物、ファイスであった。
色々とツッコミを入れたいが、残念ながらツッコミ役が不足している。
ゆえに、入れるのであれば僕一人でしかできない。
まず、本日の義体とやらは、以前にもあった中性的な見た目のものであり、これはまだ良いだろう。
だがしかし、不自然過ぎるようなアホ毛と呼べそうなものが堂々と主張して生えているのはどうなのだろうか?
「ああ、これは今回の件をそのメイドから聞いていたからね。より詳細に呪いを分析しやすくするために、呪いに感知してすぐにどのような解呪法があるのか調べる義体の一部かな。ほら、『3』の数字の形になっているだろう?つまり、3つの呪いが確定しているんだ」
「そんな測定方法で良いのだろうか」
見た目的にそのままじゃんと色々言いたいが、ツッコミをこれ以上入れても切りが無さそうである。
「とにもかくにも、今代の魔王‥‥んー、だいぶ確定した状態になっている相手との関係はきちんと築いたほうが良いから、今回は無償で良いよ」
「さらっと流されたけど、だいぶ確定しているのか…‥‥」
以前、魔王と言われた際にも「まだ」と付く程度だったのに、「だいぶ確定」と、ほぼ決定してきている状態になっているのか‥‥‥‥まぁ、ここ最近やらかしてはいるから、何も言えない。
【あれ?そう言えばもう一人、この間いた人がいませんね?】
「ああ、彼ならちょっと別件である場所に出向いてもらっているんだ。一応、実力的に五体満足で返ってくるはずだよ、多分」
‥‥‥‥なんか苦労人臭が、その人から出ていそうだな。「多分」とか不安になるようなことも言うし、案外その人物はポチと馬が合うかもしれない。
とりあえず、気を取り直し解呪作業に移ってもらうことにした。
「さてと、この子がその呪いの子なんだろうけれども…‥‥ん?」
ロールの姿を見て、預言者ことファイスが、何やら怪訝な声を出した。
「どうした?」
「どうしたにょ?」
「んー……えっと、ロールちゃんだっけ?…‥‥なーんかどこかで見たことがあるような」
うむむむ?と声を出し、首をかしげて考え込むファイス。
何だろう、預言者の見覚えのあるものと言われると、嫌な予感しかしない気がする。
「まぁ、良いか。えっと、とりあえずその呪いを見せてもらうから、ちょっと額に手を当てるね」
そう言い、ロールの額にファイスは手を当てた。
目をつぶり、何かをぶつぶつと唱え始める。
頭の呪いの感知するものとやらも、グネグネと動き始め、ちょっと気味悪い。
数分ほどそうしていたところで、目を開けて手を離した。
「…‥‥うん、ちょっとこれは面倒だね。特に、3つ目の呪いが」
「というと?」
「色々とあるから、順を追って説明するならば…‥‥まずね、知らされてきた呪いの内容の『幼少弱体化』、『記憶封印』なんだけど‥‥‥ちょっと違うね」
「…‥‥まぁ、私でも専門外ですので、そのあたりの正確性は自信ありまセン」
預言者の言葉に対して、ワゼがそうつぶやいた。
「まず、『幼少弱体化』は『幼体弱体化』だ。幼少と違うとすれば、あちらは簡易的な若返りの呪い……いや、一部の女性とかには呪いと言えるのどうかは実はまだわかっていなかったりするけど、この幼体弱体化は人以外の種族、一般的に幼体と呼ばれる時期がある種族にしかかからないものだ」
「なるほど…‥‥似てはいるけど、違うものか」
「そういうこと」
簡単に例えるのであれば、ミツバチとスズメバチのような、同じ蜂というくくりでも、種族が違うのと同じような物らしい。…‥‥いや、別物にしか見えないような。
「で、次に『記憶封印』だけど‥‥‥‥これがこれでちょっとね」
「何か問題が?」
「一般的な部分は大丈夫だとして、これ結構重要そうな部分へ刻まれた呪いだ。…‥‥ある意味、捕食価値のある呪いだけどね」
「ひっ!!」
にゃぁっと笑う預言者の顔を至近距離で見て、恐怖を覚えたのかロールがばっと後ろへ下がる。
「怖い怖い!!あの人怖いにょ!!」
「ああ、ごめんごめん、つい食欲が‥‥‥」
……そう言えば、前に話していたな。
預言者って一応、人の魂を理由あって喰らうらしいが…‥‥呪いもその捕食対象に入るのだろうか?
「何にしても、この2つの呪いに関して言えば、結構楽に解ける。多分、解呪法があれば魔王の君でも簡単に解けるよ」
「そういうものなのか?」
「そういうものだよ。乱暴だけど初歩的な解呪方法は魔力を込めた良いストレートをみぞおちに与えるというのがあるからね」
それ、解呪法?解呪(物理)って、結構物騒なんだけど。
「まぁ、それは別にどうでもいい話だけど…‥‥問題なのは、この3つ目の呪いだ」
話を切り替えると同時に、預言者の顔が神妙なものになる。
「この2つは、誰でもと言うのは語弊があるかもしれないが、わりとかけやすい類。けれども‥‥‥この3つ目だけは、非常に面倒だ。解けないとか言う話ではなく‥‥‥かけた相手がね」
「呪いをかけた相手が、わかるのか?」
「ああ、間違いなくね。そしてその分、厄介さも十分に」
預言者でも厄介な相手とは?
「その相手は…‥‥おそらく、魔王、正確に言えば君の前の魔王、数百年前に現れたやつのだ」
「…‥‥前の魔王?」
「ああ、そういうことになるね」
ロールにかけられていた呪い、そのかけた相手はまさかの魔王。
そうだとすれば、厄介だと言われるとなんとなく理解できるが…‥‥
「待てよ?ロールは数日ほど前に出て来たばかりだろ?前の魔王なんて数百年前と言うし、ちょっと合わないような‥‥‥」
「その原因が、第3の呪い。一時的に肉体を停止させ、切れる時まで封印される……まぁ、呪いというよりも封印の一種、『時限停止』。しかも今もなお作用していて、他の呪いに影響を与えているんだ。そこからさらに、彼女の正体に関して思い当たる人物がいる」
預言者のその言葉に、僕らは驚愕した。
「ロールの正体も、わかったのか?」
「ああ。数百年前の魔王がいた時代に行方不明になったとされる者。北方の北の大地に氷の世界を作り、君臨していた雪の女王、リザ。…‥‥冷酷で有りながらも、自身の民を虐げる者には容赦せず、他国からの干渉を受け付けなかったとされる雪の女王。けれども、当時の魔王はその女王に目を付けた」
「…‥‥つけた理由は?」
「その身に引くとされる氷竜の血。古今東西、厄介な代物でもある」
……竜、ドラゴン、龍、空行くウミヘビなど、様々な言われようがあるモンスター。
彼らが多種多様だが、その身に引く血には様々な効能があるとされ、権力者などに求められやすい。
「そして、氷竜の血の場合、氷の魔力を高める…‥‥いわば魔力増強剤の中でも、トップクラスの代物。それを、当時の魔王は欲しがった」
数百年前にいたその魔王は、破壊などを行う悪の魔王。
その手段に、氷結などを加えたかったなどの目的が予想され、ろくでもないというのは良く分かる。
「だがしかし、女王は盛大に断ったそうだ。そこで、魔王が侵攻し…‥‥結果として、女王は行方不明になり、魔王の方は氷の力を手に入れられなかったと聞く」
その応戦の最中に、おそらくは呪いが放たれ、その相手がロールだったのだろうか?
「‥‥‥わたし、そんなことをしていたにょ?」
「まぁ、まだ呪いから推測しているだけであって、完全にそうとは言い切れない。他にも該当者はあるしね。けれども、ここに来た時点で、その女王であった可能性はある」
「その根拠は?」
「今の魔王とされる君だ。魔法屋として活動してるようだけど、その使用する魔法…‥‥主に氷系が多いよね?」
……そう言われると、確かにそうかもしれない。
火に電気、水なども扱えるが、戦闘時にはもっぱら氷の魔法を多く使用してるからなぁ…‥‥殴るとかできるしね。
「ゆえに、性質的に氷の魔力に近いのだろう。ゆえに、偶然かもしれないが彼女は君に惹かれ、ここへ来た可能性がある」
その預言者の推測に、反論する声は無かった。
場所としてはかなりズレているらしいが、数百年もすれば確かに固まっていても移動している可能性はあるし、あまり不思議ではない。
子フェンリルが拾ってきた氷塊内にいたが…‥‥もしかすると、ここへ来ようとして凍っていたのかもしれないのだ。
「でだ、ここまで話をしておいてなんだが‥‥‥‥解呪は、お勧めしないね」
そう言い、預言者はロールの方へ顔を向けた。
「今は幼子、されどもその本質は雪の女王。生憎腐ったところが無くて、捕食対象ではなかったが‥‥‥その冷徹さは見る者を凍らせ、逆らう物は砕いたという。記憶を戻して‥‥‥今の君が消える可能性もあるんだよ」
長期間の肉体停止に加え、現在のロールは精神的にも幼子の状態。
それはかつての女王としての人格とも異なり、このまま解呪したら…‥‥今のロールが消える可能性もあるそうだ。
「まぁ、それはあくまでも推定の話。この手の場合は、元の女王としての人格になるか、2重人格となるか、もしくは統合されるか、それとも暴走するかの3つがある。可能性としては100%中それぞれ90%、5%、1%、4%ってところかな」
……呪いも呪いだが、解呪にリスクもあるようだ。
今のロールが消えてその女王になる可能性もあれば、まったくの別物ともなる。
早めに解呪できていれば、避けられたかもしれないが…‥‥流石に数百年の歳月は重すぎた。
「さぁ、どうする?」
その預言者の問いかけに対して、僕らは顔を見合わせ、どうするべきか迷うのであった‥‥‥
1
お気に入りに追加
2,037
あなたにおすすめの小説
転生勇者の異世界見聞録
yahimoti
ファンタジー
ゲームのメインストーリーが終わったエンドロール後の異世界に転生したのは定年後の会社員。体は子供だけど勇者としての転生特典のチートがある。まあ、わしなりにこの剣と魔法の異世界を楽しむのじゃ。1000年前の勇者がパーティメンバーを全員嫁さんにしていた?何をしとるんじゃ勇者は。わしゃ知らんぞ。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる