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寒さ到来面倒事も到来するな
#175 待つのデス
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SIDEシアン
……病原が、極小サイズのモンスターであることが分かり、治療方法も判明した。
だがしかし、治療のための薬草が育つまではできないので…‥‥
「はい、ハクロ、あーん」
【あーん】
ひとまずは、症状の緩和をさせる目的で、動きまくらないように体から力を抜かせる脱力薬というものと、熱を出している時に体温を下げる効果のある薬草などを混ぜ込んだ、ワゼ特製のおかゆを食べさせることになった。
【はむっ…‥‥っ、苦いですよ!!】
食べてすぐに、口から出そうになったのを抑えつつ、ハクロがそう叫ぶ。
「良薬は口に苦しっていうからね。ちょっと苦いけど、我慢してよハクロ」
【ですがこれ、本当に一瞬うっと来るほど苦いですよ。見た目はおいしそうなのに、何ですかこのギャップは】
「まぁまぁ、効果がありそうだという事で物体Xも混ぜられかけていたんだし、それが無いからいいよね?」
【‥‥‥確かに】
このボラーン王国の第1王女が創り出す、物体X。
どのようなルートで確保したのかはわからないが、その物体Xもどうやらこの症状に効果がありそうだという実験結果が出たらしい。
とは言え、あの物体Xの味は原液だと筆舌しがたいほどのものであり、軽く加工しても激辛になるなど、少々扱いが難しいのだ。
もし、それがこの薬品のおかゆに混入されたとしたら‥‥‥‥苦いですむはずもなく、もしかするとそのまま逝っていた可能性もあった。
ゆえに、混入を断念させたが…‥‥その事を理解したのか、ハクロはおとなしくなった。
【辛いですけど、あれを飲まされるよりはましですよ…‥】
「そういうことだよ」
何にしても、今回のウイルス型モンスターというべき奴らのせいで引き起こされている病には、このおかゆは効果があったようだ。
少々落ち着き、心なしかハクロの赤みも減った。
とは言え、完治はしておらず、精々病の進行・悪化を遅らせただけだ。
根本的な治療には、やはり特定の薬草が必要不可欠なのだが、まだ成長し切っていないからなぁ…‥‥
「ドーラが元気だったら、そのあたりもなんとかなったんだろうけれども‥‥‥」
【シャゲェ…‥‥】
頭に氷嚢を乗せられ、動きまくらないように縛られているドーラは、申し訳なさそうな声を出した。
……この病、その種族の中で弱すぎる・強すぎるものはかからないようだけど、ドーラの場合はどうなのだろうか?
子フェンリルたちの相手もできているし、相当強いとは思うけれども‥‥‥‥まだまだなのかな?
何にしても、この状態では何もできないようなので、無理に動かせない。
ポチを除くフェンリル一家も病に伏せており、この病のせいで、ポチがそのフェンリルという種族の中で最弱認定されかけているけどね。いや、もう分っていることか‥‥‥‥。
皆に薬おかゆを配り終え、薬草栽培に着手しているワゼたちの元へ僕は向かった。
「ワゼ、まだ薬はできないのかな?」
「無理ですね…‥‥少なくとも、無菌生育にはあと3,4日はかかりマス」
感染しないように、植物そのものを無菌状態で育てているようだが、まだ時間はかかるようだ。
「ですがご主人様、少々今回の病について、不可解な点がありまシタ」
「というと?」
もともとこの病は、シックルライヤーとかいうウイルスのようなモンスターが原因らしい。
だが、そのモンスターの流行は数百~数千年おきぐらいなので、特におかしくもなさそうな気がするのだが‥‥‥
「何とか数億体以上に培養し、視認できる状態で分析を行ったところ、人為的な操作が見られまシタ」
「‥‥‥人為的な操作?」
「ええ、きわめて単純な操作ですが、このモンスターを短期間のうちに増やし、散布するのには向いているような調整デス」
いわく、シックルライヤーそのものは増殖することはするそうなのだが、感染した人が多く、短期間でここまでなるのはおかしいと思えたので、少々分析したらしい。
すると、どうやらシックルライヤーそのものに、人為的に変化させられたとしか思えない部分が幾つも見つかったそうなのだ。
「モンスターは進化いたしますし、このような変化もある程度まではその一言で片付きマス。ですが、片付かないような部分などいろいろありますし…‥‥別の問題にも関係している可能性も浮上しまシタ」
「別の問題というと…‥‥まさか、急激な冷え込みか?」
「ええ、そうデス。暖房系魔道具などでも防げない、朝の急激な冷え込み。自然現象にしてはおかしかったのですが、どうもその原因にも関わってまシタ」
操作されているシックルライヤーの中身を調べて見ると、どうやら増殖時に必要とするらしい部分に手が加えられており、周辺の気温を奪うという特性が追加されていたそうだ。
感染した際に高熱を発するのは、増殖に必要不可欠というのもあるらしいが、その特性も追加されているがゆえに、より一層周辺の気温も奪うように細工されていたという事のようだ。
「となると、バイオテロのようなものか‥‥‥‥」
現状、急にゾンビが出るとか某ハザードのようなことにはなっていないものの、人為的なものだとすればその可能性が非常に高い。
「ついでに言うなれば、この操作にはある程度の設備も必要デス。つまり……」
「何処か資金提供しているものたちもいて、その実験のためにばらまかれたという可能性が大きいのか」
「その通りかと考えられマス」
……どこの誰かの欲望が原因でなったのかはまだわからないが…‥‥このような迷惑極まりない馬鹿野郎を思いっきりぶん殴りたくなった。
「ワゼ、治療薬の開発は継続しつつ、その馬鹿を捜せ。ばらまかれた無差別的なものとは言え、被害はあるし…‥‥ハクロにも手を出されたようなものだからね。…‥‥直々に手を下したい」
「了解デス。その命令は予想しており、現在調査中デス。もう間もなく確認できると思いマス」
無差別バイオテロのようなもので、どこの誰がやったのか。
そんなことはどうでもいい。ただ、僕の大事な家族に手を出したような真似でもあるので…‥‥本気で潰さないとね。
……預言者とか、デュラハンとかに魔王と言われたし、本格的な魔王のように、圧倒的な力で潰してやらないとね。
……病原が、極小サイズのモンスターであることが分かり、治療方法も判明した。
だがしかし、治療のための薬草が育つまではできないので…‥‥
「はい、ハクロ、あーん」
【あーん】
ひとまずは、症状の緩和をさせる目的で、動きまくらないように体から力を抜かせる脱力薬というものと、熱を出している時に体温を下げる効果のある薬草などを混ぜ込んだ、ワゼ特製のおかゆを食べさせることになった。
【はむっ…‥‥っ、苦いですよ!!】
食べてすぐに、口から出そうになったのを抑えつつ、ハクロがそう叫ぶ。
「良薬は口に苦しっていうからね。ちょっと苦いけど、我慢してよハクロ」
【ですがこれ、本当に一瞬うっと来るほど苦いですよ。見た目はおいしそうなのに、何ですかこのギャップは】
「まぁまぁ、効果がありそうだという事で物体Xも混ぜられかけていたんだし、それが無いからいいよね?」
【‥‥‥確かに】
このボラーン王国の第1王女が創り出す、物体X。
どのようなルートで確保したのかはわからないが、その物体Xもどうやらこの症状に効果がありそうだという実験結果が出たらしい。
とは言え、あの物体Xの味は原液だと筆舌しがたいほどのものであり、軽く加工しても激辛になるなど、少々扱いが難しいのだ。
もし、それがこの薬品のおかゆに混入されたとしたら‥‥‥‥苦いですむはずもなく、もしかするとそのまま逝っていた可能性もあった。
ゆえに、混入を断念させたが…‥‥その事を理解したのか、ハクロはおとなしくなった。
【辛いですけど、あれを飲まされるよりはましですよ…‥】
「そういうことだよ」
何にしても、今回のウイルス型モンスターというべき奴らのせいで引き起こされている病には、このおかゆは効果があったようだ。
少々落ち着き、心なしかハクロの赤みも減った。
とは言え、完治はしておらず、精々病の進行・悪化を遅らせただけだ。
根本的な治療には、やはり特定の薬草が必要不可欠なのだが、まだ成長し切っていないからなぁ…‥‥
「ドーラが元気だったら、そのあたりもなんとかなったんだろうけれども‥‥‥」
【シャゲェ…‥‥】
頭に氷嚢を乗せられ、動きまくらないように縛られているドーラは、申し訳なさそうな声を出した。
……この病、その種族の中で弱すぎる・強すぎるものはかからないようだけど、ドーラの場合はどうなのだろうか?
子フェンリルたちの相手もできているし、相当強いとは思うけれども‥‥‥‥まだまだなのかな?
何にしても、この状態では何もできないようなので、無理に動かせない。
ポチを除くフェンリル一家も病に伏せており、この病のせいで、ポチがそのフェンリルという種族の中で最弱認定されかけているけどね。いや、もう分っていることか‥‥‥‥。
皆に薬おかゆを配り終え、薬草栽培に着手しているワゼたちの元へ僕は向かった。
「ワゼ、まだ薬はできないのかな?」
「無理ですね…‥‥少なくとも、無菌生育にはあと3,4日はかかりマス」
感染しないように、植物そのものを無菌状態で育てているようだが、まだ時間はかかるようだ。
「ですがご主人様、少々今回の病について、不可解な点がありまシタ」
「というと?」
もともとこの病は、シックルライヤーとかいうウイルスのようなモンスターが原因らしい。
だが、そのモンスターの流行は数百~数千年おきぐらいなので、特におかしくもなさそうな気がするのだが‥‥‥
「何とか数億体以上に培養し、視認できる状態で分析を行ったところ、人為的な操作が見られまシタ」
「‥‥‥人為的な操作?」
「ええ、きわめて単純な操作ですが、このモンスターを短期間のうちに増やし、散布するのには向いているような調整デス」
いわく、シックルライヤーそのものは増殖することはするそうなのだが、感染した人が多く、短期間でここまでなるのはおかしいと思えたので、少々分析したらしい。
すると、どうやらシックルライヤーそのものに、人為的に変化させられたとしか思えない部分が幾つも見つかったそうなのだ。
「モンスターは進化いたしますし、このような変化もある程度まではその一言で片付きマス。ですが、片付かないような部分などいろいろありますし…‥‥別の問題にも関係している可能性も浮上しまシタ」
「別の問題というと…‥‥まさか、急激な冷え込みか?」
「ええ、そうデス。暖房系魔道具などでも防げない、朝の急激な冷え込み。自然現象にしてはおかしかったのですが、どうもその原因にも関わってまシタ」
操作されているシックルライヤーの中身を調べて見ると、どうやら増殖時に必要とするらしい部分に手が加えられており、周辺の気温を奪うという特性が追加されていたそうだ。
感染した際に高熱を発するのは、増殖に必要不可欠というのもあるらしいが、その特性も追加されているがゆえに、より一層周辺の気温も奪うように細工されていたという事のようだ。
「となると、バイオテロのようなものか‥‥‥‥」
現状、急にゾンビが出るとか某ハザードのようなことにはなっていないものの、人為的なものだとすればその可能性が非常に高い。
「ついでに言うなれば、この操作にはある程度の設備も必要デス。つまり……」
「何処か資金提供しているものたちもいて、その実験のためにばらまかれたという可能性が大きいのか」
「その通りかと考えられマス」
……どこの誰かの欲望が原因でなったのかはまだわからないが…‥‥このような迷惑極まりない馬鹿野郎を思いっきりぶん殴りたくなった。
「ワゼ、治療薬の開発は継続しつつ、その馬鹿を捜せ。ばらまかれた無差別的なものとは言え、被害はあるし…‥‥ハクロにも手を出されたようなものだからね。…‥‥直々に手を下したい」
「了解デス。その命令は予想しており、現在調査中デス。もう間もなく確認できると思いマス」
無差別バイオテロのようなもので、どこの誰がやったのか。
そんなことはどうでもいい。ただ、僕の大事な家族に手を出したような真似でもあるので…‥‥本気で潰さないとね。
……預言者とか、デュラハンとかに魔王と言われたし、本格的な魔王のように、圧倒的な力で潰してやらないとね。
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