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一難去ってもなぜこうも来るのか
#168 真っ直ぐなのデス
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SIDEシアン
……翌朝、僕らは首都内の観光もある程度終わらせていたので、ハクロの姉であるルルの元へ、別れの挨拶をするために向かっていた。
「せっかく会えたんだし、騎士王国に入るのなら観光で向かえるけど、しっかりと挨拶をしておきたいよね」
【ええ、次に会えるのはいつになるのか、分かりませんからね】
一応、手土産として、首都内の売店で少々聞き込みをして、騎士には好評だというお酒などを持ってきている。
何処に宿泊しているのかについては、既に情報をつかんでいるので、迷う事は無かった。
「えっと、騎士たちの宿泊施設は‥‥‥あれか」
「ええ、間違いないようデス」
親善試合も終わったので、帰り支度用の馬車があるようだが、まだ準備は済んでいないようだ。
あらかじめ僕らが向かう事は、ワゼがミニワゼシスター経由で連絡しており、直ぐに彼女がいる部屋へ通された。
【姉さん、来ましたよー!】
【おお、来たか】
部屋に入ってハクロが声をかけると、リラックスしていたのか、騎士鎧を脱いで私服になっているルルがいた。
……すごい今更だけど、今まで騎士鎧の彼女しか見ていなかったが‥‥‥意外に大きい。
いやまぁ、どこがとは言わないけど、ワゼがぼそりと「そこも姉妹デスカ……」と、恐怖を感じるような声を出したような気がする。
っと、よく見ればもう一人、その場にいた。
【あれ?その人って確か…‥‥】
【ん?ああ、うちは副団長のララや】
そこにいたのは、昨日フィーア合体フォルムの翡翠と対戦した、デュラハン。
ハクロが聞いた話によれば、数百年前の魔王と一線を交えた人らしい。
【っと、団長さんや。この子が言っていた妹かいな】
【ああ、そうだ。白チビのな】
【もう、姉さん。私はもうチビでもありませんし、名前で呼んでほしいですよ】
【ははは、ちょっとばかりふざけただけだ】
ぷくぅっと頬を膨らませて抗議したハクロに対して、ルルは軽く笑う。
姉妹仲はいいけど、その呼び方とかは変えにくいんだろうなぁ…‥‥そう言えば、前世で僕って兄がいたけど、あれに特に呼ばれるようなことは無かったな。
まぁ、もう過ぎたことだし、預言者いわく食べちゃったらしいから関係ない話か。
とにもかくにも、部屋に上がらせてもらい、僕らはそこにあった机を囲むようにして着席した。
……いやまぁ、正確に言えば僕とワゼとデュラハンの人だけであるが。体の構造がまず違うからね。
【それはそうとしてだ白チビ、こほん、ハクロ。今日でここを去って帰るという連絡なら貰ったぞ】
【ええ、試合も終わりましたし、観光もしたので帰るのですよ】
茶を出され、飲みながらハクロはそう答える。
【また会えるまで結構かかりそうだが…‥‥別れのあいさつに来たようだが、その前にちょっとこっちも用があるから都合が良かった】
【と言いますと?】
ハクロが首をかしげると、ルルは僕の方へ顔を向けた。
【ハクロのつがいなのが、お前だったよな】
「ええ、はい」
初対面で軽く話した時に、確認したと思うが…‥‥なんとなく、雰囲気が張り詰めたような気がした。
【それでだな、大事な妹のつがいというのであれば一つ聞きたいことができてな…‥‥】
「聞きたいことですか?」
【ああ。私は話を分かりにくくするのも苦手だから、単刀直入に問う。‥‥‥ララが感じていたらしいが、お前がもしかして、今代の魔王というやつか?】
「‥‥‥っ!」
その言葉に、僕は茶を吹き出しそうになるのをこらえつつ、今言っていたララというデュラハンの方へ顔を向けて見れば、何やら真偽を問うような目をしていた。
……いきなりの爆弾発言に、その場は少々固まるのであった。
……翌朝、僕らは首都内の観光もある程度終わらせていたので、ハクロの姉であるルルの元へ、別れの挨拶をするために向かっていた。
「せっかく会えたんだし、騎士王国に入るのなら観光で向かえるけど、しっかりと挨拶をしておきたいよね」
【ええ、次に会えるのはいつになるのか、分かりませんからね】
一応、手土産として、首都内の売店で少々聞き込みをして、騎士には好評だというお酒などを持ってきている。
何処に宿泊しているのかについては、既に情報をつかんでいるので、迷う事は無かった。
「えっと、騎士たちの宿泊施設は‥‥‥あれか」
「ええ、間違いないようデス」
親善試合も終わったので、帰り支度用の馬車があるようだが、まだ準備は済んでいないようだ。
あらかじめ僕らが向かう事は、ワゼがミニワゼシスター経由で連絡しており、直ぐに彼女がいる部屋へ通された。
【姉さん、来ましたよー!】
【おお、来たか】
部屋に入ってハクロが声をかけると、リラックスしていたのか、騎士鎧を脱いで私服になっているルルがいた。
……すごい今更だけど、今まで騎士鎧の彼女しか見ていなかったが‥‥‥意外に大きい。
いやまぁ、どこがとは言わないけど、ワゼがぼそりと「そこも姉妹デスカ……」と、恐怖を感じるような声を出したような気がする。
っと、よく見ればもう一人、その場にいた。
【あれ?その人って確か…‥‥】
【ん?ああ、うちは副団長のララや】
そこにいたのは、昨日フィーア合体フォルムの翡翠と対戦した、デュラハン。
ハクロが聞いた話によれば、数百年前の魔王と一線を交えた人らしい。
【っと、団長さんや。この子が言っていた妹かいな】
【ああ、そうだ。白チビのな】
【もう、姉さん。私はもうチビでもありませんし、名前で呼んでほしいですよ】
【ははは、ちょっとばかりふざけただけだ】
ぷくぅっと頬を膨らませて抗議したハクロに対して、ルルは軽く笑う。
姉妹仲はいいけど、その呼び方とかは変えにくいんだろうなぁ…‥‥そう言えば、前世で僕って兄がいたけど、あれに特に呼ばれるようなことは無かったな。
まぁ、もう過ぎたことだし、預言者いわく食べちゃったらしいから関係ない話か。
とにもかくにも、部屋に上がらせてもらい、僕らはそこにあった机を囲むようにして着席した。
……いやまぁ、正確に言えば僕とワゼとデュラハンの人だけであるが。体の構造がまず違うからね。
【それはそうとしてだ白チビ、こほん、ハクロ。今日でここを去って帰るという連絡なら貰ったぞ】
【ええ、試合も終わりましたし、観光もしたので帰るのですよ】
茶を出され、飲みながらハクロはそう答える。
【また会えるまで結構かかりそうだが…‥‥別れのあいさつに来たようだが、その前にちょっとこっちも用があるから都合が良かった】
【と言いますと?】
ハクロが首をかしげると、ルルは僕の方へ顔を向けた。
【ハクロのつがいなのが、お前だったよな】
「ええ、はい」
初対面で軽く話した時に、確認したと思うが…‥‥なんとなく、雰囲気が張り詰めたような気がした。
【それでだな、大事な妹のつがいというのであれば一つ聞きたいことができてな…‥‥】
「聞きたいことですか?」
【ああ。私は話を分かりにくくするのも苦手だから、単刀直入に問う。‥‥‥ララが感じていたらしいが、お前がもしかして、今代の魔王というやつか?】
「‥‥‥っ!」
その言葉に、僕は茶を吹き出しそうになるのをこらえつつ、今言っていたララというデュラハンの方へ顔を向けて見れば、何やら真偽を問うような目をしていた。
……いきなりの爆弾発言に、その場は少々固まるのであった。
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