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何をやらかしてくれるのでしょうか
#122 奇跡って信じるのかなデス
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SIDEシアン
【…‥‥ほぅ?あたしとあの夫とのなれそめ話を聞いてみたいと?】
「ええ、できれば今後の参考にと」
翌日、僕らはフェンリル一家の巣へ訪れ、ロイヤルさんに問いかけてきた。
昨日話していた、ある意味世界最大の謎でもあるこのフェンリル一家の成立。
一体どのように成り立ったのか興味を持ったので、聞きに来たのだ。
なお、この一家の長であるはずのポチは現在、この場にはいなかった。
何でもかんでも、ヴァルハラさんが深夜遅くに何やら用事で訪れてきたらしく、引きずって連れ去ったそうなのだが‥‥‥まぁ、それは神獣間で何かあったのかもしれないと思うだけで、僕らが関わるような内容ではないと判断した。
とにもかくにも話を戻し、僕らはロイヤルさんへ問いかける。
「あのポチと、ロイヤルさんってどうやって夫婦になったのか、非常に興味があるんです」
【一体何をどうやったのか、参考にもしたいのですよ】
【ふむ……まぁ、良いだろう。話して損するわけでもないし、恥ずかしい事もありもしないからね】
快く、僕らの問いかけに対して、ロイヤルさんは語り始めてくれた…‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEロイヤル
……あれは、今から精々100年程度……いや、人にとってはかなりの昔だろうけれども、神獣の寿命からすればほんの少し昔の時だった。
あたしは当時、神獣フェンリルの一族の中では小柄な方で、同族からはお姫様のようだと言われていた。
けれども、そんなものは趣味じゃない。
堂々と神獣らしく威厳ある姿になりたく、そのためにどうすればいいのか悩み……その宛のない回答を捜すために、自分探しの旅を決意したのだ。
当然、祖父や祖母たちはその案に対して反対するかと思っていたが、案外あっさりと許してくれた。
自発的に動くことを好まれ、旅の土産話なども楽しみにしていたようで、拍子抜けはしたものの支障はなく、無事にあたしは旅に出る事が出来たのだ。
海を泳ぎ、草原を駆け抜け、山を貫いて突き進み、各地を放浪した。
時折他の神獣たちに出くわし、都合さえ合えば手合わせをしてもらい、自分の実力を磨き上げたんだ。
北の氷龍、毒のリヴァイアサン、天空の城…‥‥様々な相手はどれも強く、歯が立たずに完膚なきまでに叩きのめされたこともあったが、どれも良い経験だったよ。
そんな旅路の中で、ある時一頭の同族の雄にあたしは出会った。
それは体は大きいのだけれども、実力が非常に見合わないというか、いや、人間からすれば脅威かもしれないが、それでもあたしたち神獣にとっては屁でも無いような弱者だった。
それが、今の夫だったんだ…‥‥。
まぁ、出くわした当初に、何となく気に入らない弱々しさについムカついて、適当にそのへんに穴を掘って、大木をへし折り、ごりごりとすりおろしたけれどね。
でも、それでも生きていた。
と言うか、何故か生命力だけは以上にしぶとく、煮ても焼いても砕いても、根性で生きていた。
ああ、こんな能力があるならば、鍛えれば相当強くなるんじゃないかな?と、あたしは思った。
当時は神獣たちに戦闘を挑んでいたことが多かったが、たまにはその逆側に立ってみたいような願望もあったし、鍛え上げれば面白い事になるんじゃないかなと、逆育成計画を立てたのさ。
しぶとい生命力に、強力な戦闘力があれば非常にいい勝負になるかもしれない。
そう考え、一旦帰還して、それを祖父と一緒に鍛え上げ始めたけれども…‥‥何というか、色々と期待外れだった。
鍛えても鍛えても、全く身につかず、辛うじて神獣と呼ぶにふさわしい最底辺の実力は付いたが‥‥‥それ以上は伸びなかったね。
ああ、あたし基準だから感じにくい?いや、他の同族たちも一緒にいたし、他の者たちからの観点もあったが‥‥‥満場一致で、物凄く微妙という評価にしかならなかった。
あたし自身、こいつ伸びしろがあるんじゃないかな…‥‥と最初は思っていたが、この現実に苦笑いしか浮かばなかったね。
でも、それでも割と一生懸命、鍛えてはいた。
途中で図に乗り始めたらしばき倒し、サボろうとしたら引きずりまわし、他のメスにナンパし始めたらサバ折りにし、逃走を試み始めたら溶岩風呂に投下し‥‥‥‥それでもまぁ、ダメだったね。
むしろコイツ、あたしがいないとだめなんじゃないかと思い始めた。
そんなわけで、色々と過ごしているうちに、根性で矯正が効いたのかある程度はマシになっていた。
苦労が報われたというか、何というか…‥‥その嬉しさのあまりね、ちょとばかり羽目を外したら・・・・・
――――――――――――――
SIDEシアン
【‥‥‥いつの間にか、子どもを宿していた】
「‥‥‥」
【‥‥‥】
「‥‥‥ええと、それはつまり、アレでしょうカ」
・・・その言葉に、僕らは口に出しにくかったが、ワゼが問いかけた。
【ああ、何というかその…‥‥その場のノリと勢いと何とやらでね。でもまぁ、悪い夫でもないことは理解しているし、子どもが出来たのであればしょうがない。ならば、いっその事くっ付いてやろうと思い、今の夫婦関係になったんだよ。当然ながら、こんな軽くやらかしたことに関しては、祖父は激怒して‥‥‥まぁ、思い出したくないねぇ】
苦笑しながら言っており、いったいどれほどの事があったのか気になるが、とりあえずヴァルハラさんが激怒したのが予想できる。
と言うか、結構軽く夫婦になったのかこのフェンリルたち…‥‥でも、それなりに成り立っているし、間違ってもなかったんだろうな。
しかし、世界最大の謎に思えるような夫婦の成り立ちが、そんな出来ちゃった結婚みたいなものでいいのだろうか…‥‥
【まぁ、色々あったが、とりあえず安全に出産と子育てが出来そうな場所を探したんだ。いくらあたしたちが神獣と言えども、身重だったり、子どもがいたりすると、狙われることがあるからね】
「ん?狙われる?」
神獣を狙うような命知らずがいるのだろうか。
【ああ、いるのさ、神獣の立場から言うのもなんだが、人間以上の能力があることぐらいは、わかるだろう?力と言うのは自己防衛には役立つが、時として厄介な類も引き寄せてしまう。何者であろうと、強い力を求めてしまう者はいるからねぇ…‥‥。そう考えると、そちらもある意味それに当てはまるのだから、気を付けたほうが良いよ】
「警戒するに、越したことはないと」
【そういう事だね。力を求める、排除する、奪う……様々な目的を持つ輩ってのは、案外いるからね。まぁ、子供たちに手を出すような奴が出れば‥‥‥その時は、人生を終わらせるよりも悲惨な結末を、見せてあげるのさ】
ぞっとするような威圧を放ち、そうつぶやくロイヤルさん。
圧倒的な威圧感と言うか、子を守る母としての矜持があるのだろう。
でも、その気持ちは分かる。
「同意かな。僕の場合は‥‥‥そうだね、家族に手を出すような奴が出た時かな」
前世のアレはどうでもいいが、今の家族であるハクロたちに手を出すような輩がいるだろう。
いや、既にいくつか実例もあるが‥‥‥
「‥‥‥本当に、許せない様な輩が出たら、その時はロイヤルさんが言ったような悲惨な結末以上に、この余の生き地獄と言うのを味合わせるかな……」
【し、シアン、ちょっと怖いですよ】
「あ、ごめん」
ちょっと想像しただけであったが、どうもほんの少しだけ殺気が出たのかもしれない。
何にしても、家族を守るという意味では、ロイヤルさんと同意見であった。
「私でしたら、ご主人様へ愚かな行いをしようとした輩は(自主規制)しますカネ」
「なんか言いようの無い恐怖が凝縮されているんだけど!?」
【ワゼさんだとシャレになりませんよ!!】
【あたしが言うのもなんだが、このメイドの方が神獣よりも恐ろしいような……】
……このメイドゴーレムが、本気で怒る事が無いようにしようと、密かに全員心の中で一致したのであった。
ロイヤルさんのなれそめ話を聞きに来たはずなのに、何故ワゼの恐怖の再確認をすることになったのだろうか…‥‥
……けれども、いくら僕らが防ごうにも、勝手に来る場合は防ぎきれないこともある。
そして、その防げない場合がもう間もなく来るとは、この時の僕らは思いもしないのであった。
「ついでにドーラだったらどうするの?」
【シャゲェ?シャシャゲッゲ】
【体内に種を植えて、全身発芽…‥‥いや、それはそれで相当グロイですよね】
「でも、まだワゼの(自主規制)よりもマシだと思えるな‥‥‥」
【これでマシだと思うのも、どうなのだろうか‥‥‥】
【…‥‥ほぅ?あたしとあの夫とのなれそめ話を聞いてみたいと?】
「ええ、できれば今後の参考にと」
翌日、僕らはフェンリル一家の巣へ訪れ、ロイヤルさんに問いかけてきた。
昨日話していた、ある意味世界最大の謎でもあるこのフェンリル一家の成立。
一体どのように成り立ったのか興味を持ったので、聞きに来たのだ。
なお、この一家の長であるはずのポチは現在、この場にはいなかった。
何でもかんでも、ヴァルハラさんが深夜遅くに何やら用事で訪れてきたらしく、引きずって連れ去ったそうなのだが‥‥‥まぁ、それは神獣間で何かあったのかもしれないと思うだけで、僕らが関わるような内容ではないと判断した。
とにもかくにも話を戻し、僕らはロイヤルさんへ問いかける。
「あのポチと、ロイヤルさんってどうやって夫婦になったのか、非常に興味があるんです」
【一体何をどうやったのか、参考にもしたいのですよ】
【ふむ……まぁ、良いだろう。話して損するわけでもないし、恥ずかしい事もありもしないからね】
快く、僕らの問いかけに対して、ロイヤルさんは語り始めてくれた…‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEロイヤル
……あれは、今から精々100年程度……いや、人にとってはかなりの昔だろうけれども、神獣の寿命からすればほんの少し昔の時だった。
あたしは当時、神獣フェンリルの一族の中では小柄な方で、同族からはお姫様のようだと言われていた。
けれども、そんなものは趣味じゃない。
堂々と神獣らしく威厳ある姿になりたく、そのためにどうすればいいのか悩み……その宛のない回答を捜すために、自分探しの旅を決意したのだ。
当然、祖父や祖母たちはその案に対して反対するかと思っていたが、案外あっさりと許してくれた。
自発的に動くことを好まれ、旅の土産話なども楽しみにしていたようで、拍子抜けはしたものの支障はなく、無事にあたしは旅に出る事が出来たのだ。
海を泳ぎ、草原を駆け抜け、山を貫いて突き進み、各地を放浪した。
時折他の神獣たちに出くわし、都合さえ合えば手合わせをしてもらい、自分の実力を磨き上げたんだ。
北の氷龍、毒のリヴァイアサン、天空の城…‥‥様々な相手はどれも強く、歯が立たずに完膚なきまでに叩きのめされたこともあったが、どれも良い経験だったよ。
そんな旅路の中で、ある時一頭の同族の雄にあたしは出会った。
それは体は大きいのだけれども、実力が非常に見合わないというか、いや、人間からすれば脅威かもしれないが、それでもあたしたち神獣にとっては屁でも無いような弱者だった。
それが、今の夫だったんだ…‥‥。
まぁ、出くわした当初に、何となく気に入らない弱々しさについムカついて、適当にそのへんに穴を掘って、大木をへし折り、ごりごりとすりおろしたけれどね。
でも、それでも生きていた。
と言うか、何故か生命力だけは以上にしぶとく、煮ても焼いても砕いても、根性で生きていた。
ああ、こんな能力があるならば、鍛えれば相当強くなるんじゃないかな?と、あたしは思った。
当時は神獣たちに戦闘を挑んでいたことが多かったが、たまにはその逆側に立ってみたいような願望もあったし、鍛え上げれば面白い事になるんじゃないかなと、逆育成計画を立てたのさ。
しぶとい生命力に、強力な戦闘力があれば非常にいい勝負になるかもしれない。
そう考え、一旦帰還して、それを祖父と一緒に鍛え上げ始めたけれども…‥‥何というか、色々と期待外れだった。
鍛えても鍛えても、全く身につかず、辛うじて神獣と呼ぶにふさわしい最底辺の実力は付いたが‥‥‥それ以上は伸びなかったね。
ああ、あたし基準だから感じにくい?いや、他の同族たちも一緒にいたし、他の者たちからの観点もあったが‥‥‥満場一致で、物凄く微妙という評価にしかならなかった。
あたし自身、こいつ伸びしろがあるんじゃないかな…‥‥と最初は思っていたが、この現実に苦笑いしか浮かばなかったね。
でも、それでも割と一生懸命、鍛えてはいた。
途中で図に乗り始めたらしばき倒し、サボろうとしたら引きずりまわし、他のメスにナンパし始めたらサバ折りにし、逃走を試み始めたら溶岩風呂に投下し‥‥‥‥それでもまぁ、ダメだったね。
むしろコイツ、あたしがいないとだめなんじゃないかと思い始めた。
そんなわけで、色々と過ごしているうちに、根性で矯正が効いたのかある程度はマシになっていた。
苦労が報われたというか、何というか…‥‥その嬉しさのあまりね、ちょとばかり羽目を外したら・・・・・
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SIDEシアン
【‥‥‥いつの間にか、子どもを宿していた】
「‥‥‥」
【‥‥‥】
「‥‥‥ええと、それはつまり、アレでしょうカ」
・・・その言葉に、僕らは口に出しにくかったが、ワゼが問いかけた。
【ああ、何というかその…‥‥その場のノリと勢いと何とやらでね。でもまぁ、悪い夫でもないことは理解しているし、子どもが出来たのであればしょうがない。ならば、いっその事くっ付いてやろうと思い、今の夫婦関係になったんだよ。当然ながら、こんな軽くやらかしたことに関しては、祖父は激怒して‥‥‥まぁ、思い出したくないねぇ】
苦笑しながら言っており、いったいどれほどの事があったのか気になるが、とりあえずヴァルハラさんが激怒したのが予想できる。
と言うか、結構軽く夫婦になったのかこのフェンリルたち…‥‥でも、それなりに成り立っているし、間違ってもなかったんだろうな。
しかし、世界最大の謎に思えるような夫婦の成り立ちが、そんな出来ちゃった結婚みたいなものでいいのだろうか…‥‥
【まぁ、色々あったが、とりあえず安全に出産と子育てが出来そうな場所を探したんだ。いくらあたしたちが神獣と言えども、身重だったり、子どもがいたりすると、狙われることがあるからね】
「ん?狙われる?」
神獣を狙うような命知らずがいるのだろうか。
【ああ、いるのさ、神獣の立場から言うのもなんだが、人間以上の能力があることぐらいは、わかるだろう?力と言うのは自己防衛には役立つが、時として厄介な類も引き寄せてしまう。何者であろうと、強い力を求めてしまう者はいるからねぇ…‥‥。そう考えると、そちらもある意味それに当てはまるのだから、気を付けたほうが良いよ】
「警戒するに、越したことはないと」
【そういう事だね。力を求める、排除する、奪う……様々な目的を持つ輩ってのは、案外いるからね。まぁ、子供たちに手を出すような奴が出れば‥‥‥その時は、人生を終わらせるよりも悲惨な結末を、見せてあげるのさ】
ぞっとするような威圧を放ち、そうつぶやくロイヤルさん。
圧倒的な威圧感と言うか、子を守る母としての矜持があるのだろう。
でも、その気持ちは分かる。
「同意かな。僕の場合は‥‥‥そうだね、家族に手を出すような奴が出た時かな」
前世のアレはどうでもいいが、今の家族であるハクロたちに手を出すような輩がいるだろう。
いや、既にいくつか実例もあるが‥‥‥
「‥‥‥本当に、許せない様な輩が出たら、その時はロイヤルさんが言ったような悲惨な結末以上に、この余の生き地獄と言うのを味合わせるかな……」
【し、シアン、ちょっと怖いですよ】
「あ、ごめん」
ちょっと想像しただけであったが、どうもほんの少しだけ殺気が出たのかもしれない。
何にしても、家族を守るという意味では、ロイヤルさんと同意見であった。
「私でしたら、ご主人様へ愚かな行いをしようとした輩は(自主規制)しますカネ」
「なんか言いようの無い恐怖が凝縮されているんだけど!?」
【ワゼさんだとシャレになりませんよ!!】
【あたしが言うのもなんだが、このメイドの方が神獣よりも恐ろしいような……】
……このメイドゴーレムが、本気で怒る事が無いようにしようと、密かに全員心の中で一致したのであった。
ロイヤルさんのなれそめ話を聞きに来たはずなのに、何故ワゼの恐怖の再確認をすることになったのだろうか…‥‥
……けれども、いくら僕らが防ごうにも、勝手に来る場合は防ぎきれないこともある。
そして、その防げない場合がもう間もなく来るとは、この時の僕らは思いもしないのであった。
「ついでにドーラだったらどうするの?」
【シャゲェ?シャシャゲッゲ】
【体内に種を植えて、全身発芽…‥‥いや、それはそれで相当グロイですよね】
「でも、まだワゼの(自主規制)よりもマシだと思えるな‥‥‥」
【これでマシだと思うのも、どうなのだろうか‥‥‥】
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