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王族とは何なのか
#110 ちょっとだけ予定外デス
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『都市オルセデス』
ボラーン王国の辺境に位置しながらも、温泉により観光客にあふれているがゆえに人の往来が多く、変転している都市。別名、温泉都市。
「如何にして温泉を楽しむのか」というテーマが常に繰り広げられ、温泉好きたちによって徹底的に追及され、年々その素晴らしさが向上しており、他国の貴族や王族までもが静養のために訪れるという。
なお、トラブルも多くなりそうだが、それらは未然に防ぐようにされており、万が一があれば直ちに処分を下すという強硬策を取る事もある。
――――――――――――――――――――――――
SIDEシアン
……と言うのが、どうやらこれから僕らが向かっている都市オルセデスについて説明らしい。
「なんというか、温泉を追求する人っているのか……」
「人や国によっては感じ方が変わりますし、永遠に終わらない議題の一つのようデス」
【温泉って、それだけの魅力があるようですね】
宿泊券と共についてきた、都市についてのパンフレットを読み返し、僕らはそう話し合った。
温泉を観光資源としているようだが、どうもかなりの種類があるらしい。
しかも、温泉だけではなくてちょっと特殊な環境にあるので、それに適応した独特の動植物もあるらしい。
温泉の熱によって開かれ、花吹雪を見せ、香りを辺り一帯に広がらせる「温泉花」。
流れ出ている温泉の川に住み着き、天日干しや空揚げに最適とされる「温泉魚」。
その他諸々、面白そうなものがあるようでかなり面白そうである。
ゆえに、いつものようにポチ馬車で僕らは現在向かっているのだが…‥‥正確には、いつもとちょっと違っていた。
「えっと、ロイヤルさん。ポチの代わりに引いてもらっているけれども、大丈夫?」
【ああ、大丈夫さ!!温泉へ向かう労力ふさわしい対価だからね!】
意気揚々と牽引しているのは、ポチではなくその妻のロイヤルさん。
いつもであればポチが牽引するはずであったが‥‥‥今回の目的地が温泉である事を知った彼女によって、出発時に代わりに現れ、自身が牽引すると言ったのである。
一応、フェンリルとは言え女性でもあり、美に関する追求もそれなりにある。
そして、温泉はその美に関して必要な要素であると理解を示し、向かうことにしたのだとか。
……とまぁ、ここまで聞けば、普通に温泉目当てと言うだけでまだいいだろう。
しかし、もう一つ別の理由があった。
「しかし、ポチがまさかダメになるとはなぁ‥‥‥」
【夫ながらも、ちょっと情けないと思うんだよね】
「ちょっとどころか、かなりだと思いマス」
【あれで神獣でもあるんですよね……】
その言葉に、皆で溜息を吐く。
そう、ポチは今回来られなくなっていた。
理由はなんと、ポチの子供たち……子フェンリルたちと父親らしく世話をして遊んでいた際に、ちょっとばかり威厳を見せようと、模擬戦をしていたらしい。
戦う方法を教えて、一人前のフェンリルとして送り出せるようにという事であったが、実は以前からある可能性が危惧されていた。
そう、その可能性が…‥‥、ポチが子供たちにフルボッコ状態になるほど、完膚なきまでに敗北するちう可能性が、今回起きてしまったのだ。
以前からミニワゼシスターズがちょっとだけ遊び相手になっていたりしたのだが、それで色々とハードな訓練のようになっていて、子フェンリルたちの実力はメキメキと向上していららしい。
そして今回、その実力が発揮され、ポチは重傷を負ってしまったのである。
【まぁ、あの夫にはいい薬だよ】
「なんというか、情けなさすぎて同情したくなるなぁ‥‥‥」
そのため今回、ポチが動けなくなったというのもあってロイヤルさんが牽引してくれることになったのであった。
「でも、馬車を引く馬・・・・・いや、フェンリルが温泉に入れたっけ?」
【ん?ああ、その事なら大丈夫さ。その都市の温泉が、何も内部だけにあるわけじゃないからね。神獣間である秘湯があるから、そっちに浸かりに行くんだよ】
さらっと何か重要そうな情報が出たような気がしたが…‥‥まぁ、聞かなかったことにしよう。
神獣が浸かる秘湯って、ある意味とんでもないスポットだとも思えるが、面倒ごとの種にしか思えない。
何にしても、僕らは温泉へ向けてすすむのであった‥‥‥‥
――――――――――
SIDEポチ
【うぐぐぐ‥‥‥】
その頃ポチは、森の中にある巣にて横になっていた。
重症とは言え、一応治療を受け、ある程度は動けるとはいえ、やはりじくじくと痛むのである。
子フェンリルたちはそんな父親に対して、やり過ぎたことを反省し、今は薬草集めに出かけていた。
【シャゲェー】
【ぐう……ん?】
と、うめいている中でふと聞こえたことに振り向けば、そこにはドーラがいた。
【シャシャゲェー】
【おお、薬草の差し入れか……】
薬草の差し入れによって、患部にあるものを貼り換え、再び横になるポチ。
できれば温泉に行ってみたかったが、この状態では行けるはずもなく、悔しい思いを募らせるのであった…‥‥
ボラーン王国の辺境に位置しながらも、温泉により観光客にあふれているがゆえに人の往来が多く、変転している都市。別名、温泉都市。
「如何にして温泉を楽しむのか」というテーマが常に繰り広げられ、温泉好きたちによって徹底的に追及され、年々その素晴らしさが向上しており、他国の貴族や王族までもが静養のために訪れるという。
なお、トラブルも多くなりそうだが、それらは未然に防ぐようにされており、万が一があれば直ちに処分を下すという強硬策を取る事もある。
――――――――――――――――――――――――
SIDEシアン
……と言うのが、どうやらこれから僕らが向かっている都市オルセデスについて説明らしい。
「なんというか、温泉を追求する人っているのか……」
「人や国によっては感じ方が変わりますし、永遠に終わらない議題の一つのようデス」
【温泉って、それだけの魅力があるようですね】
宿泊券と共についてきた、都市についてのパンフレットを読み返し、僕らはそう話し合った。
温泉を観光資源としているようだが、どうもかなりの種類があるらしい。
しかも、温泉だけではなくてちょっと特殊な環境にあるので、それに適応した独特の動植物もあるらしい。
温泉の熱によって開かれ、花吹雪を見せ、香りを辺り一帯に広がらせる「温泉花」。
流れ出ている温泉の川に住み着き、天日干しや空揚げに最適とされる「温泉魚」。
その他諸々、面白そうなものがあるようでかなり面白そうである。
ゆえに、いつものようにポチ馬車で僕らは現在向かっているのだが…‥‥正確には、いつもとちょっと違っていた。
「えっと、ロイヤルさん。ポチの代わりに引いてもらっているけれども、大丈夫?」
【ああ、大丈夫さ!!温泉へ向かう労力ふさわしい対価だからね!】
意気揚々と牽引しているのは、ポチではなくその妻のロイヤルさん。
いつもであればポチが牽引するはずであったが‥‥‥今回の目的地が温泉である事を知った彼女によって、出発時に代わりに現れ、自身が牽引すると言ったのである。
一応、フェンリルとは言え女性でもあり、美に関する追求もそれなりにある。
そして、温泉はその美に関して必要な要素であると理解を示し、向かうことにしたのだとか。
……とまぁ、ここまで聞けば、普通に温泉目当てと言うだけでまだいいだろう。
しかし、もう一つ別の理由があった。
「しかし、ポチがまさかダメになるとはなぁ‥‥‥」
【夫ながらも、ちょっと情けないと思うんだよね】
「ちょっとどころか、かなりだと思いマス」
【あれで神獣でもあるんですよね……】
その言葉に、皆で溜息を吐く。
そう、ポチは今回来られなくなっていた。
理由はなんと、ポチの子供たち……子フェンリルたちと父親らしく世話をして遊んでいた際に、ちょっとばかり威厳を見せようと、模擬戦をしていたらしい。
戦う方法を教えて、一人前のフェンリルとして送り出せるようにという事であったが、実は以前からある可能性が危惧されていた。
そう、その可能性が…‥‥、ポチが子供たちにフルボッコ状態になるほど、完膚なきまでに敗北するちう可能性が、今回起きてしまったのだ。
以前からミニワゼシスターズがちょっとだけ遊び相手になっていたりしたのだが、それで色々とハードな訓練のようになっていて、子フェンリルたちの実力はメキメキと向上していららしい。
そして今回、その実力が発揮され、ポチは重傷を負ってしまったのである。
【まぁ、あの夫にはいい薬だよ】
「なんというか、情けなさすぎて同情したくなるなぁ‥‥‥」
そのため今回、ポチが動けなくなったというのもあってロイヤルさんが牽引してくれることになったのであった。
「でも、馬車を引く馬・・・・・いや、フェンリルが温泉に入れたっけ?」
【ん?ああ、その事なら大丈夫さ。その都市の温泉が、何も内部だけにあるわけじゃないからね。神獣間である秘湯があるから、そっちに浸かりに行くんだよ】
さらっと何か重要そうな情報が出たような気がしたが…‥‥まぁ、聞かなかったことにしよう。
神獣が浸かる秘湯って、ある意味とんでもないスポットだとも思えるが、面倒ごとの種にしか思えない。
何にしても、僕らは温泉へ向けてすすむのであった‥‥‥‥
――――――――――
SIDEポチ
【うぐぐぐ‥‥‥】
その頃ポチは、森の中にある巣にて横になっていた。
重症とは言え、一応治療を受け、ある程度は動けるとはいえ、やはりじくじくと痛むのである。
子フェンリルたちはそんな父親に対して、やり過ぎたことを反省し、今は薬草集めに出かけていた。
【シャゲェー】
【ぐう……ん?】
と、うめいている中でふと聞こえたことに振り向けば、そこにはドーラがいた。
【シャシャゲェー】
【おお、薬草の差し入れか……】
薬草の差し入れによって、患部にあるものを貼り換え、再び横になるポチ。
できれば温泉に行ってみたかったが、この状態では行けるはずもなく、悔しい思いを募らせるのであった…‥‥
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